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CSは会社の心臓であれ。カスタマーサクセス大特集 #1

顧客に価値を提供し続けることで成り立っているSaaSビジネスにおいて、「事業の要」となるカスタマーサクセス。ウォンテッドリーでも、2017年冬にCS(カスタマーサクセス)チームが結成されてからの1年半の期間を通じて、組織の洗練とともに様々な取り組みが生まれてきました。

Wantedly BlogではそんなウォンテッドリーのCSチームの「今」を計3回にわたって特集します。その第1回に登場するのは、CSチームのリーダーを務める恩田将司とBusiness Tribe 統括マネージャー川口かおり。CSチームの結成当初の課題から今日までの道のりを2人と振り返りながら、Wantedly Visitのカスタマーサクセスの全貌について概観します。

事業の継続性は「顧客体験」で決まる:CSチームのこれまでの歩み

川口 かおり(写真右):早稲田大学卒業後、競泳選手のマネジメントに従事。2007年リクルートエージェント(現リクルートキャリア)に入社。コンシューマ領域の法人営業、新規事業立ち上げ、事業開発部門のマネージャーを経験。2015年にはシンガポールのHRテック企業でのマネジメントを経て、2017年10月より現職。
恩田 将司(写真左):慶應義塾大学を卒業後、リクルートスタッフィングに入社。営業から、経営企画、新規事業の立ち上げなど、幅広く経験。30歳の節目でリクルートテクノロジーズに社内転職し、エンジニアにキャリアチェンジをする。2019年よりウォンテッドリーにジョイン。CSチームのリーダーを務める。

川口:
まずはCSチームの始まりからですね。社内でチームができたのが2017年の冬のこと。当時はビジネスチーム全体でも派遣スタッフを含めて20名くらいの小さな組織で、お問い合わせに対応するチームはありながらも、お客様の運用上の課題を解決するためのコミュニケーションは充実しているとはお世辞にも言えない状態でした。

それまでにも「カスタマーサクセスを担当する部署が必要だ」という議論自体はあったけど、現実的にはそこに人員を一人割けるか割けないか、という状況で。でも、それじゃ自分たちの思い描くような成長は実現できないので、ビジネスサイドの採用にも力を入れるようになったのが2018年からの流れ。

CSが正式にチームとして立ち上がってからは、サポートコンテンツの整備であったり、相談会やセミナーの定期開催であったりと、打ち手を一気に広げることができました。セミナーでは募集記事の書き方、写真の撮り方、スカウトの送り方など、「オンボーディングのはじめの1歩」を手取り足取りサポートしていますね。

恩田:
Wantedlyは「導入して終わり」ではなく、運用が必要なサービスです。僕がジョインしたのは2019年に入ってからですが、それまでにもサポート体制の構築にはすごく力を入れていたと聞いています。

Wantedlyのような「自分で書いて募集する」システムは採用領域ではメジャーではありません。一般的な求人媒体では、募集の作成を依頼して、記事を書いてもらって、エントリーを待って......という流れが当たり前。そのやり方に慣れた人事の方がいざWantedlyの募集を運用しようとなると、「タイトルはどうしたらいい? 写真は?」と困惑してしまい、はじめの1歩が踏み出せないということがあります。

なので「そのやり方でいいんだよ」と導入まもないお客様の背中を押せるようになることが、社内にカスタマーサクセスの体制を構築する際に重要なことで、まだまだ自分たちとしてやらなくてはいけないことは多いと実感しています。

手探り状態で前に進んだ2018年

川口:
本当に、CSの打ち手って無限にあるよね。チームの結成時点で思いつくものはすべて洗い出したうえで、それが現在になってようやく形になってきているという感じ。例えば、自社で使用しているSaaSプロダクトの運用チェックシートがとても優れたものだったので、それを参考にを自分たちでも作ってみようとか、ユーザー企業が集まるコミュニティをやってみようとか。

最初から全ての施策が戦略として一直線上に整理されていたわけではなかったから、とにかくお客様の体験の向上に繋がるかもしれないことを手探りでやるしかなくて。ぐちゃぐちゃだった状態から必要なものを揃えて、整えていたんだよね。いま思えば懐かしい時期です。

ーーその過程で、2018年には問い合わせ対応のチームも含めてカスタマーサクセスとして統合されましたね。

川口:
途中から「なんで一緒にやってないんだろう、やることは一緒だよね」ということで統合した結果、CSは10人規模のチームになって目に見える成果も出始めています。導入数カ月の時点で初めての募集を出してくれている企業様の比率が、チームスタート当初から15%も上がっていたり。

SaaSのビジネスモデルでは、お客様がいい体験をしているかどうかが、事業の継続性を決めると言い切ってしまっても間違いがない。使い続けてもらうことで売り上げが積み重なるのは当然ですが、継続していただいた企業が新しい企業を紹介してくれるサイクルが生まれたり。「事業成長にとってカスタマーサクセスこそ要だ」という意識が、ビジネスチーム内外でも生まれるようになったよね。

恩田:
世の中としてもCSを重視するトレンドは確実に広がっていますよね。とはいえ、BtoB SaaSというセグメントの中では、Wantedlyは採用領域に関わるサービスなので少し特殊ですが。例えば業務フローや社内コミュニケーションのインフラになっているプロダクトの場合、一度導入したらよほどの事情がない限り使い続けるものだけど、Wantedlyの場合「採用がうまくいったのでいったんお休みします」というお客様も多い。

そういうお客様に「また使いたい」と思っていただくことはもちろん、「いつか採用がまた本格化するときのためにコンテンツを貯めておきたい」と思ってもらうために、CSがコミュニケーションにおいて果たすべき責任があるんだと思います。

セクションに縛られていては、カスタマーサクセスは成功しない

ーーここで過去から現在に話を移しましょう。最近でも顧客とのタッチモデルにしたがって施策を整理したり、ヘルススコアの運用もスタートしたりと、様々な変化があります。その中でも、CSの組織的成果として何にもっとも期待していますか?

川口:
まだ導入まもないですが、ヘルススコアはチームの設立から一番大きな変化だと思っています。導入前にも「募集を出しているか」「オプションを購入していただいたか」など施策を判断する基準はあったけど、それぞれが継続率とどのように相関しているか見えづらい状況だったんです。でもヘルススコアがあればひとつの指標を軸に各施策をマッピングできるので、今後の進化の土台になると思います。

恩田:
ヘルススコアを使えば、「この企業は面談はできてるかもしれないけれど、募集記事を書くのが苦手」など顧客の姿が立体的に見えてくる。フォローするポイントが明確になることに大きな意義があると思います。

川口:
そのほかの変化で言うと、「社内が一丸になって顧客体験を最良化しよう」という雰囲気が出始めているよね。

ーー確かに、これまでのウォンテッドリーは骨の髄までエンジニアドリブンな会社として、ディレクターの要件定義を介在させずに、エンジニア自身が仮説を立てて、ユーザーの反応に対して数値責任を持つ形で機能開発をしていましたが、今はビジネスサイドがユーザー企業にヒアリングをして開発にフィードバックするといった場面も増えてきました。

恩田:
データだけではわからないユーザーボイスもあるので、そこは顧客に接しているCSチームが責任を持って取りにいっていますね。とはいえやっぱり開発はリーンに進めるべきだと思うから、デザイナーとエンジニアがある程度「決め」で機能開発を行った上で、CSが「本当に良かったのか? 悪かったのか?」と答え合せをするという風に協業体制を組むのがベストだと思います。

川口:
新しい時代に突入した感覚がありますね。CSとエンジニアはビジネスの両端を担っているので、今まではお互いが個別にチームを大きくしていくフェーズでした。今は「これ以上大きくするには、垣根を超えた方が早く回るよね」というフェーズに差し掛かっているのかも。

恩田:
ビジネスサイドでいえば、CSを中心とした有料領域の再組織化を進めていきたいですね。相談会をするなかで「この企業さんは、もうちょっと別の活用法を提案した方が良さそうだよ」というような課題が見えてくるので、CSと他の領域とのつなぎこみはまだまだ改善させる余地があります。

そもそもカスタマーサクセスって、ひとつの部署だけが担当するものではないと考えているんですよ。セールスのコミュニケーションもユーザー体験に含まれるので、体験を向上させるためには部署を超えた連携が必要になります。

有料領域との連携も、「クライアントの成功にとって僕たちのサービスが本当に必要だからおすすめする」という話であって、会社全体がCSを担う役割だと思いたいですね。

シゴトでココロオドルひとをふやすために、採用の「その先」を考える

ーー「CSのあり方」についての話が出たところで、CSの目指すべき姿についての定義が聞きたいです。

恩田:
僕は「会社の心臓になること」がCSの理想像だと思っています。社内外から入ってきた血流を押し出す姿をイメージすれば分かりやすいと思いますが、その血流は「顧客の課題」かもしれないし、「社内の課題」かもしれない。いずれにしても、その課題解決で生まれた価値は体全体を巡って心臓部に返ってきます。そういう風に、会社全体の価値の循環を作り出す役割をCSチームは体現したいなと。

川口:
それはすごくいい定義! そうしたら私はそこに「圧倒的当事者意識」を付け加えたいな。顧客の成功って、ひとつ採用ができたから終わるものではないよね。採用の背景にある「業務上の課題」や「会社のビジョン」を想像できる広い視野が求められると思う。その視野をどうやって広げるか、どれだけ上を目指せるかのマインドセットが必要だよね。

ーー「顧客の成功」についてはどう定義しますか?

恩田:
個人的には、Wantedly Visitは「会社の魅力を伝えるプラットフォーム」だと思っているので、ある一定の期間を切り取って、採用できなかったら失敗になるとは思っていなくて。コンテンツを通して継続的に企業の魅力を伝えたり、いずれ転職時期が訪れるユーザーにポジティブな企業イメージを与えることはできますから。

それこそ僕はTwitterやfacebookを使うようにWantedlyが使われたらいいなと思っていて。誰もが当たり前に使ってる社会的なインフラにしたい。CSとして「顧客の採用成功」はもちろん最優先で考えるべきことなのだけど、それだけがWantedlyの価値だよと思われるのはちょっともったいないような気がしていて……。

川口:
たしかに、採用の成功までたどり着いていない企業もたくさんいるから、そこはサポートするべきだよね。一方で、採用のその先を考えた施策も必要だと思う。

ウォンテッドリーのミッションは「シゴトでココロオドルひとをふやす」こと。採用のやり方や人事のマインドを変えていくとか、当たり前だったものに変化をさせていくことが重要だと思っています。そこにインパクトを与えられない組織やプロダクトでは、ミッションを果たしたことにはならない。

恩田:
だからこそ難しいですよね。

川口:
難しいけれど、具体的に何ができるかを考えるなら「顧客体験の最良化」じゃないですかね。「採用の成功」という結果は良い体験につながるけれど、「良い体験」に含まれるのは結果だけではないと思う。最終的に「Wantedlyを使ってよかった」と思ってもらうことが大切なことだから。

恩田:
そうですね。「Wantedlyは会社の魅力を発信するプラットフォーム」という前提に立てば、Wantedlyのコンテンツを通じて会社のメンバーが自社の魅力を再発見することで、インターナルブランディングにつながるというような可能性だってあります。

よく「何を書いたらいいかわからない」「会社の魅力がない」という悩みを聞きますが「そんなことはないですよ!」と僕は思うんです。会社の魅力をいつも一緒に働いているメンバーと引っ張り出して、募集に載せる。結果的に、入社した人も幸せだし、採用する側も幸せ、という状態ができるといいかなと。

川口:
会社の魅力に気づき、採用に対するモチベーションや考え方が変わっていけば、採用は自ずと成功すると思います。結果が出なくても社内の環境はきっと良くなっていく。最終的に、その会社で働く人は「シゴトでココロオドル」はず。そういう状況を作っていきたいですね。

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