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潰れていく店を漠然と見ていた。バーテンダー歴20年の小野がfavyで抱いた夢とは。インタビューvol.1

映画やドラマのバーテンダーに憧れて、バー業界に飛び込む

〜バーテンダー 小野さん〜

昔からドラマや映画に出てくるバーテンダーへの憧れは強かったです。バーテンダーってとにかくモテそうじゃないですか。若い頃は女の子にモテたいとか、そういうことばっかり考えていましたからね。

それで20歳の時に、オーセンティックバーで働き始めました。オーセンティックバーというのは、多分みんなが「バー」と聞いて想像するような、少し敷居の高い、言わば正統なバーです。

私がバーテンダーとして生きていこうと決意したのは、仕事が楽しくて仕方なかったからです。「バー」という空間には色んな人々が行き来して、自分とは世代の違う、職種の違う、普段なかなか接する機会のない人と交流することができるんです。

もともと私は人と話すのが苦手だったんですが、バーのカウンターってすごく面白くて。自分とお客様の間に、カウンター越しで話したことは外に漏れないっていう暗黙の了解があるんです。カウンターという一種の隔たりがあるから、お互い安心して話せるんです。これって、バーに通っている人なら何となく分かると思うんですよね。

お酒の知識を増やすことが、お客さまの喜びに繋がった

〜ワインバー時代の小野さん(左から2番目)〜

オーセンティックバーで一通りカクテルを学んだ後は、さらに知識を増やしたいと思い、カジュアルダイニングバーに入りました。

そこには600種類のお酒が常備されている上に、珍しい品も多く取り揃えていたので、色々とテイスティングさせてもらいながら知識を吸収しました。オリジナルのカクテルを作れるようになったのはこの頃で、知識が増えることでお客さまに喜んでもらうための手段が身についたのことは自分にとって大きな成長でした。

そのお店では14席ぐらいあるバーカウンターのお酒を任せてもらい、そこで自分から積極的に話しかける接客を勉強しました。オーセンティックバーの時はどちらかと言うとお客さま発信で会話をすることが多かったのに対して、カジュアルバーはコミュニケーションの取り方が真逆なんです。

カウンターに座るお客さまは私たちバーテンダーと話したくて来てくれる人が多いので、常に会話する内容をストックするようにしていました。

そこから今度はワインの勉強をしたいと思い、カジュアルなバーからワインバーへ。そこは年間3,000本ほどのワインをグラスで出しているバーだったので、ボトルを開ける度にテイスティングさせてもらい、自分の中にワインのストックを増やしていきました。

お客さまとの出会いはバーテンダーの醍醐味


ワインバーを辞めたあとは、バーの立ち上げに関わる仕事をしていました。

そんなある日、横浜でクラブ等数件を経営していたオーナーから「持っているスナックの一店舗をリニューアルしてショットバーにするから、そこで店長をやらないか」と連絡がありました。その時は地元大分でバーテンダーをやっていたのですが、横浜はバーの聖地だいうイメージが強く、ずっと憧れを抱いていいたんですね。だから、これはチャンスが巡って来たぞと思い、二つ返事で引き受ました。

そして2007年、横浜に『Bar-sur-Aube(バール=シュール=オールブ)』を立ち上げ、その後10年間店長を務めました。

そこでの出会いは二つあって、一つ目はかけがえのないお客さまとの出会いです。
2週間毎日飲みに来てくれた方もいました。その方とは、たわいもない話をしているのですが、そこに面白いことがあったり、そこから派生して出会いが広がったり、関係が密になっていくのが嬉しかったです。今はその方は地方に行ったりでなかなか会うことはありませんが、今でもたまに連絡を取り合ったりしています。

バーテンダーとお客さまの関係って、離れ離れになっても切れないことが僕は多いんです。何かの時に自分を思い出してくれて、連絡をくれたりするんですね。それがバーテンダーの醍醐味だと私は思っています。

年間10本以上のイベントに呼ばれる、フリーのバーテンダーに

〜イベントのバーテンダーを務める小野さん(左から2番目)〜

二つ目は、これまでのバーテンダー時代に出会ったメーカーさん達との出会いです。
一緒に仕事をさせていただく中で関係性が深まり、個人の仕事を依頼されるようになっていきました。

その後『Bar-sur-Aube』は潰れてしまいましたが、メーカーさんとのつながりで年間約10本のイベントに参加させていただくようになり、フリーのバーテンダーとして活躍するようになりました。大きいイベントだと、有難いことにフジロックフェスティバルにも呼んでいただき、多くのお客さまに自分が作ったお酒を振る舞う貴重な経験をさせていただきました。

『Bar-sur-Aube』は私の人生にたくさんの出会いをもたらしてくれた、今でも忘れられないお店です。

favyに“飲食店が簡単に潰れない世界”という夢を抱いた

〜favyでインタビューを受ける小野さん〜

私がfavyを知ったのは、『Bar-sur-Aube』によく通って下さっていたお客さまがfavyのFacebook投稿を頻繁にシェアしていたからです。その投稿を読んで、面白いことをやっている会社だなと思っていたので、一度話を聞いてみたいと思いエントリーしました。

入社を決めたのは、代表の高梨が語る“飲食店の未来”が面白そうだったからです。

自分は20年近くバーテンダーを続けていて、潰れていくお店を何件も見てきましたし、自分も潰して来ました。ずっと現場にいると、ただそれを眺めているだけで理由を突き止めようとは思わないんです。

favyには“飲食店が簡単に潰れない世界を創る”というビジョンがあります。高梨はマーケティングの目線から、飲食店が潰れていく理由を提示してくれて、その世界を変えたいと言いました。例えば、お客さまからいただく飲食代以外にキャッシュポイントを増やせれば、月々の売り上げをアップさせることが出来るのではないか。日々の営業に負われて経営がおろそかになっている飲食業界の実態に、初めて気づかされました。

そんな話を聞いていたらなんだかワクワクしてきて、同じ業界に生きている人たちも、これから目指そうとしている子たちも、みんなが楽しく仕事ができる世界がくれば良いなと、自分の夢が広がったんです。

これが、私がfavyに入社するまでの20年間の軌跡です。

(vol.2へ続く)

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