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freeeで最も金融機関と共同サービスを作った会計士は、今後の金融サービスに何を思うのか 〜finance lab特集 vol.6〜

今回は、監査法人から転身し、2015年にfreee入社した花井一寛をご紹介します。

花井はfreeeの中でもっとも長い期間、金融機関との取り組みを進めてきました。

そんな花井に、金融事業の歴史とこれからについてインタビューをしてみました。

初めての金融機関との取り組みは?

ーいつから金融機関との提携をしているんですか?

入社直後は会計事務所向けのセールスを担当していました。

その後、2016年から「事業開発」という部署で、金融機関との提携を進めたのが始めです。そこからは部署名は変わりつつも、今まで一貫して金融機関の皆さんと協業を続けています。

ー関わった取り組みについても教えてください。

最初に行った取り組みは、石川県にある北國銀行さんに1-2ヶ月常駐して、地域のクラウド化や融資先と銀行とのコミュニケーションの効率化です。

そのほか、銀行法が改正される前にメガバンクやネット銀行との参照系・更新系API連携をリリースしたり、freeeのデータ連携を活用したタイムリーな与信審査ができる商品をネット銀行や地銀の方と一緒に開発しました。

最近は資本業務提携やOLTAさんなどの銀行以外のパートナーと連携サービスも作りましたね。

ーほんと色々やってますね。はじめはやっぱり苦労があったんですか?

はい、すごい手探りでした。

過去に前例がないものばかりだったので。案件は山ほどありましたが、進まずに闇に葬られた案件の方が圧倒的に多いですし、今思えば筋が悪かった企画も当時は気づかずに無理やり頑張ろうとしていました。

freeeと銀行では組織の動き方やロジックが大きく違うため、金融機関さん側の事情を理解しないアプローチをして話が進まなくなったこともありました。

そんな中で、北國銀行さんやジャパンネット銀行さんとの取り組みは、スタートアップと金融機関との協業の”さきがけ”だったかなと思っています。

ー北國銀行さんとの取り組みについて教えていただけますか。

北國銀行さんはペーパーレスを推進していることがニュースに出るほど先進的な銀行なのですが、freeeとも継続的に新しい挑戦をしています。

2015年12月に、freeeの金融アドバイザーアカウントを発表してから、すぐに北國銀行さまとの業務提携の発表をしました。

会計freeeを使えば遠隔で会計支援ができるので、訪問中心だった地方銀行のお客様サービスを、リアルタイムかつ効率化できるので活用いただきました。

全社でペーパーレスも実現した先進的な銀行さんですから、私も何度も銀行に伺い、地域のお客さんに同行訪問するなど色々勉強させていただきました。

freeeをお客さんに勧めて会計管理を効率化するだけで終わらず、freeeユーザーさんの異変にいちはやく気づけるリアルタイム経営シグナルの開発に着手することになったのは、本当に印象的な出来事でした。

実はリアルタイム経営シグナルは、北國銀行さんのコンサルティング部や創業支援チームの行員さんのアイデアから開発が進んだプロジェクトなんです当初から、お客様へより良いサービスを提供するためのパートナーとして本気で考えていただけたからこそ実現できたのかなと。

ージャパンネット銀行さんとも、昔から多くの取り組みをされてますよね?

API連携から始まり、会社設立freeeのリリース時から連携口座として入っていただいたり、入金確認・消込業務を効率化するワンタイム口座の開発、参照系・更新系のAPI連携freeeのデータを使ったビジネスローンを共同開発するなど、様々なサービスで連携しています。

ーすごいですよね。昔からワンタイム口座とビジネスローンは社内で勧めまくってますよね。

本当に価値があるサービスなんですけど、当時はマーケティングに全然力が入れられてなかったので、あまり多くのユーザーさんに届いていなかったのは歯がゆかったです。

昨年末にfreeeユーザーさんが集まる資金調達がテーマのイベント(イベントレポートはこちら)でも、上記のビジネスローンの話をしたのですが、その場ですごく感動していただけて嬉しい半面、freeeファンにも知られていないのは正直残念でしたね。

ー何が凄いんでしょうか?

審査の早さなどはもちろんですが、「極度型」のローンが便利さの割に世の中にあまり存在しないんですよ。

極度型のローンは、融資枠だけ無料で抑えておいて、借りたいときに借りられます。借りた時だけ利息がかかる仕組みです。「念のため枠を押さえておく」ときに、利息が必要ないので便利なんです。

しかも、リリース当初は審査に2期(2年)分のfreee利用が必要だったんですが、一昨年(2017年)からは審査に必要な期間を6ヶ月にしてもらいました。

一般のローン商品って、数年分の決算書を提出をするのが当たり前です。それを、リアルタイムなfreeeと連携することで、1年未満で評価できる仕組みを作っていただきました。

もちろん審査はありますが、freeeと連携すれば6ヶ月の入出金履歴だけで審査ができるのは、やっぱり画期的ですね。

昔と今の取り組みの違い

ー当時と今では取り組みの形は変わっているのでしょうか?

やっぱり3年前に銀行さんとやる時の感じとは、かなり違います

昔はよくあったのですが、「アライアンス」より「いち業者」として見られて「とりあえず話聞いてみたいから地方の遠い所まで来て」みたいな気軽なリクエストは無くなりましたね。あと、「赤字企業とは協業が難しい」といった話も減りました。

先にも言ったように、freee側も金融機関の皆様の事情や考え方も理解した上で、一緒にユーザーさんのメリットを実現するための取り組みを進められるようになっています。

この3年は、ベンチャーと大企業との協業の在り方について、社会全体に理解を広げられた期間だったように思います。ややブーム感もありますが、freeeを機に数多くの金融機関との協業が生まれ、ようやく「協業の仕方」がベンチャーにも大企業にも認知されてきたかなと。

弊社の例だと、スモールビジネスの業界やバックオフィス、プロダクト作りにおいてはfreeeの方が知見があるからむしろ教えてほしいとか、「一緒に専門性を出し合って連携したい」など、協業パートナーとして認識されていると感じています。

おそらく他のスタートアップさんも、対等なパートナーとして金融機関と話をする機会は増えたのではないでしょうか。

ーそうなると突っ込んだ取り組みもできるようになりますね。

そうですね。これまで実現してきたAPIや協業実績が土台になって、お互いが学びや知見を出し合えるようになったので、次の新しいサービスづくりも昔と段違いの深さと速さで進むようになりました。

パートナーとの取り組みのきっかけとしては、A社の商品をfreeeが一緒に売ったり、その逆といった販売協業がメインでしたが、今ではそもそもサービス自体を新しく作ることを見込んで話を進めるのが当たり前ですね。

金融機関単体では手の届かないことを、freeeの特徴を活かした新サービスを作ることで解決する。freeeとしても規制上できないことや取れないリスクは金融機関に対応いただくことで、ユーザーさんは会計の管理だけではなく他にはない資金繰り改善の手段を手に入れられる。そんな新しい価値を生み出すサービスづくりをできるようになりました。

freeeは事業開発にとって理想の環境

ーfreeeで働く魅力ってなんでしょうか?

freeeって、使える強みがすごく多いんですよ。

事業開発や提携に関わる私のような人にとっては、企業の強みが多いこと=自分の引き出しの多さになるので、共同開発や交渉が非常に面白いです。

当然、大きい企業の方がケーパビリティや持っている資産は多いんですが、一方で組織の壁やしがらみ、ルールや前例主義などの考え方で、実際に使えないことの方が多い。

反対に、ベンチャーすぎると、自由だけど持っている物も少ないみたいな感じで。

freeeの場合だと事業の性質上、100万事業所以上のユーザーさんと、Webで常に接点を持っているし、テクノロジーもリッチで、優秀な人材が色んな部署に沢山いて、協業先も多く、権限も現場にかなり移譲されています。何より「アウトプット→思考」や「マジ価値」といった、ユーザーに価値あることはまずやってみる文化があります。

これくらいできるようなライバルがいないので、協業パートナーさんとの提携をやりやすくして、その学びからさらに新しい取り組みに進めます。

「いろんなことができるよ」と採用でアピールする企業は多いと思いますが、ここ(freee)以上に多彩な強みをを持って、それを実際に使える可能性が高い会社は少ないんじゃないでしょうか。

使える資産の多さと、人材の多様性、それを使ってもいいよという組織の価値観のバランスが良いのかなと思っています。

ーチームのメンバーには、どんな特徴がありますか。

freeeってみんな結構1ネタ持っていますよね。個性が凄いです。

「なんかこの人、普通そうに見えるけど、そんな過去とか趣味の人に初めて会った」みたいなのがめちゃくちゃ多いですよね。

ー以前の職場は、そうではなかったんですか?

やっぱり監査法人やコンサルティング会社は、専門職なので同じようなバックグラウンドがあるので、近い人種が多いというか。

一方で、freeeは経歴はスゴい人もいるし、あんまりオープンに書けないことも含めてお互いのことを話すと、びっくりすること多いですよね。

ー組織の雰囲気についても教えてください。

綺麗事をなるべく貫こうとする姿勢がすごく良いなと。

freeeの価値基準もあるし、組織全体に心理的安全性を感じるので、誰が相手でも正論で話をできるのはやりやすいですね。

今後やっていきたいこと

ーすでにいろいろやってきたと思いますが、今後やりたいことはありますか?

資金繰り改善なら、例えば何年後かに起業する中小企業の人達が、「あれfreeeのサービスが無い時代ってどうしていたの?」みたいなサービスを生み出したいですね。

ー今ある物で例を出すなら、どういうものですか?

googleのG suiteなんかはfreeeに入る前まで使ったこと無かったですけど、使い出すと不可逆ですよね。今はwordやパワポがメールで送られてくる度に、過去の自分を忘れて「この人達どうやって一緒にファイル編集してるんだろう」と思ったりします。

中小企業における金融の世界だと、ネットプロテクション等の後払い系サービスくらいで、ここ10年は不可逆なサービスは特に無いように思います。なので、freeeで作りたいです。

ー最後に、今後どういう人と働きたいかを教えてください。

自分の強みや専門領域を生かしつつも、他の領域にも意見を言える人と仕事をしたいです。

たとえば、うちのチームではマーケティングのメンバーが事業計画とかプロダクトに意見言うのも当たり前で、逆に私もマーケティングのやり方に普通に意見を言いますし。というか口を出さずにいられないだけなんですが(笑)。

そもそも、新しいサービスを作っているので、「言われた仕事をやる」という人は、ちょっと居づらいかもしれません。逆に、組織や事業にとって自分が必要と思うことであれば、役割を超えて貢献したいという人には、この上なく面白い場所だと思います。

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