皆さんは日々のなかで、「流れ」を意識することはありますか?
コウダプロでは「流れ」という言葉が度々登場します。ひとりの人間としても、組織としても、流れが来ているとき、それを察知して乗っていけるかが重要だ——と。
今回の朝礼では、社長の幸田八州雄さんから主にふたつのテーマを通じて、流れについての考え方が語られました。ひとつは異なる事業部間での人事トレード、ひとつは会社有志での旅行をめぐる判断について。
一人ひとりが「どう選ぶか」「どう行動するか」が、人と組織の成長につながっていくのは明らか。その一つひとつの積み上げが、人と組織をつくっていくものですから。
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こんにちは、プレスラボ(@presslabo)の池田園子です。月1回「コウダプロ朝礼レポート」を担当させていただいています。
前回(2025年6月)の朝礼noteはこちらから。
「中堅メンバーの事業部間トレード」緊急決定の理由
ひとつめのテーマは、異なる事業部間での人事トレードです。この朝礼(月曜日)の3日前である、前週の金曜夜に決まったことだとか。
具体的には、アスガール事業部・山﨑慶之さん(ニックネーム:山ちゃん)と、ヒット屋事業部・岩永大和さん(ニックネーム:大和)との人事トレードが、翌月(※本朝礼が行われた7月7日時点)から実施されることに。
初見の方向けに念のためにお伝えしておくと、アスガール事業部はコウダプロの代表的なオリジナル商品である「アスガール顆粒」の販売促進、ヒット屋事業部はクライアントのオリジナル商品開発を行う事業部です。
事の発端は、コウダプロが参加している勉強会後の懇親会でした。懇親会の参加は任意です。会社としては、メンバーには可能な限り参加してもらい、人とのつながりをつくってほしいと思っていますが、論点はそこではありません。
懇親会に参加したヒット屋のメンバーに対し、アスガールのメンバーは不参加。その際、幸田さんへの挨拶がなかったそう。「先に帰るなら、せめて一言だけでも、タイミング的に声かけが難しかったら社内チャットでもいいから伝えてほしかった」というのが幸田さんの本音です。
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ヒット屋事業部とアスガール事業部をベン図にすると、共通部分が満たされていない——。挨拶なしで帰るという行動は、コウダプロが考える常識や人としてのスタンスとはズレがある——。幸田さんはふたつの事業部が「別会社のように思えた」とも述べました。
同じ会社のなかにありながらも、マネージャーや部門長など管理職につく人の個性やスタイルによって、社風ならぬ“事業部風(じぎょうぶふう)”が異なってくることはもちろん理解しています。
幸田さんから見て、山ちゃんも大和も会社や事業を愛しているのに変わりはありません。ただ、ふたりは違う人間ですから、空気感やスタイルには当然差があります。そういった違いはあれど「挨拶や礼節など、会社としての共通項は大切にしてほしい」という思いがあるわけです。
ふたりがさらに成長することを確信
幸田さんは、山ちゃんのトレードについて前々から「彼が事業家としてより大きなスケールで活躍していくには、異なる環境に身を置くことが必要ではないか」と感じていました。
同じ場所に長くいると、その場での最適化は進むものの、視野やスケール感が広がりにくくなると懸念していたのです。ただ、右肩上がりに成長しているアスガール事業部を見ていると、そんな好機に山ちゃんを抜くのは躊躇われる状況にありました。
しかし、金夜に起きたことや考えたことを踏まえて、今回の決定に至った背景を「風が吹いたから」と表現。幸田さん自身も背中を押された感覚があり、入れ替えを決断したのです。
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対する大和のトレードにも言及しました。確かに大和は実力があり、仕事への熱量も高く、メンバーにも支持され、マネージャーとしてチームを支える存在ではあるのは間違いない、と。
しかし、幸田さんは「どこかマネージャー(期待値込み)であることを前提にした抜擢ではなかったか」と感じる部分もあったといいます。ただ、大和本人としては、そんな見方をされると「(期待値込みなんて)冗談じゃない」と反論したいだろうと想像。
幸田さんはこれを「新日本プロレス的だ」と言い、「俺は藤波のかませ犬じゃない」と語った長州力になぞらえ、「今回の異動は大和がマネージャー(期待値込み)であることを前提にした抜擢を自ら打ち破る絶好の機会で、本人の現在のフェーズや内面からしても、大きく突き抜けていけることを確信しています」とも言いました。コウダプロではプロレスの喩えもよく登場します。
さらに、「このタイミングでトレードをすることが、お互いをさらに成長させるきっかけになる」と補足します。前出の「風が吹いた」は、「流れ」に乗ったともいえるでしょう。
なお、こうしたトレードを中堅メンバーに対して即決し、翌月から通常稼働していくのは、多くの会社では容易なことではないでしょう。反発や反論が来そうですし、「そんな唐突な判断、無理です!」と会社を去る人も出てきそうです。
しかし、コウダプロではメンバー皆の「心の根っこが正しい」からこそ、それが実現できている。決断に至った背景について論理的で、隠し事のない、オープンな説明が組織全員になされ、本人の言い分や皆の意見を聞いた上で、物事が進んでいく。これはなかなかレアなことだと思います。
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「今、流れに乗るか」捉える感性を身につけて
ふたつめのテーマに進みます。次の主役は、新卒3年目の沼口佑斗さん(ニックネーム:ヌマ)。会社の有志で熊野(和歌山県)を旅しようとの話が持ち上がり、ヌマも参加を希望していましたが、後日「思いがけず金欠になり、行けなくなりました」と申し出たのでした。
背景には支払いが重なったり、プライベートで変化があったりと、リアルな生活事情がありました。そんなヌマに対し、先輩たちは「流れを失うよ」と指摘。なんとかやりくりして、場合によってはお金を借りてでも、行く方が得られるモノが多い旅だと、先輩たちはヌマに伝えたかったのです。
この出来事に対し、幸田さんはヌマ本人の「“流れ”に対する意識」が欠けていたかもねと、流れに乗ることの大切さが伝わる好事例を紹介。コウダプロの新卒男子(希望者のみ)が挑戦する研修「ダーツの旅」最終日で奇跡を引き起こした米山太一朗さん(ニックネーム:ヨネ)の事例です。
旅中に出会った多くの人に名刺を渡したため、途中で名刺を切らしたヨネ。通常は会社が印刷してくれる名刺ですが、そのときは自腹を切って名刺を発注したのです。それによりヒト、モノ、カネの面で素晴らしい循環が生まれて好機を積み重ね、最終日には「こんなことある!?」という伝説になり得る出来事が起きたのです。詳しくは以下の記事でミラクルに触れていただきたいです。
ヨネは「所持金を考えると、名刺印刷代の6,600円は躊躇なく出せる金額ではありませんでしたが、今振り返ると思い切って良かったです」と自信を持って話しました。
人を信じて飛び込んで、投資した6,600円をはるかに超える流れや人脈をつかんだから、そう言えるのだろう、と幸田さんは解説。これは金額の多寡ではなく、今踏み出すときなのかどうか? 流れをどう捉えるか? という感性の問題ともいえます。
「流れに乗ったほうがいい瞬間」が人にはあり、それを逃すと流れに乗れなくなり、巡ってくるはずの運がスルリと消えてしまうことも。流れを読むには経験も必要ですが、信じて動くこと自体が流れを呼び込むのだと、幸田さんは素晴らしい事例を出して伝えてくれたのでした。
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(編集後記)
どんなに論理的に考えて選択したとしても、タイミングを逃せば成果にはつながらないケースがあると思います。流れを読む力、信じて乗る勇気。それらが個人の成長をもたらし、組織にも波及するのだと勇気をもたらされた朝礼でした。
コウダプロには、人が「現状の自分から脱皮する瞬間」をつくりだすシステムがあると感じます。事業部間での中堅メンバートレードという大胆な施策も、ヨネの事例、ダーツの旅という唯一無二の実践的研修も同様です。
コンフォートゾーンの外へ飛び出す挑戦の場、やわらかな心を持って真摯に向き合ってく人たち。こんな環境が他にあるだろうか? とも思います。
流れを信じて動く人には、流れが味方する——そんな確信を持って、私もやわらかな心を保つ努力をし、日々の選択を積み上げていきたいです。
Text/池田園子