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ブレイクダンスに夢中な広太、キャッチコピーは≪小さな巨人≫。
その小柄な体に込められた熱量は高く、大学を休学してまでアメリカに留学したり、地元の岩手から飛び出しブレイクダンス世界大会で3連覇を果たしたチームのアカデミーで修業を積むなど、その打ち込みようは相当なものでした。
そんな彼がリバースラボにジョインしたのは、夢を実現させるために足りていない人間力を高めるため。
2年間をダンス以外のことに費やしてまで、彼が成し遂げたい夢とは何でしょうか?
そして昇格を決めた10月、彼に迫った決断の時とは?
埼玉支局にひとりのSECTION MANAGERが誕生した10月、その舞台裏に迫ります。
■本当に欲しいものこそ、いつだって掴めない。
-決起会でのスピーチ、「皆が掴みたいものは最初の方で掴めるのですが、本当に自分が掴みたいものだけは掴むことができない」は意味深だったよね。どんな意味?
【広太】なんていうんですかね…。皆と一緒にはじめたものは、わりと早い段階でできるようになるんです。でもSECTION MANAGERという役職だったりとか、自分の掴みたいものがいざ目の前にあると、その時の環境や理想にこだわってしまって素直に追えないというか、本当に好きな人には告白ができないみたいな、たいした意味ではないです(笑)。
-そっか(笑)。それにしても、MANAGER昇格を決めたのが2018年11月だから、時間がかかったねー!苦労したのはマネジメントかな?
【広太】そうですね。最初の頃こそ楽しんでいたのですが、直下の売り上げが落ちはじめてからは、アドバイスしようにも伝え方がわからなくて苦戦しました。
さらに5月には支局長になったので、見ないといけないメンバーが増えました。イレギュラーなことが起きた時、自分が判断しないといけないことも多く、その責任からくる重圧は相当なものでした。もともと急なことに弱いので、どうしようどうしようのオンパレードでしたね。
-特に大変だったのは、どんな時?
【広太】メンバーの離脱が続いた時です。この時は本当に辛かったです。
※苦難を乗り越えてのSECTION MANAGER昇格は、ひとりで達成したものではありません。壇上に上がった彼のもとに駆けつけ、喜びをわかち合うメンバーたちに、広太は感謝を伝えました。
■大きな別れと低迷のはじまり
尊敬する先輩であり、信頼する仲間がいました。
気になる点を積極的に質問してきたり、支局の空気を作ってくれたりと、ムードメーカーの役割を果たしていた彼。
7月、これから組織はもっとよくなる、そう感じさせるスタートを切ったはずでした。
彼が離脱したのは、その2週間後のことです。
【広太】そいつとは、仲が良かったんです。所属する支局こそ違っていたのですが、同じ事務所だったこともあって話す機会も多くて。基本的には自分がいじっていたのですが、向こうの方が一年先輩なので知識・経験も豊富で、わからない時は頼りにしていろいろと質問していました。
それから少しして7月、千葉支局に異動していた彼が、自分の下につくことになりました。勝手を知る関係だったので、とてもやりやすかったです。
2週間くらい経った頃でしょうか。彼の部下が離脱しました。
そいつ自身、もともと状態が良くなかったこともあって相当落ち込んでいたので、「そんな場合じゃないだろ」って自分なりに励ましたつもりでした。そいつも「そうだね」って、一応その場では納得してくれたようでしたが、その後少しトイレにこもりました。
今思うと、かけた言葉がきっと良くなかったんだと思います。あの時、相手に共感するように言えばよかったのか、励まし方って難しくて、今でも悩むんですけど。
その翌日、そいつは離脱しました。
ショックが大きくて、心にポカーンと穴が開いたような感じでした。
数日間そんな状態が続いていましたが、このまま別れるのは嫌だなと思って、ファミレスで昼休憩を取っていた時に思い切って電話してみたんです。
一度は切られたのですが、すぐ向こうからかかってきました。「このままじゃ、よくないと思ってかけ直した」ってそいつは言って、しばらくの沈黙した後、「申し訳ない」って謝りました。
「俺、お前とだったらやっていけると思っていた。でも、もう限界なんだ。本当に、ごめん」
電話を切ったら、涙が出てきました。そのまま、泣きました。
ここに入って、初めてでした。
-その後、調子を落としていったよね。
【広太】はい。実は翌月の8月は、SECTION MANAGER昇格の最後のチャンスとなる月でした。
-最後のチャンスというのは、どういうこと?
【広太】自分は大学休学中だったのですが、その期限が迫っていて、10月には復学をしないといけませんでした。大学卒業とSECTION MANAGER達成の両立は、さすがに厳しい、だから何としてもこの月に昇格を掴みたかったんです。
-まさに勝負の月だった訳だね。それで8月、終わってみると…
【広太】SECTION MANAGERどころか、CHIEF MANAGERも達成できずに終わりました。
このチャンスを逃したことで、自分の中でネガティブな感情が湧いてきました。支局長になった5月から8月までは個人売り上げだけはずっと100万を維持し続けてきたのですが、「いくら個人が良くても、組織が売り上げを取らないと意味ないじゃん」って投げやりな感じになってしまい、腐ったまま9月を終えました。
-そして迎えた10月、復学しないといけないよね?
【広太】はい。復学して、卒業論文に取りかかりました。その前段階として、まず中間発表会が10月中旬にあったので、そこに向けて、仕事の傍ら資料を作成していたんです。
ですが、休日に作業するだけじゃ全然追いつかない状態で、「両立はやっぱり無理だ、どちらかを選ばないと」と心の中で焦りが生まれていました。
迷いに引きずられるように、売り上げも落ち続けました。
■夜明けの帰り道
かつて広太は、直紀の下につき、彼のSECTION MANAGER昇格に貢献したことがありました。
その直紀は昨年7月にリバースラボを卒業し、営業本部に配属されます。
そして、迎えた運命の9月・10月。
営業本部から命を受けた直紀が、埼玉支局に送られます。
指示の内容は、SECTION MANAGER昇格を助けてくれた元直下を、今度はSECTION MANAGERに上げるようにというものでした。
【広太】最悪の状態の10月、普段なら何日かで戻る売り上げもまったく戻りませんでした。
そんなふがいない自分を見て、直紀さんが珍しく厳しい口調で言ったんです。
「今、SECTION MANAGER昇格がかかっているけど、この調子じゃ厳しい。その悔しさを味わったからわかるけど、自分の売り上げだけが足りなくて達成できないということは、本当に辛いことだよ。だからこそ、広太にその後悔だけは絶対にしてほしくない」って。
ハッとしました。直紀さんの下にいた時、組織は売り上げ自体は達成していたのに、直紀さんの売り上げだけが足りなくて結局昇格できなかったことがありました。直紀さんは、悔しさのあまり誰もいない時に泣いていたみたいです。
このままでは、きっと自分は後悔する。でも、両立は厳しい。やるとしたら、どちらかに集中してやるべきだ。選択を迫られた瞬間でした。
仕事が終わって、支局のメンバーは寮に戻り、事務所は自分と直紀さんの2人だけになりました。
それから、どちらを選ぶかずっと考えました。
≪SECTION MANAGERを取りにいく≫
覚悟を決めたんです。
時計を見ると、4時になっていました(笑)。
大学の先生に決意をメールで伝えてから、寝ていた直紀さんを起こして、明るくなりはじめた空の下、一緒に寮に帰りました。
その翌日、デイリーで10万を取りました。
驚きました。
覚悟を決めたら、人はこんなにも変われるんだなって。
-そこからSECTION MANAGERへの挑戦がはじまったんだね。
【広太】そうなのですが、昇格確定は最終日までもつれこみました。
組織全体の合計売り上げは達成していたものの、天平の売り上げだけがあと一本だけ足りない状況で。
ただ、これについては朝一で帯同について取ったので、昇格は決まったはずでした。でも、実感がありませんでした。
-それはどうしてだろう?
【広太】最終週で直下の友基の売り上げがガクンと落ちてしまって、山下さんから設定されていた目標売り上げに5万ほど足りていなかったんです。ただ、必要な売り上げは達成したはずだし… と自信がなかったので、直紀さんに電話をして聞きました、「俺、本当にSECTION MANAGERでいいんでしょうか?」って。
-そしたら?
【広太】直紀さんが電話の向こうで笑いました。
「達成だよ。昇格、おめでとう!」
本当に昇格したんだと、そこで初めて実感しました。
■小さな巨人の夢
2017年4月にリバラボにジョインした広太。
今年、卒業を迎えます。
インタビューの最後に、これから挑戦したい夢について聞きました。
【広太】地元にダンスを目一杯できる環境と、ブレイクダンスに特化したコミニュティを作りたいです。
もともとすべてにおいて適当だった自分が、19歳の時にダンスに出会い、初めてひとつのことにとことん夢中になりました。海外留学で一年くらいアメリカにいて、ダンスを通して多くの人たちと出会って、人間的に成長することもできました。今の自分があるのは、ダンスがあったからなんです。
だったら、今度はそれを自分が伝えていきたいと思いました。地方にはダンスをしたいけど、環境がなくてできないやつが絶対いるはずです。そいつらの人生って、ダンスを通してもっと良くなるはずなので。だから、そのきっかけづくりというのか、橋渡しができたらいいなって思っています。
それが自分の夢です。
その夢を叶えるために必要な人間力を身につけるべく、今はこの環境でがんばっています。