条件分岐が多い業務フローは、やがて破綻する
業務フローを整理する際、よく目にするのが「この場合はAだけど、こういうときはB」「ただし、この条件なら例外的にC」という分岐の連続です。
一見すると柔軟で丁寧な対応のように見えますが、条件分岐が多い業務フローは、属人化・ミス・混乱の温床になりがちです
特にシステム化や自動化を見据えたとき、条件が多ければ多いほど、処理の複雑さが爆発的に増します。
これは現場でも、開発でも、運用でも、大きな負担となって跳ね返ってくるのです
なぜ条件分岐が少ない方がよいのか?
1. 運用ミスのリスクを減らせる
条件が多ければ、担当者は「どのケースに当てはまるか」をその都度判断する必要があります。
その判断に迷いが生じたり、人によって基準がブレたりすれば、ミスの原因になります
条件がシンプルであればあるほど「これはAの処理」とすぐに判断でき、オペレーションが安定します
2. 教育・引き継ぎがしやすくなる
属人化しやすい業務ほど、条件分岐が複雑です。
「〇〇さんしか判断できない」といった状態は、組織リスクそのものです
条件が少なくルールが明確であれば、新人でも短期間で業務を理解でき、属人性を下げることができます
3. システム化・自動化しやすくなる
条件分岐が多い業務フローをシステム化しようとすると、開発側は「パターンの網羅」に追われます。
特に例外処理が多いと、仕様もコードも複雑になり、バグや保守コストが増大します
逆に、フローの前提を見直して「できるだけ1本道に近づける」ことができれば、設計もシンプルになり、開発もスムーズに進みます
4. 判断の根拠が曖昧になりにくい
条件が多いと「なぜその判断をしたのか」がわかりづらくなります。
記録にも残りにくく、トラブル時の振り返りが困難になります
条件がシンプルであれば、判断の理由が明確になり、説明責任も果たしやすいのです
条件を減らすには「業務の本質」から考える
もちろん、すべての条件をゼロにすることは現実的ではありません。
ですが、「本当にこの分岐は必要か?」と見直すことで、案外なくせる条件は多いものです。
たとえば、
- そもそもフローを統一できないか?
- その例外処理は制度やルールの見直しで吸収できないか?
- 「条件によって対応を分ける」より「共通ルールで対応」できないか?
業務フローにおける“条件分岐の最小化”は、単に処理をラクにするためではありません。
組織としての再現性・継続性・拡張性を高めるための仕組み化に直結します
まとめ
「AかBかCか、それともDか……」という判断が日常的に求められる業務は、現場を疲弊させ、属人性を高め、システム化を阻みます。
できるだけ条件分岐を減らす。それは業務の標準化と見える化の第一歩です。
本当に必要な条件だけを残し、あとは「同じ処理で回せるように変える」
ルールは複雑にすることより、単純化することの方が、ずっと難しい。でも、それが強い組織をつくる道だと思っています😊