- バックエンド / リーダー候補
- PdM
- Webエンジニア(シニア)
- Other occupations (19)
- Development
- Business
ウォンテッドリー株式会社Design Chapter Leaderの望月 勇輔(もちづき ゆうすけ)にインタビューを行った。
望月は25年間、広告業界でクリエイティブディレクターとして活躍したのち、事業会社であるウォンテッドリーにジョインした。現在は、ウォンテッドリーの世界観を広げるべく、デザインのディレクションを行っている。
クライアントワーク中心の広告の世界から事業会社に移り、4年が経つ。望月自身にどのような変化があったか、望月が今のウォンテッドリーのどこにやりがいを感じているのか、話を聞いてみることにした。
一時的にではなく、事業の結果にまで寄り添うクリエイティブをつくりたい
ーー望月さんの広告代理店時代の頃のお話を聞かせてください。
総合代理店のキャリアが1番長く、主に外資系のクライアントのキャンペーンを担当してきました。通常の業務以外に、国内外の広告賞にもチャレンジできる環境でした。
頭の中で描いたアイディアが、目の前でダイナミックに実現する。広告クリエイティブの醍醐味を味わっていましたね。一方で、アイディアを実現するためには、社内のライバルや、社外の競合に勝っていく必要もありました。
案件は常に溢れるほどあり、時間は限られている。その中で、質の高いアイディアを大量に持ってきた人間が勝つ。そんな総合代理店の世界の中で、昼夜常に思考をしていたと思います。当時の僕は、今よりもギスギスとしていたんじゃないでしょうか。
ーータフな環境の中で、自分のアイディアを実現するために質と量にこだわって戦ってきたんですね。その中で、クライアントワーク中心の広告の世界から事業会社に移ろうと決めたのは、どういった背景だったのでしょうか。
「手応え」について、改めて考えるようになったことがきっかけでしょうか。モノを作るときの手応えが段々と小さくなってきた感覚があったんです。具体的な出来事があったわけではないのですが。
代理店での仕事は本当に面白かったです。クライアントの目的の達成のために、極限までアイディアを出し尽くして、キャンペーンとして打ち出していく。アイディアを実現したいという渇望が、僕を動かしていたのかもしれません。ただ、実現したアイディアは、あくまでもお客様のものであり、事業の一部に過ぎないんです。
代理店時代には無数の広告やクリエイティブを作ってきました。それは、例えばお客様のとある商品の売上に貢献するためのものですが、代理店という事業の性質上、作って提供して終わりになります。
商品が売れるか売れないかは、僕たちが提供するキャンペーンのクオリティだけで決まるものではありません。商品自体の魅力や、その商品を店頭の棚に置くための、営業の方の努力など、あらゆる要因による結果です。
事業とクリエイティブの距離について、何年もずっと頭の片隅で考えていました。ふと、事業会社に行くと面白いかもしれないという考えが浮かんできたんですよね。事業会社にいけば、お客様に届けるものすべてに、デザインの力を込めることができる。作って終わりではなく、事業の結果にまで寄り添うことができるんじゃないか。そんな期待を持って、事業会社であるウォンテッドリーに入社することを決めました。
どこを切り取っても、ウォンテッドリー。どんなに小さなアウトプットも、世界観の構成要素
ーー事業会社であるウォンテッドリーは、当時の望月さんにどう映ったんでしょうか。
正直に言うと、衝撃でした。代理店とはまったく違う世界だったので。
入社してすぐのころ、「アプリのキービジュアルを作ってください」と依頼を受けました。そこで、広告的な発想のコンセプトやデザインイメージを何パターンか作って提案したところ、キョトンとされたことがあって。
そこで求められていたビジュアルとは、当時出していたアプリの背景画像でした。言葉の使い方からまったく違うんだと。今、その出来事を振り返ると、細かな部分にまでデザインを施す気概が言葉の使い方に込められていたんだと思うんですけど。
入社当時は、大小あらゆるものをデザインしていました。大きいものだと、当社の福利厚生サービス「Perk」のテレビCMが特に印象に残っています。小さなものでいうと、バナーや営業資料、ストーリー用の写真編集、社員向けのマスクやタンブラーなど、なんでもつくりましたね。「資料請求がしたくなるようなフォームをつくってください」とオーダーを受けたときは、僕も意地があって細部の細部まで作り込みました。
■テレビCM制作に関するインタビュー記事
https://www.wantedly.com/companies/wantedly/post_articles/496361
■カルチャー浸透のためのグッズデザインに込めた想いに関するインタビュー記事
https://www.wantedly.com/companies/wantedly/post_articles/539709
ーー率直に、代理店のころのお仕事と比べると、スケールが小さくなった感覚はありませんでしたか?
ひとつひとつの仕事の規模は小さいかもしれません。言い換えると、小さなところにまで、デザインの力を込めるこだわりがあるんですよね。小さなデザインの積み重ねが、ウォンテッドリーというブランドなので、そういう意味ではスケールも大きいと言って良いのかもしれません。
事業のどの部分も、ウォンテッドリーらしいデザインである必要がある。ウォンテッドリーの世界観を広げていくためには、大小すべてのデザインが必須なんだと納得しました。ウォンテッドリーが進んでいくためには、作る以外の選択肢はない。
どこを切り取っても、こだわり抜いたデザインが出てくるウォンテッドリーでありたい。これは、会社の思想でもありますし、事業会社を選んだ僕のやりたかったことでもあります。
細部までこだわり抜いたアウトプットが、こだわり抜けるデザイナーを呼び寄せる
ーー広告代理店で25年勤めてきた望月さんが、ウォンテッドリーに入って初めて経験したことはなんでしょうか?
チーム作りです。僕が入社してしばらく経って、とにかくチーム作りが必要だというタイミングがきました。必要なのはただ優秀なデザイナーではなく、どこまでも細部までこだわることができるデザイナー。外から見るとおかしいと言われるかもしれないくらい細部まで、こだわり抜けるデザイナーを集めなければならない。
どうすればそんな優秀なデザイナーがウォンテッドリーに来てくれるのか。僕はアウトプットの質を圧倒的に上げ、それを外向けにアピールすることが重要だと考えました。良いものをつくっている会社には、良いものをつくりたいデザイナーが集まるはずだと。
現在のウォンテッドリーのデザインチームには、ありがたいことに優秀なメンバーが集まってきてくれています。負けん気があって、プライドを持ってウォンテッドリーのブランドをつくってくれている。そして彼らも、一切の妥協のないデザインと、アウトプットの発信を続けてくれています。
先駆的なデザインプロセスや独自の組織論も、もちろん大事だと思います。ただ、僕たちは何よりも、アウトプットで語れるチームであり続けたいです。この思想が、新しいメンバーにも伝わっていることが、すごく心強いですね。
既存のアウトプットが基準。基準を越えるための挑戦が、デザイナーの責務
ーー新しく入ってきたデザイナーに、質の高いアウトプットを出してもらうために、どんな働きかけをしていますか?
「これまでのウォンテッドリーのデザインを越えるアウトプットを出してください」と伝えています。それが、僕たちデザインチームの責務です。
「ウォンテッドリーっぽい」「それっぽい」デザインならば、過去のデザインを踏襲して、フォントや色味を既存通りに忠実に守ることで作れるんです。デザイナーであれば誰でもできると言って良いかもしれません。でも、ウォンテッドリーを選んでくれたデザイナーには、その本人だからこそできる表現を追求して欲しいんです。それが、インハウスデザイナーの面白さであり、ウォンテッドリーで働く醍醐味なのかもしれません。
デザインのガイドラインはもちろんあります。ただ、デザイナーにはそのガイドラインに足を置きつつ、デザインで挑戦してほしい。ひとりひとりの挑戦の積み重ねが、デザインに新鮮さを加え、ウォンテッドリーらしさを醸成していくと思っています。
デザインで挑戦するためにガイドラインが足かせになるのであれば、ガイドラインの方を柔軟に変えていかなければならないと考えています。守るためのものではなく、統一感を出すための手段のひとつでしかないので。ガイドラインからはみ出してもらうくらいがちょうど良いのかもしれないですね。
こだわりと挑戦がウォンテッドリーらしさの源泉。新たな挑戦の土壌
ーー改めて、ウォンテッドリーらしいデザインってどんなものなんでしょう?
すみません、僕は言葉にするのが得意ではなく…アウトプットを見ていただきたいですね。ウォンテッドリーらしさを構成する要素であれば、ブランドカラーやコーポレートフォントなど、いくらでも出せるのですが、「らしさ」と聞かれるとうまくいえない。
ウォンテッドリーは、会社として広げていきたい世界観を持っている。そのために僕たちデザイナーがいて、世界観を可視化するデザインを施していく。この会社のどこを切り取っても、ウォンテッドリーだと言ってもらえるようにしないといけない。
だからこそ、どんなに小さなデザインにも「なんでもいい」とは絶対に言われない。すべてのデザインが世界観を構成する要素だからこそ、手を抜くことは許されません。このプレッシャーが、ウォンテッドリーでデザインをするやりがいなのだと思います。ここまでやるのかと、他社のデザイナーに驚かれることもあるのですが、そう言われると嬉しいですね。
ウォンテッドリーの世界観が広がれば広がるほど、事業が進めば進むほど、求められる表現の幅も広くなると思っています。ありがたいことに優秀なデザイナーが揃ってきたので、新しい表現にチャレンジできる土壌ができました。
だからこそ、もっとデザインチームに期待してもらいたいと思っています。期待が大きいほうが、僕たちデザインチームは面白くなる。もっと、僕たちを頼ってほしいです。
さいごに
ウォンテッドリーらしい表現は、デザイナーの挑戦によって形作られている。挑戦によって上げられたアウトプットの質が、次のアウトプットの基準となる。発信されているアウトプットを超えることを求められるデザイナーには、きっとプレッシャーもあるだろう。
ただ、そのプレッシャーすら面白さととらえ、細部にこだわり続ける気概があるのが、ウォンテッドリーのデザインチームの個性である。
こだわり抜いたアウトプットが未来の仲間を呼び寄せる。これからも、ウォンテッドリーのデザインチームの発信から、目を離さないようにしたい。
ウォンテッドリーのデザインチームの情報は下記からご確認いただけます。制作物やデザイン解説などを定期的に発信していますので、興味をお持ちいただた方はぜひご覧ください。