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岩瀬茂樹
1980年生まれ、2015年入社
管理本部/HRBP(Human Resource Business Partner)
意匠部/デザイナー 「来たバスに乗って」ここまで来ました
広告デザイナー、UIデザイナーを経て人事職に
ー最初に、岩瀬さんがカヤックへ中途入社した経緯について教えてください。
前職では、広告制作会社で約12年間デザインの仕事をしていました。クライアントにブランディングの提案をする時の参考として色々なコーポレートサイトを見ていたのですが、カヤックの経営理念※がすごく良く書けていて印象に残りました。企画書の参考資料として何度も読み返しているうちに、その内容にとても共感したことが転職のきっかけです。
(※当時の経営理念の原文は、書籍『面白法人カヤック会社案内』に記載されています)
ービジョンに興味をひかれたのですね。カヤック入社後はどんな仕事をしていましたか。
クライアントワーク事業部(現面白プロデュース事業部)でWEBデザインを担当した後、ゲーム事業部でソーシャルゲームのUIデザイナーとして働いていました。デザイナーをやりながら、中途採用の選考やデザインのスキルチェックなど、人事の仕事も少しずつやっていました。
ー現在は人事職に転向されているんですよね。
はい、人事に強く興味を持ったきっかけは、新卒デザイナーの採用にも関わるようになったことです。新卒採用の場合、内定を出してもその学生がカヤックに来たいと望んでくれなければ、入社に至りません。そのために、魅力的なインターンのプログラムを考えたり、カヤックにはどんな面白いことが待っているかを面接で伝えたりしました。大変でしたが、すごく面白かった。この体験が大きいですね。
前職でも企画書を書いて営業活動もしていましたし、他のデザイナーとの差別化というか、キャリアアップに対して「他の人がやらないことを自分の強みにして戦ってみよう」という意識が強かったのだと思います。
2019年からデザイナー職をいったんゼロにして、ゲーム事業部の「HRBP(Human Resource Business Partner)」を引き継ぎました。
組織づくりの鍵となる「面白指数」「組織戦略ファースト」
ー「HRBP」という言葉は聞き慣れないのですが、どのような役割を担っているのでしょうか。
一般的には、「戦略人事」「部門内人事」などと呼ばれています。いわゆる人事部の機能から、もっと現場寄りの仕事を切り出した職種だと言えます。そのため、事業についての深い理解があり、強みも弱みも把握できている、事業部内のメンバーが担当することが多いですね。事業の成長を組織面や人の面でどのように実現し支えていくか、戦略的に計画する仕事です。
ー比較的新しい考え方で、導入している企業もまだそれほど多くないのだとか。
もともと1990年代にアメリカから始まった概念で、カヤックでは2016年頃からゲーム事業部を中心に実践してきました。大まかに言うとふたつの軸をもとに展開しており、ひとつは1on1ミーティングに代表されるようなピープルマネジメント、もうひとつは採用です。
ピープルマネージメントに関しては、ソーシャルゲーム部門の成長で急増した社員のケアや、従業員定着率が課題になっていました。当時のHRBP担当者がひとりで100人近いメンバーの話を聞くことに徹したところ、一時期非常に高かった退職率がぐっと下がりました。担当者が変わった今も、引き続き1on1の取り組みを行っています。
ーそれはすごい効果でしたね。1on1で岩瀬さんが意識していることは?
1on1の担当者には、「アドバイスはしないで、質問をしましょう」とよく言っています。課題にどう向き合うかは人それぞれなので、「あなたはどうしたいと思っていますか? それはなぜですか?」と問いかけるようにしています。
私自身も毎回うまくできるわけではないんです。相手のあることなので、ただ形だけ取り入れても成功するわけではないところが難しい。1on1の時間をつくるだけでなく、それを一緒に「いい時間」にできるかどうかを大切にしています。
ー1on1の内容について悩む担当者も多いと思いますが、カヤックではどんな話をしているのですか。
相手となんでも話せる関係性を築くため、くだらないことも含めて色々話します。ただ、必ず「あなたは面白く働けていますか?」と聞いています。
面白く働けているかどうか、10段階の「面白指数」を聞くことがコンディションの定点観測になっているんです。その上で、「面白指数」を10にするには何が足りないのか、何をしたらいいのかを一緒に探って、動機付けを行っています。
カヤックは、面白く働く人を世の中に増やす会社。面白く働いている人が評価される文化なんです。「面白さ」は主観だし、言葉の定義もあえてしていないので、面白指数は本当に人それぞれですが......。
ー社員それぞれの「面白指数」を組織づくりの指標にするという考え方は独特ですね。もうひとつの軸、採用についてはどうでしょうか。
採用では、事業部門の責任者と事業の目標とギャップについて話し、今後の成長に必要な人材を具体化して求人しています。カヤック独自の価値観やカルチャーとのフィットも重要視しています。面白く働くことにモチベーションを感じる人が応募してくれることが多い気がしますね。
ー採用においても組織戦略が先立つのでしょうか。「戦略人事」と聞くと、求人条件のマッチングが第一になるのかと思いました。
求人条件から一歩踏み込むのは、カヤックは人に対してのこだわりが非常に強い会社だから。「何をするかより誰とするか」など、もともと「事業戦略より組織戦略を大事にしよう」という会社なんです。スキルがどんなに高くても、カルチャーがフィットしていないと採用に至らないこともあります。長い目で見れば、その方が事業にとっても組織にとっても良いと考えているからです。
HRBPは、今お話した1on1や採用以外に人材配置や異動にも携わりますし、「社員が面白く働けるよう、人に関わることは何でもやる」仕事だと思っています。
葛藤の先に見つけた新たなチャレンジ
ー岩瀬さんの仕事は、広告からゲーム、さらに組織のデザインへと変わったわけですが、デザイナーの仕事に通じることや役立った経験はありますか。
組織をデザインしていると言うと大変おこがましいのですが、デザインと人事には共通している点があると思います。例えば、クライアントから課題をヒアリングし、持っている強みを活かしたデザインを提案することは、ユニークな強みを持って面白く働く社員を増やし、組織の成長につなげるHRBPにも通じると言えます。
ただ、デザイナーから転向して人事職に100%集中するのには、めちゃくちゃ葛藤もあったんです。半年くらい悩んでいました、笑。
ーどのようにしてその葛藤を乗り越えたのでしょうか。
葛藤しつつ、それでもやった方がいいなと思えたのは、最終的に「面白そう」という気持ちが勝ってしまったから。人事の領域は知らないことが多いからこそチャレンジになるだろうし、葛藤しているのはチャレンジしようとしていることだな、と。
また、HRBPの前任者と話していた時、「カヤックの社員だということは、肩書きにとらわれず、何でもやるし何をやってもいい総合職」と言われて、「それもそうだな、面白いな」と腑に落ちました。
ー最後に、今後の目標について教えてください。
カヤックが目指しているのは、管理部門の「セルフサービス化」です。HRBPにとっては、各事業部門が自分たちで人材の採用や配置異動を行えるようにすることが目標。ゲーム・eスポーツ・広告・地域の仕事など、事業が多角的で多種多様な人が集まっているため、やりがいも大きいですね。面白く働くことが前提なので、裁量を持ってクリエイティブにチャレンジできるところはこの仕事の魅力です。
とはいえ、うまくいっていないことも多々ありますし、まだまだ道半ば。今後のミッションはHRBP人材をさらに増やし、育てていくことだと思っています。
ー岩瀬さん自身にも聞いてみたいのですが、面白く働けていますか。
はい。広告デザイナーからゲームのUIデザイナーになるとは全く思っていませんでしたし、そこからまさか人事職になるとは......。2年に1回くらい予想もしないキャリアの変化があって、チャレンジになっています。本当に退屈することなく働ける会社ですよ笑。予想外のことにも面白がって乗っかってくれる人は、ぜひ一緒に働きましょう!
カヤックサイト インタビューより引用- https://www.kayac.com/news/2022/12/interview_iwase
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