スタメンでは、12月1日〜25日まで note relay 2025 を実施しています🎄
今回はその企画の中で投稿されている記事を転載します。
スタメンの人や組織、事業など、リアルが詰まっている内容になりますので、ぜひ御覧くださいませ。
きよしです。最近はポケモンZAが楽しいです👍
2023年1月にコミュニケーションデザイン領域のチーム(以下コムデ)を立ち上げ、7名の組織に拡大させ、2025年9月末で部長を他の方に引き継ぎました。
ここ1年くらいの、マネージャーとしての自分の自己評価をします。(組織の成果は当然私だけのものではありません。あくまで私の振る舞いがよかったかどうかの観点。)
💡この記事でわかること
コムデ組織のマネージャーのリアルな仕事、成功事例、課題💡この記事でわかること
コムデ組織のマネージャーのリアルな仕事、成功事例、課題
EVeMさんの考えるマネージャーの4つのミッションに沿って振り返りました。
1.執行🍎
チームの成果(Q・半期程度の目標達成)を出すための重要な業務を見極め、それを執り行う
2.活用🚿
全メンバーが持続的にパフォーマンスを発揮し続けるために、そのリソース・意欲・能力をフル活用する
3.伸張🌲
採用と、メンバーの育成(新しい知識・能力を得てもらう)を通じてチーム全体の力量を向上させる
4.連携🤝
上司/他部署と適切に連携し、他部署や全社の業務執行がスムーズに行くよう取り計らう
項目の隣に評価記号をつけました。
1. 執行 🍎
= チームの成果を出すために重要な業務を見極め、実行しきること
執行についてまとめ
短期的な実行や場づくりは得意だった一方で、長期戦略やミッション設定といった“上位の設計”には課題が残った。
● ミッション策定:☔️
なんと大変なことに一番重要なここが☔️
事実
- 経営からコムデへのオーダーについて、抽象的なものはあっても具体的なものはなかった。
- 最重要テーマは、自分たちで「前期を越える事業・組織貢献のためのミッション」を設定していた。
私見
- マネージャー業務の中でも、最も課題を感じていた領域。
- このままではコムデのケイパや評価が上がらないため、重要な課題。
考察
- 経営から具体的なオーダーがない=期待が浅い=成果とインパクトが示せていないということではないか。
- 上長とのレイヤー差が大きく、視座合わせが難しかったことも影響していた可能性がある。
- 部長交代により、この課題は改善していくと考えられる。
● メンバーの目標設定(KGI/KPI):☁️
事実
- コムデは各メンバーを事業側に「部署付け」し、日々の優先度判断は本人に委ねる形式。
- 明らかにおかしい場合は、全案件精査の時間でツッコミを入れられる状態ではある。
- 期初に部署責任者+本人+マネージャー(私)で“状態目標”を決め、期末に評価する運用だった。
私見
- 状態目標の設計が難しく、精度を上げきれなかった。
- 中間支援・チェック体制が弱く、達成確度を高めるための仕組み化が不足していた。
考察
- 目標が定性寄りになり、達成基準が曖昧だったことが評価の納得度を下げたのではないか。
- KGI/KPIの階層設計や中間レビューを早期に導入すべきだったと思われる。
● 成果創出:☁️
事実
- マーケ領域は予実管理ができていたが、それ以外の領域は追う指標が異なり統一管理ができていなかった。
- 多くの施策はアウトプットと事業側の定性評価で見ている状況だった。
私見
- 成果の見える化が弱く、「何が効いたか」を説明できるレベルにできていなかった。
考察
- 長期志向の施策(ブランド形成・資産化)の評価軸が曖昧で、経営への説明に難しさがあったのではないか。
- 適切なリソース管理や経営の承認を得るために、できるだけROIは測れるようになった方がいいと思う。
● 品質保証:☔️
事実
- レビュー権限者が2名に集中し、属人的なボトルネックが発生していた。
- レビュー基準や品質基準の標準化が遅れていた。
私見
- 問題意識が薄く、レビュー権限の分散やAI活用による仕組み化に手をつけられていなかった。もっと優先度を上げて早く進めてもよかった。
● リスク管理:☀️
事実
- 問題の予兆を早期に察知し、火種が大きくなる前に共有・対処できていた。
私見
- この領域は強く、チーム運営の安定に貢献できたと感じている。
● 経営へのレポーティング:☁️
事実
- カンファレンススポンサー・採用活動の費用対効果についてはレポートした。
- それ以外の業務執行による成果などは適切にレポーティングできていない。
私見
- 上長とは報告・承認の話ばかりしてしまい、未来の話ができていなかった。直近のわかりやすいものしかレポーティングしていなかった。
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全社向けに発信したカンファレンス出展レポート
2. 活用 🚿
=全メンバーが持続的にパフォーマンスを発揮し続けるために、そのリソース・意欲・能力をフル活用する
活用についてまとめ
“個々の強みを理解して活かす”ことは得意だった。一方で、組織が大きくなってからのモチベーション設計やコミュニケーションの質の最適化には課題があった。
● リソース配分:☀️
事実
- 稼働の把握と調整は適切に行えていた。
- 今年から営業部・CS部・マーケ部付けのアサインに変更した。
- メンバーの強みに基づくアサインができていた。
- リソース不足の予兆検知と早期対策ができていた。
- 2025年前期、営業部門への貢献が評価されコムデのしげたながベストクリエイティブ賞を受賞した。
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ベストクリエイティブ賞おめでとう🏆
私見
- 今年の初めに思い切って営業部・CS部・マーケ部付けのアサインに変更したのは正解だったと思う
- 深い業務理解、早いレスポンス、先回りの提案が実現でき、貢献度合いはとても上がったように感じる
- メンバー自身も自走力がつき、貢献感を感じやりがいを感じていたように思う
- 一方で適切な評価体制の用意が追いついていないので、納得度の高い評価はまだ実現していない
● モチベーションマネジメント:☁️
事実
- メンバーの動力源は“事業貢献の実感”であると把握していた。
私見
- 大きなモチベ低下は起きていなかったように思う。
- ただ、もう少し“活気”や“盛り上がり”を作る工夫はできたかもしれない。
- 称賛のイベント「スタカネ」は、相互に声を掛け合い積極的に行う習慣はできていたと思う。
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リリースなど、おめでたいことがあったらみんなで鐘を鳴らす文化があります🔔
考察
- 成果志向が強いチームだったため、社内からの信頼は確実に積み重ねられた。
- 一方で、「あそび(余裕)のある状態」の設計が後回しになっていたのではないか。
- 未来のことや直近の業務以外で改善したいことなどをラフに持ち寄り話し、検討する「先回り会議」という会議体を最近新設してみた。
- 個人的には、事業成果を当たり前に出せており、加えて長期的な目線でも先回りして資産を作っていけるのがかっこいいインハウスデザイン組織なのではないかと思っている。
- 個人的な感情も背景にある。チームのみんなが好きなので、楽しいデザイナー人生になったらいいねと思っているし、仕事面でできることがあれば協力したい。短期的な成果を求め成果に癒やされるのも正しいが、それだけではないはず。日々の忙しさで忘れがちな、「デザイナーとしてやりたいこと」は他にもあるはず。余裕があると、組織への貢献と個人の充実は両立できるのではと考えている。
● コミュニケーション:☀️
事実
- 名古屋中心の頃は雑談や1on1の頻度も高く、コミュニケーション量・質ともに良好だった。
- 2025年10月から、東京拠点の増加とオンライン化により、明らかにコミュニケーション量が減少。
- 2025年10月東京入社者「東京名古屋をつないだ常時接続モニターにより気軽に質問や確認ができ、コミュニケーション量を確保できるうえ、即座にすり合わせでき助かっている」
私見
- 拠点間の自然発生的な会話が生まれにくくなっていると感じる。
- 状況変化に合わせて意図的なコミュニケーション設計が必要だと感じている。
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コムデで常滑BBQ🌺
● 働きやすい環境づくり:☀️
事実
- 業務フロー・負荷分散・明確なルールやガイドの設定・会議体の整備を早くから着手していた。
私見
- 早めに仕組みや会議体を設定しておいたので、そこまで困ることはなかった。
● スキル活用の最大化:☁️
事実
- 強みを個別に把握していたが、チームとして可視化はできていなかった。
- 得意・Will・目標を加味してアサインメントを行っていた
私見
3. 伸張 🌲
= 採用・育成を通じて、チーム全体の力量を上げること
伸張についてまとめ
採用・外部発信・ナレッジ整備は得意で成果も大きかった。一方、育成領域は最も難しく、ずっと悩み続けた部分。
● 採用:☁️
事実
私見
- ただしプロセスにおいて再現性は低いと思った。
- マネージャー層の採用もできればよりGoodであった。
● 育成(スキル/マインド):☔️
事実
- メンター制度を見直したものの、実際に機能したかは不明。
- 私の“先回り”が機会奪取につながる場面があった。
- 育成に関して、“完全に任せる”選択も試したが、主体的な動きは生まれなかった。
私見
- 私自身が「ほっといても勝手にやるタイプ」なので、育成型マネジメントが苦手なのではと感じている。
- 求められたら対応するが、求められるまではこちらからお膳立てしすぎるべきではないとの考えが強い。
- とはいえ何かしら仕組みをつくったりメンバーに火をつけることはできたのではと思う。
- 早いうちに苦手を自覚し、他のメンバーに任せたり、ある程度予算を取り外部に委託したりしてもよかったのかもしれない。
- この領域は今も試行錯誤中で、明確な答えを持っていない。
考察
- 「自分のスタンスを尊重する」と「マネージャーの責務として育成する」のバランスをどう取るかが難しく、最適解を作れなかった可能性がある。
- 育成が上手い人は求められる前に小さなお膳立て的なことができているのだろうか。
● 評価制度運用:☁️
事実
- 現時点で評価基準がとても納得度の高いものとはいえない。
私見
- 2025年夏頃に、アップデートがないと自分もメンバーも自社でのキャリアアップもうすぐ頭打ちじゃんと気付く。
- マネージャー採用もできるわけないじゃんと気付く。
考察
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アップデート中の評価テーブル
(ご助言くださった他社のデザインマネージャーのみなさまありがとうございました🙇)
● ナレッジ蓄積:☀️
事実
- 早い段階からアセット整理・テンプレ化を進め、属人性を排除する運用ができていた。
- 新加入メンバーから「こんなに整理されているんですね」と驚かれた。
私見
- 自分もメンバーも仕組み化や標準化の意識が強いと思う。
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部署問わず好評のアセット置き場。
● チームブランディング(外部発信):☀️
事実
- 2023〜2025でDesignshipに連続出資。
- Xでの定期発信が採用・認知に大きく寄与。
- Podcastでの発信が始まり、メンバーの発信や登壇機会も増えてきた。
- 2023年に比べ2025年は明らかにスタメンの認知度が上がっている。
2025年は「スタメンを参考にしてます」という声を数多くいただいた。 - 2025年10月入社者「転職活動の時にXやnote、コーポレートサイトのインタビュー記事などで情報のキャッチアップができ、志望度向上に大きく繋がった」
私見
- 外部発信は、採用だけでなくチーム文化の醸成にも役立ったと感じている。
- 小規模組織の時から、「日々細かな工夫をしているので、小さく頻度高く発信するのが強みを活かせるし、競合が少ない」という考えのもとXを始め、コツコツ続けてきてよかったと思う。
- 上手くいかなかったらすぐ止めてもいいと思っていたが、Xの存在はとても大きい。採用はもちろん社内の業務理解にも効いている。今も続く大事な資産になっている。
考察
- 発信もスポンサー出展も、続けることで信頼と認知が積み上がり、競争優位につながったのではないか。
4. 連携 🤝
= 他部署・上司と適切に連携し、全社の成果に寄与すること
連携についてまとめ
2025年に最も改善・進化した領域。他部門との距離が縮まり、連携の質とスピードが大きく向上した。
● 上司との連携:☁️
事実
- 上長は経営レイヤー(社長・COO)。
- 定例では承認や意向確認が中心になりやすかった。
私見
- 上司との時間があまり取れなかった。
- 未来の話をもっとすべきだったと感じている。
● 会議体設計:☀️
事実
- 朝会や部署定例会議、案件精査会議など、複数の会議体を設計し運用。
私見
- 会議体設計は仕組みや習慣作りの観点でとても重要視している。こだわってできたと思う。
- 改廃についてメンバーからもっと意見が欲しかった。(惰性でやらないで欲しい。)
● 情報共有:☀️
事実
- 入社時オリエンテーション デザイン編の新設
- 全社員会議でのテーマトーク(各部門が毎週15分話す)にて、
デザイナーをPJに入れる価値やデザインの力について発表 - 新卒研修の実施
- 社内向け勉強会やワークショップの企画・実施
- 社内掲示での情報展開
- 他部署とのランチ
などこれまでに色々な施策を実行した。ほとんどは継続している。
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ノンデザ向けFigma勉強会の様子。スタメンはFigma触れる人がとても多いです!
私見
- 「社内発信方針の策定とその実行」はインハウスのデザイン組織にとって早めに取り組むべき重要な業務と捉えており、積極的に取り組んできた。
考察
- 部署や入社時期により理解度合いにはムラがあるが、全体としてはデザイン組織への理解度は高いほうだと思う。
- 時間が経つと忘れられるので、引き続き継続的に社内情報発信をすべきだと考えている。
● 他部署との連携・関係構築:☀️
事実
- 全社からの相談の量や質がここ半年でかなり上がった。
- デザイナーが関わったPJについて、その後の進捗や成果の共有をしてもらえることが増えた。
コムデ部について他部署部長からのフィードバック
- [営業部]重要局面での提案資料作成を相談しました。段階から、提案や売上に貢献したいという思いがひしひしと伝わってきました。その上で、打ち出し方の提案等、資料全体や各ページの目的に立ち返った最適な見せ方について全力で支援してもらうことができ、提案のクオリティが格段に上がりました。今後も一蓮托生で戦っていきたいと思います!
- [マーケティング部]複雑な内容をわかりやすく整えてくれるところが本当に助かっています。こちらの意図を汲み取り、より伝わりやすい形に編集してくれるので、アウトプットの精度が一段上がります。
- [マーケティング部]驚いたのは、背景理解の速さと噛み砕き力です。依頼した内容にただ形をつけるのではなく、目的に沿うように自然と整えて返してくれる。インハウスであることを差し引いても、高い水準でコミュニケーションをまとめ上げてくる点には毎回驚かされます。
私見
- デザイナーは武器を提供した後、一旦待機になることが多いが、PJメンバーがその後の進捗や成果の共有をしてくれるので、一緒に喜んだり悔しんだり改善に向けて議論できることがとても嬉しい。
- 一部では、「デザイナーにぜひ相談してほしいが、相談されなかったプロジェクト」もあった。
- 以前は忙しそうだからと気を遣って遠慮されたこともあったが、規模拡大などによりそれは少なくなってきていると思う
- 「デザイナーを入れなかったことによる影響がわからない」「時間がかかりそう」などの心理か
- このあたりは、関係性の問題ではなく“相談しやすさの設計”や“品質・デザインの社内教育”に課題があったのかもしれない。
考察
- そもそも会社全体のカルチャーとして
- 前向きで協力的な人ばかり
- 称賛文化が強い
- 他部署理解の機会が多い
- という土壌があり、対立などもなく、部署間やメンバー間の連携はかなりしやすい環境にある。
- TUNAGの存在や出社文化、組織規模も相まって、お互いのことをよく知れているため、自然と関係構築はしやすい組織風土になっていると感じる。
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頼りにしてくれるビズメンバーと頼られて燃えるデザイナーのチャット
5. 横断領域・その他 🧑🌾
● 組織戦略・ビジョン策定:☁️
事実
- 会社のMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)アップデートを社長とコムデメンバーで行った。
- 全社員へのお披露目、浸透はコムデに任された。
私見
- PJ発足時からデザイナーに声がかかったのは大きな進歩。
考察
- 経営陣にとって、コムデが提供できる価値は、単なるデザイン成果物だけでなく「体験」「文化」「習慣づくり」 へ広がってきている認識なのではないか。
- 昨年の 会社ロゴアップデート企画 が、組織全体が「デザインの力」を体験し、コムデの存在価値を1段引き上げた出来事だったのではないかと思う。
● 業務プロセス改善:☀️
事実
- 標準化・テンプレート化など、仕組み化を早期に整備した。
- 相談・依頼→案件精査→アサインのフローを早めに整えた。
私見
- 自分の強みが最も活き、メンバーも実践してくれて、スタメンのデザイン組織全体の強みになったと思う。
考察
- 小規模のうちから仕組み化を進めたことで、後に入ってきたメンバーのオンボーディング速度が大幅に向上したのではないか。
- 標準化の意識が組織文化として根付いてきたのではないか。
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フォームから依頼→チャットに転送されスレッドで会話
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Notionでチケット化し案件精査・アサイン
すべての振り返りまとめ
- 執行🍎:短期実行は強いが、戦略設計に伸びしろがある。
- 活用🚿:強み活用は得意だった。事業貢献+あそびのある状態の設計に改善余地がある。
- 伸張🌲:採用・外部発信は成功。育成は最大の課題。
- 連携🤝:2025年で最も伸ばせた領域。
あとがき
振り返ると、自分の強みも弱みも、組織にそのまま反映されていたと強く感じます。自分が部門長だから出来たこともあるし、出来なかったこともあるんだと思います。
マネージャーとしての学びをみんなに全部ギブするつもりで、全然できてないことも隠さずリアルな振り返りを書きました。この記事が近い境遇やキャリアの方の参考になれば幸いです。
ちなみに、引き継ぎを行ったきっかけはライフイベントによる働き方の変化です。
ただ元々、「組織拡大に伴い二階層のマネジメントに挑戦するか」「移譲して別の新しい挑戦をするか」、どちらを組織の一員としてやるべきか・私自身としてはやりたいかと考えていたところでした。
また、同じポジションに私が居続けることも、デザイン組織の成長において弊害になって来ているとも感じていました。
新部長がどんな人かは、今後の発信をお待ちください。キャリアは私より10年長く、経験も強みも全然違う方です。部長交代、拠点拡大、新たなマネージャー任命などの体制変更が、コムデ組織のさらなる成長にとても寄与すると期待しており、とても楽しみです。
参考記事・書籍
マネジメントの勉強において、EVeMさんのマニュアルや本はとてもおすすめです。
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