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経営と従業員のあいだで──人事データベースの構築にチャレンジした嶋崎の想い

学生時代から人事に興味を抱き、社会人のほとんどを人事として過ごしてきた嶋崎 憲佑。前職では評価を、2020年12月に入社したfreeeでは労務を担当してきました。この記事では嶋崎のキャリアとともに、freeeで行った人事データベースの構築について紹介します。

人事は経営と従業員をつなぐ仕事──その難しさに魅了されて

(▲地元のラグビースクールのメンバーと。嶋崎は前列・中央)

新卒で日系大手の生命保険会社に入社した嶋崎。その理由を語ります。

嶋崎 「キャリア形成の仕方に魅力を感じたのがきっかけでした。就職活動中にOB訪問をしたときのことです。もともと早い段階で会社全体を見てみたいと思っていたところに、2年目の本配属から管理部門に行けるチャンスがあることを聞き、入社しようと決めました」

嶋崎が人事に興味を持ったのは、5歳から大学時代の体育会までラグビーを続けてきたことに由来します。

嶋崎 「長年チームスポーツを経験して、自分は組織を科学することが好きだという自覚がありました。チームにどんなリソースがあり、どんな強みがあって、すべてがどのように組み合わさって勝利を目指すのか、全体を俯瞰的に考えるのが楽しかったんです。就職活動中も、会社は人の集まりで、ビジネスを動かすのも人であるため、人事という側面から会社組織全体の動きを見てみたいと思っていました」

嶋崎は入社2年目で希望通り人事部に異動すると、5年にわたってさまざまな経験をしてきました。

嶋崎 「人事評価分野をメインに、制度企画・運用を担当しました。具体的には、経営として期待する行動を評価基準に落とし込み、それに沿って全従業員を評価するというのが業務内容ですが、簡単なものではありませんでした」

嶋崎は評価分野の難しさを、会社における人事全体の役割から紐解いて語ります。

嶋崎 「経営と従業員のどちらも立場は対等ですが、役割が異なることから相反する立場に分かれがちになります。人事はそのふたつをつなぐ仕事だと考えています。

そもそも人事は、人/組織という文脈で経営戦略の実現に貢献することがミッションです。難しいのは、経営戦略をそのまま機械的に制度へ落とし込めばいいわけではなく、現場で遂行してもらうこと。そのためには、従業員一人ひとりの納得感が非常に重要で、能力を最大限に引き出せるようにモチベーションを高めることも人事の役割の一つです。

評価分野の場合、経営目標の達成と従業員のモチベーションに直結しているので、双方を意識しながら綿密に制度設計し、それを根づかせるための運用努力が求められます。

また評価の結果は昇給・昇格に反映して報いるだけではなく、会社としてどのような人材に成長してほしいかというメッセージでもあるので、何をどんな割合で評価するのかにはとても頭を悩ませました」

嶋崎は評価制度の設計・運営のほかにも、役昇格とそれに関わる登用選考、階層別研修、シニア活躍推進、全国の支社を回っての従業員面談など、数多くの業務を経験しました。

人事の仕事はおもしろい!もっと極めるため、転職を決意

人事経験を5年積んだ後、1年間の経営企画業務を経て、嶋崎は転職を決意します。

嶋崎 「もっと意思決定スピードの早い環境に身を置いて、どんどん自分の成長サイクルを回していきたいと思うようになりました。それには、ITベンチャーが自分には合っているのではないかと思い、話を聞いてみたくなりました」

階層・縦割りが少ないベンチャーで、人事のおもしろさに魅了され、腕をさらに磨いていきたい——そんな希望を胸に転職活動を始めた嶋崎。

ちょうど転職サイト経由で、スカウトメールが届いたfreeeのことを調べ始めました。

嶋崎 「freeeの名前は以前から知っていて、会計ソフトを開発しているSaaSの会社という認識でした。会計のことは身近ではなかったし、勢いのあるベンチャーというだけで転職先を選ぼうとは思ってなかったので、採用ホームページを閲覧してみました。

そこで驚いたのが『会計ソフトのシェア、◯%を目指す!』などの文言が一切見当たらなかったこと。さらにCEO佐々木 大輔のブログで、『スモールビジネスを、世界の主役に。』というミッションのもと、一人ひとりが本質的でやりたいことにフォーカスできる世の中を作ろうとしていることを知り、日本の働き方そのものを変えようとしている壮大なチャレンジにワクワクしました」

freeeからのスカウトが、労務ポジションだったことも転職の決め手となりました。

嶋崎 「評価など制度まわりの次の業務は、労務に携わりたいという気持ちがありました。給与計算など、労務管理は人事の枠組みで一番ベースになる部分だし、入社から退職まで従業員が安心して働くためのあらゆることをやっている部署なので、がっつり経験しておきたいなと」

入社するとすぐに人事データベースの構築へ動き出した。スピード感に圧倒される日々

(▲メンバーサクセスチームのメンバーと)

嶋崎は転職先をfreeeに決め、2020年12月に入社しました。入社後は、メンバーサクセス(労務)チームにアサインされました。

嶋崎 「入社してすぐに給与計算の担当者が退職することになり、急遽引き継ぎました。想定外のことでバタバタでしたが、結果的には給与計算という労務のハブ的な部分を、最短でキャッチアップできました」

freeeでは四半期ごとに組織変更があり、入社した期末は翌月からの新体制を検討するタイミングでした。経営メンバーが意思決定した組織変更を組織図に反映するのも労務の役割で、作業を手伝うことになった嶋崎は、そこで課題を発見します。

嶋崎 「『今どの部署に誰が配属されているか』という人事データベースが存在しないことに気がつきました。従業員名簿や組織図はスプレッドシートを手入力で管理しており、組織変更オペレーションも手作業だったんです。自動化とリアルタイム反映がfreeeの強みなのに、意外にもアナログでfreeeっぽくないなと思いました。

『3カ月後の組織変更で同じことをやるわけにはいかない!』と思い、どうにか人事データベースを構築しようと考え始めました」

入社1カ月で社内の課題改善に向けて動き出した嶋崎。課題を深掘りし、人事データベースの入力の自動化・反映のリアルタイム化に向けて動き出します。

嶋崎 「ジャーマネの宮崎 亮子に相談すると、『まだイメージできないけれど、やりたいようにやって大丈夫です』と背中を押してもらい、裁量の大きさに感動し、2カ月で完成させようとすぐに動き始めました。自分に与えられた給与計算の業務もこなしつつ、月の半分の工数を人事データベースの構築に割り振ることにしました。

入社や退職などの労務申請オペレーションは、Salesforceで運用を始めていたのですが、3カ月ごとに組織変更して情報がスプレッドシート化するため、せっかく開発した機能を活かしきれていませんでした。そこで『とにかく人の情報は直接Salesforceに入れ込む』ことを徹底すれば、あらゆることが解決すると考えました」

嶋崎は社内ビジネスチームの業務改善・支援を行い、事業の成長をエンジニアリングで支えているGYOMUハックチームとミーティングを重ねます。

嶋崎 「わずか2カ月で、Salesforce上で組織改編や人事異動ができるアプリケーション『組織変更クリエイター』が完成し、次回の組織変更に間に合いました。ボトルネックを解消したことで、『今どの部署に誰が配属されているか』をリアルタイムで反映する人事データベースが構築できました。

データベースの構築で終わらず、組織図本体もSalesforceで公開してしまおうと、あわせてGYOMUハックチームに相談していました。既存のデザインとは異なりますが、ツリー状のものであればそれほど工数を掛けずに開発できるとのことで、私自身も組織体制が共有されていれば問題ないと、導入に向けて進めていました」

ところがこのデザイン変更が、嶋崎を思わぬ落とし穴に直面させることになります。

“人的資源の最適化”という視点で、経営陣の意思決定をサポートしていく

(▲業務中)

嶋崎は経営陣へのプレゼンでフィードバックを受け、自分が見落としていた視点に気がつきました。

嶋崎 「CFO東後 澄人からの『実は経営視点でよく組織図を活用しており、ツリー状になると使いにくい』との指摘に、ハッとしました。

私は組織図の作成・公開のオペレーションにフォーカスし、『脱スプレッドシート』を目的化してしまっていたんです。デザインも、どこに誰がいるかすぐにわかれば良いと安直に考えてしまい、経営陣が組織図を見ていろいろな意思決定をしていることに考えが至っていませんでした。

しくじった!

そう思ったとき、佐々木から『もっとSalesforceならではの価値が出せるなら、これを使いたい』と助け舟を出してもらいました」

嶋崎は経営陣からのフィードバックを経て、なぜ今の組織図のデザインになっているのか、そこからどのような意思決定をしているのかということを理解した上で、改めて要件定義を行いました。

嶋崎 「どうせやるなら理想ドリブンで、経営陣の意思決定をサポートするマジ価値(本質的に価値があること)なアプリケーションを目指そうと考えました。その結果として組織図がSalesforceに入ればいいかなと。

人事は経営と従業員をつなぐ仕事だというベースの考えに立ち返り、『個⇔組織を自由に行き来する基盤構築』をコンセプトに開発することにしました。

最終的に、従業員の名前をなぞると所属歴・評価結果・フィードバック内容などが表示される仕様を実装し、経営陣だけが見られる別のアプリケーション『給与改定ナビ』としてリリースしました。

これで人的資源の最適化という視点で経営陣の意思決定をサポートしていく第一歩が踏み出せたと思います」

嶋崎の頑張りは、無事に経営陣からの評価を得ることができました。

嶋崎 「『これがほしかったよ!最高!』と言ってもらえました。あちこち散らばっていた従業員の情報を、網羅して可視化できるようにしたことがとくに評価され、活用してもらっています。引き続きフィードバックを集めながら改善していきたいです」

嶋崎は入社後すぐに組織基盤の構築に動いた日々を振り返り、これからの目標を語ります。

嶋崎 「従業員の軌跡は会社の財産です。だからこそ人材データを蓄積し、経営的な意思決定に活かせるように持っていくことが、人事の仕事だという軸をぶらさないで良かったと思っています。より良い意思決定をサポートすることが、ミッション『スモールビジネスを、世界の主役に。』につながっていくからです。

freeeには『ムーブメント型チーム(ミッションに共感し集まった仲間たちが自律的にアクションを起こす。その熱狂が伝播することで、より良い相乗効果を生み出していく集団である)』という考え方がありますが、まさにそれを体現したような出来事でした。freeeは実行と振り返りのサイクルが早く、3カ月に一度、最適な組織体制を組み直しています。これからも経営と従業員の間に入って、しっかり両者をつないでいきます。

2022年11月現在は、メンバーデベロップメントに異動し、新しく立ち上げた人事企画専任チームにいます。今後は意思決定の場にどんどん入っていきたいと考えています」
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