「いま空いているか1秒でわかる、優しい世界をつくる。」
このシンプルな言葉から始まったバカンのミッションは、10年近くにわたって私たちのサービスの原点でした。
しかし今、私たちはあらためて問い直しました。
― 混雑を“見える化”したその先に、何があるのか?
― 私たちが本当につくりたい「優しい社会」とはどんな姿なのか?
技術の進化、社会の変化、そして私たち自身の成長をうけて、ミッションとビジョンをアップデートすることにしました。
この記事では、代表取締役の河野さんと取締役の篠原さん(https://corp.vacan.com/company/member)に、
変更に込めた想いや背景についてじっくりお話を伺い、バカンの価値観について深掘りしています。
ぜひ、これからのバカンの未来像に触れてみてください。
0.新ミッションとビジョン
MISSION「人と空間を、テクノロジーで優しくつなぐ。」
「いま空いているか1秒でわかる、優しい世界をつくる」という原点の想いは、私たちのすべてのサービスの根幹にあります。テクノロジーの力で、人と空間がより自然につながり、誰もが迷わず、安心して過ごせる環境を届けていく。暮らしの中に”当たり前”に存在する困りごとに寄り添いながら、まち全体をやさしく支えていくことを目指しています。
VISION「施設・エリアを支えるプラットフォームを構築し、まちと暮らしをアップデートする。」
私たちは、施設やエリアに寄り添いながら、“街”に集う人、“町”で暮らす人、そして“待ち”に悩む人すべての体験をやさしく支えていきます。日々の移動や選択がもっとスムーズに、時には暮らしそのものの可能性までも広げるような、そんな継続性のある未来をつくっていきたいと考えています。
1. はじめに:変更の背景
今回、ミッション・ビジョンを変更することになった背景を教えてください。
河野:
前のミッションは、ビジョンと統合されていたがゆえに、もともと「10年程度を目安に活用する」という想定で作ったものでした。当時は、リソースが非常に限られていたため、自分たちが本当にやるべき領域を絞り、「混雑の可視化」に特化することで、組織としての成長につなげる。そのような考え方に基づいて生まれたのが、最初のミッションでした。
一方で、領域を絞ったことで、周辺分野への対応や拡張に関しては、意思決定のハードルが高くなるという課題もありました。この課題意識が、今回のミッション・ビジョンの見直しにもつながっています。
その後、バカンでは「vCore※」技術をはじめとする開発が進み、画像認識やAI技術を用いたサービスの作り込みが進みました。これにより、行列管理や座席の無人管理など、空間をマネジメントするための技術が大きく進化しました。たとえば「空いているかどうかがわかる」「待たされない」などの体験を、技術によって可視化・実現することができるようになりました。
これらの取り組みにより、バカンが当初から目指していた技術の骨格は固まりました。そこで次のステップとして、この基盤を活かして周辺領域へも事業を広げていこうと考えました。
今やっている技術や仕組みを大切にしながらも、その前後の文脈を捉えて利用者体験や施設側のオペレーションをさらに改善していく。そのために、より広い領域にチャレンジできる体制を整えた今が、ミッションをアップデートする良いタイミングだと判断しました。
そして今回、ミッション(使命)とビジョン(実現したい状態)を分離しました。ミッションでは「自分たちがやるべきこと」を明確にし、ビジョンでは「中長期的に目指す未来の姿」を掲げています。これにより、組織として迷わず進むことができるようにしたいと考えています。
また、お客様にも「バカンは単に“空いてるところを可視化するだけ”の会社ではない」と理解してもらい、私たちの可能性や価値をより広く伝えるためにも、このアップデートを行いました。
※vCoreとは
あらゆるセンサーやカメラなど、様々な方法で検知したデータを、分かりやすい空き/混雑情報へと変換するバカン独自のプラットフォーム。
代表取締役:河野 剛進(かわの たかのぶ)
篠原:
これまで掲げていたミッション「いま空いているか1秒でわかる、優しい世界をつくる。」は、積み重ねてきた、努力と技術の進化によって、ある程度実現できる環境が整ってきました。
そして今、私たちは「自分たちの生活に本当に必要なもの」として、サービスをさらに広げ、より多くの人にとって“当たり前”の存在となることを目指しています。
そのためには、これまでのような混雑状況の可視化だけでなく、その周辺にある出来事や、さらに先に広がる課題やニーズにまで目を向けていく必要があります。
そこにたどり着くためには、より大きな視座と、次のステージにふさわしいミッションとビジョンが必要だと感じ、今回のアップデートに繋がりました。
取締役:篠原 清志(しのはら きよし)
2. 新しいミッション・ビジョンの内容と意図
新ミッション・ビジョンに込めた想いや、特に大切にしたポイントは何ですか?
河野:
今回のミッション・ビジョンのアップデートにあたって、最も大切にしたのは「バカンらしさを失わないこと」でした。
なかでも、メンバー全員に共通する想いとして大切にしてきたのが「優しい世界をつくる」ことです。これは今のメンバーだけでなく、退職した仲間からも「バカンの好きなところ」として何度もフィードバックをもらったほど、私たちの根幹にある価値観です。
この“優しさ”は、単なるやわらかい言葉ではありません。
誰も取り残さないサービス設計や、色覚多様性のある方や高齢の方にも配慮したインターフェース、地方や避難所など社会課題への対応など、技術と行動で体現する優しさを意味しています。
また、今回は導入先(クライアント)視点の価値にも強く意識を置いています。
これまでは利用者体験を第一に考える文化が根づいていましたが、それだけでは本質的なサービスの拡がりは生まれません。導入先にとっても価値のある仕組みを提供することで、結果としてより多くの人の暮らしをよくすることにつながる。
その発想に立ち返ったのです。
同時に、「混雑可視化」にとどまらない領域にもチャレンジしていくことを見据え、目に見えない生活課題にどう応えていくか、世界中へどう広げていくか、AIやDXとどう結びつけていくかという広がりも検討しました。“空間体験をなめらかにつなぐ”、“街と暮らしをアップデートする”といったキーワードも軸に据えました。
このように、創業以来大切にしてきた“本質的な価値”を残しながらも、未来に向けて視野を広げるということを意識しました。
篠原:
「優しく」という言葉は、バカンらしさを表す“味”だと考えています。
特別に珍しい表現ではなく、誰もが慣れ親しんでいる一般的な言葉。だからこそ、言葉自体に強いインパクトがあるわけではありません。
でもそこには、どこか前向きで、あたたかい響きがあります。
私たちが目指しているのは、「ただ儲かればいい」「とにかく続けばいい」といったものではありません。
本当に実現したいのは、自分たち自身や、その周りにいる大切な人たちの生活にとって、本当に“良い”と思えるプロダクトをつくっていくことです。
「優しさ」をなくせば、もっとシンプルで効率的な道もあるのかもしれません。
でも、そうじゃない。「優しさ」がある世界は、私たちだからこそ実現できることだと考えています。
3.ミッション・ビジョンの変更によって、各ステークホルダーにはどのような変化を期待していますか?
河野:
従来のミッションは「混雑をなくす」ことに焦点を絞っていましたが、今回の変更により、バカンが提供できる価値はそれだけにとどまらないことを明確にしました。
ステークホルダーに対しては、「バカンは混雑状況を可視化するだけの会社ではない」というメッセージが、今後の事業展開や協業の可能性を広げるきっかけになると考えています。実際に、ミッションの変更に先立って、説明した株主からも、バカンのビジョンに対して非常にポジティブな反応が寄せられており、「より広いコラボレーションの形を模索しやすくなる」との声もありました。
篠原:
これまでは、混雑可視化の“少し周辺”にある領域までを積極的にプロダクト化してきました。
でもこれからは、新たなミッション・ビジョンと一緒に、さらに遠くまでサービスを広げていくことが、「当たり前」になることに繋がると思っています。
そのうえで、バカンメンバーに伝えたいのは、
「優しさとは何か」を日々、1人ひとりが考え、それをプロダクトという形に落とし込んでほしいということです。その積み重ねが、提供するサービスの良さとして反映されていく。
自分はそう信じていますし、実際そう感じています。
バカンの提供するサービス一覧はこちら:https://corp.vacan.com/
4.最後に
混雑の可視化から始まったバカンの取り組みは、今、新たなステージへと踏み出しています。
「優しいまち」という大きな夢に向かって、
私たちはこれからも、テクノロジーの力で人々の暮らしをより豊かに、より快適にしていきます。
日々の移動や選択がもっとスムーズに、時には暮らしそのものの可能性までも広げるような、
そんな継続性のある未来を本気で目指しています。
私たちは、これからも社会の課題と真摯に向き合い、
“優しさ”をかたちに変えるプロダクトづくりを続けていきます。
ここまでご一読いただきありがとうございました。