- バックエンドエンジニア(Go)
- 27卒ビジネス職
- ゲーム|バックエンドエンジニア
- Other occupations (20)
- Development
- Business
「コミュニケーションの手段としてのゲームを浸透させていきたい」ーー執行役員プロデューサーが語る新規事業”ライブゲーム”の現在地
※2024年11月14日時点の記事です
スマホ1台でゲーム実況ができる配信プラットフォーム「Mirrativ」を運営するミラティブは、2022年から新規事業としてライブゲームの開発に注力しています。ライブゲームとは、配信中のゲームに視聴者が介入したり参加したりできる、ゲームとライブ配信が融合した次世代のソーシャルゲームの総称です。
2021年に入社した杉原 健太郎さんは、これまでMirrativの主力となる数々の機能やゲームの開発をリードし、2024年6月より執行役員としてライブゲーム事業を率いています。「ライブゲームは、従来のゲームとは異なるもの」と語る杉原さんに、これまでのライブゲームにおける取り組みを振り返ってもらうとともに、今抱えている課題や今後のビジョンについてお聞きました。
執行役員 杉原 健太郎(すぎはら けんたろう)
早稲田大学大学院商学研究科を修了後、新卒でDeNAに入社。ゲーム事業部で複数の大型運用タイトルのディレクター・プロデューサーや副部長などを担当。2021年3月にミラティブに参画。プロダクトマネージャーを経験後、現在はライブゲーム部の部長を務める。
「何をやるか」より「どんな環境で、どんな人たちと働くか」
ーー杉原さんのミラティブまでのキャリアについて教えてください。
早稲田大学大学院商学研究科を修了後、新卒でDeNAに入社しました。学生時代のサマーインターン中、現ミラティブCEOの赤川と出会ったことが、キャリア選択に対して少なからぬ影響を与えています。当時は金融系の会社に就職しようと考えていたはずなのに、IT業界のゲーム分野という想定していなかったファーストキャリアになりました。
DeNAには7年ほど勤務し、ゲーム事業部で複数の大型運用タイトルのディレクター・プロデューサーなどを担当しました。入社から数年後、赤川がMirrativ事業をDeNAからMBOする形で、ミラティブを創業。そこに転職した理由の一つは、彼のビジョンやプロダクトの将来像に共感したことがあります。
でもそれ以上に、「この環境で、このメンバーと働けたら、すごく面白いだろうな、ワクワクする挑戦ができそうだな」と思えたことが大きかったです。DeNA入社時もそうでしたが、「何をやるか」以上に「どんな環境で、どんな人たちと働くか」が僕にとっては重要なんです。
ーーミラティブ入社後はどのような業務に携わってきましたか。
ミラティブには2021年3月に入社しました。最初の1年は、ライブプラットフォームチームでプロダクトマネージャーとしてデザイナーやエンジニアと協働して、Mirrativアプリの機能改修や、新機能の開発に携わりました。
2年目(2022年)には、Mirrativアプリで使用できるアバター「エモモ」の運用責任者をしつつ、兼任でライブゲームにも携わるように。ユーザー介入型のゲーム「エモモランあーるぴーじー」のプロジェクトにも、リリース前の企画段階から参画していました。
そしてミラティブがライブゲームに注力していくにあたり、2023年1月からライブゲーム部の所属となりました。プロデューサー兼ディレクターとして複数のタイトルのリリースおよびリリース後の運用に携わり、2024年2月にはライブゲーム部副部長に就任、そして6月に執行役員になって、現在に至ります。
ーーライブゲーム部を担う立場として、今どのようなことを感じていますか。
ライブゲームは、探索フェーズから仮説を立てて実行するフェーズを経て、2~3年かけてようやく明確な手応えを感じつつあります。だからこそ、ここからしっかりと育てて、開花させていかなくてはなりません。
このライブゲームという事業は、舵取り一つで大きく花開く可能性もあれば、芽のまま終わってしまうこともあるかもしれません。とても面白くワクワクする局面であると同時に、責任の重大さも感じています。
フェーズに分けて振り返るライブゲームの2年間の取り組み
ーーあらためて、ライブゲームの発表から2年間の取り組みをお聞かせください。
2022年、ミラティブはライブゲームを世の中に向けて大々的に発表しました。ライブ配信を前提にしたまったく新しいゲーム体験というコンセプトは、多くの企業様やゲーム開発者の方の共感を得られたと思います。
「エモモランあーるぴーじー」のような内製タイトルの開発だけでなく、ゲーム開発会社様と一緒に作る協業タイトルや、開発会社様が企画から開発まですべて行いMirrativ上にリリースするタイトルまで、さまざまな形でライブゲームが作られてきました。
はじめは「そもそもライブゲームとは?」という問いからスタートしました。何をもってライブゲームが成り立つのか、良いライブゲーム体験とはどのようなものなのか。誰も明確な正解を持っていなかったので、とにかく数をリリースして、ユーザーさんの反応を見る期間が1年ほど続きました。当時は1か月に3~4本リリースすることも珍しくありませんでした。
そのうち「これは多くのユーザーに遊んでもらえる」や、逆に「これは思ったよりもハマらない」といった傾向がぼんやりと見えてきて、そこから仮説を立てられるようになりました。
1年目はまず幅広いジャンルをたくさん作る“量産”フェーズだとすれば、2年目は「この形は刺さるだろう」という仮説のもと、ニーズを狙って当てにいくライブゲームを作る“少数精鋭”のフェーズです。
PDCAを回していった結果、「ライブゲームは、こうあるべき」という形がクリアになり、高い確度で求められるゲームを提供できるようになりました。現在は常に“一発必中”を狙い、一つひとつのタイトルに集中する次のフェーズへと移行してきています。
ーーゼロから作っていくにあたり、「ライブゲームとしてはこうあるべきだ」という定義が変化していったのでしょうか。
振り返ると、最初は「ゲームそのもの」を作ろうとしてしまっていたことが多くありました。「ゲームを作る」を大前提に、それをMirrativのライブ配信にどうやってアジャストするか、という発想だったんです。
しかし、今は「ライブゲームはゲームだけど、本質的にはゲームではない」という確信があります。一般的にスマホアプリのゲームは、「ゲームをやること」自体がプレイの目的になりますよね。一方、ライブゲームは、「コミュニケーションの手段」なんです。ライブ配信における数ある配信者さんと視聴者さんのコミュニケーション手段の中の一つとして、たまたまゲームが選択されているだけ。それがライブゲームだと捉えるようにしています。
ライブゲームを楽しんでいるユーザーの皆さんは、ゲームがしたくて配信を始めるケースももちろんありますが、長く続けてくださっている方を見ていると、コミュニケーションが目的になっていることがほとんどです。
であれば開発側は、「コミュニケーションの一手段として都合がいいから、ライブゲームが選ばれている」という考え方をしなくてはなりません。ゲーム脳でゲームを作ってしまうと、ライブ配信にアジャストしきれない部分が出てくるからです。
ライブ配信では、視聴者数、その中で一緒に遊べる人数、配信時間、配信者さんの特性など、さまざまな要素によってゲームの遊び方が変わります。そのため、ゲームそのもののストーリーややりこみ要素が作りこんであることよりも、シンプルで誰にとってもわかりやすく、あくまで配信者さんと視聴者さんのコミュニケーションのお供であるようなゲームがいいのです。「スラポンコロシアム」や「エモモランあーるぴーじー」、「プリンセス&ナイト」は、そうしたライブゲームとしての特性を持っていたからこそ、ヒットしました。
ーーここまでの変遷を踏まえ、現時点で抱えている課題を教えてください。
複数のライブゲームのヒットから、成功するライブゲームの傾向はつかめてきましたが、それを抽象化して再現性のある型にし、横展開することはまだできていません。“一発必中”を狙って作ってはいるものの、実際すべてがヒットしているわけではないので、外せない企画の”肝”のようなものを、解像度高く言語化していくことが課題です。
また、事業的な文脈では、Mirrativ全体に占めるライブゲームの浸透度はまだまだ恒常の余地があります。Mirrativを続ける理由としてライブゲームを思い浮かべてもらえるくらい、当たり前のものとして遊んでもらえるものに成長させていきたいと思っています。そのためには、「ライブゲームが楽しい」「ライブゲームを遊ぶと友だちが増える」と感じていただけるユーザーさんをもっと増やしていく必要があります。そのためにまずはしっかり興味を持っていただくところからですが、すべての方の嗜好性をひとつのゲームで網羅することはできないので、いろいろな人の「好き」に合致するように、すこしずつライブゲームの守備範囲を広げていきたいです。
ライブゲーム市場が成熟する未来に向かって
ーーこれからのライブゲームに、どのようなビジョンを描いていますか。
いつでもインターネットを介して誰かとつながれる、「常時接続」が当たり前になった昨今、ゲームは目的ではなくコミュニケーションの手段になってきています。だから僕は配信者さんと視聴者さんのコミュニケーションの媒介となれる「ライブゲーム」を確立していきたいし、それが世の中に求められているとも確信しています。
ライブ配信におけるゲームのニーズは高いですし、今後もますます高くなっていくでしょう。しかし、ライブゲームの存在はまだまだゲーム業界にすら浸透していないし、ライブゲーム市場も黎明期です。
だからこそ、ミラティブがライブゲーム事業に注力し、成功例を増やしてライブゲームを拡げていくことには大きな意義があると思っています。ユーザーさんに喜んでもらい、市場を成熟させていくためには、世の中の人々が求めている新しい体験をもっとたくさん作っていくことが必要です。
ミラティブは、ライブゲーム領域で日本をリードしている立場だと自負しています。ライブゲームが掲げているものを世間一般で当たり前の概念にして、「今の時代のゲームってこうだよね」とみんなが思う状態を目指しています。
ーー最後に、どんな方にライブゲーム部に入ってほしいかをお聞かせください。
ゲームに詳しい方が来てくれたらとても助かりますが、ライブゲーム部では、ゲームを作りたいという動機だけでなく、ゲーム以外のことをやりたい気持ちが重要だと考えています。
ゲームにおける豊富な知識と経験を持ち、それを元に何か新しい挑戦をしたい方や、今までやってきたことの延長線上でなく、それを全部アンラーニングして画面の向こうのユーザーに向き合う気概のある方が、まだまだ成熟していないライブゲームにはマッチすると思っています。
世の中の多くのスマホゲームが、膨大な人員を割いて2~3年かけて作られるのに対して、ライブゲームは開発に要する期間が平均で5,6ヶ月程度と短く、スピード感があることが大きな魅力です。一人で全責任を負える規模感であり、お任せしたいプロジェクトはたくさんあるので、自分でいいライブゲーム体験を作りたいという方は、ぜひご応募ください。