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2021年春に入社した若江 望は、新設法人向け事業のマーケティング部門を率いています。大手通信会社から転職してきた彼は、大企業で養われた習慣とfreeeの文化の差に驚きつつも、創造的でスピード感ある仕事に溶け込んでいきました。そんな若江のキャリアと、入社から現在にいたるまでの軌跡を辿ります。
大企業では拾いきれない課題に向き合うため、転職を決意した
(前職時代のニューヨーク留学中。若江は右から二番目)
2005年、新卒で大手通信会社に入社した若江 望は、それから約16年間、一貫してモバイルインターネット上のサービスの企画・マーケティングに従事してきました。
若江 「通信業界を選んだのは、自分たちの生活に密着した商品やサービスに携わりたいと思ったからです。
当時はまだガラケーで、4Gが出始めのころでしたが、すでに携帯電話は体の一部になっていました。会社は単なる携帯電話の販売だけではなく、着うたなどの音楽やゲームなどのコンテンツプロデュースもしていて、生活をワクワクさせるサービスを提供していることが入社の決め手でした」
若江はサービス関連の部署で、モバイルコンテンツの拡充をミッションに、マーケティングやプロモーションを学びながら力をつけていきました。
若江 「キャンペーンを組んでPRをしたり、サービスを作って成長させたりして、より良いサービスをいかにお客様に届けるかを考えていました。
特に音楽業界やゲーム業界など、仕事の進め方やカルチャーの違う業界の方たちと、アイデアを出し合いながらサービスをカタチにしていくところに魅力を感じていました」
若江は16年間の経験で、事業計画の作成からサービスの企画、立ち上げ、運用、マーケティングまでサービスに関わる全てを経験したと言います。
とりわけ、キャリア後半では金融サービスに携わり、クレジットカードのマーケティング部門を統率していました。
その中で、働き方についてのある思いが若江に芽生えます。
若江 「大きな組織に属しているため、社内への説明や調整に使う時間の割合が多いのは当然なのですが、その中で自分自身の意識が社内にしか向いていないことに気が付いたんです。
本当はお客様に喜んでもらうために何をすべきか、どう届けていくかに力を費やしたいけれど、それに集中できない状況に葛藤していました。もっと言えば、この先、ずっと今の状況で働いて世の中に必要とされ、喜ばれるものを提供し続けるのは難しいと感じていました」
そして若江は転職を考え始め、一つの結論を導き出しました。
若江 「今、世間が満足しているサービスはどこから出ているのか考えたときに、その多くがスモールビジネスやスタートアップだと思ったんです。個人の価値観や生活様式が多様化する中で、大企業では拾いきれないニーズや課題に真摯に向き合い、それに対応したサービスや商品を提供しているのは、小さな組織だなと。
そこで、これまでの経験を活かして、私自身がそのような価値を生み出す現場で働きたいという想いを抱くようになりました」
ちょうどそんなタイミングで、freeeからカジュアル面談の誘いを受けます。
若江 「freeeのことは金融サービスをやっているときに、勢いのあるフィンテックとして取り上げられていたので、知っていました。そこで具体的な会社のビジョンや状況を調べて、カジュアル面談に行ってみることにしたんです」
お客様の抱える課題の解像度を上げたうえで、施策を打つ
初めての転職、初めてのカジュアル面談——。
そこには驚きと共感があったと言います。
若江 「驚いたのは、就活時やこれまで関わった面接と違って、本当に名前の通りカジュアルだったことですね。業務の細かい話というよりは、人となりやキャリア感について、ざっくばらんに話しました。
その中で感じたのは、私自身にすごく興味を持ってくれているなということでした。表面的なスキルや実績の話ではなく、生き方や働き方について深いところまで聞いてくれたんです。
また相手も自分自身について、なぜfreeeで働いているのか、どんな思いでここにいるのかなど、シェアしてくれました。お互いに人間性をさらけ出す面談は、とても心地よく、楽しかったのを覚えています」
最終的に若江は、CEO佐々木 大輔との面談を終え、入社を決意します。
若江 「決め手は、接した人たちが嘘偽りなく行動原則を体現していたことです。freeeでは社内カルチャーとして『こういう働き方をしたいよね』って言葉を『マジ価値指針』として定めていますが、それが単なる理想でなく、実際に浸透しているなと感じました。
また、もちろんスモールビジネスを支援している事業内容にも共感しました。世の中にもっと起業しやすい環境や、スモールビジネスが活躍しやすい場を作って直接的な価値の創出に携われる。その上、freeeがお力添えをしたスモールビジネスが世の中に良いものを生み出し続けるという間接的な価値の創出も目指すことができるんです。2度おいしいビジョンだなと思いましたね」
こうして若江は、2021年3月、freeeに入社します。その後1ヶ月の研修のなかで、会計やプロダクトの知識をキャッチアップしていきました。
若江 「研修では、『freee会社設立』に登録してくれたお客様に架電するインサイドセールスも経験しました。これまでのビジネス経験でお客様に直接お電話したことはなかったので、キャッチアップしながらの挑戦でした。
結果的にこの経験がすごく大きくて、1ヶ月間、お客様の生の声に触れることで、抱える課題やfreeeへの期待についてかなり解像度が上がりました。またお客様とも社内のメンバーとも共通言語で喋れるようになったのも大きかったと思います」
その後、若江は新設法人向け事業のマーケティング部門に配属され、ジャーマネ*となりました。
(*freeeではマネージャーのことを、タレントであるメンバーを叱咤激励して成長・活躍することをサポートする役割であって、メンバーの上に立つ者ではない、という思いを込めて『ジャーマネ』と呼んでいます)
若江 「チームのメンバーは私を入れて3人で、プロダクトの改善・セミナーやキャンペーンの企画と実施・メールマーケティングを中心に業務を行なっています。
また、プロダクトへの流入フェーズは部署横断のマーケティング担当や、SEOを担当しているセントラルマーケティングチームと協力しながら行なっています」
プロダクトの改善業務では、『freee会社設立』上でお客様の離脱ポイントとなっている個所を特定し、仮説を立ててUI改善を繰り返しています。
若江 「『freee会社設立』の最初のステップは無料登録で、そのあとに必要情報を入力して会社定款を作成します。しかし、そこで離脱する人が多くいるので、サービス利用の中で止まることなく定款が作成でき、スムーズに会社の設立まで到達してもらうことを目標にしています。
例えばボタンの文言一つが、または一行の説明文が離脱の原因になっていることもあるので、仮説ベースで『こういう変更を加えましょう』と提案し、以前と比べてどれくらい入力率が上がったかなどをチェックしています」
重要なのは、お客様が離脱してしまうポイントから、表面的なものではなく裏にある課題まで掬い上げることだと若江は言います。
若江 「どこで離脱したのか、データが取れてもそれはあくまで数値に過ぎません。
例えば企業名の入力箇所で企業名を入れずに離脱していく人がいますが、シンプルに考えると対策は『会社名の決め方を説明しよう』となります。しかし実際は、会社名が決まらないから離脱しているのではなくて、まだ会社設立に本気ではなくて、手続きのことを知りたいから登録したという方もいます。それが分かると、打つ施策も変わってくるんです。
このように、立てた仮説とお客様の声にはギャップがあるので、自分たちの考えだけで進まずに、しっかりとお客様の課題の解像度をあげることが大切だと思います」
freeeで感じた大企業との働き方の違い
freeeに入社し、半年が過ぎた若江。気が付いたのは、大企業とfreeeの仕事の進め方の違いでした。
若江 「先ほどの『お客様の課題の本質を知り、解像度をあげる』という観点から言っても、前職と比べて、よりお客様との距離が近くなったように感じています。
前職なら課題に対して、多くの数字を分析しロジカルな視点から様々な施策を打っていました。一方で、freeeでは一旦立ち止まって『まずは知ろうよ』というフェーズが組み込まれています。
具体例をあげると、クイックにアンケートを実施し、また、気軽にお電話でインタビューするなどして、お客様がどういう課題を持っていて、どういう期待を持っていたのにfreeeでは実現できなかったのかを明らかにして、それに対して価値を届けようとしています。この変化は私的にかなり大きく、転職前に求めていたものでした」
一方で、社内のやり取りでは戸惑うこともありました。最初は驚くことばかりだったと言います。
若江 「ある施策を打つときに『これって誰の確認が必要ですか?』『誰に承認いただいたらいいですか?』と聞くと、『そんなものないんで好きにやってください』と言われました。
別の場面でも『案件説明の時間いただいていいですか?』と聞くと、『悩みポイントはどこですか?』と返答がありました。『ないです』と返すと、『ないなら自信を持って実行してください』と。
要は、単なる説明や報告をする会議はいらないということです。衝撃でした。仕組み化された大企業の中での働き方しか知らなかったので、承認ルートや説明の順番などに意識が行ってしまい、肝心のアウトプットをスピーディーに生みだせていませんでした」
若江はショックを受けつつも、徐々にfreeeでの働き方に慣れていきました。
若江 「freeeのカルチャーに溶け込み、自然体でそれを体現するというのは私にとって1つの課題でした。それからは自分として、またはfreeeとしてやるべきかどうか、『マジ価値(=ユーザーにとって本質的に価値があること)』を判断軸にして業務を進めました。
かといって、常に自分やチームだけでものごとを決めているわけではありません。相談したいときは気軽に出来るし、過去の案件も共有されているし、慣れてくると働きやすいことに気がつきました。
その経験を通して、会議は許可や承認を得る場ではなく、アイデアを持ち寄りブラッシュアップする所なのだと意識が変わりました」
「freeeがあったから一歩踏み出せたよ」って言ってもらえるサービスを
若江は他にも、スピード感に驚いたことをfreeeでの衝撃的な出来事のひとつとして、あげています。
若江 「簡単にジャッジできなさそうな重たい案件があったのですが、初回の役員とのミーティングで『やるっきゃないでしょ!』とその場で意思決定して進んでいったのは衝撃でした。さらにアイデアがどうしたらもっと良くなるか、役員が具体案をどんどん出してきたときは、インパクトの大きいものでもスピードを落とさず進んでいくんだなと実感した瞬間でした。
前職で同じ場面に遭遇したら、『投資対効果どう考えてんだ?』『どうやってマネタイズするんだ?』って紛糾していたと思います」
様々な経験をしてきた若江が、大企業からスタートアップへの転職の経験を総括します。
若江 「転職してよかったなと思っています。
というのも、freeeのみんながプロダクトをよくして行くためにどうするべきか考えて積極的に働きかけている姿勢が、感動的なんですよね。私にも『こんなんいいじゃない?』って食い気味にやってくるんですよ。こういう環境は恵まれているし、楽しいなと思います。
またそれがあると、変なプレッシャーからくるものではなく、心から自分もいいアイデアを出したいと思えるんです。今、いいスパイラルが生まれていると思います。同僚にポジティブにさせられることは多いですよ」
そんな若江がこれからの目標を語ります。
若江 「まずは『freee会社設立』を知っていただき、お客様に価値が届いたと言える経験を積み重ねていくこと。ゴールはないので、1つでも多くの価値を提供することが目下の目標です。
そこでお客様に良い体験をしてもらったあとは、スモールビジネスを始めたことを後悔しないような環境、サポートにつながる取り組みにつなげていく。そんな経験の総量が増えれば、世の中にスモールビジネスが増え、たくさんの生き方の選択肢が提供できるようになると思います」
さらに、会社設立の支援に留まらず、起業をためらっている人の背中を押せることも、若江の大切な目標です。
若江 「設立していいのかなとか、起業ってどうなんだろうって二の足を踏んでいる方が多くいらっしゃるので、『freeeがあったから一歩踏み出せたよ』って言ってもらえるようなサービスを作り出すことができたらいいなと思います。
それを実現しようとすると世の中の流れを変えて行くことになるので、自分自身としてはロジカルに積み上げた思考ではなく、むしろ既存の枠組みから飛び越えたアイデアや取り組みをできるようなリーダーシップを発揮していくことが必要になります。そこがこれからのチャレンジです」
freeeのプロダクトを通じてスモールビジネスの発展を目指す若江。一人でも多くの人の挑戦を後押しすべく、若江自身の挑戦も続いていきます。