第7回 福岡に帰郷し、母と共に保育園設立への挑戦
仙台での認可外保育園での経験を通して、子どもと家庭に寄り添う保育の形を肌で学んだ私は、いよいよ自分の保育園を作るという具体的な夢に向かって動き始めました。大学の卒業資格を取得したのち、福岡に帰郷し、母と一緒に保育園設立の準備を進めることを決めたのです。
しかし、現実は想像以上に厳しいものでした。認可外保育園の設立には、場所の確保、設備の整備、行政への申請手続き、そして資金面の課題など、数え切れないほどの壁が立ちはだかります。初めての経験ばかりで、何から手をつけてよいのか分からない日もありました。それでも、「子どもたちに安心して過ごせる場所をつくる」という強い思いだけを頼りに、母と共に一歩ずつ進めていきました。
特に大変だったのは、人手と信頼関係の確保です。保育園は人が育てる仕事です。どれだけ理念が素晴らしくても、そこに携わる職員がいなければ形になりません。地域の方々や元同僚、知人に声をかけ、少しずつ協力してくれる仲間が集まるようになりました。その一人ひとりが、私たちの夢を共に支えてくれる存在となり、心強さを実感しました。
また、地域の方々との信頼関係づくりも重要でした。保育園の開設に理解を得るため、近隣住民や自治体の方々と丁寧に話し合い、子どもたちの安全と地域への配慮を伝える日々が続きました。少しずつ、地域の方々も私たちの理念に共感してくれるようになり、「応援したい」と言ってくれる人が増えていきました。
困難の連続でしたが、その一つひとつが学びであり、保育園設立に向けた準備として必要なプロセスだと感じました。理念を形にするためには、失敗も試行錯誤も避けては通れないのです。そして、その経験が今後の園運営における判断力や信頼関係の礎となることを、母と共に痛感しました。
こうして私たちは、福岡での保育園設立への挑戦を始めました。夢を形にするための最初の一歩は小さくとも、その歩みがやがて子どもたちと家庭、地域の未来を支える大きな力になる――そう信じて、日々前に進んでいったのです。