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「誰も助けてはくれない。困ってる人を助けなければ」コロナ騒動で僕がスタッフに伝えた「本当のこと」

新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられた方々及びご家族・関係者の皆様に謹んでお悔やみ申し上げますとともに、罹患された方々には心よりお見舞い申し上げます。また、医療従事者の方々はじめ、行政の皆様等、感染防止にご尽力されている皆様に深謝申し上げます。そしてこの災禍が一日も早く収束することを心から祈っております。
この記事は2020年3月27日に取材したもので、4月7日には緊急事態宣言が出され状況は刻々と変わっております。どうぞご了承の上ご覧ください。(編集チーム)

新型コロナウイルスの広がりで、多くの企業が対応を迫られる中、デジタルエージェンシーと言えど当社も例外ではいられませんでした。いくつかの案件はストップし、全社リモートワークへと移行して5週間が経過しています。

それでも、常日頃から大切にしている「勝手に幸せになりなはれ」というモットーがブレることなく、スタッフが誰にも管理されずに、自ら決めた自由と責任の範疇で柔軟な働き方と能力の発揮を両立できるよう、日々奮闘しています。

今回は、代表の爲廣(慎二)さんに、取材を実施した3月27日時点でのコロナ騒動の影響やそれまでに行った対応、そして、社員の自由を守りたいからこそ、みんなに伝えた「本当のこと」について、話を聞きました。

コロナ騒動、経営への影響

―新型コロナウイルスの広がりを受けて、3月27日時点の状況は?

率直なところ「堪忍してえな」と思いました。大きな変化は早々に全社リモートワークへ移行したこと。すでに5週間が経過しました。全員が離れて働かなければいけないことのストレスは、正直大きいです。

TAMにはシンガポール、ロンドンなど海外にも支社があります。海外のスタッフと話すと、コロナに対する措置では海外と日本との間でギャップがあるなと。海外のほうが厳格にルールを敷いているようです。

例えば、シンガポールのスタッフは日本出張から帰国後、14日間は自宅待機に。イギリス支社では行政関係の仕事もペンディングになりました。それに比べて、日本は都内の電車はまだ混んでいるし、ビジネスもあまり止まっていません。

ただ、TAMは売上の2割程度がネット広告事業で、大手塾の春期講習の募集広告だとか、イベント集客の広告だとか、そこでの影響は感じています。開発・制作系の案件でも納期のずれ込みは避けられないだろうと思います。その分、短期的には売上は下がりますが、事態が収束すれば戻ってくると思います。

リアルの需要が、オンラインに移行しているようです。

リモートで満たされない「人間関係欲求」

―全社リモートワークに移行して、スタッフへの影響はいかがですか?

TAMには大きく分けて2つの職種があります。半分はデザイナーやエンジニアなどのスペシャリスト、もう半分はディレクターや広告プランナーなどのジェネラリスト系です。

このうちスペシャリスト系のスタッフは、考える対象ややることが明確なので、リモートワークになっても「特に影響ないですよ」といった感じで、のびのびと仕事をしているようです。

一方、ジェネラリスト系やリーダー職のスタッフは、リモートワークになってやりにくさを感じているようです。お客さまに対面で会えなかったり、リモートワークに慣れていないお客さんもいたりして。

きっと、人と会うとか、考えるとか、重要だけど緊急性のない仕事というのは、リモートではやりにくいんでしょうね。

TAMは以前からリモートワークを取り入れてきた会社ですけど、いざ一カ月以上、全社リモートワークを余儀なくされてみると、このほかにもいろんな課題が見えてきました。

―例えば、リーダー職の方はリモートワークのどんな場面で困っていますか?

彼らにとって「教えること」は大切な仕事です。これまで、スタッフからなにかを聞かれて教える、ということがコミュニケーションの中でもそれなりの比重を占めていたはず。

それがリモートワークになると、「ちょっと聞く」「ちょっと教える」機会が減る。つまりコミュニケーションの総量が少なくなる。すると、お互いの「今」のことがよく分からなくなってくるんですね。

お互いのことがよく分からなくなってくる、つまり、人間関係が希薄になると、スタッフもリーダー自身も、成長しようとする意欲が減っていってしまいます。これはよく分かる話で、心理学者のクレイトン・アルダファーがすでに明らかにしているんです。

彼が提唱した「ERG理論」は、マズローの法則の進化版と言われているんですが、これは、
・人間の欲求は「E=Existence(存在)」「R=Relatedness(人間関係)」「G=Growth(成長)」に集約される
・基本的に個人や組織は「存在欲求」と「人間関係欲求」が順に満たされて、そのうえではじめて「成長欲求」に至る
というものです。

今回のリモートワークでは、その難しさをまざまざと思い知りました。「Slack」とか「Zoom」では、なかなかそうはいかないんですよ。やっぱりリアルで仲間の体温を感じながら関係を維持するのが大事なんです。参加する熱量やモチベーションが違うと思います。

リモートワークの働き方は進めるべきですが、リアルでも会うことのバランスも必要。どっちか一方ではあかん。僕は昔から「雑談」や「井戸端会議」が大事と言い続けてきましたが、お互いの「今」を理解するためにコミュニケーションの総量を維持する大切さをあらためて感じました。

大変な思いのスタッフに伝えた「本当のこと」

―そうした中で、3月中旬には全社向けのビデオメッセージを配信しました。

初めはA4・数枚のテキストでメッセージを伝えようと思ったのですが、それだと流し読みされて3分の1ぐらいのスタッフしかしっかりとは読んでくれないんじゃないか、と思いまして、「5分だけがまんして見てくれ」ということでビデオにしました。

「学校閉鎖で子どもが家にいて大変」という話は聞くので、お子さんのお世話を優先して在宅にしても構わないし、何時に出社しても構わないということも言いました。が、うちは裁量労働制でもともと出社時間はある程度融通が効くので、これはみんなが当然と捉えていると思います。

むしろ今回、経営者としてはじめて発したメッセージは、「社会全体が難しいからといって、誰も助けてくれない。コロナに負けない成長をかならず達成しよう」ということでした。

―こうした状況で、強いメッセージを送ることに躊躇はありませんでしたか?

うん・・・・・・正直、それは考えたこともなかったですね。

コロナだからといって赤字になっても、誰も助けてくれません。大手は分かりませんが、僕ぐらいのレベルの経営者だったら、「頼むから歯を食いしばっても業績落とさんでくれ」って、これは誰でも思うことだと思います。

もし、普段からスタッフが「会社が守ってくれよ」「貯金だってあるだろう」と思っていて、会社もスタッフに言いたいことを言えない、お互いに依存関係にあれば、こういう本当のことは言いづらいでしょうね。そういう会社もあるかもしれないと、今気づきました。

むしろ、こういうときだけは、強くトップダウンで方向性を伝えなければ、とさえ思いました。右に行くのか、左に行くのかを伝えて、スタッフの理解を促す。判断を間違えば、みんなで討ち死に・・・・・・ということになるんでしょうが、ただ、今回は自分が前に出ないといけないと感じました。

成長領域にある会社は、困ってる人を助けなければ

―そうしたメッセージに対して、スタッフの反応は?

全員がどう感じているかは分かりません。ただ、こうした中でも成長を達成するために、スタッフから新たなビジネスのアイデアが生まれてきているのはたしかです。

例えば、これまで手掛けたことのない「ウェビナー」に取り組んだり、「Tiktok」にフォーカスして、インフルエンサーと協業した広告設計のあり方を変えたり・・・・・・コロナ以前にはなかったものが生まれつつある実感があります。過ぎたあと、振り返って、いい機会だったと捉えられるといい。

スタッフには、「成長領域にあるわれわれのような会社は、頑張って、困っている人を助けなければいけない」とも伝えました。これは、スタッフの前でちょっとええかっこしたかもしれませんが(苦笑)。

僕らにできるのは、税金を納めること。ほんのわずかなことでも困っている人の役に立たなアカン、そういう意気込みで仕事をしようや、ということです。WHOなどに利益の一部を寄付しなければならないと考えています。

―今後、どのような心境で立ち向かいますか?

リモートワークは2カ月目に入りました。この一カ月は大変で、削られたものもあるけれど、スタッフのおかげで得られたものも大きい不謹慎かもしれませんが、これもかけがえのない経験だと。

今は、世界中みんなが辛い状況ですが、「未来に対して常にポジティブに考える」というマインドを忘れることなく挑んでいきたいです。

[取材・企画・編集] 岡徳之 [構成] 山本直子 [撮影] 藤山誠
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