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それぞれの立場から「逆境」を選び、PR TIMESへ。CTO金子×Jooto事業部長山田対談<前編>

PR TIMESに執行役員CTOと、Jooto事業部長がジョインして約1年。異質のキャリアを歩んできた2人はなぜPR TIMESに入社したのか。部署は違えど「PR TIMESを変えたい」という志を抱く2人に、入社当時から今に至るまでの歩みについてお話を伺いました。

金子 達哉(執行役員CTO)

2021年4月より現職。ピクシブ株式会社・株式会社メルカリにて開発・インフラ両面からサービス運営に携わる。LINE株式会社主催イベントISUCONにてISUCON9予選・ISUCON6本選の運営として出題を担当。著書に「pixivエンジニアが教えるプログラミング入門(星海社新書)(単著)」がある。

山田 真輔(Jooto事業部長)

マーケティングリサーチ会社にてセールス&デジタルマーケティング領域を担当した後、教育系ベンチャー企業の取締役COOとしてアライアンスを推進。2021年2月末より現職。

開発とインフラの“現場”を叩き込んだ、ピクシブ社での新卒時代

——金子さんは2021年4月、山田さんは同年2月末とほぼ時期を同じくしてPR TIMESに入社されましたが、まずはそれぞれのバックボーンを教えてください。金子さんは、新卒でピクシブですよね。

金子達哉(以下、金子):学生時代からWeb系の会社で働く機会がありました。その経験からWeb業界で活躍できるエンジニアになりたいとは思っていました。しかし大学の学位を持っていないと、いざ「ここで働きたい」と思った時に弾かれたら困る。特に外資系企業はコンピューターサイエンス相当の学士が必須の企業もありますし、将来海外に行きたいと思った時にそれが障害になるのが嫌だと思いました。なので当時単位が足りなくて留年していたのですが、すぐにWeb業界に飛び込むのではなく、最短で大学を卒業して、学士を取ろうと思い、最短で卒業できる秋卒業を選択しました。

山田真輔(以下、山田):だから金子さんって2013年の10月で新卒入社だったんですね。そもそもなぜピクシブに?

金子:自社サービスを作っている会社で開発の仕事をやってみたかった、というシンプルな理由です。そういう現場の方が自分も学べるものが多いと思っていました。最初は開発として入ったんですが、ピクシブは他の会社に比べてインフラの台数がかなり多く、工夫もしているんです。最初はインフラ部の人たちが言ってることなんて全然わかりませんでした。そこで勉強しようと思って、自分で志望してインフラ部に移りました。手探りの中2年くらいやって、結局その後開発に戻りました。開発に戻ってからは主にバックエンドの抜本的な開発を任されました。例えばピクシブのサービスって当時HTTPで提供されていましたが、それをHTTPSに変更する仕事もやりました。



山田:それって結構な大工事ですよね。

金子:そうですね。ピクシブって配信広告の量も多いし、画像配信も大きなインフラがある。しかも歴史が長いので様々な機能を提供している。それら全てを変えないといけませんでした。それを全部やったのは一つ実績になったと思います。

他だと、PHPのバージョンを5.5から7.1にバージョンアップしたりもしました。バージョンアップ作業を行うためには利用しているミドルウェア移行も必要だったので、全体で半年以上かかったと思います。結局トータルでピクシブには5年弱ほどいました。

山田:そこからメルカリに行く、と。それは何かきっかけがあったんですか?

金子:自分の実力が他の会社に行った時、どの程度通用するかを知りたかったんですよね。当時メルカリには知り合いもたくさんいたし、いろいろな試みをしていることは知っていました。自分がピクシブで積み上げてきたものを使うと、他の会社でどのような貢献ができるのかを知りたくなりました。

「風通しの良さ」を確かめるために社長に手紙を出して…

——そこから3年弱メルカリにいらっしゃって、PR TIMESにジョインされるわけですね。その理由は後ほどお聞きするとして、一方の山田さんはこれまでどのようなバックグラウンドを歩んでこられたんでしょうか?

山田:新卒でマクロミルという会社に入ったんですけど、それ以前に実は僕、大学は法学部の法学科なんです。ゼミのみんなは弁護士になっていく中で、自分もダブルスクールに通っていたんですが、いざ試験となると「俺、本当にこの道でいいんだっけ?」と思ってしまって。途中から就活に舵を切って、今まで会ったことがなかった人たちにどんどん会いに行ってみたんです。当時、学生向け就活団体のようなものがあったんですが、そこを仕切っていたのがマクロミルの人で。その人自身も面白い人でしたし、会社自体も採用基準を「人として気持ちいい人」としていたので、そういうところも面白い会社だなと思いました。会社自体も「風通しがいい会社」って言ってましたし。

金子:でも本当に風通しがいい会社かどうかって、なかなか分からないですよね。

山田:そうなんですよ。だから僕、それを確かめるために社長に手紙を書いたんです。そしたら「じゃあ直接会いましょう」ということになって。社長と話すと出身大学が同じだったりと共通点もあって、ご縁を感じたのでマクロミルに入社することにしました。

金子:そうだったんですね。じゃあ業界で選んだわけではなく、あくまで“人”だったと。

山田:そうです。もちろん、経営者のビジョンとか経営理念は見ていましたが、やっぱり最後は雰囲気や人で選びました。それに日本で一番速く一部上場した会社ということもあったので、社内でどんな意思決定が行われているのか見たかったという思いもあります。入社してからは営業を6年、その後は新人と中途採用者の教育係としてマネジメントをやっていました。あと、デジタルマーケティングサイドからプロダクトを作って、オペレーションとセールスをやって。社内には大学の先生もいたので、「こういうことってできないですかね」と新しい技術を探るようなこともしていました。

金子:なるほど。そこから教育系ベンチャー企業のCOOになられてますけど、その方向転換は何かきっかけがあったんですか?

山田:大学時代から「一緒に会社をやろう」という友人がいたんです。彼もそれなりにやっていて、会社も50人くらいになっていたので、そろそろどうかと誘いを受けたんです。その話を聞いて、即決でした。マクロミルではそれなりのことはしてきたし、翌日には上司に退職の意思表示をしました。ただ、その転職したタイミングが2019年12月末で、コロナ直前。「これから上場だ!」と意気込んでいた矢先にやってきたコロナ禍だったので、リアルを強みにしている事業という特性上「このままでいいんだろうか」と自問自答していたんです。

「開発をたて直せば、会社が前進できる」挑戦する価値を感じた

——全く異なる経験を積んで来られたお二人が、その後PR TIMESに入社されたわけですが、なぜPR TIMESだったのか、その理由をまずは金子さんからお聞かせいただけますか?

金子:実は僕、当時はそもそも転職する気はなくて、メルカリで働き続けるつもりでした。そんなときに「CTOをやってほしい」という打診をいただいたんです。僕自身、PR TIMESというサービスは知っていましたが、業務内容も知らなかったですし、社内に知り合いもいませんでした。しかし「僕にCTOをやってくださいって、一体どんな会社なんだ?」という興味から、まず業務委託として参加することにしました。当時は開発本部のブログなども存在していなくて外からはどういう組織なのか何も分かりませんでしたし、そもそも僕が入ったとして、何か会社を改善できる余地があるんだろうか?と思い、とりあえず「中を見せてください」とお願いしたんです。すると、驚きの事実が発覚しました。

山田:驚きの事実……?(笑)


金子:業務委託をスタートした当初、開発本部のSlackチャンネルに入れてもらったんですけど、1カ月ほどほとんど会話がないんです。DM率は低いと聞いていたので、本当に何もコミュニケーションが生まれていないんだと驚きました。招待されるチャンネルを間違えたのかと最初は思ったのですが、チャンネルには100人くらい入っているんです。でも誰も話さない。なんなんだこの会社は、と思いました(笑)。これだと何も分からないので、他のチャンネルにも入れてもらったんですが、他のチャンネルは結構盛り上がってるんですよ。その時、本気でPR TIMESっていう会社を良くしていきたいと思っている人はたくさんいるんだけど、この開発本部だけ動きがめちゃくちゃ悪いんだ、ということに気づいてしまったんです。

山田:その時絶望はしませんでした? 「これ、俺が何やってもダメだ」みたいな感じで。

金子:僕だったらこの会社を“ひっくり返せるかも”と不思議と思えました。僕はこれまでWebの開発とかインフラ周りをずっとやってきて、仕様を自分で作るとか、その作った仕様を実装するといったことは何度も何度もやってきました。開発以外の人は頑張ってる、だから開発本部さえ立て直せれば会社全体を前に進められそうだという実感があって、それなら挑戦する価値はあるかもしれないと思ったんです。

山田:なるほど。そういう意味では、僕も逆境に立たされた方がやる気になるタイプなんで、同じような立場でPR TIMESに入ったと言えるかもしれません。僕が今担当しているJootoは元々ユーザーの一人でしたが、僕が入社した当時、責任者がいないという状況だと聞いていて。指針を出せる人がいなかったんですよね。Jootoはオフショアで開発していますが、座組みから変えていかないとビジネス自体走らせていくことができないようなシチュエーションでした。

金子:そういう意味では、確かにお互い似ていたかもしれないですね。自分の部署に舵取りをする人間がいなかったというか。

山田:そうですね。あと、マクロミルに入社した当時と同じように、人に惹かれたというのも大きな入社理由です。山口さんをはじめ、いろんな人にお会いしましたけど、みんな勉強熱心で、誠実で、尊敬できる人だと思ったんです。それに僕自身がPR TIMESという企業のミッションに共感できたというのもあります。僕、半分くらいは感性で動いてるけど、半分くらい打算で動いているタイプの人間なんですよね。PR TIMESというビジネス自体、これから個人が発信する時代になることは明確である以上、絶対に伸びていくサービスだということも確信していました。

<後編へ続く>

取材・執筆=田代くるみ(Qurumu)

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