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【集客からクロージングまで】自分より強い人を採用する手法を10個妄想してみる # 帰れま10 vol.02 イベントレポート
AIの世界的権威、アロン・ハレヴィ、多くの人に衝撃を与えた論文「雇用の未来」の著者でありオックスフォード大学教授のマイケル・A・オズボーンをはじめとして、様々な人を仲間にしてきたエクサウィザーズ代表の石山さん。
6月2日に「【集客からクロージングまで】自分より強い人を採用する手法を10個妄想してみる # 帰れま10 vol.02」と題し、石山さんと一緒にこれまで取り組んできた採用手法を振り返りつつ、これから実践したら面白い採用手法の妄想ブレインストーミングを行いました。
この記事では、同日のイベントレポートをお届けます。
忙しい人向け。強い人を採用するための10個の妄想企画
現場の「ポジションの椅子取りゲーム」思考を変える
半田:エクサウィザーズは今年で5期目を迎えました。スタートアップでありながら非常に多くの優秀なメンバーに参画してもらえているのは、「自分より強い人を採用する」スタイルを愚直に追求してきた成果だと考えています。
今回はエクサウィザーズ代表の石山さんと一緒に、当社が実践してきた手法を振り返りつつ、未来の採用のあり方についても考えてみたいと思います。
本日のトピックは、
1.自分より強い人を採用する重要性
2.過去のエクサウィザーズの採用の飛び道具を振り返る
3.未来の採用の飛び道具を考える
の三つです。
では一つ目から。「自分より強い人を採用する重要性」について。採用活動において大事にすべきこととしてよく取り上げられますよね。石山さんはどのように考えていますか?
石山:経営上マストの項目だと認識しています。論理的に考えて、自分と同レベルの人ばかり採用していたら会社の成長はステイしてしまいますよね。会社を成長させるためには、自分より強い人、つまり、何か秀でたところがある人、を採用し続けなければなりません。
半田:そうは言っても、難しい現実もあるようです。事前にこんな質問をいただきました。「人事や経営は『自分より強い人を採用する重要性』を理解しているとして、現場マネージャーにもその考え方を浸透させるにはどうしたら良いですか?」
おそらく「ポジションの椅子取りゲーム」のような感覚になってしまっていると、なかなかこの考えは浸透しづらいですよね。そうではなく、椅子は実はたくさんあるという事実や、採用によって会社が成長する期待感を伝えられると浸透しやすいのではないでしょうか。
石山:自分よりも優秀な人を採用するメリットを、いかにリアルにイメージしてもらうかがポイントですね。
エクサウィザーズの場合は、会長の春田さんに合併を通じてジョイン(※)してもらいましたが、その際私は、「春田さんは自分より上のポジションになるから採用したくない」とはもちろん思いませんでした。ミクロな視点では「自分がトップではなくなる」のかもしれませんが、マクロな視点で見れば春田さんがいた方が会社の評価は上がりますから、回り回って自分に良い影響を及ぼす可能性もあるわけです。
(※)エクサウィザーズは、2017 年 10 月1日に株式会社エクサインテリジェンスとデジタルセンセーション株式会社の経営統合(合併)により設立しました
半田:サッカーに例えると、チームのエースの象徴である10番の選手は自分より上手い選手が入ってきたら10番を譲らざるを得ず、8番になってしまうかもしれない。でも、その人と一緒に全国大会に行けるかもしれないし、自分が8番の世界のスカウトから注目される機会もあるかもしれない。
石山:その通りです。ただ、スポーツと会社の間に違いがあるとすれば、サッカーは11対11で戦うルールがありますが、会社は14対11で戦っても構わないですよね? スポーツはレギュラーしか試合に出られませんが、会社なら所属さえしていればどんな形でも試合には出られる。そんな風に視野を広く持ってもらうと、「自分より強い人を採用する」意義を理解してもらえるかもしれません。
半田:実際に自分より優秀な人を採用する上で、どのぐらいのリソースやマインドシェアを割くのかは人によって考え方がかなり異なる気がするのですが、石山さんは採用にどのくらいの時間をかけるべきだと考えますか?
石山:ゲーム理論の創始者でありノイマン型コンピューターを作ったフォン・ノイマンは、もし国を10期まで運営するゲームがあったなら、「1期目から9期目までは設備投資だけをして、10期目に初めて生産すると最大の成長経路になる」という「ノイマン型成長経路」を提唱しました。
私はこの理論は採用にも当てはまると考えています。もしエクサウィザーズが10期しかないと決まっているなら、9期目までは採用だけをして、10期目に初めて経営をする。理論上はそれぐらい採用に力を入れていいはずです。
半田:創業から現在に至るまで、体感値としてはどれぐらいの時間を採用に使ってきましたか?
石山:精神的には7割ぐらい、実務上は3~40%ですね。なぜ70%以上の時間を採用に振り分けられなかったのか、大いに反省しています。今後はさらに仲間集めに使う時間を増やしていきたいです。
タイミングが合わなかったとしても「感情記憶」は残す
半田:では2つ目のトピック、「過去のエクサウィザーズの採用の飛び道具を振り返る」に移りたいと思います。
“飛び道具”というほどではないかもしれませんが、エクサウィザーズの採用スタイルが現れていたケースとして、Googleからとあるスタートアップに転職し、そこでエンジニアメンバーのNo.2を務めていたAさんを採用したときの話をご紹介します。
Aさんは、AIとソフトウェアエンジニアリングの両方に精通している上に、英語ができる人材は非常に稀有で、どうしても招き入れたいと考えていました。
引く手数多の人材を獲得するという非常に難しいミッションでしたが、2年の歳月をかけてAさんの採用に成功しました。石山さん、Aさんの採用は何がポイントだったのでしょうか。
石山:相手の好きなものを知った上で、アプローチ方法を徹底してパーソナライズしたことですね。最初にAさんに私と1対1で話す時間をいただいた際に、Aさんがサルサダンスが好きだというお話を聞いたので、その要素を取り入れた会食をしようと思いました。その会食には知人に紹介してもらった著名なサルサダンサーの方にサプライズで登場してもらったんです。
ここまでやるのかと驚く方もいるかもしれませんが、本当に採用したい相手がいるのなら、細部までやりきるアクションは非常に大切だと考えています。
半田:会食は盛り上がりましたが、当時は、現在の仕事との兼ね合いでタイミングが合わず、すぐに入社が決まったわけではありませんでしたね。
石山:手を尽くしてもすぐに結果は出ないかもしれません。しかし、ここで大事だったのは、「感情記憶を残した」ことです。
例えば認知症ケアの世界では、認知症の方が会話の内容は論理的に分かりにくくなっても、何となく会った人が良い人だったかどうかが感情記憶として残ると言われています。介護では「楽しい」や「安心した」という気持ちをたくさん残すことが大切なんですね。
感情記憶に働きかけるのは、採用活動でも同じです。採用プロセスは例えば、年収やポジション、タイミングなどの合理的な面と「自分のことをちゃんと考えてくれて安心できる」といった感情的な面、両方の納得感を得られるように設計しなくてはなりません。そうすればAさんのように、合理性の面では「今ではない」と判断したとしても、2年後に入社の意思を固めてくれる可能性がある。
半田:「感情記憶を残す」はキーワードですね。自分も前職のリクルート時代に「クロージングには“心の納得”と“頭の納得”が両方必要」と学び、今も実践しています。
Aさんのケースでは、「あなたの事情を理解して待ちます」というスタンスを取れたのも良かったと思います。入社してほしい熱意は伝えつつも、一方通行なコミュニケーションにならないよう、自分たちの都合を押し付けすぎない配慮は大切にしたいですね。
「リーガル軸」と「テクノロジー軸」で考える未来の採用手法
半田:では、3つ目のトピック「未来の採用の飛び道具を考える」に移ります。
現在の採用現場で広く使われている手法は、エージェント利用、ダイレクトリクルーティング、コンテンツマーケティングなどでしょうか。最近はリファラル採用やオンラインミートアップ経由の応募も増えてきましたね。石山さんは、今後新しく生まれそうだなと思う採用手法はありますか?
石山:リファラルはまだ深掘りする余地がありそうですね。例えば、抜本的にリファラル採用でイノベーションを生む方法はありそうでしょうか? 紹介者の最大化、紹介者あたりが保有するネットワークの可視化率の最大化、可視化されたネットワークへのアプローチの最大化と考えていくと、まだまだ、データとテクノロジーが活躍する余地がありそうです。
半田:個人的には、リファラル採用はブロックチェーンと絡めて新しい手法を作れると面白そうだなと考えています。
石山:そう、そういう新しい方法を発明し続けることが大切です。こんな話をしていると、一企業の採用施策を考えているのか、HRテックのプロダクトのタネを考えているのか、だんだんわからなくなってくるのですが(笑)。そういうスコープでディスカッションをするほうが健全だと思います。
半田:リファラル採用以外で、これから進化する可能性がある採用手法はあると思いますか?
石山:コンテンツマーケティングもまだやりようがあるでしょうね。コンテンツマーケティングは、SNSというテクノロジープラットフォームの上にコンテンツを乗せる手法だと言い換えられます。それなら同様に、別のテクノロジープラットフォームに別のアプリケーションを乗せる施策も考えられますよね。
例えば、エクサウィザーズがAIエンジニアを採用したいなら、AIプロダクトのためのデバックツールを開発し、それを配布して候補者と接点を持っても構いませんよね? そういう新しい施策は、これからどんどん生まれてくると思います。
半田:もっと話したいところですが、そろそろ終わりの時間です。私も大変学びになりました。本日はありがとうございました。
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