<プロフィール>
関 淳生 | ラクスル事業本部オペレーション統括部長/DTP部部長
大学院卒業後、消費財メーカーの「P&G」に入社。商品サイトや社内システムの設計に携わる。その後、広告メディアの「リクルート」へ。システム開発や、高校生向けの進学情報サイトの企画、組織マネジメントと幅広い業務を担当。14年間所属し、2020年7月にラクスルに入社。
ーこれまでのキャリア
大学では情報工学、大学院では意思決定システム科学について学んでいました。そこで学んだことを生かそうと、消費財メーカーの「P&G」に入社。IT部門で4年間、システム開発の仕事に携わっていました。業務は大きく2つ。1つはシャンプーやおむつといった製品のWebサイトを作ること。もう1つは、営業部の営業活動を支援するシステムを作ること。P&Gはグローバル企業なので基本的なシステムはUSの本社で作られていました。それを日本で使いやすいように展開するプロジェクトを推進していました。
その後、広告メディアの「リクルート」に転職。システム開発、商品企画、オペレーション、組織マネジメントなど幅広い業務に携わりました。最初はシステム開発部門にいましたが、メディアを企画して作る側にいきたいと思い、社内公募で異動しました。商品企画として携わったのは、高校生向けの進学情報の雑誌やウェブサイトです。これがやりがいも面白みもある仕事でした。
ーラクスルに入社した理由
リクルートには14年間いましたが、イチ商品担当からポジションがどんどん上がっていき、管轄する範囲も広がっていきました。その中で、自分の得意・不得意が徐々に明確になっていきました。僕の場合、商品を企画して売り上げを伸ばすよりも、商品企画とそれにまつわるオペレーションをつないで構築することに自分の持ち味が出せると思うようになりました。なのでBiz(商品企画)とオペレーションの経験を活かし、両者をつないでいく仕事を深めていきたいと思うようになりました。
ラクスルに転職を決めたのは、ラクスルの「仕組みを変えれば、世界はもっと良くなる」というビジョンにピンときたのが第一。そして、面接などでラクスルの人と話をするうちに、ラクスルで働くことに魅力を感じたのが、もう一つの理由です。
面接では福島さん(ラクスル取締役COO福島広造)から、「ラクスルはBizとTech の組織は強くなってきたので、今後はオペレーション組織を強化していきたい」という話がありました。また、福島さんは「BizとTechとOperationの3本柱で会社を支えたい」と、オペレーション組織に非常に重きを置いていました。それを聞き、ラクスルの組織課題に対して僕がこれまで培ってきた経験を生かして貢献ができるのではと思い、入社を決めました。
ーオペレーション企画とは?
会社によって「オペレーション」が指すものは様々ですが、ラクスルの場合は、「カスタマーサポート業務」(CS)と「印刷用の入稿データチェック業務」(DTP)を指します。
オペレーション企画の仕事は、これらのオペレーションの実運用をやるわけではありません。ラクスルの成長を実現していくためには、事業戦略に連動したオペレーション戦略をきちんと描く必要があります。そのため、オペレーション企画は事業戦略とオペレーション戦略をつないで全体像を描き、かつ実行して形にしていく部署になります。具体的には、「新規案件でのオペレーション設計」「生産性改善に関わるオペレーションのBPR」などの業務を遂行していきます。
ーオペレーション組織強化のための目標
CEOの松本さんが、ラクスルのビジョン 「仕組みを変えれば、世界はもっと良くなる」について、
仕組みを変えれば:0→1の新規事業
世界はもっと良くなる:1→10→100とインパクトを広げていく
と説明していたことが強く印象に残っています。
後者は、既存の大きなビジネスを支えていくためのオペレーション。言わば「大量に」「効率的に」「ミスなく」行うことが求められる「守りのオペレーション」ですね。
一方、前者の新規事業は、不確実なビジネス仮説を、実際に手を打ち、検証しながら進めていきますので、オペレーションに求められるのは、「素早い立ち上げ」と「柔軟な対応」です。これは、「攻めのオペレーション」といえるでしょう。
ラクスルにおいて「守りのオペレーション」のノウハウは積み上がっていますが、新規案件の増加を考えれば、「攻めのオペレーション」を強めていく必要がある。そのため、オペレーション組織は「攻め」と「守り」の“両利き”にしたいと思っています。もちろん一人にそれを求めるのではなく、みなさんそれぞれに“利き手”があるでしょうから、守りが得意な人・攻めが得意な人がコラボレーションして、組織として“両利き”になれればいいと思っています。
ーラクスルのオペレーション企画の面白さとは?
多くの会社の場合、オペレーション組織に期待されることは「コスト削減」「生産性改善」ではないでしょうか? 非常に大切なことですが、コスト削減一辺倒だと、組織として限界があるかなと思っています。
ラクスルは、既存のビジネスの価値を磨きながら(守りのオペレーション)、平行して、新規ビジネスで新しい価値を創り出し(攻めのオペレーション)、成長し続ける会社です。これはどちらが上だとか偉いだとかはなく、両者一体のものです。既存オペレーションを効率化し生産性を上げることで、生み出された余力を新規事業に回すことができます。また、新規事業は小さなユニットで始めますが、規模が大きくなれば既存のオペレーションにバトンタッチをするわけです。
そのように攻守のオペレーション組織を強化していくことで、今あるサービスはよりいい物に磨かれ、新しいサービスを生み出すことができます。お客さまにとっても、「ラクスルは日々使いやすくなっているし、次々と新商品が出るから、いつもラクスルを使いたい」と喜んでいただけることにつながります。
そういった攻めと守りの両方をマネジメントしながら、会社の成長を支えていく。それがオペレーション企画のチャレンジでもあり、面白みでもあります。
ーどんな人が向いているか
先ほどから攻め/守りのオペレーションといっていますが、この二つはアンビバレントなもの。なので、「現場と経営」「具体と抽象」「理想と現実」を行き来し、時には挟まれながら、もがいて仕事を推進していくことに楽しさを感じられる人はフィットすると思います。
当たり前のことですが、オペレーションの現場を理解する力は必須です。ただ、現場に詳しい人はオペレーターを含めてほかにいるわけですから、俯瞰した視点も求められる。つまり、“現場の泥臭さ”とオペレーション戦略・設計という“理屈”の両方を面白く感じる人は向いています。そういった方が、問題解決に対して一番大きなインパクトを出し、かつ実行可能性が高い道筋を見いだせると思います。
とはいっても、課題解決に行き詰まることもあります。そういったとき、僕は人と話すようにしています。行き詰まりは視点が偏っているときに起こるものなので、人と話して課題の捉え方が変わり、ブレイクスルーすることも多いです。そういう意味でも、コミュニケーション能力や人間力は必須です。
一緒に仕事をするのは、オペレーション現場のメンバー、プロジェクトメンバー含めて、「人」です。オペレーション企画として、オペレーションをより効率的に変えていくためには、それはつまり、現場の人にとっては従来の業務の変更を強いられることになります。ラクスルは新サービスや新商品を次々リリースしているので、社風としても変化への免疫力や対応力は高いほうですが、変革の推進のためには、なぜ変更するのかを理解・共感してもらい、乗り越えていく必要があります。そういった意味でも、理屈と人間力の双方を使って、物事を推進していける人が求められると感じています。