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【連載企画】JBAドキュメンタリー
JBAでは、数十年にわたり、顧客との取引の中で得た最新の広報ノウハウやトレンド情報を『無料セミナー』を通じて、大手企業で広報活動に悩まれている方に還元する活動に取り組んでいる。現場経験の多い30代前後のスタッフによって企画されることが多いセミナー。このセミナーに、二年目にして挑んだ若手がいる。それが高尾だ。「自分の経験に裏付けされた自信と覚悟があった。」と彼女は語る。
きっかけは、既存のお客さんの声。やりとり中でお客様は広報物を「作る段階」ではなく「そもそも企業の課題を知る」段階で躓いていると感じた。そういった課題をもつお客さんは多く、自分が会ったことのない人たちもおなじような課題で悩んでいるのではないかと考えるようになった。その人たちを助けたい。そんなとき、JBAで行なわれているセミナーのコンテンツを見て、いまお客さんが求めているのはこれじゃない。もっと企業の課題を考える本質的なものが必要だと感じた。
お客さんの生の声を常に聞いてきた自分だからこそ伝えられる言葉を…と思った高尾さんは、セミナー講師に名乗り出た。
1回目のセミナーで感じたのは、やり切ったという満足感ではなく会社の顔となる自覚だった。誰もが知っているような大手上場企業から参加者が集まる中、講師として立っているのは入社2年目の自分。自分のレベルが低ければ、JBAのブランドを傷つけるかもしれない。JBAの看板を背負って立つことの責任を痛感した。
今まで2年目でセミナーの企画立案などしたことのある人はいなかった。二年目でセミナー講師をすることなんて異例。そんな責任のあるポジションをやりたいと言って叶えてくれる環境がJBAにはある。
お客様の期待を超えるからこそできる「関係性」
高尾さんのセミナーに参加して下さった大手下着メーカー。セミナー後直接お話をしてみると、今まさに悩みがいっぱいあるとのこと。今作っている社内報に掲載する内容をどのように企画すればいいのか、控えている海外取材にどのように挑めばいいのか、というのが大きな悩みだった。高尾さんは今までの経験やインプット、クライアントとの関係の中で蓄積してきた知識をフル動員して対応した。この提案がとても喜ばれ、さらなる悩みを聞く。次の悩みの種は時代の流れに沿ってWEB広報施策を取り入れたものの、会社の業態にフィットしておらず、なかなか施策がうまくいかないというものだった。JBAの大阪支社で行われるWEBセミナーに参加するそう。その頃には、高尾さんの中で「こちらのお客様を何とかしたい。助けたい。」という思いが大きくなっていた。大阪で行われるセミナーの講師でもなく商談をしてくるわけでもない。ただ何とかしたい、その一心だった。
セミナーが終わる時間ぎりぎりに大阪に到着し、1時間半ほど2人で話をした。高尾さんは、会社のシステムに合わせて自分で考えたWEB利用の形を提案。それを聞いて、今後の展望がはっきりとしたようで「セミナーもよかったけれど、いま1時間半高尾さんと話した時間の方がよっぽど内容が濃くて良かった。」と話していた。
これを聞いた高尾さんは、自分の手で相談に乗ることを決意した。困ったことがある時はいつもメールでやり取りをし、担当者が東京に来た時には社内で相談にものった。そのたびに何かできることはないかと他の社員も巻き込んで考えた。
正直なところ、この行動は全くJBAにとっては利益とはならない。受注もしていない会社に対してそこまで時間と労力を割いているのだから。しかし、高下社長は高尾さんにこう話していたという。
「何か困った時には必ず高尾さんに連絡来るようになっている。そういう関係が一番素晴らしいモデルなんじゃないか。」
お客さんに寄りそい一緒に将来を考える、そんな長期関係性が社長の思い描くJBAの在り方だった。高尾さんはまさにこのセミナーからお客様との長期関係性を作り上げていた。
100を削るのではなく120にする選択
セミナー講師をするということは通常業務にプラスオンされるわけであり、今までの仕事100が120に増えるも同然。当然高尾さんの負担も一気に増える。しかし、今までの100の業務を削ってその残りでセミナー講師をするのではなく、100にプラスする選択をした。プラスされた20で伸びるであろう自分の力に期待したからである。
実はこの選択がセミナーをよりよいものにしていた。既存のお客さんといつも触れているからこそ、課題感が日々変わっているのを肌で感じられる。その気づきをセミナーのコンテンツに活かして、セミナーに参加してくれた他のお客さんに還元できる。反対にセミナーから既存のお客さんに還元できることもある。セミナーを行うにあたって他の社員から手に入れた普段触れないクライアントの情報を、既存のお客さんに伝えることができる。このように既存のお客さん・セミナー間で好循環ができているのは、100を削らず120に増やしたからこそだった。
目の前のお客様への全力投球が、社会をよくすることに繋がると信じて
どうして高尾さんはこんなにも仕事に前向きに取り組めるのか。そこには『やっと社会に恩返しができた。』という思いがあった。今まで、自分は仕事でまだ何も成し遂げていないのではないかという不安がずっとあったという。しかし、このセミナーを通してお客様へいい影響を与えられたとき、それがお客様の会社をよくするいちエッセンスとなり、その連続が対社会にも。
世の中のセミナーでは、何万部のベストセラーを生んでいる有名人などが講師としてたくさんの人に自分の言葉を届けている。高尾さんは、ベストセラーどころか本を出したこともない。それでも、台本ではない自分の生の声を届けられる。『今まで会ったことのないひとにダイレクトに還元できる』、これが高尾さんのがんばる理由だった。
高尾さんは、このままずっとJBAのセミナー講師としてとどまっていたくはないという。JBAという環境にいながらも、自分として立っていたい。いつかお客さんに“高尾さんのセミナーだから行ってみようかな”と思われるような存在になりたいと考えているそう。この言葉には、JBAの看板として立つ覚悟がにじみ出ていた。もしかしたら、この思いはがんばる理由を与えてくれたJBAへ高尾さんからの還元なのかもしれない。