普段はコウダプロ代表の幸田さんが朝礼で講話をしてくださいますが、今回は幸田さんが出張のため不在。その代わりに、新卒7年目で管理職を務める原口水月さんが代理としてお話をしてくれました。
原口さんは、2016年に創業したコウダプロの新卒第1号であり、社歴の長い社員のひとりです。赤坂の小さなオフィスを拠点にしていた頃から会社を知る数少ない存在であり、コウダプロの歩みを間近で見続けてきた人物でもあります。
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今回の朝礼では「コウダプロで心に残っている言葉と出来事」というテーマで、10を超えるエピソードが紹介されました。幸田さんから直接授かった言葉や日々の仕事を通じて得た気づきなどが語られ、その中から再現性のある学びを、ライターである私の視点でまとめています。
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こんにちは、プレスラボ(@presslabo)の池田園子です。月1回「コウダプロ朝礼レポート」を担当させていただいています。
前回(2025年8月)の朝礼noteはこちらから。
「来るもの拒まず、去るもの追わず」
原口さんが入社を考えていた2018年頃、初めてコウダプロを訪れたのは朝礼の場でした。場所は赤坂の六畳一間ほどの小さなオフィス。当時は6人ほどがテーブルを囲み、活発に意見を交わしていたそうです。その場で社員同士が率直に言い合う場面を目にし、「こんなに本音をぶつけ合う会社なのか」と驚き、魅力を感じたといいます。
2回目に訪れたのは「コウダプロ憲法」の勉強会。その内容を聞いて「ここで働きたい」と強く思い、幸田さんに入社希望を伝えました。そのときに聞いたのが「来るもの拒まず、去るもの追わず」という採用スタンスでした。
この言葉は今では「自分で選んでここにいる」という意味合いを持つようになっています。志願者が増えた現在では簡単に入社できる環境ではなくなりました。そして、不採用となっても、再チャレンジしてくる人がいる。「拒まず」といえる一方で、辞めていく人については「追わない」という姿勢が一貫しています。
まとめ
「自分で選んでここにいる」という姿勢を大切にすることが前提。会社に与えられるのではなく、自ら決めて選び取ることが成長の土台となる。
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「まずは信じたらいい。信じない選択にメリットはない」
入社して半年ほど経った頃、社内では数名の退職が相次ぎました。当時の採用について「なぜこの人を採るのか?」と首をかしげる声もあり、社員の間には社長・幸田さんへの不信感が広がっていたといいます。
そんな状況の中で、幸田さんはこう語りました。
「みんなは自分の貴重な時間を使ってこの会社で働いている。その会社や社長を疑うことにメリットはない。そもそも転職する自由は誰にでもある。だったら、まずは信じたらいい。信じて裏切られたと感じたら、別の道に進めばいい。信じない選択にメリットはない」
この言葉に、原口さんは大きな衝撃を受けました。
「信じるかどうか」という二択を確率論で考えると、信じた場合は「よかった」と思えるか「裏切られた」のどちらかになる。けれど、信じなかった場合には「よかった」にたどり着くことは決してない——。そう理解した原口さんは、「精神論ではなく、これは確率論なのだ」と腑に落ち、それ以来「理解できないことがあってもまずは信じよう」と決めたといいます。
実際にその後7年間、裏切られたと感じたことはなく、会社に所属し続けていること自体が「信じてよかった」という証になっていると語っていました。
原口さんの入社から2年後、後輩のヤマが会社に不信感を抱いたときには喫茶店に誘い、この考えを伝えたそうです。
「信じてみて、もし駄目なら他に行けばいい。その方が、この場にいる間は思い切り振り切れる」。この言葉でヤマの心は動き、不信感が消えて、いきいきと働けるようになったといいます。
まとめ
会社やリーダーに違和感を覚える瞬間は誰にでもある。そのときこそ「疑っても得られるものはない」と考え、信じて動く方が振り切って働け、結果的に力を発揮しやすい。
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「自分で居場所をつくる努力をする」
新卒で入社したばかりの頃の原口さんは、「尖っているタイプ」だったそう。周囲から反発を受けても別に気にしない、良くも悪くも我を貫いていたといいます。
そんな原口さんに最初の上司がかけた言葉が「そのスタンスでもいいけど、自分で居場所をつくる努力をした方がいいよ」でした。孤立してしまわないようにとの思いからの助言だったそうです。
当時の原口さんにはなかった「居場所を自らつくる」という発想。しかしその後、これは自分だけでなく周囲にとっても大きな意味があると気づきました。少し柔らかく振る舞うことで相手が接しやすくなり、関係性が良くなる。結果としてチーム全体が働きやすい環境になるのです。
若くして「より良いチームワークを築くために、自ら居場所をつくる」という視点を持つことは難しいですが、それが組織で良い環境を維持するための大事な一歩になると原口さんは振り返ります。
まとめ
「居場所は与えられるものではなく、自分でつくるもの」。その努力が巡り巡って自分を守り、チーム全体の心地よさにつながる。若手にこそ伝えたい学びです。
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「素直さとは『自分には見えていないものが相手には見えているのでは?』と考えられること」
幸田さんの言葉で、原口さんが衝撃を受けたもうひとつがこちら。
「素直さとは『自分には見えていないものが相手には見えているのでは?』と考えられること」
この定義を聞いて腑に落ちたとき、原口さんは「生きるのが楽になった」と感じたといいます。
人が見えている世界はほんの一部にすぎない。だから見えていないところにこそ答えがあるかもしれない——幸田さんはそうも語っていました。
この考えを取り入れてから、原口さんは「相手にとっての正解はそうなのか」と受け止められるようになり、自分の考えへの執着が減ったと振り返ります。
この気づきは、幸田さんが語る「人は自分を中心に考える生き物」という考え方ともつながります。誰もが自分を基準に物事を見ている。だからこそ「人には人の理屈や異論がある」と理解することで、自身と他者の違いを受け入れられるようになるのです。
現在マネジメントを担う立場にある原口さんにとって、この学びは特に大きな意味を持ちます。多様な価値観やスタイルを持つ人と接する中で「相手には相手の見えている世界がある」と考えることが、チームを前に進める力になっています。
まとめ
自分の視点に固執しないこと。人は自分中心であると知ること。このふたつを合わせ持つことで、他者を受け止めやすくなり、心が軽くなる。生き方や働き方を支える大切な姿勢です。
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(編集後記)
今回の朝礼では、原口さんから多くの学びにあふれるエピソードが紹介されました。印象的だったのは、言葉だけでなく「どう受け止め、どう行動しているか」が語られていた点です。とても実践的で面白かったです!
ここでは触れきれませんでしたが、幸田さんの「一対多数の構図は嫌いだ」という言葉も忘れがたいものです。多数でひとりを攻撃するのは卑怯であり、弱さの表れだとする考え方は健全であり、守られた側の社員にとっては大きな安心感につながるはずです。
一方で、出張の合間に「昼ご飯、何にしよっか?」と同行する社員に声をかける幸田さんの姿も紹介されました。張り詰めた空気の中に、ふっと気を抜ける瞬間をつくる。その緩急があるからこそ、緊張感のある出張でも力を発揮できるのだと原口さんは話していました。現在マネジメントを担う立場となった原口さん自身も、その姿勢を大切にしているそうです。
硬派で厳しさを持つエピソードと、柔らかさや人間味を感じる幸田さんのエピソード。その両面が紹介された今回の朝礼は、改めてコウダプロらしさを浮き彫りにするものでした。今後もこうしたシリーズを続け、他の社員の方々からもお話を伺いたいと思います。「幸田さん名言集」をつくりたくなるほどに、学びの宝庫でした。
Text/池田園子