1
/
5

All posts

土から食卓へ―子どもと共に育つ学びと働き甲斐

 志免さくらこども園のお昼の時間。給食の配膳が始まると、子どもたちは「今日は何かな?」と目を輝かせます。湯気の立つスープに浮かぶのは、ライフサポートSAKUで育てられた大根や玉ねぎ。カレーには、畑から収穫したばかりのジャガイモがごろごろと入っています。子どもたちは「いただきます!」と元気に声を合わせ、笑顔いっぱいにほおばります。そのひと口にこめられているのは、利用者さんの汗と努力、そして「誰かのために働ける喜び」です。 ライフサポートSAKUでの農業の取り組みは、私がずっと心に思い描いていた夢のひとつでした。 子どもたちには、食材がどのように育ち、どれほど大切に育まれているかを体験を通じ...

ライフサポートSAKUが目指す、誰もが輝ける働く未来

学びや成長のペースがそれぞれ異なる子どもたちへ学びや成長のペースがそれぞれ異なる子どもたちにとって、小学校以降の教育には特別支援学校の小・中・高等学校があります。しかし、その後の就職のステージに進むと、仕事に就くことは簡単ではありません。学齢期を過ぎても、社会とのつながりや、自分の能力を活かす機会が少なく、将来への不安を抱える方は少なくありません。私の経験から感じた「働く喜び」私自身の経験を振り返ると、人生には夢を追う時間もあれば、思うようにいかない時間もあります。私の夢はすぐにはかなわなかったものの、周りの人たちの支えのおかげで、新しい夢を見つけることができました。その夢を実現し、今は...

児童発達支援管理責任者になるための流れ~こども子育てサポートルームSAKUからのご案内~

私たち「こども子育てサポートルームSAKU」は、発達に特性をもつ子どもや子育てに不安を抱えるご家庭を支援する場所です。名前に込めた「SAKU」は、“一人ひとりが自分の花を咲かせてほしい”という願いから。私たちが掲げる理念は、系列の志免さくらこども園と同じく 「自分の人生を自分で決められる人を育てる」 です。子どもたちが自分らしく歩んでいけるように支えるためには、専門性と人間性を兼ね備えた職員が必要です。その中でも、事業所運営の要となるのが「児童発達支援管理責任者(以下、児発管)」です。今回は、児発管になるまでの流れを、これから福祉や教育の分野でキャリアを積みたい方に向けてご紹介します。...

こども子育てサポートルームSAKU開設の背景と想い

 志免さくらこども園では、毎日多くの子どもたちをお預かりしています。その中には、成長のスピードや得意なことがそれぞれ異なるお子さまもいらっしゃいます。こうした子どもたちは、地域の児童発達支援事業所に通いながら、必要に応じたサポートを受けています。しかし、園と事業所の連携が十分に取れていないことも少なくありません。朝、保護者に連れられて園に登園した子どもたちは、事業所の送迎で発達支援に向かい、夕方には園に戻って保護者のお迎えを待ちます。その間、園と事業所の間でどのような支援が行われたのか、情報の共有は十分とは言えません。インクルーシブ保育とは国が推進する「インクルーシブ保育」とは、障害の有...

子どもたちの未来を支える ― 児童指導員任用資格とは

「子どもと関わる仕事をしたい」「誰かの成長を支える仕事に携わりたい」そんな思いを持つ方にとって、児童福祉の現場で活躍できる職種のひとつが「児童指導員」です。 こども子育てサポートルームSAKUでは、発達や生活に不安を抱える子どもたちやご家族に寄り添いながら、一人ひとりが「自分の人生を自分で決められる人」へと育っていけるよう支援を行っています。その現場で中心的な役割を担うのが、児童指導員です。児童指導員任用資格とは 「児童指導員」という名称の国家資格は存在しません。正しくは「児童指導員任用資格」と呼ばれ、児童福祉法に基づいて、一定の学歴や資格、経験を持つ方が任用される仕組みです。具体的...

子育て支援員資格とは? 〜地域で子育てを支える新しい学びと働き方〜

 皆さんは「子育て支援員」という資格をご存じでしょうか。ここ数年で耳にする機会が増えてきたこの資格は、実は地域の子育て環境を支えるうえで、とても大切な役割を担っています。保育士や幼稚園教諭のような国家資格ではありませんが、国が定めた研修を修了することで取得でき、子どもや子育て家庭を支援する現場で活躍できる人材として位置づけられています。今回は、子育て支援員資格の「意義」と「取得方法」について、当園の視点も交えながらご紹介します。なぜ「子育て支援員」が必要なのか 少子化が進む一方で、共働き家庭は増加し、保育や子育て支援のニーズは年々高まっています。しかし全国的に保育士不足が続き、必要なサポ...

翔空会の原点~子どもたちと共に歩んできた物語~

第10回 法人理念の確立と未来への展望〜子ども・家庭・地域をつなぐために〜 保育園の開園から日々を重ねる中で、私たちは法人としての理念をより明確にしていく必要性を感じました。単なる保育園の運営ではなく、「子ども・家庭・地域が一体となり、互いに支え合う社会資源としての保育園」を目指すこと――これが私たちの根本の考えです。 この理念の根底には、私自身の経験があります。幼少期に受けた父の厳しさ、しかしその背後にあった愛情や信頼、大学時代の自由と学び、児童養護施設でのボランティア、そして共同保育園での現場経験。すべてが私の中で繋がり、子どもたちの安心・安全な環境や家庭との関わりの大切さを強く意識...

翔空会の原点~子どもたちと共に歩んできた物語~

第9回 開園と初めての日々〜子どもと家庭、地域と共に〜 ついに、私たちの保育園が開園の日を迎えました。準備に明け暮れた日々を思い返すと、胸がいっぱいになります。物件探し、設備整備、職員の採用、地域への挨拶……どれも一つひとつが、子どもたちの安心と成長のために必要な過程でした。 開園初日、子どもたちや保護者が園に足を踏み入れる瞬間、私は緊張と期待で胸が高鳴りました。初めて会う子どもたちは、少し不安そうな表情をしていましたが、保育室の温かい雰囲気や、職員たちの笑顔に少しずつ心を開いてくれました。 保護者の方々との関わりも、開園直後から重要でした。日々の送り迎えや面談を通して、子どもたちの様子...

翔空会の原点~子どもたちと共に歩んできた物語~

第7回 福岡に帰郷し、母と共に保育園設立への挑戦 仙台での認可外保育園での経験を通して、子どもと家庭に寄り添う保育の形を肌で学んだ私は、いよいよ自分の保育園を作るという具体的な夢に向かって動き始めました。大学の卒業資格を取得したのち、福岡に帰郷し、母と一緒に保育園設立の準備を進めることを決めたのです。 しかし、現実は想像以上に厳しいものでした。認可外保育園の設立には、場所の確保、設備の整備、行政への申請手続き、そして資金面の課題など、数え切れないほどの壁が立ちはだかります。初めての経験ばかりで、何から手をつけてよいのか分からない日もありました。それでも、「子どもたちに安心して過ごせる場所...

翔空会の原点~子どもたちと共に歩んできた物語~

認可外保育園でのアルバイト経験〜現場から学んだこと〜 通信制大学での学びと仲間との出会いを経て、私は実際の保育現場で経験を積む必要があると感じ、仙台にある認可外の共同保育所でアルバイトを始めました。目標は、自分の理念を形にするために、現場で子どもや保護者と直接関わることです。 その保育園は、昔ながらの共同保育のスタイルを大切にしていました。子どもたちの活動はすべて子ども自身と話し合って決め、行事も親の合議体で決定されます。最初は戸惑うことばかりでした。子どもたちは自由でエネルギーに満ち溢れており、予測できない動きや遊び方に振り回される日々。しかし、子どもたちと一緒に過ごす中で、私は少しず...

翔空会の原点~子どもたちと共に歩んできた物語~

第5回 通信制大学での学びと仲間との出会い〜保育園設立への道〜 児童養護施設での住み込みボランティアを通して、私は「もっと子どもや家庭に寄り添う活動をしたい」と強く思うようになりました。しかし、資格も学問も不足している自分にとって、次の一歩は簡単ではありませんでした。そんな時、職員の方から通信制大学を紹介されました。「資格を取得すれば、自分の思いをもっと形にできる」との言葉に背中を押され、母に相談し、佛教大学の通信教育部に編入学することを決めました。 通信制大学は、スクーリングで京都に通う夏の数日間が中心でした。その期間は、全国各地から集まった学生たちと直接会い、学びを深める貴重な時間で...

翔空会の原点~子どもたちと共に歩んできた物語~

第4回 児童養護施設での住み込みボランティア〜子どもと向き合う日々〜 通信制大学で福祉について学び始めた私は、児童養護施設での住み込みボランティアに挑戦することにしました。資格も経験もほとんどありませんでしたが、「自分にしかできないこと」を探すには、まず現場で子どもたちと暮らすしかないと感じたのです。 施設に入ると、そこには予想以上にさまざまな事情を抱えた子どもたちがいました。親がいるけれど一緒に暮らせない子、虐待や家庭の事情で施設に預けられた子……。新聞で読んだ知識や本の中の理想像とは全く違う現実が目の前にあり、言葉を失うこともありました。 最初の頃は戸惑いの連続でした。子どもたちは不...

翔空会の原点~子どもたちと共に歩んできた物語~

第3回 大学生活と父の死〜自分にしかできないことを探して〜 大学に進学した頃、私は初めて一人暮らしを経験しました。自由な時間が増え、これまで親に管理されていた生活から解放される喜びに胸を躍らせていました。友人たちと語り合い、全国から集まった学生たちの多様な考え方や価値観に触れる日々は、私にとって刺激的で、楽しい大学生活そのものでした。 しかし、そんな中、人生で最も大きな衝撃のひとつが訪れます。父が悪性リンパ腫と劇症肝炎により、52歳でこの世を去ったのです。大学二年生の私にとって、父の死はあまりにも突然で、受け止めきれない現実でした。父は厳しく、時に怖い存在でしたが、その背中には家族を守る...

翔空会の原点~子どもたちと共に歩んできた物語~

第8回 開園準備と地域とのつながり〜保育園を立ち上げる現場〜 福岡で保育園を立ち上げる決意を固めた私たちは、具体的な開園準備に取りかかりました。物件探しや設備の整備、行政手続き、保育カリキュラムの作成……やることは山積みで、毎日があっという間に過ぎていきました。大学で学んだ知識や仙台での現場経験が頼りでしたが、それでも現実は想像以上に複雑で、課題に直面するたびに試行錯誤の連続でした。 中でも、地域とのつながり作りは重要で、開園の成功に欠かせないものでした。近隣の住民や自治体の方々に挨拶回りをし、子どもたちの安全や地域への配慮を丁寧に説明しました。「地域の中で子どもが安心して過ごせる場」を...

翔空会の原点~子どもたちと共に歩んできた物語~

ルーツの物語⑩ 未来へつなぐ翔空会 翔空会が歩んできた道を振り返ると、多くの挑戦と学びがありました。保育園や福祉施設の立ち上げ、職員との関わり、地域とのつながり――どれも一朝一夕に築けるものではなく、試行錯誤の連続でした。しかし、その一つひとつの経験が、今日の翔空会を支える礎となっています。 私が常に考えているのは、「この法人の存在意義は何か」ということです。それは、子どもたちや保護者、地域の方々にとって安心できる場所をつくり、そこから未来に希望をつなぐことだと思っています。子どもが笑顔で学び、親が安心して子育てに向き合い、地域が温かく見守る――そんな循環をつくることこそ、翔空会の使命で...