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クリッピングを価値あるサービスに。未経験の領域に挑み、責任者としての役割を広げていく|2023年上期社員総会受賞インタビュー #PR TIMESな人たち
PR TIMES社員の挑戦や、努力の裏側、周囲からは見えづらい地道な一面に迫る、「#PR TIMESなひとたち」のコーナー。
今回は、開発本部に所属する小張泰志(こばりたいし)さんにインタビュー。小張さんは「2023年度上期社員総会」で、上期のスローガン「そこで、踏み込む」を最も体現した社員に贈られる新設賞を受賞しました。
広報活動や自社に関する報道などの調査・分析に役立つ「Webクリッピング」。PR TIMESでは、2017年から「Webクリッピング」(webclipping.jp)として提供してきた同サービスを、2023年7月からは「PR TIMES」の管理画面内で提供することが決まり、移行作業が行われました。そのプロジェクトを開発リーダーとして完遂したのが、これまでフロントエンドエンジニアとして活躍していた小張さんです。
未経験のバックエンド領域に覚悟を持ってチャレンジした小張さんに、受賞の率直な気持ちや自身の成長実感など、お話を伺いました。
小張 泰志(こばり たいし) PR TIMES 開発本部 開発チーム
2022年にPR TIMESに入社し、広報効果測定サービス「PR TIMES Webクリッピング」の開発を行う。2023年2月よりWebクリッピングの開発リーダーとして、システム基盤の改善に取り組む。
前職ではフロントエンドエンジニアとして、Next.jsを使ったWebアプリケーションの開発や、Railsを使った食品系サービスの開発に携わる。
未経験の領域で責任に挑み、糧に変える
── 2023年2月、Webクリッピングの開発リーダーに就任
前職がフロントエンドエンジニアだったため、未経験の領域であるバックエンドの開発リーダーを引き受けることは大きな決断でしたが、自分の成長につなげ、このサービスを変えていこうという覚悟を持ってリーダーになりました。
就任後は、Webクリッピングの移行プロジェクトを達成しましたが、システムを動かす基盤であるバックエンドには、解決すべき課題が残っていました。
- 正確性:漏れなく取得
- 速度:掲載後すぐに取得
- 範囲:多くのメディアから取得
クリッピングで提供すべき3つの品質が、すべて本来あるべき水準に達していなかったのです。
── サービスの改善に取り組む過程で度重なる障害に直面
さらに、Webクリッピングはバックエンドに過去の負債を数多く抱えていて、多くの障害が発生していました。負債というのは、今まで誰も手をつけてこなかったために、放置されてしまったシステムの不具合のことです。現在も抱えている負債が多数あり、大きな覚悟を持って開発リーダーを引き受けたものの、想像以上の困難の連続でした。
その中でも特に大変だったのが、負債解消に伴う障害。負債を解消しようとすると、それが障害を呼んでしまうということが起きていたのです。
そして、ついにMySQLのバージョンアップ作業によってクローラーが止まるという深刻な障害が発生してしまいます。これにより、105件の提携メディアを含む482媒体のメディア記事が取得できないという事象が起きてしまいました。
カスタマーリレーションズ本部のみなさんにも協力してもらい、各メディアのクロール設定を手作業で変え、記事を一つひとつ復旧していくという地道な作業によって障害は解消されましたが、復旧作業終了までに10日間も要してしまいました。
── 開発リーダーとしての自覚と責任を再認識
負債を放置しても、直そうとしても障害になってしまうという状況に、「この障害は自分が直したものではないからいいや」「自分が変更したところが壊れなければいい」と、心の中で言い訳をしそうになったこともありました。
しかし、そのたびに「お客様にそう言い訳できるのか?」と自問を繰り返し、次のような思いに至ります。
お客様は障害のない正常なシステムにお金を払っているのであって、誰が開発していようと、誰が書いたか分からないコードであろうと、それはお客様には関係がないこと。裏側がどんな事情であっても、お客様から見れば今提供している品質がすべてではないか。
私にはリーダーとしての自覚とスキルがまったく足りていなかったことに気づきました。障害が発生するたびに、速やかにその情報をお客様に開示し、引き続きサービスを使っていただけるように尽力するカスタマーリレーションズ本部のメンバーの存在も大きかったです。経験がない中でも、バックエンドのコードをすべて読んで、誰よりもクリッピングに詳しくなろう。サービスに対する自分自身の考えが変わった瞬間でした。
それ以降、業務後にPHPやMySQLのドキュメントに目を通したり、過去の社内勉強会の資料を読み直したりすることで、リーダーにとって必要な技術力の向上に取り組みました。
リーダー就任当初は分からないことが多く、メンバーにすぐに聞くという姿勢でしたが、障害対応を行ったり、周りのメンバーの業務をサポートしたり、自身の役割を広げていきました。
── Webクリッピングのこれから
現在もWebクリッピングの負債解消に取り組んでいますが、本当に着手したい部分は、その先にあるクリッピングの品質、特に正確性、速度、範囲の改善です。
過去に多くのエンジニアたちが挑戦してきたものの解決できなかったこれらの課題を、自分たちの代で倒し切り、クリッピングをさらに前へ進めていく。そんな強い覚悟で挑んでいます。
私は、長い道のりではありますが、クリッピングが今後のPR TIMESを支えていく主力サービスになると信じています。みなさんに期待していただけるような、そして多くのお客様に使っていただけるようなサービスにしていくために、今後も努力していきたいです。
表彰を終えて
リーダーとして今後も踏み込み続ける
── 達成感も課題も感じた半年間
表彰を終えてみて、旧「Webクリッピング」の廃止に向けて取り組み、「PR TIMES Webクリッピング」正式版への移行を達成できたことは、半年間の中でも大きなできごとだったと振り返っています。
一方で多くの障害が発生し、Webクリッピングの安定化に向けた課題が改めて浮き彫りとなった半年間でもありました。安定化に向けて、OpenSearchへの移行やMySQLのバージョンアップなど技術的負債の解消に着手し始めることができました。来期も引き続き負債の解消に取り組んでいきます。
── メンバーを頼りながら、毎日できることを増やす
今回、リーダーを引き受けた時の心境も改めて振り返りましたが、いつか開発のリーダー職を担当してみたいという想いは以前からあり、ポジティブに引き受けた記憶があります。しかし、Webクリッピングという大きなサービスの開発を進めるにあたり、自らの技術的な能力が不足していると感じていたのも事実です。
困ったときはチームメンバーを頼りながら、同時に毎日できることを増やしていくという心持ちで日々業務に取り組んでいます。また、正式版への移行時には計画的にお客様へのご案内をする必要があったため、開発の情報をカスタマーリレーションズ本部に積極的に開示する動きも心がけました。開発チームのメンバーから他部署に向けて情報共有する機会も増えており、部署間の協力体制を築くきっかけを作ることができたと感じています。
── 価値あるサービスの提供へ、開発面から貢献
改めて、Webクリッピングの負債解消、そして品質向上へ取り組んでいきたいという想いを強く持ちました。お客様が価値を感じて使っていただけるサービスにするため、開発面で貢献できる余地が大いにあると思っています。
個人としては、現在は障害対応をするなど業務の幅も広がってきていますが、バックエンドやインフラまでWebクリッピング全体を理解できるよう、今後も踏み込み続け、できることをさらに増やしていきたいです。
── 小張さん、今日は様々な質問にお答えいただきありがとうございました! 改めて新設賞の受賞、本当におめでとうございます。
※この記事は、2023年度上期社員総会でのスピーチ、および後日社内で行われたインタビューを元に作成されました。