第9回 開園と初めての日々〜子どもと家庭、地域と共に〜
ついに、私たちの保育園が開園の日を迎えました。準備に明け暮れた日々を思い返すと、胸がいっぱいになります。物件探し、設備整備、職員の採用、地域への挨拶……どれも一つひとつが、子どもたちの安心と成長のために必要な過程でした。
開園初日、子どもたちや保護者が園に足を踏み入れる瞬間、私は緊張と期待で胸が高鳴りました。初めて会う子どもたちは、少し不安そうな表情をしていましたが、保育室の温かい雰囲気や、職員たちの笑顔に少しずつ心を開いてくれました。
保護者の方々との関わりも、開園直後から重要でした。日々の送り迎えや面談を通して、子どもたちの様子を共有し、家庭と園が一体となって子どもを育てる意識を持ってもらうよう心がけました。保護者の方々の笑顔や、「ここに預けてよかった」と言っていただける言葉が、私たちにとって何よりの励みになりました。
また、地域とのつながりも日々意識しました。近隣の方々に園の様子を知ってもらうため、行事やお祭りには積極的に参加し、地域と共に子どもを育む環境を作ることを心がけました。地域の方々の温かい声援や協力が、私たちの活動に大きな支えとなったのです。
開園してからの毎日は、新しい発見の連続でした。子どもたちの個性に触れ、一緒に遊び、学ぶことで、理論だけでは得られない現場の知恵を身につけることができました。困ったことがあっても、仲間と協力し合い、試行錯誤しながら解決する日々。そこには、理念だけでは成し得ない、現実に根ざした保育の喜びがありました。
この初めての日々で、私は改めて実感しました。保育園は単なる預かり場所ではなく、子ども、家庭、地域の三者がつながり、共に育つ場であるということを。そして、この保育園での経験こそが、私たちの法人理念の根幹を形作る土台になるのだと確信したのです。