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こんにちは、日本XRセンター人事部のmakiです!
「XR技術を“現場で使えるプロダクト”に落とし込む」
──それは、ただ最新技術を追うだけではたどり着けない道。
大事なのは、“誰のどんな課題を解決したいのか”という視点と、世界中の開発者と協力し合えるしなやかさです。
今回は、日本XRセンターのプロダクト責任者・Rams(ラマセカール S)さんにインタビューを行いました。
XR黎明期から19本のプロダクトを世に送り出し、現在はインド、日本、香港、シンガポール、台湾といった多国籍チームを率いるRamsさん。
「モノづくりのエンジニア」から「世界を創るディレクター」へ。
彼が歩んできたキャリアの転換点、グローバルチームと共に築く開発体制、そしてXRで描きたい未来とは?
“技術と情熱”が国境を超えてつながる今、
プロダクト開発の現場から見えてくる「これからのXR」を、ぜひご覧ください。
ー まずは自己紹介をお願いします!
Rams(日本語訳):
こんにちは、Rams(ラマセカール S)です。現在、VRARRIでプロダクトディレクターを務めています。これまでの9年間で、XRの開発とプロダクトマネジメントの分野で活動してきました。マルチプレイヤーのフリーロームVRゲームや航空・リテール・ドライビングシミュレーター向けのVR/MRトレーニングなど、19以上の没入型体験を世に送り出してきました。
現在は、インド、日本、香港、シンガポール、台湾にまたがるグローバルチームを率いており、日本企業向けにマルチプレイヤーゲームを2本リリース、今年さらに2本のリリースを予定しています。
以前はKaleidozoneでCOOを務め、16本のVRゲームと複数のヘルスケアアプリを開発し、インド全土に26のXRアーケードネットワークを構築しました。XR技術をスケーラブルで実用的なプロダクトへと形にしていくことに、常にやりがいを感じています。
Rams: Hi, I’m Ramsekar S (“Rams”)—Director of Products at VRARRI. Over the past 9 years I’ve specialized in XR development and product leadership, shipping 19 immersive experiences, including multiplayer free-roam games and VR/MR training solutions for aviation, retail, and driving simulators. At VRARRI I guide a global team spread across India, Japan, Hong Kong, Singapore, and Taiwan, recently releasing two multiplayer titles for Japanese companies with two more slated this year.
Previously, as COO at Kaleidozone, I delivered 16 VR games, several healthcare apps, and managed a network of 26 XR gaming arcades across India. My passion is transforming emerging XR tech into scalable, high-impact products that delight users and drive real-world value.
ー これまでのキャリアで印象深い経験や、転機となった出来事はありますか?
Rams(日本語訳):
私の転機は2016年でした。当時はエレクトロニクスエンジニアとして働いていて、VRアトラクション向けのモーションシミュレーターやハプティクス(触覚)デバイスの開発を任されていました。初めて自分でセンサーをゲームに接続し、仮想世界から「触覚としての反応」を感じた瞬間に、電撃が走ったように「これはスクリーンを超えた没入感を生み出せる」と気づいたのです。
その体験から、私は独学でVR開発を始めました。深夜や週末を使って、トラッキングの不具合と格闘したり、プロトタイプを作ったり。最終的にはマルチプレイヤーVRゲームもリリースできるようになりました。ハードウェアとソフトウェアの橋渡しをすることで、私は「ものを作るエンジニア」から「世界を創る開発者」へと変わっていきました。
Rams:
My turning point arrived in 2016. While working as an electronics engineer I was tasked to build motion-simulator and haptic devices for its early VR attractions. The first time I wired those sensors into a game and felt the virtual world push back, the lightbulb switched on: hardware could amplify immersion far beyond a screen.
That spark pushed me to teach myself VR development after hours. Nights and weekends turned into a crash course in VR development—debugging tracking quirks, creating prototypes, and eventually shipping multiplayer VR game titles. Bridging hardware and software catapulted me from “engineer of things” to “builder of worlds,” setting the course for everything I’ve created since.
ー 日本XRセンターにジョインした経緯も気になります。
Rams(日本語訳):
日本XRセンターに入る前、私は数ヶ月間、外部コンサルタントとして関わっていました。そのとき取り組んでいたのは、VRとブロックチェーンを組み合わせた大胆なプロトタイプでした。技術的には上手くいっていたのですが、市場のタイミングがまだ合っていませんでした。
それでも、代表のトーマス*は、私が夜遅くまでバグ修正やデザイン調整に取り組む姿を見て、「この人は信頼できる」と感じてくれたようです。
プロジェクト終了後、トーマスから「フルタイムで来てくれないか」と声をかけてもらい、彼の“現場主義”と“諦めない姿勢”に共感して、正式にジョインすることを決めました。
それからはスピード感をもって、私の過去の実績を確認しつつ、XR市場での課題を洗い出し、いくつかのPoC(実証プロジェクト)を立ち上げていきました。お互いの情熱が、やがて信頼に変わり、最終的にはトーマスがインド・チェンナイまで来てくれて、3年後の構想まで一緒に描きました。「インドのXR人材をどう活かすか」「日本XRセンターの強みをどこで活かすか」などを本気で話し合った時間は、今でも私にとってかけがえのない経験です。
(*トーマス:日本XRセンターの代表)
Rams:
Before I joined the Nihon XR Center, I spent a few months there as an independent consultant. We were tackling a daring prototype that mixed VR with crypto blockchain. Technically, it worked, but the market just wasn’t ready. Even so, Thomas* noticed how deeply I threw myself into every late-night bug fix and design tweak.
That shared grit mattered. When the project wrapped up, Thomas invited me to join here full-time. His own hands-on style and refusal to quit reminded me of why I love XR in the first place, so I said yes.
The transition was quick: we reviewed my previous XR work, sketched out based on the market study where we had real gaps, and then started building a string of proof-of-concepts to test those ideas. Our shared drive soon turned into mutual respect. Thomas even flew to Chennai, India, to sit down with me and map out a three-year plan: how we could tap India’s deep XR talent pool and where our combined expertise could fill gaps in the Nihon XR Center.
*Thomas: CEO of Nihon XR Center
ー 現在は、どんな役割を担っているのでしょうか?
Rams(日本語訳):
プロダクトディレクターとして、製品戦略の立案からチーム全体の進行管理までを担っています。
Rams:
Director of Products
ー インドチームの体制についても教えていただけますか?
Rams(日本語訳):
インドには現在、フルタイムメンバーが9名、加えてフリーランスが5名います。
- シニアUnityデベロッパー:3名
- ミドルレベルのUnityデベロッパー:2名
- Webデザイナー:1名
- UI/UXデザイナー:1名
- 3Dデザイナー/モデラー:2名
- テスター:2名
さらに、日本・香港・シンガポール・台湾・カナダにも、キャラクターアーティストやゲームデザイナー、Unity開発者、クリエイティブディレクターなどが在籍しており、国を越えたチームで開発を進めています。
Rams:
In India, we have a team of nine members working full‑time and 5 freelancers.
- Senior Unity Developers – 3
- Mid‑level Unity Developer – 2
- Web designer – 1
- UI/UX designer – 1
- Designers and Modelers – 2
- Testers – 2
We also have character artists, Game designers, Unity developers, and creative directors working from Japan, Hong Kong, Singapore, Taiwan, and Canada.
ー そのような多国籍チームを構築するにあたって、特に大きな課題や重視してきた点は何ですか?
Rams(日本語訳):
主な課題のひとつは、インド、日本、香港、シンガポール、台湾といった複数のタイムゾーンにまたがるチームをどう管理するかという点でした。チーム全体の足並みを揃えるために、Kanbanボードで全タスクの進捗を管理し、日々の非同期ビデオスタンドアップを実施しています。もう一つの重要な課題は、優秀なXR人材の確保です。マルチプレイヤー型のフリーロームXR開発には、ネットワークコーディング、リアルタイム3Dアート、ハプティクス(触覚)技術といった高度な専門スキルが求められますが、これらの人材は多くの市場で依然として希少です。さらに、研究開発(R&D)と製品デリバリーのバランスを取ることも継続的な優先事項です。XR技術は進化のスピードが非常に速く、実験的なアプローチが不可欠ですが、同時に期限内に成果を出すことも求められます。そのため、毎週レビューを行い、新機能を進めるか、いったん保留にするかを判断しています。
Rams :
One of the main challenges has been managing the time-zone spread across India, Japan, Hong Kong, Singapore, and Taiwan. To keep the entire team aligned, we use a Kanban board to track every task, and we conduct daily asynchronous video stand-ups. Another key challenge has been finding strong XR talent. Multiplayer free-roam XR development requires network coders, real-time 3D artists, and haptics engineers—skill sets that are still quite rare in most markets. Additionally, balancing research and development (R&D) with product delivery is an ongoing priority. XR technology evolves rapidly, so experimentation is essential. At the same time, we need to ensure timely delivery. To manage this, we hold weekly reviews to determine whether to move forward with or pause new features.
ー チーム全体で“同じ目的”を持つ── それはグローバルチームならではの難しさでもあり、強みでもありますよね。インドチームが日本XRセンターのプロダクト開発にもたらしている強みは何だと考えていますか?
Rams(日本語訳):
インドチームは、スピード、柔軟性、そして高い技術力を備えている点が大きな強みです。特に、マルチプレイヤーのネットワーク構築やシェーダー最適化などにおいて、新機能をすばやくプロトタイプ化できる能力は非常に貴重です。「まずやってみよう」という姿勢がチーム全体に根付いており、アイデアを素早く試作品として形にする推進力になっています。
Rams :
The India team brings speed, flexibility, and deep technical expertise to the table. Their ability to quickly prototype new features—especially in multiplayer networking or shader optimization—has been a huge asset. They operate with a “let’s try it now” mindset that helps us move ideas from concept to testable build rapidly.
ー タイムゾーンや言語の違いなど、グローバル開発特有の課題はどのように乗り越えているのでしょうか?
Rams(日本語訳):
インドと日本の間には3時間半の時差があり、働き方や文化も大きく異なりますが、日々の協働は非常にスムーズに行われています。その理由は、私たちが築いてきた「つながり続ける仕組み」にあります。Slackでは非同期でのやりとりや日報を共有し、進捗を明確に把握しています。さらに、Gatherという仮想オフィスを導入し、東京のエンジニアがチェンナイのデザイナーのアバターに“歩いて”話しかけるように、リンク不要ですぐに会話が始められる環境を整えています。また、Nihon Goという独自の軽量翻訳アプリを開発し、ミーティング中の言語の壁も軽減。スムーズなコミュニケーションを実現しています。
Rams :
Even with a 3½-hour time difference and two very different work cultures, our day-to-day collaboration feels almost seamless. We’ve built a system that keeps everyone connected and aligned. Slack helps us manage asynchronous communication and daily updates. Gather, a virtual office space, acts as a shared studio—engineers in Tokyo can “walk over” to a designer’s desk in Chennai and instantly start a conversation. We also created a custom web app called Nihon Go to handle lightweight translation during meetings. It bridges the language gap and keeps conversations flowing.
ー ありがとうございます。次に、日本XRセンターでの開発を通じて、特に印象に残っているプロジェクトやエピソードについて教えてください。
Rams(日本語訳):
「XR Mission: Battle World 2045」は、今でも思い出すと鳥肌が立つようなプロジェクトです。日本XRセンターにとって初の本格的なマルチプレイヤー対応XRリリースであり、それを完成させたときの感覚は、新しい命が生まれたようなものでした──うれしさと同時に、昼夜を問わない責任も感じる経験でした。私たちは、倉庫規模でのXRトラッキングで発生するレイテンシーの問題から、初心者と熱心なプレイヤーの両方が楽しめるゲームバランスの調整まで、実にさまざまな課題に直面しました。
バグには営業時間なんてありませんから、私たちも24時間体制で対応することになりました。チームは時差を活かして「太陽を追いかけるように」リレー形式で作業を引き継ぎ、最後の重大なバグが解決するまで力を尽くしました。
このプロジェクトが特別だったのは、単に技術的に成功したからではありません。誰に言われるでもなく、チームの一人ひとりが自然と自分の役割を理解し、プロジェクトの成功に向けて責任を持って動いてくれたのです。その「一丸となって挑む姿勢」が、困難なプロジェクトを乗り越え、プレイヤーに愛される作品へと導いてくれました。そしてこの経験が、私たちがこれから開発するXRゲームにおける基準にもなっています。
Rams :
XR Mission: Battle World 2045 is the project that still gives me goosebumps. It was our first full-scale multiplayer XR release at Nihon XR Center, and shipping it felt like welcoming a newborn—equal parts joy and round-the-clock responsibility.
We wrestled with everything from latency spikes in warehouse-scale tracking to balancing gameplay for both first-time users and hardcore fans. Bugs didn’t keep office hours, so neither did we; the team pulled synchronized “follow-the-sun” shifts until the last critical issue fell.
What made it memorable wasn’t just the tech triumphs, but the way the team stepped up without being asked—each member instinctively owning their slice of the launch puzzle. That shared grit turned a daunting challenge into a successful, player-loved product and set the bar for every XR game we’ve built since.
ー 最後に、日本XRセンターやグローバル開発に興味のある読者へ、メッセージをお願いします。
Rams(日本語訳):
“見る”だけでなく、“感じる”技術にワクワクする人にとって、XRの世界は最高のフィールドだと思います。
まだまだ未解決の課題がたくさんあるからこそ、挑みがいがあり、想像以上の発見が待っている領域です。
そして今、私たちは国境や文化を越えて、「未来のインターフェース」を本気で創ろうとしている仲間を探しています。
ものづくりを通じて人の感情を動かしたい──そんな思いを持つ方と出会えたら、とても嬉しいです。
Rams:
If you're someone who's excited not just by what we see, but by what we can feel through technology, then XR is the perfect playground.
There are still so many unsolved problems in this field—and that’s exactly what makes it worth the challenge. It’s a space full of unexpected discoveries.
Right now, we’re looking for teammates who are serious about building the “interface of the future,” across borders and cultures.
If you’re someone who wants to move people’s emotions through what you create, I’d be thrilled to work alongside you.
ありがとうございました!
Ramsさんの言葉から伝わってきたのは、文化や言語の壁を越えて、“本当に人の心に残る体験”をつくるという覚悟でした。
国や立場が違っても、「ユーザーを驚かせたい」「感情を動かしたい」という想いは共通です。
日本XRセンターはこれからも、創造力と技術、そして“人の力”を掛け合わせて、世界に通じる体験づくりに挑み続けます。
「プロダクトで世界を動かしたい」
「グローバルチームで働いてみたい」
「XRの可能性にワクワクする」
──そんな想いを持った方は、ぜひ「話を聞きに行きたい」からお気軽にご連絡ください。
一緒に、XRの未来を創っていきましょう!