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Perkは、今がいちばん面白い。いくどの困難を乗り越えて、見えてきた兆し

新しい挑戦には、迷いと葛藤がつきものだ。それでも、歩みを止めない人たちがいる。足跡を重ねた道のりの先には、まだ誰も見たことのない景色が広がっているからだ。

2020年に立ち上げた、ウォンテッドリーの新規事業「Engagement Suite」。従業員のエンゲージメントを高めるためのサービスとして、福利厚生「Perk」、チームマネジメント「Pulse」、オンライン社内報「Story」の3つのプロダクトから構成されている。

なかでも「Perk」は業績を順調に伸ばしており、いまやビジネスSNS「Wantedly Visit」に次ぐ、第二の柱となるべく存在感が高まっている。しかし、現在に至るまでの間、いくどの困難に直面したという。「当時、ウォンテッドリーらしい福利厚生サービスとは何か。その言語化がうまくできず、霧の中を手探りで進むようだった」と事業部長の橋屋は振り返る。

新規事業を軌道に乗せるために、チームとしてどのように難題に立ち向かっていったのか。今回のインタビューでは、事業部長の橋屋、PdMの吉野、Engineerの富岡の3名に、エンゲージメント事業のこれまでの軌跡とこれから描く未来を聞いた。

登場人物紹介

橋屋 優理 Engagement Tribe  / Tribe Leader
シャープ株式会社にて営業企画のプロダクト立ち上げを経験。以降、医療・介護・福祉領域を中心に複数のHR事業責任者を担う。「仕事を通じ、組織や人が幸せであること」の難しさに直面し、組織開発や従業員エンゲージメントを自身のキャリアのテーマにすえる。ウォンテッドリーには2022年に入社し、2023年3月から事業部長を務めている。
富岡 真悟 Engagement Growth Squad  / Engineer / Squad Leader
2017年に新卒でウォンテッドリーに入社。以来 Wantedly Visit の企業向け機能の開発や、契約基盤改修プロジェクトのリードなど幅広く担当してきた。現在はエンゲージメント事業の開発と、事業横断の Backend Chapter のリーダーを務めている。
吉野 雄大 Engagement Growth Squad / PdM
2012年に大学卒業と同時にWeb制作会社を設立して、4年間ほど経営。学習塾向けの動画配信サービスをはじめ、サービスの企画から開発まで携わる。その後、Webディレクターとして経験を積み、ディップ株式会社で求人メディアの「バイトル」「はたらこねっと」などのプロダクトマネージャー(PdM)を担う。2025年よりウォンテッドリーにて、エンゲージメント事業の開発に従事している。

問われる、ミッションとの整合性

ーー「エンゲージメントチームが、とても良い雰囲気」と噂で聞きまして、ぜひお話をお伺いしたいなと。橋屋さんが事業部のリーダーになったのが、2年ほど前でしたよね。新規事業が軌道に乗るまではいろいろと混沌とした状態が続いたと思いますが、当時を振り返ってみていかがでしょうか。

橋屋:状況も刻々と変わり続ける毎日で、本当に目まぐるしかった記憶です。特に変化が大きかったのが、事業方針の転換。もともと「Engagement Suite」は、「Wantedly Visit」の付帯サービスとして無料で提供していまして、そのフェーズではチームマネジメント「Pulse」に注力していたんです。しかし、それぞれを有料で単体提供していくタイミングになったときに、今後のスケールを見込んで福利厚生「Perk」を主力サービスに切り替えました。

このときに改めて問題になったのが、ウォンテッドリーが福利厚生サービスを提供する意義です。私たちは「究極の適材適所により、シゴトでココロオドルひとをふやす」というミッションを掲げていまして。Perkは、「シゴトに挑戦する環境を整える」という意味づけがされていたものの、全員が腹落ちしていたかと問われると、イエスとは答えられない状態でした。

富岡:いま思うと、プロダクトのコンセプトも明確に定まっていませんでした。当時のPerkは、いわゆるクーポンサイトのようなものになっていて、特典のラインナップも一貫性に欠けていました。

そのため「シゴトに挑戦する環境を整える」という意味づけと実態とが一致しておらず、会社のミッションと結びつきを感じづらい状況だったんです。

ウォンテッドリーには、ミッションに惹かれて入社を決めたメンバーばかりが集まっています。そこへの共感が強い人ほど、自分たちがPerkを提供する意義を見出すことが難しかったかもしれません。実際に、「プロダクトのビジョンが見えない」と、会社を離れていったメンバーもいました。

橋屋:本来は、ここの議論にもっと時間を費やすべきでした。ただ当時は事業存続が第一優先になり、目の前の売上をつくることにみんな必死で。Whyの言語化は宙に浮いたままになっていました。現在は、なんとか時間をかけて整理したことで、プロダクトが進むべき道がクリアになっています。

矢印が揃ったことで、むかえた転換点

ーー既存事業のミッションと新規事業のミッションを紐づけていく。なかなか難易度が高そうなプロセスだと思うのですが、具体的にどのように進めていったのでしょうか?

橋屋:まずは、中期経営計画を立てました。2030年までに、どこまでの指標を目指すのか。そのうえで、プロダクトとしてはどのような状態になっているべきかを逆算していきました。

吉野:私が入社したのは、2025年2月。そのタイミングでは、あるべき姿が明確になっていました。ロードマップをひくにあたって、各プロジェクトの優先順位がつけやすくとても助かっています。「2030年までから逆算して、いま何をすべきか」という同じ絵を見ながらまわりと会話できるので、意思疎通がしやすいですね。

ビジョンや提供価値についてはすでに整理されていたので、苦労した過去があったことは詳しく知りませんでしたが。

橋屋:最初は自分たちの頭だけで考えていたのですが、それだと市場や顧客とズレがあるかもしれないと感じて顧客はもちろん、顧客でない人事担当や有名大学の教授などにもヒアリングをしました。いろんな知見を得たおかげで、福利厚生制度の運用に成功している企業の共通項が見つかりました。

それは、「ミッションを体現する手段として、福利厚生サービスを導入している」ということ。実は、福利厚生サービスは導入されていても、残念ながら社員の利用率が低いというケースも多くあるんです。「社員に認知されていない」「利用したいサービスが少ない」など理由はさまざまなのですが。

一方で、利用率が高い企業もあります。彼らには共通して「ミッションを体現するために、働きやすい環境を整えたい」という想いがあったのです。そもそもWantedlyは、会社が掲げるミッションを実現するために、共感した仲間と出会えるプラットフォーム。私たちが提供する福利厚生サービスは、共感や想いの熱を持続させるものでありたい。そう考えたときに、道がひらけた感覚がありました。

富岡:外部の声を聞きに行ったことで、客観的な視点を得られたのは大きかったですよね。橋屋さんが描いた土台をベースにみんなで議論を重ね、ようやくできあがったのが、いまのPerkの提供価値です。

橋屋:社外へのヒアリングを通じて、「福利厚生には企業らしさが求められ、それが従業員との信頼関係に寄与することを目指すべき」という整理ができました。信頼の構成要素を「信用」「尊重」「公正」「誇り」「連帯感」に分解して、「信頼関係に貢献する福利厚生Perk」と言語化していきました。

個人が高いモチベーションを保つことが、シゴトに没頭している状態を生み出していく。シゴトでココロオドルひとをふやすことをミッションとする、ウォンテッドリーらしい意義が見出せた瞬間でした。

逆風を追い風に変えた、OneTeamの意識

ーー矢印が揃ったことで、事業も軌道に乗り始める。ここからチームとしての一体感が増していったと。

橋屋:そうですね。あともう一つ、大きな出来事がありまして。今から半年ほど前に当時のPdMが、新しい挑戦に向けてチームを離れることになったんです。吉野さんが入社されるまでの間、私と富岡さん、デザイナーの3人でPdMロールをカバーする必要が生じました。

富岡:これまではどちらかというと、「絶対あったほうがいいよね」という機能を実装してきました。なので、特に議論を重ねる必要もなく、みんなの合意が得られやすい状況でした。

そうしておおよそ必要な機能が揃うと、小規模の企業さまにはご利用いただけるようになってきました。次に中規模の企業さまにもご利用いただくためには、Perkとしてプラスアルファの価値をどこで創っていくべきか。そうした立案が求められるタイミングになったことで、今までよりも事業理解を深める必要がありました。そこで改めて顧客調査、競合調査に時間を費やそうと決意したんです。

セールスの商談録画をみたり、競合のポジショニングを調査したり。愚直に行うことで、「福利厚生サービス」の解像度がグッとあがりましたね。

橋屋:きっかけは偶発的なことではありましたが、開発メンバーが主体的にPdMロールを担ってくれたおかげで、ビジネス側とコミュニケーションを取る機会も増えた気がします。これを機に、これまでビジネス側と開発側との間にあった見えない壁が完全に崩壊したような感覚がありました。

もう一つメリットがあって、PdM業務を経験したことで吉野さんの受け入れもスムーズに行えました。もちろん吉野さんのコミット力にだいぶ助けられた部分も大きいのですが。

吉野:引き継ぎにおいて、「書類を共有したので、これ読んでおいて」といって丸投げされるケースもあると思います。今回はそんなことはなく、「過去にこの施策を行い、いまはここの数値まで達成できている」といったように、経緯や分析を含めて伝えてくれるので、理解が進みやすかったです。それと共通言語で会話できるという点も、円滑なコミュニケーションがとれた要因だと思います。

橋屋:少数の組織のため、私も含めてメンバーがいろんな領域の経験を積んでいます。たとえばビジネス側も、マーケとセールスを兼務したり、CSも専任を置かずにカバーする時期があったりしました。こうしたOne Teamの姿勢が功を奏し、複合的な視点をもって会話できる人材が多いことが、いまのチームの強みかもしれませんね。

「今が、いちばん面白い」と思える組織を

ーーいろいろな困難を乗り越えて、組織が強くなっていった。かなり濃密な2年間を過ごされましたが、現在はいかがでしょうか?

橋屋:個人的な話になりますが、いまプロダクトづくりが面白いなと思っています。さきほど富岡さんからも話がありましたが、これまでのPerkは市場にフィットするために、必須機能を備えていく方針でした。でもこれからは、自分たちらしいプロダクトづくりにフォーカスできるタイミングになったかなと。0から1のフェーズから、1から10のフェーズに移行したイメージです。

吉野:ベースが整っているので、新しい施策に集中しやすい状況ですよね。それとエンゲージメント領域はもっと注目されていくと思っています。

というのも、日本の少子高齢化は急速に進み、2030年には人口の約3分の1が高齢者になると予測されています。従来の採用の考え方では、きっと人材不足に対応しきれなくなる。いまよりもっと、「従業員の定着」を最優先に考えていかねばならない。そういった未来のために、プロダクトを開発していけたらなと。

富岡:エンジニアとしては、新規機能の実装や既存機能の改善。自分で手を動かしてサービスをつくっていくことが、顧客への価値提供ひいては事業成長につながっていく。そんな手触り感を持って、開発に向き合えています。

橋屋:仕事の面白さは、事業フェーズによって変わってきます。その都度、「Perkは、今がいちばん面白い」と思える組織をつくっていけるのが理想的ですね。そして、それが自分の役割でもあります。

プロダクトを起点に広がる、新しいチャレンジの連鎖

ーー改めてになりますが、エンゲージメントチームで一緒に働く魅力を教えてください。

橋屋:事業づくりやプロダクトづくりと、これからもっと面白くなるフェーズです。まだ10名を超えたばかりの組織ですが、それゆえに横断的なコミュニケーションが取りやすいというメリットもあります。

富岡:週1回、全員が集まるミーティングがありまして。その場で自分が実装した機能について、セールスメンバーが「お客さんは、こう言ってましたよ」と率直なフィードバックを伝えてくれることがあります。いい感想も、そうじゃない感想もありますが、直に反応が知れるのは嬉しいですね。

吉野:会社全体でも、開発組織が4割近くを占めています。チームも同様で、単純に営業パワーだけに頼らず、ものづくりに真摯に向き合っています。プロダクトを起点に新しいチャレンジができる。私が入社した理由にもなりますが、その点に魅力を感じています。

ーー最後の質問です。どのような仲間を求めていますか?

橋屋:吉野さんから、チャレンジという言葉が出ましたが、「自分のチャレンジを楽しみ、人のチャレンジにも興味を持てる人」なら楽しみながら働けると思っていて。いまのメンバーを見てると、自身はもちろん、まわりの仕事も自分事化して、チーム志向で動ける人が多いです。

たとえば「富岡さんが新しい機能を追加してくれたので、これをフックに受注を決めたい」と、気合いを入れて商談に臨むメンバーもいます。

富岡:開発チームとしても、嬉しい限りです。私はシンプルですが、自分が書いたコードで事業を伸ばしていきたい。そんなマインドを持った方と一緒に働きたいですね。新しい施策にチャレンジしやすいタイミングなので、事業に貢献している実感を得られる場面も多いと思います。

吉野:いろんな職種の人と近い距離で働けるので、連帯感を大切にできる人がフィットすると思います。あとは、中長期的思考を持てる人ですかね。いまの立ち位置を理解したうえで、理想論だけでなく、現実的な視点も持ち合わせながら物事を進められる方だと嬉しいです。

橋屋:これから事業が成長していくなかで、どんどんメンバーの数も増えていくと思います。ただ急激に人数を増やすことは考えていなくて。いまのチームの密度を保ちながら、みんながチャレンジを楽しめる雰囲気をつくっていきたいですね。

これから5年後。ムーンショットを掲げており、普通に過ごしていたら到底達成しえない指標を目指しています。この先も新しい困難に直面することもあると思いますが、それを一緒に楽しみながら乗り越えていけたらなと。

これから数年間は、創業メンバーとしての醍醐味が味わえる時期だと思います。最後に改めてお伝えしますが、「Perkは、今がいちばん面白い」です。




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