【就活中の皆さんへ】就職先を選ぶことは、会社の株を買うことと同じである。 | Wantedly Blog
こんにちは、Wantedly人事部長の大谷です。今年で社会人20年目、人事歴も10年以上になります。これだけ長い間人事の仕事をしていると、本当にいろんな人と出会い、話をします。その中でも、特に学...
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もう2年近く前のことになりますが、ウォンテッドリーで人事マネージャーを務める大谷が、株式投資になぞらえて会社選びについて語る記事を書きました。
そこで言われていることをざっとまとめると、「直近の業績だけに影響されすぎない」「スタートアップの会社にすべての人が合うわけではないことを知る」、そして「自分で意思決定する癖をつける」ことが、納得いく会社選びのコツだということ。
まだ元記事をお読みでない方には是非、この際に全文読んでいただきたいのですが、お時間のない人のために一部を抜粋します:
もはや、絶対に利益が出続ける株がない社会で、それをチャンスと捉えるか、ピンチと捉えるかは、自分のこれからの意思決定次第だと思います。自分で買った株を、自分で高くしていけると考えると、案外、今の世の中の方が刺激的で面白いかもしれませんね。
改めてこの記事を読んでみて、ふと頭によぎったのが「こんないいことを、人事マネージャー1人に言いっ放しにさせておくのはもったいない」という発想。
そこで、セールス、マーケティング、法務、編集......それぞれ異なる領域で活躍するメンバーたちに、それぞれの視点から「キャリアに投資するとはどういうことか」について語ってもらうことにしました。
前職の楽天で働いていたときも仕事は好きでしたし、最後の方は仕事がスムーズに進む状態でした。いわゆる「コンフォートゾーン」に入ったんだと思います。そのタイミングで、スタートアップに転職した知り合いと話して、仕事のスピード感にとても驚きました。
自分のキャリアを考えたときに、「知識」x「経験」x「型」の掛け算を最大化する必要があると思っていて、自分はそれが割とできている方だと思っていたのですが、スタートアップで働いている知り合いはその何倍もの経験を積んで、新しい自分の型を覚えていっている。これは10年後に自分のキャリアはないなって思い、ウォンテッドリーにジョインしました。
キャリアの最初は、知識や経験が大きく人を成長させると思いますが、徐々にやっていると「これ、前やった仕事を応用できるな」とか、「そのまま同じ方法で実行できるな」というようなシーンが出てきます。
これがいわゆる「型」に当たります。そして、個々の具体的な経験を、自分の中で使える「型」として抽象化して身につけていくプロセスを、高速に反復すること。限られた時間の中でスキルの幅や深度に磨きをかけたいと思った時には、この型化のプロセスを高速にできる環境に身を置くことが大切です。
そして、それにも増して大事なのは、一緒に働く仲間の知見やアドバイスです。ウォンテッドリーに入社した決め手は、熱量を持って働いている尊敬できるメンバーが多いことでした。立教大学の中原淳教授がこれを「内省支援」と呼んでいるのですが、優秀な仲間たちから自分の成長に必要なフィードバックを得られることが、キャリアを通じて「型」を次々と身につける上での、大切なスパイスになってくれていると思います。
女性かつ地方出身の一人っ子である私は、「長く働ける企業」という軸で就職活動を行い、大手保険会社に新卒入社しました。条件面から会社を選んだ結果、気づけば「良いキャリアを歩むということは、すなわち今の会社で出世するということだ」という、ややきゅうくつな思い込みにとらわれてしまうことになりました。
そんな中、結婚というライフイベントを機に、自分のキャリアを見つめ直すきっかけがありました。結婚だけでなく、出産、育児、介護など、仕事とプライベートの両立の壁にぶつかる機会は数多くあると思います。
私が結婚を機に学んだことは、どんなに長く働ける環境が整っていたとしても、「自分の出世」だけのために仕事をし続けていたとしたら、そこで働く意味が見いだせなくなるということでした。
もしそのままの状態で仕事を続けていたとして、15年後とかに初めて仕事を辞めることになった場合、その会社での出世を目的にしていた私にとってそれは、「価値の大暴落」なのではないか。そして、そのままどこにも転職できなくなってしまうのではないか。そんな恐怖も感じました。
そして、私と同じように働き方に迷った人に手を差し伸べられるような仕事がしたいと考えて転職を決めたウォンテッドリーでは、「誰かのために能動的に働くこと」が目的となりました。「長く働ける企業」という軸で選んだ企業を3年で辞めた今、待遇面では一時下落だったかもしれませんが、この転職で働く目的を見いだせたことで、ここからは目的に向けて上昇トレンドが長く続いていくのだと思っています。
僕にとって、スタートアップで働くということは、「自分に弁護士とは異なる軸を掛け合わせていく」ということです。
ウォンテッドリーにジョインする前は、約5年間法律事務所で弁護士として働いていましたが、働き始めから3,4年経過した頃から、このままだと普通の弁護士で終わってしまうという危機感が芽生え、キャリアチェンジを模索していました。より専門性を磨いていくという選択肢も考えましたが、強者揃いの法曹界の中で専門知識で抜きん出る自信はありませんでした。そこで、まだ弁護士人口の少ない(最近はかなり増えてきた印象ですが)スタートアップでの業務を通じて、今までの経験に全く違うフィールドでの経験を掛け合わせて自分の価値を最大化していく選択をしました。そして昨年4月にジョインしたのがウォンテッドリーです。
ウォンテッドリーでは、エンジニアやデザイナーとプロダクトデザインについて議論をしたり、営業交渉に同席させてもらったり、優秀なコーポレートチームメンバーと一緒にプロジェクトを進めたりと、半年ちょっとの間にスタートアップならではの経験をたくさんさせてもらっています。今後も自分がどのような成長を実感できるのか日々楽しみです。
私の解釈で「キャリアに投資する」というのは、「実務経験は少ないが、興味が強い分野での成功を目指すこと」ではないかと思います。一般的に、大企業では従業員の安定が会社によって保証されているとみなされていますが、反面なかなか自分の責任で判断していく役職になり、チャンスをもらえるまでに時間がかかることが多いと思います。一方、ベンチャー企業では自分の意思決定で安定を掴み続ける必要がありますが、自分次第でビジネスを大きく変えたり、飛躍的な成長を遂げることができると思います。
私も新卒では、グループ社員合計10万人を超える企業の本社勤務として働き始めました。そのまま素晴らしい社風と優しい先輩たちに囲まれながら、安定した環境で緩やかに成長を続けるという選択もあり得ましたが、自分が興味があるWeb業界でもっと速いスピードで挑戦を繰り返していくというキャリアに挑戦することにしました。
転職を考える若手に注意していただいた方が良いと思うことがあります。歴史の長い企業にいる若手の方などには、ベンチャー企業で活躍する同世代の人々を見て刺激を受ける方も多いと思います。ただそこで焦って飛び込むことは「投機」であって「投資」ではありません。自分の個性や実現したいことを冷静に分析したうえで判断した方が良いと思います。
キャリアを選択するにも、投資と同じく「元手」が必要になると思っています。それは経験であったり、スキルであったり、場合によっては若さや情熱も「元手」としてカウントされるのかもしれません。ただ、30歳まで人文系学問の研究を続けていた自分の場合、キャリアの元手と言えるようなものは「文筆家としての自負」ぐらいしかありませんでした。
もともと自分は人一倍小心者であるためか、長年慣れ親しんだアカデミアの世界から飛び出すことは、それ自体とても勇気のいることでした。ですが、編集者としてのキャリアを開始してから、その最初の決断について後悔したことは一度もありません。「編集」という、学問に続いて情熱を注げるテーマに出会えたことも、もちろんその理由の1つです。しかしそれ以上に、自分のライティングスキルを発揮する上で、スタートアップというフィールドを選べたことが、一番の幸運だったと思っています。
私が現在、ウォンテッドリーで担っている「インハウスエディター」という役割は、編集者のキャリアとしてもまだまだ価値が定まっていない領域です。しかし、価値が定まっていないということは、まだ第一人者になる余白がたっぷり残っているということ。「自分の持っている、少し毛色の異なる才能をチームの中で発揮することで、事業のインパクトが最大化される」瞬間を想像しながら、優秀なエンジニアやデザイナー、頼れるビジネスサイドのメンバーと仕事を共にできているということには、大学を辞める前には想像できなかったほどの充実感を感じています。
以上、ウォンテッドリーで働く5人に「キャリアにおける意思決定」を聞いてみました。
それぞれバックグラウンドは異なるものの、「成長のために必要な体験を、自分の判断でしっかり見極めた上で、それを掴みに行く」という意気込みにおいて共通していたことが印象的でした。
この記事に興味を持ってくださった方は、あなたにとって「キャリアに投資する」とはどういうことか、是非話を聞かせてくださいね。