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PostgreSQL Conference Japan 2024 参加・登壇してみて

こんにちは、ウォンテッドリーでインフラエンジニアをしている加藤健です。

この記事は Wantedly Advent Calendar 2024 の10日目の記事です。昨日は佐藤祐亮さんの「バックエンドエンジニアがFUZE2024に参加して感じた顧客接点をつくりプロダクト開発に活かしていくということ」でした。

この記事では、先週参加した PostgreSQL Conference Japan 2024 について紹介します。このカンファレンスは、PostgreSQLに関わるさまざまな知見を共有する場であり、私自身は当日スタッフとして運営をサポートしつつ、小講演枠にも登壇しました。

登壇の背景やスタッフとしての体験、講演の準備・発表を通じて感じたことを振り返りながら、カンファレンス参加が個人や会社にとってどのような価値をもたらすのかを考えます。ウォンテッドリーでは、外部登壇を積極的に推奨しており、今回もその一環で業務として参加しました。この記事を通じて、より多くの方がカンファレンスへの参加や登壇、そしてPostgreSQLコミュニティに興味を持つきっかけになれば幸いです。

目次

  • カンファレンスの概要

  • 登壇の背景

  • 当日スタッフとしての体験

  • 登壇内容と準備プロセス

  • 個人的に印象に残った講演

  • PostgreSQL 17とPostgreSQL開発最前線

  • AWS and the PostgreSQL community

  • まとめ

カンファレンスの概要



PostgreSQL Conference Japanは、日本PostgreSQLユーザ会(JPUG)が主催する、PostgreSQLに関する知識や最新情報を共有する年次のイベントです。このカンファレンスでは、PostgreSQLの活用事例や技術的なトピックを中心に、一般ユーザーから開発者、さらにはコミッタまで幅広い参加者が集い、交流と学びの場を提供しています。

登壇の背景

私が今回登壇を決意した理由には、いくつかの背景があります。まず、ウォンテッドリーでは、社外への技術情報の発信を積極的に推奨する文化が根付いています (参考: ウォンテッドリーの登壇発表資料)。特に昨年度からは「登壇祭り」と題して、組織全体で外部イベントでの発信を推進しており、この取り組みが私にとって大きなモチベーションとなりました。

さらに、日々の業務で培った知識や経験を外部に共有することで、自分自身の成長につなげたいと考えました。他者に伝えるために自分の知識を整理し、発表を通じてフィードバックを得ることで、新たな視点やアイデアを得られる貴重な機会になると考えたのです。

登壇を通じて得られるメリットについて、個人と組織の視点から整理してみました。

  • 個人
    • 知識の整理
    • プレゼンテーション能力の向上
    • ネットワークの拡大
    • フィードバックによる成長
    • 個人のプレゼンス向上
  • 組織
    • 技術力の対外的なアピール
    • 採用力の強化

登壇は、個人と組織の双方にとって大きなメリットをもたらします。個人としては、知識を深める機会や新たなネットワークを得るきっかけとなり、組織としては、技術力や魅力を外部に発信する手段となります。普段から登壇の機会を窺っていましたが、今回はちょうど良い題材があったため、PostgreSQL Conference Japan 2024 の登壇枠に応募してみました。

当日スタッフとしての体験

今回、私は登壇だけでなく、当日スタッフとしてもカンファレンスに参加しました。これまでカンファレンスには参加者として足を運ぶことが多かったのですが、運営側にスタッフとして関わるのは初めての経験でした。

当然ながらカンファレンスには、それを運営する人たちがいます。運営メンバーは、会場の手配、スポンサーの募集、講演者や参加者との調整などのタスクを、普段の業務と並行してこなしています。こうした地道な努力があって初めて、私たちはカンファレンスを楽しむことができます。

今回はそんな運営の皆さんの力になりたいという思いから、当日スタッフとして参加させていただきました。私が担当した主な仕事は、配布物の準備、受付対応、セッション会場でのサポートなどです。普段見えない運営の苦労や細やかな工夫に触れることができ、これまで以上に運営メンバーの皆さんには感謝の念を抱くようになりました。

また、当日スタッフとして参加することで新しい人との交流が生まれたり、運営側ならではの特典(ポスグレちょっとできるTシャツ、今半のお弁当)もあり、非常に有意義な経験となりました。もし機会があれば、皆さんも何かのカンファレンスの運営側として参加してみることをお勧めします。

登壇内容と準備プロセス

今回「論理レプリケーションを使ったDB統合」というタイトルで登壇させていただきました。ウォンテッドリーでは、すべてのデータベースを AWS RDS / Aurora PostgreSQL 上で運用しています。今回の発表では、過去に PostgreSQL の論理レプリケーションを活用してデータベースの統合を行った際の話を共有しました。

論理レプリケーションは、近年 PostgreSQL の中でも特に活発に開発されている機能です。しかし、実際の活用事例はまだ多くなく、参考となる情報も限られていました。そのため、私たちがどのようにこの機能を活用し、どのような課題に直面したのかについて話しました。

登壇までのプロセスとしては、以下の通りです。

  • プロポーザル提出
    • 発表テーマを200字程度のアブストラクトにまとめ、講演者情報とともにメールで提出
  • 印刷むけのスライド資料提出
    • 概要を5〜6枚程度にまとめた資料を提出
  • 本番発表
    • 資料の提出などは必要なく、本番講演前までに準備

大規模なカンファレンスへの登壇は入念な準備が必要だと感じていましたが、長文のプロポーザルや本番資料の事前提出などはなく、実際には肩肘張らずに進めることができました。この発表において「伝えたいこと」を明確にし、そこから逆算して必要となる情報を伝えることを意識しました。

また、セッション後には参加者から多くの質問やフィードバックをいただき、論理レプリケーションへの関心の高さを感じました。同時に、自分の発表が少しでも参考になったことを実感し、大変嬉しく思いました。

個人的に印象に残った講演



今回のカンファレンスでは、魅力的な講演が多くありましたが、特に印象に残ったのは以下の2つの講演です。

  1. 「PostgreSQL 17とPostgreSQL開発最前線」by PostgreSQLコミッタ 澤田氏
  2. 「AWS and the PostgreSQL community」by PostgreSQLコミッタ Michael Paquier氏

PostgreSQL 17とPostgreSQL開発最前線

澤田さんの講演では、2024年9月にリリースされた PostgreSQL 17 (PG17) の新機能や改善点が詳しく紹介されました。PG17では全体的なパフォーマンスの向上が図られ、多くの新機能が追加されています。その中でも、特に印象的だったのは 「Vacuumの性能改善」 です。

澤田さんはこの成果を自身の功績として強調されませんでしたが、実は澤田さんが4年の歳月をかけて実現した改善とのことです。具体的には、Vacuumの内部的なメモリ構造を刷新し、メモリ使用量を最大で 20分の1に抑えることができます。長年PostgreSQLの悩みの種であったVacuumが、ここに来て大幅に効率化されるという事実に衝撃を受けました。

AWS and the PostgreSQL community

プラチナスポンサーとして協賛されているAWSからの講演枠にも関わらず、AWS製品に関する宣伝などは全くなく、PostgreSQLコミュニティについて熱く語っているのが印象的でした。

講演では、PostgreSQLのコードが年々複雑化し、メンテナンスやレビューを行える人材が不足している現状が語られました。また、開発者の平均年齢が上がってきていることも課題として挙げられ、これらの理由から、より多くの人にPostgreSQLの開発に参画してほしいという話がありました。

また、開発だけに限らず、以下のような多様な形でPostgreSQLに関わることができる点も紹介されました:

  • カンファレンスの運営
  • ドキュメントの通訳
  • ユーザー会の運営

この講演を通して、PostgreSQLが単なるデータベースソフトウェアの枠を超え、人々が協力し合いながら成長を支えているコミュニティであることを強く実感しました。

まとめ

PostgreSQL Conference Japan 2024では、当日スタッフとしての参加に加え、小講演枠での登壇も行いました。このカンファレンスを通じて、普段の業務では得られない刺激を受けるとともに、新たな人々との交流を深めることができました。

特に今回はMicahel氏の講演やコミュニティの活動に触れる中で、「自分も何らかの形でPostgreSQLコミュニティに貢献してみたい」という思いが芽生えました。さらに、懇親会ではドキュメントの通訳やPostgreSQLユーザ会への参加を勧めていただくなど、新たな挑戦へのきっかけも得ることができました。

今後もこうした機会があれば、積極的に登壇や活動に参加し、新しい刺激を受けるとともに、多くの人々とつながりを広げていきたいと考えています。



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