Priority5とは何か?ー経済性と社会性の両立を目指すー | スパイスファクトリー株式会社
企業が持続可能な成長を遂げるためには、社会的な課題に真正面から向き合い、価値を創出することが求められます。スパイスファクトリーではPriority5プライオリティファイブという独自の経営指標を定...
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今回はDigital Service Development Div. でリードエンジニアを務める北川さんにお話を伺いました。スパイスファクトリーで公共性の高い大規模プロジェクトをリードする中で感じたご自身の成長や課題について深掘りしていきます。
<北川さんプロフィール>
新卒で通信系IT企業に入社し、物流、建設系企業の業務アプリ開発に従事。また基幹システムの基盤運用担当を経て、自社のR&Dに所属しクラウド技術やKubernetes(k8s)を利用したAPI開発、CI/CD開発基盤を開発。その後スパイスファクトリーに入社し教育・公共系のリードエンジニアとしてプロジェクトを担当。
ーこれまでのキャリアについて教えてください。
北川:新卒で大手通信系IT企業にエンジニアとして就職しました。大学では文系を専攻していましたが、「手に職をつけたい」という思いから、理系職種であるエンジニアを選びました。最初はアプリ開発の担当から始めましたが、基盤やインフラに関わることに興味が出始めて、社内異動をしながらインフラ関連のプロジェクトやR&Dに関わりました。前職では2度の育児休暇を取得しながら、10年ほど働いていました。
ー技術スキルを積み重ねる中で、インフラへの関心やキャリアに対する考え方に変化はありましたか。
北川:アプリ開発は目に見えず分かりにくかったのですが、インフラは端子を触るなど物理的な部分があり文系出身の私にも理解しやすく、そこから興味が深まりました。ネットワーク機器やサーバーといった物理的な対象と論理的な設定がつながって「動く」面白さを実感し、運用から設計・実装を経て、最終的に研究開発部門でKubernetesを活用したAPI開発やCI/CD基盤の構築に携わるまでになりました。
知識を身に着けるうちに、「もっと社会性の高いプロジェクトに、自分の技術を生かしてかかわりたい」と思うようになり、その軸で転職を決意しました。前職では自分の作るシステムを使う人との距離感が遠く手ごたえを感じられませんでした。例えば他社のシステム開発部門とやり取りしてシステムを作っても、システムを実際に使うのはその先にいる社員の方だったり、カスタマーだったりするので、最終的にシステムを使うエンドユーザーが何を感じているかが分からない状況になります。私は大学時代から公共系システム開発への関心があり、公共系であれば広く人の役に立っているという実感を得られると考えていました。公共系のシステムはユーザーとの距離も近く、より多くの人が使うので、自分の技術が本当に役立っているという手応えを感じられると思ったからです。
そういった軸で転職活動を行い、2022年にスパイスファクトリーに出会って、「Priority5」という社会的インパクトのあるプロジェクトを優先的に受託する経営指標に惹かれて入社を決めました。
ースパイスファクトリーに入社後はどんなプロジェクトを担当されましたか?
北川:最初はアプリ開発のポジションで入社し、Railsなどのコードを学びながらスキルを磨いていきました。最初に関わったプロジェクトも教育関係のもので、社会的に意義のあるプロジェクトだったので印象深いです。その後、リーダーポジションになり、大規模な公共系のプロジェクトにアサインされ、リードエンジニアとして中心的な立場で関わりました。
Priority5についてはこちらの記事をご参照ください
ー大規模なプロジェクトに中心的に関わるというのは、北川さんの今までのキャリアの中でもご経験されていたことでしょうか?
北川:そうですね、前職では大手SIerが大規模なプロジェクトを受注して、SIerから下請けのシステム開発会社に再委託する、というのが普通でした。しかし、スパイスファクトリーは中小企業の規模ながら、プライムベンダーとしてクライアントと協働し、オーナーシップを持ってプロジェクトを進めています。下請けの立場だとクライアントとは直接話せませんし、温度感もわかりません。大規模な公共系プロジェクトにも関わらず、直接かつ対等にクライアントと話せるというのは、とても貴重な経験だったと思います。
このプロジェクトでは私が今までエンジニアとして経験してこなかったことにも挑戦しました。例えば、複雑な機能をできるだけ簡素化できるように、外部SaaSシステムの活用検討や、システムの選定をするということにも取り組みました。そのほかにも、メンバーやクライアントから困ったポイントや課題を挙げてもらい、課題解決のために仕様やスケジュールを調整していくという交渉の部分は、リードエンジニアならではの仕事でしたし、よい経験になったと感じています。
ーリードエンジニアとして初めて大規模プロジェクトを担当する中で、苦労したり、反省を感じた場面はありましたか?
北川:今回のプロジェクトで苦労した点はいくつかあります。公共系のプロジェクトの場合、システム仕様の決定に1年、開発に2~3年かかるということもよくあります。しかし、今回は数か月という短納期で開発もしなければならず、しかも機能要件が複雑でした。私がシステム仕様の調整もしたのですが、先ほど話した外部SaaSの選定に苦戦して、経験豊富なシニアインフラエンジニアにもアドバイスをもらって進めました。結果として9割の要件はSPA(Single Page Application)が不要だったため、Railsをベースに工数を削減しました。Railsを選択することにより、Rails本来の高速開発・高生産性というメリットを活かせると判断したからです。そのため、特定機能の実装全体の複雑化や操作性に影響があると考えた部分にだけReactを採用しました。このように、ほかのプロジェクトでもあまり見ない、Railsの上にReactを載せるという通常ではあまり行わない実装にもチャレンジしましたが、最終的には無事に実装を完了できました。
このようにそれぞれのプロフェッショナルとして相談しあってチームで対応できた部分は「Form a scrum ーチームで最大の成果を。」というコアバリューが体現できたのではないかと思います。
ただ、反省点もあって、自分のプロジェクトリードに関する経験不足でチームメンバーに迷惑をかけた点もありました。例えば、チームメンバーを信用するあまり判断をゆだねすぎてしまって、メンバーの作成したコードレビューを飛ばしてしまい、修正が走るといった場面です。スコープの調整の甘さから、結果的に納期も延長交渉する必要が生じました。これらは自分の見積もりの甘さやプロジェクトリードの経験値の無さが招いたことだと感じました。
全体を通してリードエンジニアとして意識したことは、常に周りにヘルプをお願いして巻き込みながら、アドバイスは拒まず受け入れる姿勢を大切にしました。時にはチームメンバーと意見の相違もありましたが、良いプロジェクトにするための議論だったので、それが原因でチームの雰囲気を悪くしないように配慮しました。何よりリードエンジニアとして自分の役割で大事にしていたのは、エンジニアメンバーに「明確なゴールを示して確実にプロジェクトを完遂すること」でした。終わりが見えないと疲弊していくので、ゴールを明確に常に示すことでチーム全体を引っ張りプロジェクトを完遂することができました。
ースパイスファクトリーの開発環境の特徴はありますか?
北川:プロジェクトが大規模になるほど、プロジェクトマネージャー(PM)やデザイナーなど別の職種の方ともより密に関わっていくことになります。スパイスファクトリーはそれぞれのメンバーがプロフェッショナルとしての自覚を持っていることが特徴的だと思っています。例えば、エンジニアとして技術的な視点で意見を持っていたり、PMとしてクライアント視点で考えたり、デザイナーとしてエンドユーザーの使い勝手を考えたりと、それぞれ、意外と見ている視点は異なると感じています。だからこそ、良い意見交換ができて良いチームになるし、良いものを創りたいという方向に一緒に向かっているチームだと感じています。多くのメンバーがスパイスファクトリーのコアバリューである「Take initiative ー課題を発見し、行動しよう。」という意識を持ち、「意見を出すのが当たり前である」という姿勢の人も多く、建設的な議論ができる点も良い部分です。
また、リードエンジニアになってから経営層とのやりとりも増えました。その中で意外だったのは、もともとは大企業の役員だった方なのに、とてもフラットに丁寧に接してくださるので、私も遠慮をせずに自分の意見を言うことができています。前職の大企業ではレイヤー構造があったので、すぐ上の上司やすぐ直下の部下には話せるけれども、それよりもレイヤーや関係性が遠くなるととたんに話しにくいということがありました。スパイスファクトリーでは、いい意味でレイヤーが無くフラットな組織なので対話がしやすいし、そこが魅力だと思います。
ー最後に、今後目指していることを教えてください。
北川:転職の時の軸だった「社会的にインパクトのあるプロジェクトに、自分の技術を用いて関わること」というのは、今実現できているので、目標としていた場所にとても近いと感じています。スパイスファクトリーに入社して、社会的なインパクトだけでなく大規模なプロジェクトに関わったことで、エンジニアとしての技術的な成長だけでなく、プロジェクトリードの経験も積むことができ、とても大きな成長につながりました。
今後、会社としても成長していく中で、さらに大規模かつ社会的インパクトのあるプロジェクトに関わりながら、スキルを磨いて成果を生み出していきたいと思っています。そんな大規模プロジェクトを、自分の信念を持ったプロフェッショナルとして様々な職種の方と一緒に、切磋琢磨して取り組み、大きな成功につなげていきたいです。
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Writer: [Corporate Design Div. Public Relations] EIKO YAEGASHI