第5回 通信制大学での学びと仲間との出会い〜保育園設立への道〜
児童養護施設での住み込みボランティアを通して、私は「もっと子どもや家庭に寄り添う活動をしたい」と強く思うようになりました。しかし、資格も学問も不足している自分にとって、次の一歩は簡単ではありませんでした。そんな時、職員の方から通信制大学を紹介されました。「資格を取得すれば、自分の思いをもっと形にできる」との言葉に背中を押され、母に相談し、佛教大学の通信教育部に編入学することを決めました。
通信制大学は、スクーリングで京都に通う夏の数日間が中心でした。その期間は、全国各地から集まった学生たちと直接会い、学びを深める貴重な時間です。普段は自宅で課題をこなしながら学ぶ日々ですが、スクーリングでは同じ志を持つ仲間と出会い、意見を交わし、互いに刺激し合うことができました。
その中で、私はある友人と出会いました。彼もまた、「子どもと家庭に寄り添う保育園を作りたい」という強い思いを持っていました。お互いに夢や目標を語り合ううちに、「一緒に学び、現場を見に行こう」と誘われました。その保育園は、数十年前に母親たちが自主的に立ち上げた共同保育の施設で、地域の中で互いに助け合いながら子どもを育てるという理念を持っていました。
初めてその園を訪れたとき、私は胸が熱くなりました。元気いっぱいの子どもたち、親同士の温かい関わり、そして職員の一人ひとりが子どもと真剣に向き合う姿。その場に立った瞬間、直感しました。「これが、自分が目指す保育園だ」と。私の中で、保育園を設立するという夢が、現実の形を持ち始めた瞬間でした。
大学での学びや仲間との出会いは、単に知識を得るだけではありませんでした。志を共有する人と出会い、具体的なイメージを持つことで、自分の夢を現実にする勇気と方向性を得ることができたのです。この経験が、後の保育園設立への道を切り拓く大きな原動力となりました。
通信制大学での学びと出会いを通して、私は「理念を持ち、人とつながることの力」を実感しました。そして、その思いを胸に、次のステップとして、実際に保育園での現場経験を積むことを決意したのです。