個別指導塾「スクールIE」や英語学童「Kids Duo」、プログラミング教室「HALLO」など、多彩な教育ブランドを展開するやる気スイッチグループ。2021年には学習塾・予備校部門で売上1位(日経MJ調べ)となり、教育業界における存在感を一層高めています。
2023年からは「やる気スイッチグループ3.0」を掲げ、次の10年で“真のNo.1企業”を目指す中で、グループ全体の成長を支える「人づくり」の重要性が増しています。
今回は、グループの人材育成をリードするHRD本部(人材開発部門)責任者・澤田英輔本部長へ採用・育成の考え方や、求める人材像についてお伺いしました。
※HRD(Human Resource Development)人材育成・組織開発
※写真:HRD本部 本部長 / 澤田 英輔
―まず、やる気スイッチグループの特徴を教えてください。
我々の会社の一番の特徴は、一人ひとりの子どもたちの個性を見つけて伸ばしてあげることを理念に掲げて、それを本気で実現したい社員が集っていることだと思います。弊社も一般的には教育業界と括られますが、やっていることは他社とかなり異なり、受験など選抜対策のための指導がメインではありません。何かを学ぶプロセスで小さな成功体験を積み重ね、それによって自信や自己肯定感が育まれ、社会に出たときに壁に当たっても前向きにチャレンジする力や新しいことを学ぼうとするスタンスである「自分でしあわせな未来を創るチカラ」を身に付けてもらうために日々の授業やレッスンを行っています。
これまでの社会では受験対策や偏差値向上に重きが置かれていたため、上記のようなチカラを身に付ける弊社の指導方法はトレンドではありませんでした。しかし最近では国の教育指導要綱も変わり、不確実性の増す世の中で、知識の習得よりも考える力や正解のない中でもチャレンジする力が必要だと感じる保護者が増え、結果的に我々のやってきたことが認められ、今ではむしろ追い風になっていると感じています。私自身も子育てをする中で、子どもには受験で良い成績を取ることよりも、世界のどこに行っても生きていける普遍的な強さを身に付けてほしいと考えていますし、それは従来の学習塾の指導方法ではなかなか難しいと感じていました。
―そんな澤田さんもやる気スイッチグループに中途でご入社されていますが、これまでのキャリアや入社の理由を教えてください。
私のキャリアは、株式会社ファーストリテイリングからスタートしました。ユニクロの店舗で販売スタッフから店長を経験し、「チームをどうつくるか」「人をどう育てるか」というテーマに向き合いながら、日々お客さまと接する現場での経験を積み重ねてきました。
特に印象深かったのが、ユニクロの海外展開に携わった時の経験です。フィリピン1号店の立ち上げに店舗責任者として関わらせていただきました。日本での常識ややり方がそのまま通用しない環境の中で、多様な文化や価値観に向き合いながら、相手に合わせて柔軟に仕事を進める必要性を強く感じました。一方で、「お客様は綺麗な売場で買い物がしたい」といったある種普遍的な価値観が国や文化を超えて共有できることにも気づかされ、大きな学びを得る機会となりました。その後、本部へ異動し、経営陣と共に人材育成や組織変革に取り組む経験を重ねるなかで、得たものを活かして別のフィールドでチャレンジしたいと感じ、転職を決意しました。
やる気スイッチグループとの出会いは、「人や組織の成長により深く関わりたい」と強く思うようになっていたタイミングでした。それまで私は、人材育成や組織変革の領域でさまざまな経験を積んできましたが、その中で改めて感じたのは、「自分の目の前にいる相手のために、自ら考え、判断し、実行できる力」が何よりも大切だということでした。やる気スイッチグループは、まさにその価値観を体現している組織です。子どもたちが自らの人生をデザインし、豊かに生きていけるよう支援する。そのために、一人ひとりに向き合い、自分の頭で考えて動く――そんな考え方に強く共感しました。
──実際に入社されてみて、どんな印象を持たれましたか?
やる気スイッチグループの一番の魅力は、やはり「理念」にあると感じます。また、その理念が表面的ではなく、社員一人ひとりの行動に根付いていることも大事なポイントだと考えています。例えば、現場からの声がサービスづくりに反映され、新しいブランドも現場発で生まれてくる。そんな理念と行動が一致した組織文化があるからこそ、子どもたちにも本当の意味での成長を届けられているのだと思います。
一方で、やる気スイッチグループは今まさに変革期にあると捉えています。事業の拡大に伴って、マネジメントの仕組みやキャリア形成、働く環境の整備など、まだまだ改善の余地があるのも事実です。社員一人ひとりが自ら考え、主体的に動き、挑戦と失敗を通じて学ぶ。そうした姿勢は今後さらに社内へ浸透させていくべき部分であると感じます。
―現在のHRD本部では、どんなミッションを担っていらっしゃるのでしょうか?
現在は、HRD(Human Resource Development※人材開発)本部の責任者として、人材の採用・育成・評価に関わる仕組みの見直し、運用の強化に取り組んでいます。HRD本部は、2024年に組織として立ち上がり、人材開発領域を会社の中で体系的に担っていくことが求められている部署です。
特に注力しているのは、採用から育成までを一貫してつなぎ、「いい人を採用し、いい環境で、いい上長のもとで育てる」という、シンプルながらも本質的な人材育成の仕組みを社内外に浸透させていくことです。また、やる気スイッチグループはフランチャイズモデルも展開しているため、直営・FC問わず、共通の仕組みやメソッドを展開し、「ワンやる気スイッチグループ」として品質を保つこともHRD本部の重要な役割の一つです。
さらに最近では、自治体や業界団体と連携しながら、地域の教育格差の課題にも取り組んでいます。人材開発・組織開発の理想を追求することで、HRD本部を教育業界や社会全体に対して価値提供できる水準の組織に育てていきたい。そんな思いで日々の仕事に向き合っています。
―人材の採用や育成の強化について、もう少し詳しく教えてください。
採用と育成については、今後さらに注力していくべき重要なテーマだと考えています。
まず採用については、当社の理念に共感してくださる方にご入社いただくことを、何より大切にしています。理念との共感度が高い方であれば、どんなに困難な局面であっても、同じ方向を向いて乗り越えていくことができるからです。スキルや経験の有無以上に、その人の志や価値観がフィットしているかどうかを重視しています。現在は、会社全体として新たな挑戦やパートナー企業との連携も進んでいるフェーズです。そうした中で、多様なバックグラウンドや視点を持つ方々を積極的に採用し、新しい風を取り込んでいくことが必要だと感じています。「教育の力で社会に貢献したい」「チャレンジを通じて成長実感を得ながらキャリアを築きたい」といった思いを持つ方に、ぜひ仲間に加わっていただきたいと思っています。
また、「本当に当社の理念に共感する方を採用できているか」という観点を、現場任せにするのではなく、経営陣も含めてしっかりと見直していくことが今後ますます重要になると考えています。理念を軸にした採用基準を再確認し、組織として一貫性のある採用活動を行っていきたいですね。
育成に関しても、基本的な考え方は同じです。やる気スイッチグループとして大切にしている価値観や共通言語を、しっかりと全社員に浸透させていくことで、組織の一体感や文化の醸成につなげていきたいと考えています。
―やる気スイッチグループならではの育成の取り組みとして、SU研修(スタートアップ研修)がありますが、ご自身のご経験を踏まえてSU研修の意義についてどう感じていらっしゃいますか?
やる気スイッチグループでは、本部現場問わず、全社員が「SU研修(スタートアップ研修)」を受けることが原則となっています。この研修は、2週間掛けて教室長の仕事の内容や対応方法を座学と実技の両面から学ぶもので、我々のブランドの本質や業務を進める上での基盤となる考え方、効果的なコミュニケーションの取り方を身につける重要な機会です。
本部所属であっても、まずはこの研修を通じて現場を理解することが求められます。というのも、やる気スイッチグループにおけるあらゆる仕事の出発点は「教室」であり、生徒との直接接点、保護者との信頼関係、地域とのつながりといった“真実の瞬間”が集約されているのが現場だからです。
私自身もこの研修を受け、やる気スイッチグループが最も大切にしている「子どもの自分力・共創力・想像力を育む」ための仕組みやメソッドを実感をもって学ぶことができました。こうした理解があるからこそ、たとえ本部に所属していても、現場とのギャップなく同じ目線で協働することができます。
SU研修は、例えば「現場を知らない人が制度をつくる」のようなミスマッチを防ぎ、現場と本部がフラットな関係で連携する土台を築くものです。
やる気スイッチグループの“現場起点の人づくり”を象徴する、大切な取り組みだと感じています。
―最後に「こんな人と一緒に働きたい」という人材像を教えてください。
やる気スイッチグループが掲げる理念や仕事の定義に、純粋に「いいな」と思える人と一緒に働きたいと思っています。私たちが目指しているのは、教育を変え、豊かな社会の実現に貢献し、世界を変えていくこと。その実現のためには、「教育業界真のNo.1を目指す」という大きな目標にも本気で挑戦していきます。
そうした挑戦を共にしていくためには、一人ひとりが自分の頭で考え、行動し、力を発揮していくことが欠かせません。同じ船に乗っているけれど、誰かについていくだけではなく、それぞれの現場で自ら価値を生み出していく──そんな自走力のある人が活躍できる環境です。この会社には、そうした個人の挑戦を応援し、成長を後押しする土壌があります。事業もこれからさらに成長していくフェーズですし、自分自身の人生にとっても、大きな意味を持つ経験ができるはずです。
「人の成長に関わりたい」「教育の現場で自分の力を試したい」と思っている方にとって、やる気スイッチグループはきっと魅力的な場所になると思います。