認可外保育園でのアルバイト経験〜現場から学んだこと〜
通信制大学での学びと仲間との出会いを経て、私は実際の保育現場で経験を積む必要があると感じ、仙台にある認可外の共同保育所でアルバイトを始めました。目標は、自分の理念を形にするために、現場で子どもや保護者と直接関わることです。
その保育園は、昔ながらの共同保育のスタイルを大切にしていました。子どもたちの活動はすべて子ども自身と話し合って決め、行事も親の合議体で決定されます。最初は戸惑うことばかりでした。子どもたちは自由でエネルギーに満ち溢れており、予測できない動きや遊び方に振り回される日々。しかし、子どもたちと一緒に過ごす中で、私は少しずつ気づき始めました。
子どもたちに必要なのは、完璧な指導や教科書的な教育ではなく、「安心して過ごせる環境」と「自分を受け止めてくれる大人の存在」だということです。泣いている子を抱きしめ、一緒に遊び、話を聞く――そんな日常の一つひとつが、子どもたちの心の安定につながるのだと感じました。
また、親たちとの関わりも学びの大きな部分でした。共同保育では、保護者の意見や考えが尊重され、親同士も協力し合いながら子育てを行います。その姿を間近で見ることで、保育は子どもだけでなく、家庭全体を支える活動であることを実感しました。子どもを育てるには、親や地域の支えが欠かせない――そのことを肌で感じる貴重な体験でした。
このアルバイト経験を通して、私は「理念は現場でこそ形になる」ということを学びました。理想や夢だけでは、子どもや家庭に寄り添うことはできません。現場での体験、失敗、試行錯誤の中で、初めて理念が具体的な行動として根付くのです。
そして、私はこの経験を胸に、福岡に帰って母と一緒に保育園を立ち上げる決意を固めました。現場で学んだこと、子どもや親、地域との関わりの中で得た気づきが、これからの保育園運営の土台になる――そう確信したのです。