アソビューの経営管理部長を務める永山亨さん。上場企業の役員という安定したポジションを辞し、アソビューへ転職しました。IPO達成や肩書ではなく、強烈なミッション共感や一緒に働く仲間への信頼感が彼の心を突き動かしたと言います。
大企業からベンチャーへ/挑戦と成長を求めたキャリアの変遷
── 永山さんのこれまでのキャリアについて、まずは幼少期からお聞かせいただけますか?
幼い頃は本当に普通の元気な男の子でしたね。中学からバレーボールを始めて、所属したチームが強かったので、「結果がすべて」「簡単に上達するものではない」というスポーツの世界で、自分の人格形成ができたと思っています。ただ、苦しい練習の連続だったんですが、それと同じくらい成長実感があったんです。どんどん上手になっていくのがわかり、それが成功体験に繋がっていきました。苦しいだけでもダメで、この成功体験があったからこそ乗り越えられたんだと思います。
── 大学ではバレーボールから離れたそうですね。社会に出ることについては、どのようなお考えでしたか?
大学では一転、遊んでばかりの普通の大学生でした(笑)。社会に出ることに対しても、実はそんなに期待はしていなかったんです。バレーボールという大好きなものに区切りがついて、「これ以上好きなものが見つからないな」と思っていて。漠然と「安定した大きな会社に入れればいいか」ぐらいの感覚で、大手鉄道会社に入社しました。
── 大手鉄道会社では、様々な部署を経験されたとお聞きしました。
はい。最初は駅員から始まりました。大企業だったので、意見を聞かれずに部署を異動させられるという、本当に昭和の終身雇用が前提だったんです。言われるがままにいろんな部署を移動して、最後に所属したのが経理部でした。そこで初めて会計に出会ったんです。
── 20代半ばで一度会社を離れたと伺っています。そのきっかけは何だったのでしょうか?
終身雇用が前提だったので部署異動に違和感はなかったんですが、20代半ばを過ぎた頃から、どこに行っても半人前だということに危機感を覚えるようになりました。あとは、「若いうちにやりたいことをやらないとダメだ」という思いが強くなってきたんです。これは、学生時代に若くして両親を亡くした経験が大きいですね。「人間ってこんなに簡単にいなくなってしまうんだ」というのを経験して、ぼんやり働いてたら意味ないなと思い始めたんです。そこで、漠然と「金持ちになってから行こう」と思っていた海外旅行に、「今行くしかない」と思い、1年間バックパッカーとして世界を回ることにしました。
▲ エジプト旅行中に雇ったガイドとの写真
── その経験を経て、次のキャリアを考え始めたのですね。
そうです。大企業だと細分化された業務しか経験できないので、経理全体を覚えるにはベンチャーがいいだろうと。メンバーズという会社で、一から経理の何でも屋として経験を積み再出発しました。その後、ディップという会社で、自分のキャリアのコアになる経験をさせてもらいました。上場したばかりの会社で、経理・財務のあらゆる業務に加え、経営企画やIRも担当しました。リーマンショックや東日本大震災など、予期せぬ出来事にも対応する中で、本当にいろんなことを経験させてもらいましたね。そして、マザーズから東証一部への市場変更のプロジェクトリーダーも務め、無事達成できました。
── それだけの実績を上げながらも、再び転職をされています。
はい。会社が大きくなる過程で様々な経験をさせてもらえたんですが、気づくとやはり大企業になってしまって。役割が整理され人数も増えてくると、「ちょっと物足りなさ」を感じるようになったんです。あとは、IPOを目指す会社で審査対応や経理のあるべき姿を学んだ経験を、もっと新しいことに活かしたい、という思いもありました。
そこでディップでの市場変更の経験を活かして、またIPOを目指すベンチャーで責任者として舵取りをしたいと思い、クリエイターズマッチというベンチャーへ転職しました。整備されていない企業で取締役として整備しながら上場準備をすることは非常によい経験になりました。また取締役として会社全体を見る経験は本当に貴重でした。従業員目線だった自分が自部署だけなく会社全体への配慮をするという経験をすることができました。残念ながら審査途中で課題があり、それを対応するには数年かかる事になったので、年齢的にも悩みましたが、ご縁があって同じくIPOを目指すアピリッツに転職をしました。
アピリッツでは準備を経て無事に上場を果たすことができました。1つの自身のキャリアの目標だったのでこれは本当に達成感がありました。また上場後も成長していく中でM&Aを行ったり、IRを行ったりして市場と向き合うこと、また成長フェーズでの様々な経験を積めたことは本当に貴重でした。
入社の決め手はミッション共感と信頼する仲間
── 上場企業の取締役というキャリア目標を達成された中で、アソビューとの出会いはどのようなものだったのでしょうか?
まず、アソビューというサービス自体は、実は子どもが使っていたからよく知っていたんです。アソビューにジョインする決定打になったのは、旧知の友人である中久木(人事責任者)の存在ですね。私がアピリッツに在籍し、彼もまだアソビューに入社する前だった頃、それぞれ個人的に参加していたマネジメント向け研修で一緒だったんです。そこでは僕は「少年」と言われていたのですが、自分が純粋な発想や疑問を大切にする人間であることに彼を通じて気づかされたことがありました。そんな僕を理解してくれている彼がアソビューにいて、「永山さん、この会社きっと合いますよ」と誘ってくれた。それが大きかったです。
── 他にもオファーがあった中で、アソビューを選んだのはなぜですか?
年齢も50歳になった時に意識し始めたのは、残りの人生が後半戦だということです。今までは自身のキャリアだけの事を考えてきました。言い方は悪いかもしれませんが、所属する企業の事業内容や誰とやるかは深く考えてこなかったです。目標達成した際に考えたのは自身の仕事が誰のためになっているのか?もっというと事業自体がどんな社会貢献をしているのか、ということです。自己実現の先の事を考えたということかもしれません。それを漠然と考えている、まさにその時に中久木から声がかかった事は運命論者ではないですが、少し運命は感じました。もちろん、上場企業のCFOのような、今までの経験の還元を求められるオファーもいくつかありました。でも、僕の心にはピンと来なかった。役職や立場は関係なく、また還元だけでも面白くなく、新しい事もまだ経験もしたい。自身の仕事の繋がる先だけの事を軸に考えていました。
仕事も人生の一部。志でキャリアを選び、楽しみ尽くすこと。
── アソビューで今後、永山さんが成し遂げたいこと、やっていきたいことはどんなことでしょうか?
事業面では、当社が行っているアソビュー!・ウラカタなどの可能性は無限大だと感じています。今はユーザーへ遊びを通じて得られる体験を提供し、その中における遊びを提供してくれている事業者のDX支援もしています。今後はスポーツやエンタメにも展開できますし、どんどん横展開することが想像できます。私は1人旅が好きで、日本には素晴らしい場所や施設がたくさんありますが、ユーザーへそれを提供する事で地方創生にもなりえます。実際にそれを目指しています。また海外展開もできる。アソビューはまさに「インフラ」のような存在になれると感じています。
ただ成長スピードに対して体制整備や管理体制はまだまだです。そこでまずは過去の経験を還元して整備をしていくこと。ここは一定求められていることですし、それが役に立つことは自身としても嬉しいことですから、まずはそれを実行ですね。
またそれだけに留まらず、新しいサービスや海外展開、非連続なM&A等の成長する際に、自身も経営管理の立場として新しい経験をすること。
この2つをすることは大変ではあるのですが、仲間と一緒にまさに遊びの感覚で体験していきたいです
── 永山さんが管掌されている管理部門、そしてそこで働くメンバーには、どのようなキャリアを歩んでほしいとお考えですか?
僕は、管理部門のメンバーには、「志」を持ってキャリアを築いてほしいと思っています。これまでの経験から言えるのは、経理の知識や経験を積むことはもちろん重要なんですが、月次や年次決算なんて、慣れればルーティンワークになりますよね。でも、アソビューの管理部門は、ルーティンワーク以外に新しい経験ができる機会がめちゃくちゃあるんです。だから、僕がアソビューですごく勧めたいのは、「経験値がめちゃくちゃ詰めるよ!」ということです。これは本当に魅力だと思います。
管理部門は「縁の下力持ち」なので、事業部門のように直接お金を稼いでいるわけではない分、評価されづらい側面があるのも事実です。でも、だからといって面白くないわけじゃない。
新しい経験を積むことで、自分の世界が広がる。いろんな経験を積む方が、自分のキャリアの幅を広げられる。世の中の管理部門のキャリアパスって、どうしても資格を取得するとか、IPO経験とか、CFOを目指すとか、形式的なものに置かれがちですが、そうじゃない働き方もある、もっというと様々な経験を積む際にそれをどう捉えるか?って事に気づいてない人に、「こういう選択肢もあるんだよ」と伝えたいですね。
▲ 入社後、管理部門で行なった歓迎会での写真
── 最後に、アソビューのミッション「生きるに、遊びを。」は、永山さんにとってどのような意味を持ちますか?
「生きるに、遊びを。」は、僕にとって本当に刺さっているミッションです。アソビューが提供しているサービスは「遊び」ですよね。もっというと「遊び」を通じて「プライスレスな体験」を提供している。でも、僕は仕事自体も「遊び」と近しいものと捉えています。例えば、「課題が山積みでヤバいね!」って思いながらも、「この問題どうやって解決する?」って仲間と相談したり。まさにロールプレイングゲームです。いろんな経験をしてレベルをあげて、仲間を募って一緒にミッションをクリアしていく。働く時間って人生の多くを占めているじゃないですか。仕事も人生の一部ですからね。それも含めてのミッションだと思えばいい。仕事も人生の一部として、全力で楽しむ。それができたら最高じゃないですか。