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“いきなり動く人”から“構造で動く人”へ、WBSで仕事が変わる理由
Photo by Christina @ wocintechchat.com on Unsplash
こんにちは、ウォンテッドリー株式会社 執行役員 VPoE の要 (@nory_kaname )です。プロダクト開発や組織マネジメントに携わっています。
4月の桜の季節が終わり、新卒入社の方は研修中/研修が終わった 、もしくは配属になり本格的に業務に携わる時期ではないでしょうか。このタイミングで、今回は新卒の方だけでなく、あらゆるビジネスパーソンに役立つ「WBS(Work Breakdown Structure)」についてお話ししたいと思います。WBSはプロジェクト管理のフレームワークとして知られていますが、その本質は段取り力を鍛えるための強力なツールです。「仕事の進め方をもっと良くしたい」「もっとスムーズにチームと連携したい」と感じている方には、ぜひ参考にしていただけたら嬉しいです。
目次
はじめに
「仕事は段取りが9割」の真意
WBSとは何か、タスクの設計図を描く
WBSで仕事の質が劇的に変わる理由
よくある失敗とその対策
段取り力は筋トレ、WBSで身につける「社会人基礎力」
おわりに:構造で動ける人になるために
はじめに
毎日の仕事が気づけば手一杯になっている。タスクはこなしているのに、なぜか成果が出ない。そんな感覚に覚えがある方は、もしかすると“段取り”の見直しが必要かもしれません。
ビジネスの現場では、「仕事は段取りが9割」と言われます。これは単なる精神論ではなく、構造的に仕事を設計し、実行までの道のりを描く力が成果に直結するという実践的な知恵です。そしてこの段取り力を鍛えるための有効なツールが「WBS(Work Breakdown Structure)」です。
「仕事は段取りが9割」の真意
「仕事は段取りが9割」という言葉は、単なる比喩や精神論ではありません。成果を生む仕事の多くは、始まる前の設計段階で成否が決まっています。段取りがしっかりしていれば、実行段階では迷いがなくなり、判断も早くなります。逆に、何をどう進めるかの整理ができていないと、途中で軌道修正が必要になったり、手戻りや無駄な作業が増えてしまいます。
たとえば、リリース直前に仕様の食い違いに気づく。メンバーの認識がバラバラで進捗が滞る。必要なリソースが足りないことに、やってみて初めて気づく。これらはどれも「段取り不足」によって引き起こされる問題です。つまり、「段取り力」とは、トラブルの予防策であると同時に、チームの時間と信頼を守る“戦略的なスキル”でもあるのです。
WBSとは何か、タスクの設計図を描く
WBS(Work Breakdown Structure)は、プロジェクトの目的達成に向けて、必要な作業や成果物を構造的に整理するための手法です。ただ ToDo リストを並べるのではなく、「どんなゴールに向かって、どのようなアウトプットが必要で、誰がどの順番でそれを担うのか」を階層的にブレイクダウンします。これは“設計図を描く”ような作業です。
たとえば、「Webページを公開する」という仕事。WBSではそれを「構成決定」「デザイン制作」「コーディング」「レビュー」「公開手続き」などに分解し、それぞれをさらに細かく、1日以内で完了するレベルのタスクに分けていきます。さらに、タスク間の依存関係(Aが終わらないとBに進めない)を整理することで、全体の流れや優先順位も明確になります。これにより、やるべきことが「なんとなく」ではなく、論理的かつ視覚的に見えてくるのです。
WBSで仕事の質が劇的に変わる理由
WBSを使って段取りを明確にすることで、仕事に対する見通しが一気に変わります。まず、プロジェクト全体の構造が見えるようになるため、自分の仕事がどこに位置しているのか、何を優先すべきかが理解しやすくなります。次に、タスクの抜け漏れや重複といったミスを防げるため、手戻りが減り、作業の品質も安定します。
また、WBSはチーム間の共通言語としても機能します。メンバー間で「いま、どの段階にいて、誰が何をやっているのか」が共有できれば、認識のズレや齟齬も最小限に抑えられます。関係者への報告やステータス説明も格段にスムーズになるでしょう。さらに、完成したWBSはテンプレートとして再利用可能です。似た業務が発生したときに再活用することで、段取りにかかるコストそのものを下げることができます。
よくある失敗とその対策
便利なWBSにも、落とし穴はあります。特に初心者にありがちなのは「タスクを粗く書きすぎる」こと。これでは次の行動が曖昧になり、かえって実行の障壁になってしまいます。もう一つは、「WBSを書いたきり」で放置されるケースです。これは、WBSを進捗管理や日々の更新と連動させていないことが原因です。WBSは一度作って終わりではなく、常に進行中の状態を反映させる“生きたドキュメント”として運用する必要があります。
対策としては、以下の3点に注意してください。
- タスクの粒度は「1日で終わるかどうか」を基準に。
- タスクごとに担当者と完了条件を明記する。
- 進捗報告やデイリースクラムとWBSをリンクさせて運用する。
このように運用レベルでも段取り力が問われます。
段取り力は筋トレ、WBSで身につける「社会人基礎力」
WBSを使いこなすことは、まさに段取り力を鍛える“筋トレ”です。毎回、業務の前に「分解して構造化する」ことを繰り返すうちに、自然と「何から始めるべきか」「どこがリスクになりそうか」「どうすればスムーズに進むか」が見えるようになります。
この力は、プロジェクトだけでなく日々の業務、資料作成、会議の準備など、あらゆる場面に応用可能です。「自分の仕事を構造化して説明できる人」は、周囲からの信頼も得やすく、チームでもリーダー的な存在として期待されるようになります。
社会人にとっての“基礎体力”とは、こうした構造的な思考と準備力なのかもしれません。
おわりに:構造で動ける人になるために
「いきなり動く人」よりも、「構造を描いて動ける人」の方が成果を出しやすい。それが段取りの力であり、WBSの本質です。
これは、Wantedlyのバリューである「Move Fast」とも深く関係しています。Move Fastとは、単に“早くやる”ことではありません。「限られた時間を最大限に活用する」ために、仮説を立て、構造を描き、優先順位を判断してから素早く動くという考え方です。
つまり、見切り発車ではなく、「構造化された早さ」が求められています。
WBSを使って段取りを整えることは、まさにこの「構造化された早さ」を実現するための準備です。構造を描ける人は、チームの時間を無駄にせず、最短距離で目的に向かうことができます。ぜひ、次の仕事でWBSを試してみてください。手を動かす前に構造を描く。その一歩が、あなたの仕事の質を劇的に変えていくはずです。