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Z世代は実はリモートワークを求めていない? 会社に本当に求めるもの、TAMの若手社員に聞いてみた

パンデミック中に多くの企業で導入され、そのフレキシビリティや効率性で歓迎されたリモートワーク。コロナ禍後に仕事を始めた社会人の中には「100%オフィスワークの働き方はあり得ない」という人も増え、リモートワークはポストコロナ時代の選択肢として定着した感があります。

しかし、その一方で、「Z世代はまわりが言うほどリモートワークを求めておらず、リモートワークを求めている層は別にいる」との説も。そこで今回は、デジタルエージェンシーのTAMで働くZ世代の3人に、リモートワーク観や求めているワークスタイルなどの「本当のところ」をストレートに語っていただきました。

話を聞いたZ世代の3人

佐藤まにさん(23歳):芸術大学を卒業後、TAMに入社。現在社会人1年目でTAMが1社目。「えがこう!」に所属し、デザインの仕事に携わる。主に企業パンフレットなどのビジュアルデザイン、イラストレーションなどを担当。
小川琴子さん(24歳):大学を卒業後、TAMLOに入社。同じく現在社会人1年目でTAMが1社目。Web広告の仕事を中心に、外資系企業のWebサイトなどのローカライズを含むコンテンツ企画なども担当。


松添基理さん(25歳):社会人4年目、TAMが2社目。実業団でプロアスリートとして活躍後、TAMに入社。Web広告運用やSNSマーケティングを担当。スピード感をもって成長するため、若手でも活躍できるWeb業界を選択。

Z世代にとってリモートワークは重要?

―単刀直入に伺いますが、勤める会社がリモートワーク推奨であることは、みなさんにとってどの程度重要でしょうか?

佐藤:個人的には…「マストではないが可能だと嬉しい」という感じです。
「あったらいいな」レベルでしょうか。もしTAMが出社必須になったとしたら… まあでも、そのせいで辞めることはないと思います。

小川:同じ感じです。入社前はリモートワーク志向が強かったのですが、入社後は「出社もいいな」と思い始めました。新入社員はどうしても経験値が少ないので、他の社員が身近にいてちょっとしたことを学べたり、人間関係を構築しやすかったりといった出社のメリットはありがたいです。

でも、週5で出社がマストになったら1年くらいで辞めちゃうかもしれません(笑)。やはり好きな時に出社できる自由度も大切なので、吸収しつくしてしまったら週5勤務の縛りを息苦しく感じてしまうかも。

松添:僕は基本的にはリモートワークで、黙々と仕事に取り組みたいです。ただその一方で、オフラインで「強い人」の背中を直接見て、いろいろと学びたい思いもあります。

―対面のコミュニケーションがあったほうが成長するうえで効率的、という点が3人には共通しているように思えます。現在はどのように働いていますか?

佐藤:週5日の勤務日のうち、3日は出社しようと決めていて、2日は自宅勤務です。

小川:週によって、2~4日は出社しています。最低週1回はチームで会うことにしていて、ランチを一緒に食べたりして楽しいです。オフィスを一緒に利用している「しゃかいか!」のメンバーと話すのも気分転換になりますね。その他の日は出社は自由なので、オフィスに行っても誰もいない時もあります。そんな時は、好きな音楽をガンガンかけたり、ストレッチしたりしながら仕事するのが好きです(笑)。

松添:僕は週3で出社しています。そのうちの1日は「しゃかいか!」という部署のオフィスに行って、「強い人」の背中を見て学ぶようにしています。

―なるほど、みなさんにとってリモートワークは「マスト」ではない感じでしょうか? 逆にリモートワークにこだわりが強いのは誰でしょう?

松添:個人的には出社して学ぶ部分も大きいのですが、時間の拘束が大きくなるのはデメリットかなと思います。リモートで移動時間が浮けば、その時間を使って新しいことを始めたりもできる。

例えば、僕は空き時間を使ってYouTubeを始めて、今では登録者が約1.7万人となり、それを武器に案件を取ってきたりもしています。そういった意味でフリーの時間を確保したい気持ちはありますし、リモートワークで自分だけで仕事をすることで早く成長できる面もあるかと。

一方で、100%リモートワークだとそれはそれでちょっと困る。TAMを選んだ理由は、勤務スタイルやクライアントワークなどすべて含めて、仕事の自由度が高いことがポイントでした。

小川:私のチームは、私よりも上の世代、40歳前後の人が多いので、リモートワーク志向が強い感じはあります。家が広くて仕事するスペースが確保できるとか、子どもがいるとか、ライフステージの違いもあるのではないでしょうか。

佐藤:私も年上の年代のほうが、リモートワーク率が高いかなと思います。また、小川さん同様、入社前のほうがリモートワークを魅力的に感じていました。就活中、会社選びをするときもそこはチェックしていたし、TAMもそこをアピールしていたので惹かれた部分もあります。

なぜ、リモートワークの重要性が下がった?

―佐藤さん、小川さんともに入社後にリモートワークの重要性が低くなったということですね。なぜでしょう?

佐藤:私は家のほうが集中できる時と、会社のほうが集中できる時があって… 実際に仕事してみると、思ったよりも会社のほうが集中できる時が多かったんです。

自宅だとデスクのまわりに誘惑が多くて(笑)。行き詰まったときに気分転換のためやヒントを求めて本や植物に目を移して、そのままダラダラしてしまうことがある。掃除・家事を始めてしまうと終わらなくなったり。会社はそういうことがないので集中できます。

小川:私は人と話すことが好きなので、出社して空き時間に少し話したりするのが楽しいんです。最近は「家にいてどうする?」くらいに思っています。

若いからこそいろんな人に会って、つながりを築いたり、他の人の視点を学んだりしたい。入社前はリモートワークがいいと思っていましたが、仕事を始めて2週間くらいで「このままじゃ引きこもりでは?」と思い始めたし、対面のほうが話が早かったりして、会うことも大事だと思いました。

松添:僕はTAMの前に1社経験していたり、アスリート時代に多くのことを経験していたのもあり、自分で学ぶことのメリット・デメリットはある程度イメージできていました。

リモートワークのメリットは、自由度が高く、やりたいことの幅を増やせること。出社のメリットは、背中を見て学べることと、人とコミュニケーションをとって仕事が早く進むことです。

小川:私もチャットで長文で説明を書くのがめんどくさくて、Slackの「ハドルミーティング(音声ミーティング)」とかすぐ提案しちゃいます。Googleカレンダーを見て、相手が今手が空いてそうか一応確認してから。

佐藤:そうですね。ちょっとした質問やすり合わせをしたいときは、対面のほうが早い印象です。

―実際、3人とも基本リモートワークで勤務していますが、それがゆえ成長に関して苦労したことはありますか?

松添:その実感はあります。オンラインだと、質問をするのが申し訳なくなり、聞かずに調べたりして解決までに時間がかかっていました。オフラインなら、相手の様子を見てから質問できるので聞くことへのハードルが下がり、早く解決できて次に進むことができる感覚があります。

佐藤:成長に関しては、自宅に自分だけでいると「成長できない」というより、「自分の成長を実感しづらい」面があると思います。人と話すと成長した手ごたえがあって、それが次のモチベーションにもつながる。チャットやテキストだと、「成長したな」と自分でも思えるような フィードバックをもらえることがあまりない気がします。

―「テキストだと褒められない」ということでしょうか? これは上司や同僚にとって参考になる話ですね。

佐藤:正直… そうですね(苦笑)。オンラインだと雑談が発生しにくいせいかな… 対面だと反応が生で見えるからなのか、対面のほうが褒めてもらえます。

小川:私も「最近は」オンラインでも褒めてもらえるようになりました(笑)。2月に入社して、リモートワーク環境で仕事を始めたときは、評価も見えづらいし、他の人がやっている仕事も見えないしで不安になって、それを上司に訴えたことがあって。

若手にとって、先輩や上司に評価してもらうことはとても大事ですが、おそらく上の人は「できているから大丈夫」が当たり前になっているからわざわざ言わないんでしょうね。

松添:たしかに、あえて「雑談の時間」を設定しないと、そういう時間を設けにくい印象はありますね。オンラインのコミュニケーションでは、仕事の話だけ手短にして終了になりやすいですから。

また、僕はクライアントを1人で担当して仕事しているので、さらに対面の接点もないとなると、社内でフィードバックは本当に得にくいですね。「クライアントからの評価がすべて」みたいになりがち。

Z世代が会社に本当に求めているもの

―なるほど。そんな中で出社する日もあるわけですが、それは意識して決めていますか? 出社する日はワクワクしたりしますか?

松添:「今日は誰がいるのかな〜」と思いながら行きますね。特に東京オフィスだとすべてのチームがワンフロアにいるので、レアな人の顔が見えたり、他のチームのメンバーに助けてもらったりできる。

やっぱり困ったときに助けてくれる人を増やしたいので、意識していろんな人に話しかけたりします。相手の興味がありそうな切り口で会話を始めてみたり。

佐藤:私もそこまでワクワクして出社するわけではないですが、やっぱりその日オフィスにいる人は確認しますね。「あっ、あの人いる」みたいな(笑)。挨拶したり、ランチに誘ったりして、コミュニケーションをできるだけ取ることは心がけています。所属しているチームが小さいので、他のチームの人にも声をかけたり。

小川:出社すると景色が変わるし、移動時間が実は楽しみだったりもします。オフィスに行く時は、「あのチームの人と雑談したいな」とか、「オフィスの美味しいコーヒーを飲みたいな」とか考えますね。

―では、これからの働き方、働く環境に求めることはなんですか?

佐藤:「リモートワークができる」という選択肢はやはりほしいです。自宅のほうが集中できることもあるし、移動時間がもったいないこともあり、そのときのコンディションや仕事内容によって決めたいので。自由度が高い会社で働きたいです。

小川:私は人がたくさんいて楽しいオフィスで働くか、国内外関係なくどこでも好きな場所から仕事するか、どちらかがいいです。

今は気分転換のために海外から仕事したい気分。いろんな人と会うことが好きなので、「リモートワーク=在宅勤務」になると少しきついです。自由度が重要なのかな。

松添:僕も、会社は「自由」を提供してほしいです。そのときの調子に合わせて選べる、選択肢は保ってほしい。

―「自由度の高さが大事」という点は3人とも共通していますね。その「自由」の先になにを求めているのでしょう?

小川:私は海外旅行や、一人でいろんな場所に行って、いろんな人に会うのが好きなんです。仕事面だけじゃなくて、生活上の価値観、視野が広がることが、自分にとって満足度が高いことで、それが仕事にも活きてくるはず。いろんなこと、新しいことをたくさんして、たくさんのインスピレーションを得たい私にとって、勤務スタイルの自由さは大切です。

佐藤:私にとっては、自由でいること自体が快適で大切なことです。自由度が高いと、自分のコンディションが良くなる感じがあります。自由になってなにをしたいかというより、自由であること自体が、私にとっては大事です。

松添:僕はビジネスパーソンとして強くなりたいと思っているのですが、そのための最短距離が「自由」だと思っています。ゴールは最強のビジネスパーソンです。

[取材] 岡徳之 [構成] ウルセム幸子 [撮影] 藤山誠、渡邉由姫乃
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