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質の高いブログを素早く書く

Photo by Hannah Olinger on Unsplash

こんにちは、ウォンテッドリーでエンジニアリングマネージャーをしている鴛海です。

この記事は Wantedly Advent Calendar 2024 の 25日目、最終日の記事です。昨日は Mobile Tech Lead である久保出さんの「WantedlyでのKotlin Multiplatformの導入と課題」でした。

この記事では、Advent Calendar を含め多くの外部発信をしているウォンテッドリーの開発組織が実践している発信の方法についてお話しします。

目次

  • はじめに

  • ブログを書くプロセス

  • テーマを決める

  • テーマに関する考えや情報を自由に書き出す

  • 構成を決める

  • 文章を書く

  • 序論

  • 本論

  • 結論

  • 校正する

  • おわりに


はじめに

組織のメンバーがブログや外部登壇を通じて情報発信を行うことは、特に採用広報において、組織の認知度を向上させる有効な手段です。しかし、多くの組織では、資料作成にかかる時間や品質の担保が課題となり、実行に移せていないケースが散見されます。

ウォンテッドリーでは、開発組織約40人が年間130件以上の外部登壇やブログ執筆、さらには書籍執筆を行ってきました。本ブログでは、これらの実績を通じて得た知見をもとに、効率的かつ高品質なブログを書く方法を具体的に解説します。この方法を習得することで、誰でも短時間で質の高いブログを書けるようになることを目指します。

ブログを書くプロセス

ブログを書く際は、以下の手順に従って進めると効率的かつ効果的です。ウォンテッドリーでブログを書く際には各プロセスで他の人にレビューをしてもらうことが多いです。早めにレビューをすることで手戻りを防ぐことができます。

  1. テーマを決める: 書きたい内容を明確にし、ブログの方向性を定めます。
  2. テーマに関する考えや情報を自由に書き出す: 頭の中にある考えや調査した情報を自由に記録し、素材を集めます。
  3. 構成を決める: 集めた素材を整理し、伝えたい内容をどの順序で展開するかを決定します。
  4. 文章を書く: 構成をもとに具体的な文章を作成します。
  5. 校正する: 書き終えた文章を見直し、改善点を修正します。
  6. 完成: 校正を終えた文章を仕上げ、公開の準備をします。

以下では、各工程について詳細に解説していきます。

テーマを決める

ブログを書く最初のステップは、テーマを決めることです。テーマが明確であるほど、文章全体の軸がぶれず、読者に伝わりやすいブログを作ることができます。

テーマを決める際には以下の観点を意識すると良いでしょう。

  • 読者の関心を引けるか: 読者が興味を持ちそうな話題や、役立つ情報を考えます。
  • 自分が書きたい内容か: 自身が情熱を持てるテーマであれば、文章が生き生きとしたものになります。
  • 専門性を活かせるか: 自分の知識や経験を活かせるテーマにすることで、独自性のある内容になります。

書きたいテーマが明確に浮かぶ場合もあれば、そうでない場合もあります。アイデアが出ないときは、以下の方法でヒントを探すのもおすすめです。

  • 日々の業務で印象に残った出来事や課題を振り返る
  • 最近学んだ技術や知識を整理してみる
  • 他人との議論や質問から得た気づきをテーマにする

このようにしてテーマを決めることで、ブログ執筆をスムーズに進めるための土台を作りましょう。

テーマに関する考えや情報を自由に書き出す

テーマが決まったら、文章を書き始める前に、そのテーマについて考えていることや関連する情報を自由に書き出しましょう。このステップは、思考を整理し、文章の素材を集めるために重要です。

具体的には以下のような内容を書き出してみてください。

  • 頭の中に浮かんでいるアイデアや感想
  • 調査して得たデータや事実
  • 他人との議論やフィードバックで得た視点
  • 書籍や記事から得た引用や参考情報

この段階では、内容の整理や優先順位付けは考えず、とにかく量を重視することがポイントです。たとえ本題と少し離れていると感じる内容でも、後で役立つ可能性があります。また、自由に書き出すことで、隠れていたアイデアが浮かび上がることもあります。

構成を決める

テーマに関する考えや情報を整理した後は、次に構成を決めます。構成を明確にすることで、文章全体に一貫性が生まれ、読者にとって読みやすいブログを作ることができます。この段階での目標は、序論・本論・結論の各パートに役割を持たせ、それぞれの内容をはっきりと整理することです。

序論ではテーマの背景や目的を簡潔に示し、本論では詳細な説明や議論を展開し、結論で全体を総括します。ブログ形式では、序論と結論は短くまとめ、本論に重点を置くのが一般的です。また、各パートで伝えたいことを整理し、それぞれに適切な順序で情報を配置することで、読者が無理なく文章を追える流れを作ります。

特に本論では、抽象的な内容から具体的な内容へ、概観から詳細へと進む自然な流れを意識することが重要です。さらに、重要なポイントは早めに述べることで、読者の関心を引きつけやすくなります。こうした構成をしっかりと計画することで、次の執筆工程がスムーズに進み、ブログ全体の質を高めることができます。

文章を書く

構成が決まったら、いよいよ文章を書き始めます。この段階では、まず全体の流れを意識しながら文章を書き進めることが重要です。細かい言い回しや完璧さを求めるよりも、まずは全体を形にすることを目指すことで執筆がスムーズになります。

序論

序論は、本論に入る前の助走区間です。このパートでは、読者に「このブログを読むべき理由」を提供し、ブログ全体の背景や目的を明確にします。序論が効果的であれば、読者は本論に自然と引き込まれるでしょう。

序論で含めるべき情報は以下の通りです。

  • このブログのテーマは何か
  • なぜそのテーマで書こうと思ったか
  • なぜそのテーマが重要なのか
  • 背景は何か
  • どういうアプローチで取り上げるか

例えばこのブログであれば以下のようになります。

  • このブログのテーマは何か: ブログを素早く書いて採用広報を促進しよう。
  • なぜそのテーマで書こうと思ったか: 採用広報でブログを書きたいけどコストが高く組織的に行えていないことが多い。また、品質が揃わないことによるレピュテーションリスクがある。
  • なぜそのテーマが重要なのか: 現場のメンバーそれぞれがブログを書くことはインタビュー記事を採用広報が書くよりも、現場の考えていることがより細かい粒度で分かる。
  • 背景は何か: ウォンテッドリーは年間 130件以上の登壇に加え、ブログや技術書、エンジニアリングハンドブックなど多くのものを執筆している。
  • どういうアプローチで取り上げるか: ブログを書く際の型と注意点を教える。

本論

本論はブログの中心部分であり、最も力を入れるべきパートです。この部分では、テーマに沿った内容を具体的かつ分かりやすく説明することが求められます。本論が明確で説得力があるほど、読者にとって有益なブログになります。以下に文章を書く際のポイントを示します。

見出しをセクションの要約にする

見出しは、各セクションの内容を簡潔にまとめたものにします。見出しを読んだだけでそのセクションの要点が理解できるようにすることで、読者が全体の流れをつかみやすくなります。また、見出しを意識することで、自分自身も文章の軸を見失わずに執筆を進められます。

パラグラフライティングを意識する

長い文章がパラグラフに分かれていないと、読むのが億劫に感じられることがあります。一方で、1文ごとにパラグラフを分けてしまうと、間延びしてしまい、内容のまとまりが損なわれる場合もあります。適切なパラグラフ分けは、文章を読みやすくする鍵となります。

どのようにパラグラフを分ければ読みやすくなるでしょうか。パラグラフとは、1つのトピックに関連する複数の文章をまとめた単位です。その最初の文は「トピックセンテンス」と呼ばれ、そのパラグラフで何を伝えたいかを簡潔に示します。読みやすい文章を作るためには、このトピックセンテンスが明確であることが重要です。理想的には、トピックセンテンスだけで文章全体の内容を理解できる構成にすると、読者にとって負担の少ない文章になります。

事実と意見を明確に分ける

本論では、事実と意見を区別することが重要です。たとえば、データや具体的な事例は事実として提示し、それをもとにした分析や主張は意見として述べます。この区別を明確にすることで、読者は文章の信頼性を高く感じ、内容に納得しやすくなります。

読者の視点に立つ

本論を書く際は、常に読者が求める情報を意識しましょう。読者の疑問や関心を予測し、それに応える形で内容を展開することで、文章の価値が高まります。

結論

結論は、ブログ全体の内容を総括し、読者に最も重要なメッセージを印象付けるパートです。この部分では、新たな情報を加えるのではなく、これまで述べた内容を簡潔に整理し、読者が覚えておくべきポイントを明確にします。また、特に強調したいメッセージを再提示し、必要に応じて次のアクションを促す一文を加えると効果的です。例えば、関連する詳細情報へのリンクや、さらなる議論への参加を呼びかける形です。結論を過不足なくまとめることで、読者にブログ全体の価値を納得させると同時に、良い印象を残し、次回も読んでもらえる信頼感を生むことができます。

校正する

文章を書き上げた後には、必ず校正を行いましょう。校正は文章の完成度を高め、読者にとってわかりやすく、説得力のある内容に仕上げるための重要な工程です。誤字脱字を修正するだけでなく、文法や表現を見直し、論理の整合性や文章全体の流れを確認します。

校正を行う際は、まず文章全体を通して読み、内容の一貫性や全体の構成が適切であるかを確認します。その後、1文ずつ丁寧に見直しながら、誤字脱字や文法的なミスをチェックしましょう。この際、自分では見落としやすい部分があるため、第三者に見てもらうことも効果的です。たとえば、同僚や知人に校正を依頼したり、生成AIツールを活用する方法があります。

さらに、校正作業には時間を置くことも大切です。書き終えた直後では気づけなかった問題点が、少し時間を置いてから読み返すことで明確になることがあります。また、校正中は文章全体の目的を意識しながら進めることが重要です。細部に集中しすぎると、文章全体の方向性や読者目線を見失うことがあるためです。

校正は文章をより正確で説得力のあるものにするだけでなく、読者にとっての読みやすさを大きく向上させます。このプロセスを丁寧に行うことで、最終的な文章の質が飛躍的に向上します。

おわりに

ブログ執筆は、採用広報にはもちろん、知識の体系化、社外のコミュニティへの貢献にもなります。ブログ執筆を通じた試行錯誤やフィードバックは、文章力だけでなく、自身の成長や新たな気づきをもたらします。このブログが、読者の皆さんの執筆活動を前進させる助けとなることを願っています。













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