登場人物
向さん プロダクトマネージャー兼デザインチームリーダー
面白法人カヤックでエンジニアとしてキャリアをスタートし、株式会社レアジョブにてUXデザイナーや研究開発のリーダーを経験。ファインディは起業のタイミングから副業で参画し、2022年1月にファインディへ正社員としてジョイン。現在「Findy」のプロダクトマネージャー兼デザインチームリーダーを務める。
エンジニア、UXデザイナー、新規事業開発を経てPdMへ。「つくる人を応援する」というビジョンへ共感し、起業時から副業6年間を経て入社
──本日はよろしくお願いします!現在PdMとしてご活躍されている向さんですが、これまでどのようなキャリアを歩まれてきたのでしょうか。
大学卒業後、Web制作・企画・運営を行う面白法人カヤックにエンジニアとして新卒入社しました。
主に自社サービスの開発や受託キャンペーンなどの開発に携わり、当時はフロントエンド、バックエンド、インフラなど、領域を越えてさまざまな技術を経験しました。
そこからエンジニアとして自分で手を動かすだけではなく、より自分らしい表現を突き詰めたいと考え、企画やデザインなども経験しました。最終的には、企画職が自分に向いていると考え、企画の立案を担うディレクターへとキャリアを徐々にシフトしていきました。
──面白法人カヤック卒業後は、オンライン英会話サービスを展開するレアジョブに入社されたそうですね。
はい。主にアプリの改善を担うUXデザイナーとして入社し、さまざまな企画や機能開発をしながら、新規事業開発にも携わりました。
特にレアジョブの中で最も大きかった経験は、新たなビジネスの立ち上げを担うR&D室という部署に配属されたことです。そこで英語スピーキング能力をAIで測定する「PROGOS®」というサービスの企画やローンチに携われたことはとてもいい経験だったと思います。
また、実はレアジョブ時代にはじめて弊社CEOの山田(裕一朗)さんと出会っています。山田さんは当時レアジョブで執行役員を務めていて、私の上司でもありました。「このアプリ微妙なんで、僕が直します」と生意気に言って、その後非常に白熱した議論を交わした記憶もあります(笑)。
山田さんがレアジョブを卒業し、ファインディを起業したタイミングで副業として関わり始めました。その後、自身も卒業した2022年1月にファインディに正式にジョインしました。そのため、ファインディでの仕事は実質6年目ぐらいになります。
──エンジニア、デザイナー、事業開発など領域を越えてさまざまな経験をされてきたなかで、ファインディにジョインを決めた理由とは何でしょうか。
決め手は二つありました。
一つ目は「挑戦するエンジニアのプラットフォームをつくる。」というビジョンに共感したことです。
これまで領域を越えてさまざまな職種を経験してきましたが、あくまで自分のキャリアの原点はエンジニアにあります。だからこそ「エンジニアを応援する」というメッセージに素直に共感できたことが大きかったです。
二つ目はタイミングです。
もともと約6年間副業として携わっていましたが、当時は自分の力量の部分でファインディに100%貢献できる自信はありませんでした。
しかし、レアジョブ時代にさまざまな事業開発経験をできたことから、今ならファインディの成長に十分に貢献できると考え、2022年1月のタイミングに入社を決めました。
──この半年間働いてみて、副業時代と比べてどのような変化を実感されていますか。
そうですね。業務面では大きく変化しました。
副業での関わり方だとどうしてもタスクベースになってしまい、コアなところまで携われないということがありました。
ですが、今は「どのように数字を伸ばしていくか?」「チームビルディングをどうするか?」といった事業の根幹の部分から議論できるので、副業時代よりも当然責任は大きいですが、より仕事を楽しむことができています。
マインド面でいうと、そこまで変化していないというのが正直なところです。
というのも、もともと副業で関わらせてもらっている頃から、Findyがエンジニアにとって意義のあるプロダクトであるということに自信を持っていました。
なので、副業時代から、よりエンジニアにとって価値を生み出すためにどうすればいいか、ということを考えながら携わっていました。そのため、どちらかというと、前述したようにそれを実現する手段についてより本質的な議論から携われていることに面白みを感じているのだと思います。
代表作「草生やして転職。」が話題に。「三方よし」の視点を持ち、お互いが納得できる意思決定を目指す
──改めて、現在の向さんのミッションと具体的な業務内容を教えていただけますか。
まず、PdMとしてのミッションは、「Findyのプラットフォームを成功に導くこと」です。
具体的な業務内容でいうと、Findyをより使いたくなるような仕組み作りをしたり、使いにくい機能は改善したりなど、ユーザー数増加・継続を目的とした施策を企画・実行し続ける仕事になります。加えて、そのなかでも転職希望のユーザーにとって、いい出会いが生まれやすいような場を提供することを目指しています。
──副業時代を含めて、これまで最も苦労した経験についてお聞かせください。
そうですね。過去の話でいうと、「ファインディ=こんな会社」と想起できるような広告コピーやビジュアルの企画には苦労しました。
当時はファインディといえばスキル偏差値という印象を抱く方も多かったのですが、それをもっとうまく言い換えられる言葉を探していました。いいプロダクトやサービスを開発できたとしても、それを端的に表すコンセプトやコピーがないと、より多くのユーザーに届けるのは難しいと考えていたからです。
とにかく数多くの広告クリエイティブを作りましたが、最終的には、「草生やして転職。」というコピーがユーザーに刺さって、多くの人から反響を得ることができました。
加えて、直近だとスキル偏差値のアップデートには苦心しました。
スキル偏差値はFindyのコア機能になるため、あらゆるユーザーにとって納得感のあるアップデートを実現する必要がありました。
そのためより慎重に進めましたが、結果的にはユーザー数の増加や働き方の変化などに追従できていない部分に対応できたのは大きかったと思います。実際、Twitterのトレンドに乗るぐらい多くの反響もありました。
──普段はどのようなチームとやり取りすることが多いのですか。
開発チーム、デザインチーム、事業部……もう全部ですね(笑)。基本的には、PdMとして関わらないチームの方が少ないかもしれません。
──多くのチームとコミュニケーションを取る中で、向さんが気をつけていることはありますか。
まずは、何を目的にやるのか、なぜ開発するのかなどWhyに対してのゴールのイメージに相違がないかという点は気にかけながら進めています。
それを前提に、企画やスケジュールを一方的に伝えるのではなく、その背景やストーリーを合わせて伝えるように意識しています。
──時には業務内で意見が対立したり、方向性が必ずしも一致しない場面もあったりすると思いますが、そうした場合はどのように妥協点や落とし所を見つけているのでしょうか。
大きく三つの視点を確認します。
一つ目に、ユーザーに「不利益」がないかということ。二つ目に、「挑戦するエンジニアのプラットフォームをつくる。」というビジョンの方向性に反していないか。三つ目に、ビジネスとして売り上げや利益にどのような影響があるのか。
これら大きく三つの視点を持って会話をしながら、最終的にはお互いが納得できるような意思決定をすることを目指しています。
──向さんがよく仰っている「三方よし」ということですね。
そうですね。ステークホルダーの納得感に加えて、例えば開発工数なども加味すると、大体の着地点はおのずと決まっていくという感じですかね。
「開発スピードに企画が追いつかない」というあり得ない状況に。PdMの力量次第で凄いものをつくっていける
──今このタイミングで、ファインディでPdMとして働く魅力は何だと思いますか。
まず、ファインディは今年4月にシリーズCで15億円の資金調達を発表しました。このような急成長フェーズの企業で働けることは大きな魅力だと思います。
また、幅広いユーザーを狙うサービスもあるなかで、ファインディのプロダクトはあくまでエンジニアに特化しています。これはある種難易度は高いものの、その難しさを乗り越える面白さも共存していると感じています。
転職サービスは、あくまで挑戦するエンジニアを応援するための手段の一つでしかない。私たちは、転職サービスを作りたいというよりは、エンジニアのプラットフォームをつくることを目指しています。エンジニアとしての成長やキャリアを考えるきっかけになるようなプラットフォームを実現するために、あらゆる価値を提供できるようなサービスを開発したいと考えています。
さらに、開発スピードが早く、施策がスピーディーに実現できる点もファインディならではの魅力の一つだと感じています。直近優秀なエンジニアが続々とジョインしたことで開発速度が上がり、課題を提示するとそれがものすごいスピードで形になっていくので、開発スピードに対して企画が追いつかないという、通常あり得ない状況が生じています(笑)。
施策を実行するまでに時間がかかったり、経営陣や各事業部へ提案する段階で白紙に戻ったりすることはよくあるかと思いますが、ファインディではそういった課題に直面することはほぼありません。
PdM一人あたりの裁量が大きいため、自分の力量次第で凄いものができる環境だと感じています。
──逆に、PdMとして「ここが課題であり伸びしろ」だと感じている点は何かありますか。
課題は数多くありますが、まず一つは、PdMが私1人だけであること。これからプロダクトのさらなる成長を目指すなか、数多くやらなければいけないことがあります。
現在は優先順位の高いものから着手している状態ですが、他のタスクもよりスピーディーに一緒に推進できる仲間が必要だと感じています。
二つめは、プロダクトのビジョンや未来を描く時間が取りきれていないことです。
現状ない訳ではないのですが、日々忙しなく過ぎるなかで、どうしても未来に対する解像度を上げたり、エンジニアに提供する体験を考えきれたりする時間を確保できていないところがあります。
例えば、「Findyを使い始めた時」「転職したいと思った時」など、各体験ごとに区切って丸ごとお任せできるような方がいて、こういう体験がいいのではないかというそれぞれのアイデアを統合し、Findy全体ではこういう体験であるべき、といったイメージです。
この辺りを一緒に考えていける人にも来ていただけると嬉しいですね。
生涯で実現したいことの一つは「美しい仕組み」を残すこと。エンジニアにとって使い続けるのが当たり前になるような仕組みを考えていきたい
──今後、PdMとして挑戦していきたいことは何ですか。
まず短期(1〜3年)の時間軸だと、「Findyの価値の最大化」を目指していきたいです。
Findyの価値は、転職希望のユーザーに対して転職先を紹介することだけにとどまりません。キャリアの壁打ちができるユーザーサクセス面談などの体験を通して、転職に至らなくとも、次のキャリアを考えるきっかけを提供できるようなプラットフォームとしての価値を最大化したいと考えています。
たとえば、普段なら出会えないような自分の知らない企業や、適性に合った企業と出会う確率を高めるためのマッチングのアルゴリズムの強化をしていきたい。
キャリアを構築・考えるための知見やアセットのすべてが、Findyというプラットフォームにある世界を実現したい。非常にチャレンジングではありますが、とてもワクワクする挑戦だと感じています。
──中長期(3〜5年)目線ではいかがでしょうか。
そうですね。挑戦するエンジニアのプラットフォームを目指すためにも、現在地と未来のギャップを見える化できるような機能も開発したいと考えています。
たとえば、今はスキル偏差値や発信力で“現在地”を知ることができますが、OSS活動以外でのスキル偏差値の算出など、より現在の状態を解像度高く認識するための機能が必要だと感じています。
加えて、未来という意味では、弊社のユーザーサクセス面談を受けていただくのもその一つですが、それ以外でも何かしら情報を得られて、自分のキャリアパスが見えてくる。そしてそのギャップを埋めることができるコンテンツや仕組みを考えていきたい。
「エンジニアになったらまずはFindyに登録しよう」「転職後もFindyを使い続けよう」など、エンジニアにとってFindyを使い続けることが当たり前になるようなコンテンツを作りたいと考えています。
──とてもワクワクする挑戦ですね。向さん個人として挑戦していきたいこともありますか?
私が生涯で実現したいことの一つに「美しい仕組み」を残したいという思いがあります。
Findyでたとえるのであれば、エンジニアになったタイミングで登録してから、その方がエンジニアとしてのキャリアを終えるまで使い続けるような、プラットフォームとしての美しさを持ったプロダクトを開発したい。そしてそれが、ファインディであれば実現できると考えています。
──PdMとして活躍できる人、できない人の違いについて、向さんなりの考えがあれば教えてください。
これは自分なりに明確にありまして、経営理念やビジョンに共感したうえで、それを実現するために何でもやるというマインドセットを持てるか、持てないかの違いは大きいと思います。
それが最低限ないと、どうしてもどこかで「これは自分の仕事ではない」「これやるべきではない」など何かとやらない理由を探す時間が増えてしまいます。
ただそれは非常にもったいないので、とにかく常に目指す未来をどうすれば実現できるのか、そのためにプロダクトをいかにマネジメントしていくかという視点がとても大切だと考えています。
スキル面は、決してサービスやプロダクトは一人で開発することはできないので、あらゆるステークホルダーに配慮しながらコミュニケーションを円滑に進められるような人には向いているのではないかと思います。
──最後に、PdMのポジションでどのような人と一緒に働きたいかを教えてください。
先ほど申し上げたことの繰り返しとなりますが、まず最も大切なことは「挑戦するエンジニアのプラットフォームをつくる。」というビジョンに共感いただけるような方と働きたいです。そのうえで、そのビジョンを実現するために、何でも貪欲に挑戦をしたいと考えるようなマインドセットを持つような方だと嬉しいです。
スキル面については、何か特筆したスキルが必要かというと、そうではないと思っています。もちろん多様なステークホルダーと業務を進める機会が多いので、コミュニケーションスキルや共通見解に辿り着くまでのロジカルな思考を持っている方であれば、より活躍はしやすいかと思います。
しかし、まず最も大切なことはビジョンへの共感だと考えています。そこに共感いただける方であれば、その未来を実現するために必要なスキルを育む環境は用意しています。
そのため、好奇心を持って学ぶことを厭わない方であれば、十分にPdMとして活躍できると思いますので、ぜひ一度カジュアルにお話ができると嬉しく思います。