第10回 法人理念の確立と未来への展望〜子ども・家庭・地域をつなぐために〜
保育園の開園から日々を重ねる中で、私たちは法人としての理念をより明確にしていく必要性を感じました。単なる保育園の運営ではなく、「子ども・家庭・地域が一体となり、互いに支え合う社会資源としての保育園」を目指すこと――これが私たちの根本の考えです。
この理念の根底には、私自身の経験があります。幼少期に受けた父の厳しさ、しかしその背後にあった愛情や信頼、大学時代の自由と学び、児童養護施設でのボランティア、そして共同保育園での現場経験。すべてが私の中で繋がり、子どもたちの安心・安全な環境や家庭との関わりの大切さを強く意識させました。
法人理念としては、まず「子どもが主体となれる保育」を大切にしています。子どもたちが自分の意思で遊び、考え、表現する中で、自己肯定感を育てることができるようにしています。次に「家庭との協働」。保護者の声を尊重し、共に子どもの成長を支えるパートナーとして向き合うことを基本にしています。そして「地域との連携」。地域住民や関係機関と協力し、子どもを育む環境全体を豊かにしていくことを目指しています。
今後の展望としては、保育園を単なる子どもの預かり場所にとどめず、地域の世代間交流や子育て支援の拠点としてさらに発展させたいと考えています。子どもたちが育つ環境を支えるためには、家庭や地域とのつながりが欠かせません。法人としても、地域の方々と共に学び、成長し続ける組織を目指していきたいと思っています。
振り返れば、私の歩みは決して平坦ではありませんでした。父の死、大学受験の挫折、現場での葛藤、保育園設立の困難……すべてがあったからこそ、今の法人理念が形作られたのだと感じます。理念は、現場での経験と人とのつながりから生まれ、未来へと受け継がれていくものです。
これからも、子ども・家庭・地域をつなぎ、支え合う場所を作るという使命を胸に、日々の保育に向き合っていきます。そして、この理念を共に実現してくれる仲間を、私たちはこれからも大切に迎え入れていきたいと思っています。