何度説明しても伝わらない理由──脳の仕組みから考えるチームのコミュニケーション
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何回説明しても伝わらないのはなぜ?
「同じことを何度も説明しているのに、相手に伝わっていない」
「何度聞いても、理解できないと言われる」
チームでのやりとりの中で、こうした場面は珍しくありません🐈
誰かが悪いわけでも、理解力が足りないからでもなく、人間の「脳の仕組み」に理由があります。
1. 人は自分のフィルターを通して理解している
脳は、入ってきた情報をそのまま受け取るわけではありません。
過去の経験や、今持っている知識、思い込みをフィルターとして通したうえで理解します。
だから、同じ説明を聞いても、人によって「受け取る意味」が違ってしまうのです。
たとえば、ある人には「便利になる」と聞こえても、別の人には「余計に面倒になる」と受け取られることがあります。
2. ワーキングメモリには限界がある
人間の短期記憶(ワーキングメモリ)は、一度に扱える情報がごくわずかです。
ストレスや疲れがあると、もっと少なくなります。
そのため、説明が長かったり、情報が一気に押し寄せたりすると、最初に聞いた内容がどんどん頭から抜け落ちていきます。
3. 「説明する側の頭の中」と「聞く側の頭の中」は違う
説明する側は全体像や背景を知っていますが、聞く側は部分的な情報しか持っていません。
その差があるのに、説明する側は「これくらいわかるだろう」と思ってしまいがちです。
結果として、相手には断片だけが届き、意図した通りに理解されないのです。
どうすれば伝わるの?
「何度も繰り返す」ことが解決策ではありません。
大切なのは「相手が理解できるかたちに変えて伝える」ことです。
- 全体像と目的を先に示す
まず「なぜこの作業をするのか」を伝えると、細部が理解しやすくなります。 - 情報を分割する
一度に詰め込みすぎず、ステップごとに区切って説明します。 - 相手に要約してもらう
「どう理解しましたか?」と聞き返すと、伝わったかどうかを確認できます。 - 同じ情報を、違う表現で伝える
図で示す、例に置き換える、比喩を使うなど、多様な伝え方をすると理解が深まります。
まとめ
「何回説明しても伝わらない」のは、誰かが悪いのではなく、私たちの脳がそういう仕組みだからです。
だからこそ、一人ひとりが「どうすれば相手に届くのか」を工夫する必要があります。
チームで成果を出すためには、ただ作業をこなすだけでなく、「伝える努力」「理解する努力」が欠かせません。この積み重ねこそが、良いプロダクトを生み出す土台になるのです💡