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ウォンテッドリー株式会社 PR Spuad Leaderの奈良 英史(なら ひでふみ)にインタビューを行った。
「奈良さんは社内に5人いる」と言われている。社内で走るあらゆるプロジェクトに関わり、有り余るエネルギーをもって、プロジェクトを前に前に推進している。どこにでもいて、どこでも結果を出す奈良は、5人分では?とはたから見ると思う仕事量を、目を輝かせながら楽しんでいる。
そんな奈良は、以前こんな話をしていた。「僕は長らく自分のことにしか興味がなく、他人に興味がないことを悩んでいた。」
広報という仕事には、いってみると他人、未来のお客さまやステークホルダーに興味をもってもらうことも含まれる。他者との関わりが大部分と言っても良いのかもしれない。そんなシゴトを楽しくてしょうがないと語る奈良は、他人への興味が薄かったことに悩んでいた。ここには矛盾があるのではないだろうか。
他人に興味を持てなかった奈良が、なぜ広報という仕事をこんなにも楽しんでいるのか。そして奈良の並々ならない熱量の源泉はどこにあるのか、話を聞いてみることにした。
「他者に興味を持てず、自分のことばかり考えていた」コンプレックスがあるからこそ、意外とはまった広報という仕事
ーー広報の奈良さんが以前おっしゃっていた、「他者に興味を持てずいつも自分のことばかり考えていた」の真意を教えていただけますでしょうか?
結構ながらく困っていたんですよ。学生時代の頃ですね。
自分への興味がとにかく深かったんです。自分がなぜこう思うのか、なぜこう決めるのか…自分の思考について考えることが、楽しくてしょうがなかった。
自分への興味の深さに対して、他人への興味が圧倒的に浅かった。それは僕にとってコンプレックスでした。自分のことばかり考えていて、僕はダメな人間なんじゃないかと思ったこともあったくらいです。
ーー広報は他人の感情に寄与する仕事だと思うのですが…
いや、もうおっしゃる通りなんですよね。そんなコンプレックスを抱えた僕が、他己理解が重要な広報という仕事をやることになりました。当然、最初はうまくいかなくて。前職のころですね。
どうすれば結果を出せるんだろうと模索する中で、いろんな本を読み漁りました。本の一節で「他己理解と自己理解の深さが比例する」という言葉と出会い、はっとしました。自己理解を深めることが楽しくてしょうがない自分は、広報に意外とはまるのでは?と。
それからはもう、ブレーキをかけずに自分の感情を深めていって、その結果、他己理解も深まっている感覚もありますね。良いサイクルを回せていると思っています。
感情を重ねて出した結論は、隠れた苦しみに光をあてること
ーー自己理解と他己理解のサイクルを楽しみながら、広報という仕事に取り組まれているんですね。そんな奈良さんのお力を活かすことができたエピソードを教えてほしいです。
直近だとFUZEBOOKの制作ですね。FUZEBOOKの最初の読者は、Wantedlyを使ってくださっている企業の、まさにWantedlyを運用を担っている採用担当者のみなさま。
FUZEとは
これからの組織づくりを担うリーダーたちにスポットライトを当てるウォンテッドリー主催のイベント2023年は「Unleash the HR Potential, Now|解き放て、人と組織の可能性。」をテーマとし、12月6日(水)に開催をした。活用企業のアワードや、活用エピソードの漫画を掲載したFUZEBOOKのプレゼントなど、盛りだくさんの内容だった。
自分の中にある採用に関わる感情をすべて引っ張り出しました。自分が就活生のころに考えたこと、インターン採用や広報採用のころに抱いた想いなどです。
これまで出会ってきた採用担当者の方と重なるところはどこか、感情が重なる部分を広げるにはどうすればいいか考えて、制作期間を過ごしました。
採用の仕事は、出会いの数が多い分、華やかに見えるかもしれません。でも、綺麗なことだけではないんです。一歩の差によって不採用通知を送らないといけない。来てくれると信じていた候補者さんが他社に向かっていく背中を、ただ見送らないといけない夜もあります。
華やかな面は目立つけれども、隠れた苦しみが多いのが採用の仕事なのではないか。実は社内からの共感を得られず、悶々としているような、そんな想像をしました。
採用担当者の隠れた努力があってこそ、企業と候補者さまの人生の重なりがあり、ドラマがある。採用という仕事の尊さに、ウォンテッドリーのブランドとして携われていることに、僕たちは誇りを持っていると伝えたい。
FUZEBOOKには、採用担当者の方へのリスペクトを込めました。
面白さにフォーカスできたのは、完了が目的ではなかったから
ーー採用担当者さまへの想いが詰まったFUZEBOOK。制作の過程について、もう少し聞かせてください。
採用担当者の方の、笑顔の裏にある苦しみ、苦しみの先にある本当の喜びに焦点を当てたいと思ったことは思ったんです。ただ、本当にそんなエピソードが集まるんだろうか。正直に話すと、やってみるまでわからず不安もありました。
そこは採用担当者さま、つまりお客さまですね。お客さまを信じてプロジェクトを進める決断をしました。きっと送ってくださるはずだと。そして、実際本当にステキなエピソードがたくさん集まって、心から感謝しています。
エピソードをいただいたら、あとは僕たちのターンです。エピソードをFUZEBOOKへと昇華させるために、FUZEチームのメンバーは頭を突き合わせました。ステキなエピソードには、制作物のクオリティで答える必要があるからです。
どうすれば面白いと思ってもらえるのか。制作物のスケジュールもタイトな中で、面白さにフォーカスするのは贅沢と言ってもいいのかもしれません。FUZEを完了することが目的だったのであれば、ここまでで良いとどこかで妥協して、スケジュールに余裕を持って終わらせる事もできたと思うんです。
でも、僕たちFUZEチームの目標は、FUZEを完了させることではなかったので。チーム全員で、目指すものがあったので、最後まで面白さにこだわりました。
「シゴトでココロオドル」世界の実現には、お客さまという同志が必要不可欠
ーーFUZEチームの目指したものは、イベントの完了ではなく、なんだったのでしょう?
「Wantedly」というプロダクトのことを愛してくれているお客さまの、熱量をさらに上げることです。
ウォンテッドリーは、プロダクトを通じて新しい労働価値をつくり、働くをポジティブにする世界観を実現していこうとするブランドです。
ブランドの拡大のために、湯水のように広告宣伝費を投下して、成長させていく、売上を増加させていく、そんな戦略もあるかもしれません。でも、僕たちはそれをしない。
お客さまにプロダクトをご利用いただくことで、「シゴトでココロオドル」世界を実現していく。それが僕たちらしい戦略だと思っています。
お客さまは、同志とお呼びしても良いのかもしれません。同志であるお客さまの熱量を上げ、ポジティブな価値観の伝播を加速すること。それがFUZEの目指したところです。FUZEというイベントにとどまらず、広報としてこれからやっていきたいことです。
世界の実現への切望が、僕のエネルギーの源になる
ーー同志であるお客さまを巻き込みながら、ウォンテッドリーが目指す価値観を伝播させていくこと…その活動へのエネルギーの源は、どこにあるのでしょうか?
面白さ、楽しさ、ワクワク…なんと言うのが適切なんでしょうね。ウォンテッドリーのミッションと出会ったときの衝撃によって、突き動かされている部分が大きい気がしています。
昔、考えていたことがありました。「仕事って苦しい。仕事ってつまらない。仕事はお金を稼ぐための手段でしかない。」と語りながら、目の輝きを失っていく同世代を見て。
「もしも全員が、目を輝かせたまま生きることができたなら、どんなに良い世の中になるのだろう」と、それを実現できるプロダクトを、妄想していた時期があったんです。
ウォンテッドリーは、当時の僕の妄想をまさに実現しようとしている。出会ったときの衝撃はもう、忘れられないですね。実現した世界を早く見たいので、広めたくてしょうがないんです。未来への切望こそが僕のエネルギーの源なのかもしれません。
達成の感動を信じて、全力で走る。全力で走るからこそ、感動は予想を越える
ーーお仕事に願いを込めているからこそ、エネルギーに満ちあふれているんでしょうか。そんな奈良さんが、チームで取り組むときに考えられていることについて伺いたいです。
北極星を指さして、「あっちに行きたいね」とみんなに語っているのかな…と思います。
ーーもう少し具体的に教えてもらえますか?
例えば、FUZEでは「お客さまの熱量を上げる」ことが、僕たちの北極星でした。準備を進めていく中で、チームのメンバー全員が北極星を見上げて、意識を集中している状態になりました。
そんな状態になると、全員がそのために何ができるのかを、自分で考えるんですよね。僕が指示するまでもなくです。それぞれが想像力を働かせて、北極星に向かうためのアイディアを生み、自然と議論が生まれて、実行していく。
みんな北極星の方向に、少しでも先へ、もう一歩良いものへ…と思っているので、妥協をしないんですよね。細部に、最後までこだわり抜く。
その結果、KPIのひとつとしていた #FUZE2023の投稿+エンゲージメント数も、目標の約4倍と想定を越えました。投稿の内容や、当社に寄せられたメッセージには、「自社の仲間を増やして、もっと世を明るくしていくんだ」というお客さまの熱い想いが込められていました。
「お客さまの熱量を上げる」を達成できたんじゃないかと、お客さまの言葉をもって実感できましたね。
ーーお客さまの熱量を上げられた要因はなんだったんでしょう?
僕たち自身が心からFUZEを愛して、楽しんでいたからなんだと思っています。主催者の熱量を、お客さまが越えることは、あまり想像できないですね。
目標を掲げて、それを語り、そこに向けて全力で走る。走り抜いた先に感動があると信じているからこその、全力疾走だと思っています。全力疾走できたからこそ、信じていた以上の感動と出会うことができます。
目標に向かうプロセスの中には、もちろん苦しいこともあります。でも、このプロセスを、最高の仲間とやり切ることが、最高に楽しいんです。快感と言っても良いのかもしれません。
これが、僕にとっての「シゴトでココロオドル」ですね。この世界観を広げていくことが、僕の使命です。そして広める役割の僕自身が「シゴトでココロオドル」を体現し続けたい。そう思いながら、日々を全力疾走していますね。
さいごに
愛すべき目標を掲げて、走り抜く。走り抜いた先には、想像を超えた景色がある。目標を強く愛しているからこそ、達成のためのアイディアを生む苦しみや、最後の最後までこだわり抜くつらささえ、楽しいと語ることができるのだろう。
他人に興味がなく、自分ばかりに興味があった奈良が今、他人の目を輝かせるという目標に向かって突き進んでいる。そしてその目標までの課程を、目を輝かせながら進んでいく奈良が目に浮かぶようだ。