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テスラ vs フェラーリ 決算資料簡単比較

こんにちは!ウォンテッドリー コーポレート担当執行役員の兼平(プロフィールはこちら)です。

今回は、CO2排出権取引無しで黒字化を果たしたテスラと株価の推移が好調なフェラーリを見ていきたいと思います。GT40が発売されるという話もあるし、フォードじゃないの?という声が聞こえてきそうですが、ここは個人的興味を優先したいと思います。(足元の株価を見るとフォードも堅調に推移していますが、5年くらいの長いスパンで見た場合にはフェラーリのほうが興味を抱きやすいのです)

CO2の排出権取引無しで黒字化 〜テスラ

テスラは2021年Q2の決算発表で、ついにCO2排出権取引無しでの黒字化を果たしています。これまで、CO2排出権取引の利益貢献が大きく、主力事業とも言える自動車の製造・販売では赤字が続いていました。自動車の製造には一般に大規模な設備投資が必要になるため、その償却費を賄って黒字化するためには、製造と販売の規模を安定的に大きくする必要があります。CO2排出権取引無しで黒字化を果たしということは、自動車の製造・販売のみで事業が成立することを示しており、テスラの事業継続性に懐疑的だった人々に対して大きな事実を突きつけることになります。

(CO2排出権取引についての詳細は割愛します。ウィキペディアはこちら

さらに、QoQで見るとCO2排出権取引が減少しているにも関わらず、利益が大幅に改善していることに目を見張ります。これには製造コストの低減が寄与しています。販売台数が大きい「モデル3」での大幅な値下げを行っていますがそれ以上に製造コストを引き下げ、利益率を改善しているのは驚異的です。

販売台数はQoQで確実に伸びており、2021年Q2には20万台を突破しています。単純換算でも年80万台ペースとなっており、日本でいうとSUBARU(年100万台)の背中が見えてきたところです。半導体不足などの懸念材料はありますが、環境意識の高まりを背景としたEVブームを背景に今後も台数を伸ばしていくものと思われます。

次に、テスラの収益の中身を見てみたいと思います。Q2の実績を見ると約8割が自動車関連の収益となっています。テスラは自動車メーカー・EVメーカーとして認知している方が多いかもしれませんが、ソーラーパネルや蓄電池などエネルギーに関する事業も行っています。

会社概要には、ミッションは持続可能なエネルギーへの移行を加速することとされており、単なる自動車メーカーとして見るのではなく、エネルギー業界のプレイヤーとしてみることが必要です。テスラが発行している2020 Impact Reportではエネルギーと輸送のエコシステムを設計・製造しているとあります。

Tesla’s mission is to accelerate the world’s transition to sustainable energy.

環境にやさしいとされるEVですが、製造過程におけるCO2排出量は既存のエンジンの自動車の方が優れているとも言われます(モデルや工場、製造環境に左右されます)。環境負荷を考える上では、表面的な情報だけに左右されず、製造・販売・使用・廃棄/再利用における製品のライフサイクル全体を考えて選択を行いたいですね。


株価の推移が好調 〜フェラーリ

自動車のブランドの中でもおそらく世界で一番メジャーであろうフェラーリ。意外と知らない方も多いですが、実はニューヨーク証券取引所とイタリア証券取引所に上場しており、ティッカーシンボルは「RACE」です。テスラは「TSLA」、Googleは「GOOGL」、Appleは「AAPL」、Facebookは「FB」、Amazonは「AMZN」と、ティッカーシンボルは企業名を短縮した形にするのが一般的ですが、レースで勝つために事業を行っていると言われるほどの情熱がこんなところにも現れていて面白いですね。ミッションには道路でもサーキットでも勝利することが明記されています。

We build cars, symbols of Italian excellence the world over, and we do so to win on both road and track. Unique creations that fuel the Prancing Horse legend and generate a “World of Dreams and Emotions

2021年Q2決算が好感されたのもあり、足元の株価は好調です。過去5年のスパンで見ても約4倍程度に上昇しており、長期的に見てもパフォーマンスが高い銘柄と言えそうです。

株価が好調なのは、決算が好調なだけでなくEVへの対応など将来的な取り組みが評価されている背景もあります。世界的に販売台数が拡大しているSUVの開発、環境規制に対応するための電動化など、決して最先端を行くわけではありませんが確実に環境変化に対応しています。往年のファンからすると衝撃的、または隔世の感があるかもしれませんが、環境変化への対応は長期的な株価の上昇を支えていると言えるでしょう。

また、日本においては若年層の車離れが加速し、顧客の年齢上昇が課題となっていますが、フェラーリではファッションショーやレストランといったライフスタイルへの取り組みによって、顧客層の若返りが図られており、女性オーナーは過去4年で2倍に増えるなど顧客層の拡大にも手が打てています。近年のF1の成績は厳しいものがありますが、ブランド価値を高めながら顧客層の拡大を両立していると言えます。

New-to-Ferrari owners are 60% of orders for entry level models in H1 2021 Rejuvenating the in-the-forties customer base thanks to new-to-Ferrari owners Female owners nearly doubled in the past 4 years (Mainland China leading this growth) Ferrari fashion show and Cavallino reopening: 180 million reach, 85% in 18-34 age range

Ferrari Q2 2021 Results Presentationより

フェラーリとテスラのビジネスモデルは異なるので、数値を確認していきます。フェラーリは年間の生産台数が1万台程度と小規模ですが2020年の収益は約4,500億円(単純に割り算すると1台4,500万円!)、一方、テスラは約50万台で約3兆5,000億円となっており、フェラーリは非常に高付加価値なビジネスを行っていることがわかります。

EBITDA marginを見るとフェラーリは2021年Q2で37%、2020年通期で33%で、テスラはQ2で20%、2020年通期で18%です。ちなみにトヨタ自動車は10%程度なので、両社の収益性の高さがわかります。

100年に一度の変革が起きていると言われている自動車業界。両社の戦略の目指すべき方向は異なりますが、EV・電動化の流れは必須と言えます。一般に普及するためには充電インフラなど乗り越えなければならないハードルはまだまだありますが、将来的なガソリン車の販売禁止が法律で定められるなど、国家を含めた大きな流れになっています(国家が先か企業が先かについては色々な議論があるかとは思います)。ハードを扱う自動車産業も環境変化のスピードは加速しており、この両社が1年後、数年後にどうなっているか楽しみです。

最後に

今回はウォンテッドリーの事業とは関係のない自動車産業を見てきましたが、同じ産業内でどういう戦略・ポジショニングを取るか、また国家や規制が事業に与える影響などを改めて考え直すきっかけになりました。また、少し調べて見るだけで報道やニュースではなかなか見えてこない企業の一面を深堀りすることができるので、情報発信に取り組む事自体が学びになっています。

また、海外のIR資料は簡潔に見やすくまとまっているので、IR資料のブラッシュアップにも役立てていきたいと思います。

海外IRについて話したい!という方ぜひ話を聞きに来てください!

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