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なぜこの機能?なぜ今?PdMが語る“2つのなぜ”と伝え方
Photo by The 77 Human Needs System on Unsplash
こんにちは!
夏のアドベントカレンダー2日目は、プロダクトマネージャーの吉野 (@SanKatsu32224)より発信します!
プロダクト開発の現場では、「この機能は何のためにあるのか?」「この改善はどんな価値を生むのか?」「なぜ今このタイミングでやる必要があるのか?」といった問いが常に生まれます。私はこれまで、エンジニアやデザイナーの方々と協働する中で、技術的な実装の前にこれらの「目的」や「背景」をチームで深く共有することの重要性を痛感してきました。
過去、とある機能の開発で「CVRを5%改善するため」という施策レベルの目的だけを伝えていました。しかし、後に「サービス全体でこのような問題がある。この問題が起きる背景には〇〇〇〇という仮説がある。この仮説検証を行うための戦略的な一手としてこの施策を検証する。この施策でCVRをX%改善を目指す。」と伝えたところ、エンジニアから「それなら、この実装方法Bの方が、将来の拡張性を考えても合致している」という、当初の私の想定を上回る提案が出てきました。
プロダクトマネージャーとして、これらの問いに明確に答えられることが、チーム全体の納得感とモチベーションを最大化させると考えています。本記事では、そのために私が実践している「なぜ」の構造化と伝え方についてお話しします。
目次
1.粒度を把握する、2つの「なぜ」
1-1.施策レベルの「なぜ」:What & Why now
1-2.戦略レベルの「なぜ」:North Star & Vision
2.「なぜ」を継続的に磨く2つのステップ
2-1.アウトプットで思考を構造化する
2-2.共有を通じて仮説をアップデートする
まとめ
1.粒度を把握する、2つの「なぜ」
施策を始める前には、必ず「なぜやるのか?」を徹底的に掘り下げます。この「なぜ」には大きく分けて2つの粒度があり、これらを区別して捉えることが、思考をクリアにする第一歩です。私自身、この粒度の違いを意識することで、これまで曖昧だった議論の輪郭がはっきりと見えるようになりました。
1-1.施策レベルの「なぜ」:What & Why now
これは、個別の機能や改善に直結する、具体的で短期的な「なぜ」です。ユーザーが抱えるどんな課題を解決するのか、ビジネスにどのようなインパクトをもたらすのかを明確にします。
- なぜこの機能が必要なのか?
- なぜ今このタイミングで実装すべきなのか?
- その判断を支える定性的・定量的な根拠(仮説)は何か?
このレベルの「なぜ」は、開発時に自然と会話になることが多く、機能の目的やタイミングを確認する、いわば開発の基本ともいえるでしょう。
1-2.戦略レベルの「なぜ」:North Star & Vision
一方こちらは、プロダクトの存在意義や長期的な未来に関わる、より大きな「なぜ」です。目の前の施策が、プロダクト全体のどの戦略に紐づいているのかを示します。
- このプロダクトは何のために存在するのか?
- どのような価値を、誰に届けたいのか?
- 3年後、5年後にプロダクトはどうなっていたいのか?
日々の実装に集中していると、この戦略レベルの「なぜ」は見えにくくなりがちです。だからこそPdMは、「この実装が、どのようにプロダクトの未来につながるのか」「なぜ今、この機能に戦略的に投資する必要があるのか」を意識的に伝え続ける必要があります。戦略から施策まで一貫した「なぜ」のストーリーがあることで、チームは自らの仕事の意義を深く理解し、より高い納得感とモチベーションを持って開発に臨むことができます。
2.「なぜ」を継続的に磨く2つのステップ
一度定義した「なぜ」は、決して固定されたものではありません。市場の変化、ユーザーの反応、チームの成長といった外部・内部環境は凄まじいスピードで変化するため、プロダクトの「なぜ」も常に更新し続ける必要があります。「なぜ」はプロダクトと共に成長するものであり、それを継続的に磨き続けるプロセスこそが、より良いプロダクト開発に繋がるのです。
2-1.アウトプットで思考を構造化する
思考を整理し、「なぜ」を磨く上で、私はGoogleスライドのようなプレゼンテーションツールで思考を構造化する手法を多用しています。企画初期にはホワイトボードツールで自由にアイデアを発散させますが、これは思考を広げる上では最適である一方、情報が点在しやすく、第三者に伝えるには不向きな側面があります。
それに対して、スライドは「発表」という制約を持つツールです。この制約があるからこそ、私たちは情報を順序立て、優先順位をつけ、論理の飛躍や矛盾に注意を払いながら、伝えたいことを絞り込む必要があります。この思考の整理プロセスそのものが、複雑な頭の中を構造化し、本質的な「なぜ」を浮き彫りにする上で極めて有効なのです。
2-2.共有を通じて仮説をアップデートする
構造化したアウトプットは、チームや関係者との対話の出発点となります。欲しい情報はただ待っているだけでは手に入りません。自らの考えを積極的に共有することで初めて、多様なフィードバックを得られ、自身の理解を深めることができます。
他者からの異なる視点や、自分が見落としていた過去の文脈、説明が不十分な箇所の指摘といったインプットは、当初の仮説をより強固なものへとアップデートさせてくれます。結局のところ、「なぜ」を考える作業は一人では完結しません。アウトプットを起点としたチームとの対話を通じて、初めて「なぜ」は磨かれていくのです。
まとめ
本記事では、チームの納得感とアウトプットの質を高めるための「なぜ」の構造化と伝え方について、以下の2つのステップで解説しました。
- 「なぜ」を2つの粒度(施策レベル・戦略レベル)で把握する
- アウトプットと対話を通じて「なぜ」を継続的に磨き上げる
導入でお話ししたように、「なぜ」を深く共有することは、チームから思わぬ提案を引き出す起爆剤ともなります。「なぜ」を考えることは、決して一人で完結するものではありません。チームと対話しながら、一緒に「なぜ」を磨いていくことで、より良いプロダクトを作ることの一助となれば幸いです。
最後に、Wantedly では、”Move Fast” や “One Team” といったバリューを大切にしています。
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