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ヘルススコアの導入で「クリエイティブな採用体験」を届けたい。カスタマーサクセス大特集 #3

カスタマーサクセス(CS)は、その名の通り「顧客の成功体験」を生み出すことによって事業に成長をもたらす組織ですが、「成功」という抽象概念の定義がメンバーによって異なる状態ではアクションの内容もちぐはぐになってしまいます。

そこで、顧客が採用成功にいたるまでの道のりを客観的に評価するための指標として導入されたのが「ヘルススコア」。顧客ステータスを定量化して常時把握することにより、モチベーション低下や契約解消といった状態を未病に防ぐだけでなく、CSとしてプロアクティブに施策を打つことが可能になります。

「CS大特集」第3回となる今回は、ヘルススコアの設計・運用のオーナーである吉種怜を中心に、CSチームの精鋭たちによる座談会の後編をお届けします。

古賀史啓(写真左):司法試験合格後、ビジネスへの関心からウォンテッドリーにジョインする。インサイドセールスから現在はCSチームへ。サポートコンテンツなど、テックタッチ施策を担当。
吉種怜(写真中央):証券会社、Fintechスタートアップを経て、ウォンテッドリーにジョイン。CSと採用を担当する。CSチームではヘルススコアの設計に携わる。
副島さつき(写真右):新卒で入社した会社ではマーケティングやWebプロモーションを経験。2018年にウォンテッドリーにジョインする。CSチームでは顧客向けたセミナーなどロータッチ施策を担当。

ブラックボックスを可視化する。

ーー 座談会前編では顧客体験の流れを「契約・導入・活用・継続」の4つのフェーズに分け、ロータッチ・テックタッチ領域の施策にスポットを当てました。今回は、施策全体の評価基準となるヘルススコアについて聞かせてください。

吉種:
CSチーム内でヘルススコアの設計が始まったのは2019年の3月でした。CSチームが設立した2017年からヘルススコアの必要性は何度か議論されていましたが、共通していたのは「契約更新に至るまでのプロセスを可視化したい」というニーズです。

というのも、それまでCSチーム内で導入サポートにまつわる施策を充実させることはできていましたが、契約更新に至るまでのお客様の行動変化がブラックボックスになっていたのです。お客様がどのような状況で契約更新をしたのか、なぜ更新しないと決めたのかが全く見えず、契約継続率などの最終指標だけを追いながらフタを開けて一喜一憂する状況が続いていました。

副島:
まさしく、本質的なカスタマーサクセスを実現するには情報の徹底的な可視化が必要。つまり、担当セールスが属人的に把握している情報を共有してもらったタイミングでアクションを錬るのではなく、Wantedly運用にまつわるお客様の声なきSOSをCS自ら主体的に拾いにいける状態になくてはいけません。それを定量的に見定める評価軸がヘルススコアですよね。

ーー ヘルススコア設計におけるゴールは。

吉種:
契約開始から、継続・満了まで全てのフェーズのステータスをモニタリングするための指標作りを目指しているので、データをリアルタイムに把握できる設計を重視しました。具体的には、BigQueryから取ってきたデータに自動で点数を割り振り、Salesforceでレポート化するというフローを用いています。

例えば、あるお客様の募集公開頻度が下がってきたとして、それがお客様のステータス変化としてSalesforce上に同期される。それを元に担当のCSが、「忙しくて運用に手をつけられていないのではないか」「ページ閲覧数が伸び悩んでモチベーションが低下しているのではないか」などいくつかの仮説を立てることができます。

ヘルススコアはその課題特定の助けになり、「ならばこういうコンテンツを提供しよう」というように、状況分析から具体的なアクションにおける意思決定にいたるまでの一貫した判断指標になってくれます。

ビジネスチームの共通言語を作る。

ーー それでは、実際にヘルススコアが完成するまでの道のりを教えてください。

吉種:
まずは、カスタマーサクセスの教科書と呼ばれるような書籍をひたすら読むことから始めて、不明な点は先行事例を持つ他社に教えを請いました。様々なアドバイスをいただきましたが、特に参考になったのは「顧客接点を持っているメンバーの感覚が一番現実に即しているので、まずは現場の声を元に要素の抽出を行なうと良い」という意見です。

その意見を参考に、セールスチーム全員に「採用に成功した企業さんの特徴を教えてください」とお願いしました。その結果、「募集ページを公開している」「企業情報を入力している」「社員を巻き込んでいる」などの共通項が抽出できました。

次は、洗い出した共通項をどのように定量可能なものにするか?というステップですが、最初から100%客観的なスコアリングをすることは不可能だと思っているので、ある程度の「決め」が必要になります。具体的にはまず、採用に成功している企業の募集公開数やエントリ数などのサンプルを集めて「成功」の分岐点となる水準を見極めることから始めて、成功の段階を4つに分けて実際にスコアを割り振っていきました。今は運用を通じて誤差を修正していく段階ですね。

同期されたデータをもとに自動でスコアを割り出すシート

副島:
いざ試運転を始めてみると、ウォンテッドリーは満点でしたよね。自社プロダクトをちゃんと使いこなせていると知って、ひと安心した(笑)

吉種:
スコアの完成後、毎日スコアが同期されているか確認していますが、自社のステータスをみるとうちの人事は本当に頑張っているなと感嘆しますね。自分たちの組織は、この人たちの地道なアクションの積み重ねの上に成立しているんだなと。

振り返ってみると、現場で顧客と接しているセールスはもちろん、設計には実際に採用業務に携わっている人事チームにヒアリングしたり、エンジニアチームにクエリを書いてもらったりなど、ありとあらゆるところから知恵を拝借して完成したスコアリングでした。私の感覚だけで判断できることはとても少なかったけど、SQLを自分でも学ぶきっかけになったりと、仕事で使う様々な筋肉が付いた感慨深い仕事です。

古賀:
吉種さんは「ビジネスチーム全体としてデータドリブンな成長を目指していくのであれば、ヘルススコアは必要不可欠だ」とずっと訴えていましたね。

吉種:
ヒアリングさせてもらった会社は「ヘルススコアがビジネスチーム内で共通言語になっている」とおっしゃっていました。個人的にも、スコアが完成すればセールスとCSの連携が加速するだけでなく、開発チームとの間でもデータに基づくコミュニケーションができるようになるので事業全体にインパクトを与えられる指標になると思っています。

顧客がベストプラクティスを見つける触媒になる。

ーー 前編では、「CS の全ての施策が循環し、価値を生み出す体制を構築できれば」と聞きました。最後に、ヘルススコアも含めた循環モデルの青写真について掘り下げたいです。

副島:
循環という視点で言えば、単体の施策で何から何まで伝えようと思っても不可能なので、次のフローにつながるような「余白」を設計することも重要だと思っています。導入時の相談会でCSが提供したヒントをもとに運用を開始したお客様が、「もっとステップアップしたい」とセミナーやコミュニティに参加してくださるような。ヘルススコアができたことで全体を俯瞰できるようになったので、これからの連携レベルが上がるのではと考えています。

古賀:
お客様とのコミュニケーションを点から線にして、体験価値を上げていきたいですね。点にしてしまうと本質的なサクセスから遠ざかってしまうし、お客様が自社の魅力に気づくことから遠ざかってしまう。

ウォンテッドリーはあくまでプラットフォームで、コンテンツを持っているのはお客様です。だからこそ、運用におけるただ一つの「正解」を自分たちが提示することは不可能だと思っていて。その代わり、CSは「考えるヒント」をお客様に提供することはできる。そうやって、それぞれの企業様が自社にとってのベストプラクティスを見つけ出すための触媒になれればいいなと思います。

吉種:
「触媒」というのはプラットフォーム企業のCSを語る上でのキーワードになりそうですね。Wantedlyを導入したからといって、明日からすぐ応募者が集まるものではありませんし、「私たちはお客様がクリエイティブに採用活動を行うためのプラットフォームを提供している」というスタンスは崩さないよう心がけたいところです。

ーー 触媒としての役割をまっとうするためには何が必要ですか。

古賀:
やはり、施策毎に散らばっているコミュニケーションをお客様の体験に沿って整理し直していくことでしょうか。その前提で話を進めると、契約前のコミュニケーションも含まれますし、ベースにはプロダクトがあるはず。だからこそ、他チームとの関係を強化していく必要があります。「CSは会社の心臓」を目指して、全てのコミュニケーションを点から線へとつなげていきたいですね。

副島:
コミュニティを運営している立場としては、「いかに採用担当者にスポットライトを当てるか」が重要だと考えています。Wantedlyの運用時にはクリエイティブな試行錯誤が必要なので、考えれば考えただけ採用担当者としての「個の力」が身につくものだと思っています。人事として複数の職場で採用を経験することが珍しくない時代になっていますし、キャリアを通じて持ち運べるスキルとしての「Wantedly運用力」に自信を思ってもらえるサービスを目指したい。

例えば、「Wantedly運用暦3年」と履歴書に書いて評価されるような価値観を形成していきたいですね。人事担当者のポートフォリオを豊かにしてもらえれば、ウォンテッドリーが掲げている「シゴトでココロオドルひとをふやす」というビジョンが、個人に還元されるのかなと。

吉種:
「シゴトでココロオドル人事担当者をふやす」ということですよね。採用は経営のセンターピンとも言われる時代ですし、Wantedly運用を通じて人事のキャリアをもっと豊かなものにできればいいなと思います。

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