こんにちは、UPSIDER共同創業者・共同代表の宮城です。
昨日、プレスリリースにて、154億円の資金調達をご報告しました。
お客様、パートナー企業の皆様、そして従業員のみんなに感謝を申し上げます。
「AI技術で企業のお金の課題を解決するテクノロジー企業」として、
独自のAI与信モデルや優れたAIチャット体験が評価されました。
そして、シリーズCからユーザー数が50倍以上に成長しています。
このnoteでは、その話の深掘りは・・・しません(笑)
では、何について書くのか?
最近、まわりでよく聞くようになった、とある悩みについてです。
「2個目、3個目の事業が上手く立ち上がらない」
「事業トップやゼロイチをできる人が社内に見つからない」
という悩みをよく聞くようになりました。
特に、同時期に起業した仲間は、頭を抱えている人が多いです。
その度に思い出すのは、故・瀧本哲史さんからの教えです。
エンジェル投資家であり、経営コンサルタントであり、教育者。
UPSIDERにとって最初のエンジェル投資家であり、
瀧本さんにとって生前最後の投資先がUPSIDERでした。
名著『僕は君たちに武器を配りたい』のタイトル通り、
瀧本さんは、私たちに大きな武器を授けてくれました。
「人に投資しよう。1兆円企業を目指して」という思想です。
このnoteでは、瀧本さんとのストーリーに触れながら、
UPSIDERで挑戦している、人への投資について書いていきます。
まだ成功してませんが、着実に成果が出始めています。
リーダー人材がひしめく会社になる兆しが見え始めています。
人への投資がUPSIDERの戦略であり、文化であり、
そして、シリーズDにて調達した資金の使途なんです。
そんな話を、ここから書いていきます。
UPSIDER、154億円の資金調達を実施株式会社UPSIDERのプレスリリース(2024年11月20日 10時00分)UPSIDER、154億円の資金調達を実施prtimes.jp
人への投資なしに、1兆円企業になれない
UPSIDERは、時価総額1兆円以上を目指しています。
日本を代表し、世界で戦える金融プラットフォームへの通過点として。
バカ真面目に目指しているからこそ、気づいていることがあります。
それは、リーダー人材がたくさん育つ環境が必要であることです。
ZOZO等、ほぼ単一の事業で1兆円を超えられる企業もありますが、ほとんどは違います。
リクルート、サイバーエージェント、楽天など、複数の事業や海外など、大きな市場に展開している企業です。
事業が増え、地域が増えると、経営の難易度が高くなります。
各事業、地域、機能をリードできる経営人材が必要になります。
自社によるゼロイチの集合体でも、買収・合併の場合でも。
経営人材は、採用やM&Aで集められるという意見もあります。
でも、日本においては、限界があります。
経営人材プールの総量が足りないからです。
また、長く経営を担うほどのロイヤリティは期待できません。
だから、長い目線で、人への投資が大切です。
若手に投資し、将来のリーダーを創れるかどうかが、会社の未来を左右します。
短期的には、実績がある人に任せる方が早くて楽かもしれない。
人件費が高くても、事業がイケてれば、見合うかもしれない。
若手に頑張って投資しても、辞めてしまうかもしれない。
それでも、UPSIDERは、人に投資します。
会社の未来の資産になり、成長の源泉になると信じているからです。
打算的な理由だけじゃなくて、「やりたい」という純粋な気持ちも強いです。
私もTomo(共同代表)も20代のときに、めちゃくちゃ投資してもらいました。
そして、瀧本さんにもチャンスをもらいました。
そのおかげで、今の自分たちがいます。挑戦させてもらえてます。
だから、自分たちでも、やりたいんです。
ひとりでも多くの挑戦者が社会に増えれば、という想いで。
では、どこの人材育成を参考にするのか?
当然、リクルートやサイバーエージェントの仕組みは勉強しています。
でも、私たちには、まだまだ手が届かない仕組みです。
なので、瀧本さんの教えを大切にしてきました。
具体的な教えに入る前に少し・・・
瀧本さんとのストーリーをここに残させてください。
エンジェル投資家・瀧本哲史さんとの出会い
瀧本さんに初めて会ったのは、2018年7月26日。
六本木ヒルズ上層階の会員制のレストランにて。
私のマッキンゼー時代の同期で、先に起業していた岡田君(現・株式会社プログリット代表取締役社長)の紹介でした。
「ドレスコードがあります」という事前のメッセージと裏腹に、
ボサボサの髪、ヨレヨレのシャツで、紙袋を下げて、瀧本さんは現れました。
「この方がエンジェル投資家か・・・」と思ったのも束の間、
「んで、何をやりたいんですか?」といきなり本題に入りました。
当時は、ピッチ資料などもまだ準備していない時期です。
私とTomoで、口頭で、やりたいことを精一杯つたえました。
瀧本さん「で、いくら必要なんですか?」
私・Tomo「1,500万円です!」
瀧本さん「・・・」
私・Tomo「・・・」
瀧本さん「ダンッ(Done)!」
私・Tomo「!!!!」
瀧本さん「・・・」
私・Tomo「え、まだリード投資家もいないんですが・・・」
瀧本さん「早く見つけてきて下さい。準備しておきます。」
私・Tomo「はい!!来月いっぱい下さい!」
という猛烈なスピードで、コトが決まりました。
それが、瀧本さんとの歩みの始まりでした。
そこから亡くなるまでの1年間、毎月何回も相談にのってくれました。
その時期は、私たちが暗闇でもがいていた時期です。
「正しい市場、正しいチーム。君たちは絶対成功する!」
「成長企業がこぞって使う、カッコいいブランドの銀行になります!」
ポジティブに背中を押し続けてくれた、最高の応援団長が瀧本さんでした。
瀧本さんが生前に残してくれた武器
“自信がないのに「他社がやっているから」「上司の命令だから」では勝てません。自分の頭でしっかり考えて、行動する。それがコモディティー化の波にのまれない第一歩です。”
“誰かすごい人がすべてを決めてくれればうまくいく、という考えはたぶん嘘で、「みなが自分で考え自分で決めていく世界」をつくっていくのが、国家の本来の姿なんじゃないかと僕は思っています。”
“人生において大切なのは、どれだけ知識を持っているかではなく、どれだけ行動できるかである。”
“行動することが、最も大きな差別化を生む。”
“成功とは、目標を達成することではなく、目標に向かって成長していく過程そのものである。”
“夢を語り合うだけの「友だち」は、あなたにはいらない。あなたに今必要なのは、ともに試練を乗り越え、ひとつの目的に向かって突き進んでいく「仲間」だ。”
これらは、瀧本さんの著書からの抜粋です。
どれも、瀧本さんの思想が濃く出た言葉ばかりです。
瀧本哲史「リーダーがいなければ自分がなれ」昨年から今年にかけて、『僕は君たちに武器を配りたい』『武器としての決断思考』『武器としての交渉思考』という3冊の本を出版しtoyokeizai.net
短い期間でしたが、私たちは、瀧本さんの思想に強く影響を受けました。
瀧本さんが私たちに向き合ってくれるときのスタンスから、
挑戦する若者への向き合い方について、多くのことを学びました。
UPSIDERでは、その思想をベースに、人に投資をしています。
私たちは、「どの山に登るのか」というデカい目的を共有します。
加えて「絶対にやらないこと」という制約も共有します。
しかし、戦略やロードマップを「これが答えだ」とは示しません。
「これをやれば上手く行く」という約束もしません。
山頂に突き進む道は、自分で考え、自分で決めて、自分で行動する。
自分で決めるから、直面する試練を乗り越え、助け合え、成長につながる。
それが、UPSIDERでの、人への向き合い方です。
育成する仕組みは、ほとんど整備されていません。
受け身の人に機会(ポジション等)を意図的に与えることも、していません。
なので「育てて欲しい」「機会が欲しい」という人には、厳しい環境です。
UPSIDERにあるのは、挑戦を後押しする環境です。
自分で決めて、自分で行動した人は、スペースと責任を手にできます。
UPSIDERで着実に出始めている成果
イメージが湧くように、いくつか事例を紹介したいと思います。
- 与信審査チームのリーダーYさんの話:
与信モデルを作り、与信審査を回すチームがあります。
Yさんは、去年、審査実務を担当するメンバーとしてジョインしました。
お客様や営業現場に早く丁寧に答え、インシデントが起きる度に前線で身を張り、月曜朝も一番早く出勤するなど、「Yさんはどこにでもいる」と言われるほどになりました。
1年も経たず、Yさんにリーダーとしての責任とスペースが作られました。
しかも今は、その枠すら超えて、債権回収の領域まではみ出したり、新規事業の与信方法を自ら設計するような挑戦をしています。 - 不正対策チームのリーダーのHさんの話:
不正利用を監視し、お客様を不正被害から守るチームがあります。
Hさんは、一昨年、カスタマーサポートのメンバーとしてジョインしました。
不安を感じるお客様に対する丁寧なフォロー、開発チームやVisa加盟店との知識が必要なやりとり、インシデントでの積極的な対応など、通常のサポート業務を超えた領域での活躍が目立ち、不正対策チームのリーダーになりました。
最近では、「日本一イケてる不正対策組織」というテーマで、下半期の目標や予算について、自分から経営に提案してくるような動きをしてくれています。 - 事業責任者のIさんの話:
今やUPSIDERの大きな柱である支払い.com。
事業責任者のIさんは、インターンでジョインし、この4月に正式入社しました。
新卒1年目の社員に主力事業の責任者を任せる判断は、普通の会社はしないはず。
でも、圧倒的な行動力や変化力から、自然な流れで事業責任者を担っています。
今では、大きな環境変化に対応する戦略や計画を決めるだけでなく、自らの判断で集めたメンバーで、モメンタムの高いチームを作り、率いてくれています。 - 関西支社長のMさんの話:
これまで、東京のみでやってきたUPSIDER。
お客様は全国にいるものの、東京以外に拠点はありませんでした。
そこで、自ら進んで関西支社を立ち上げたのが、新卒1年目のMさんです。
オフィス契約から、予算・撤退基準の決定などを、「自分自身の金だったらどうするのか?」というスタンスで、自ら考え、自ら決めてきました。
立ち上げ後は、自らが圧倒的な成果を見せながら、関西支社で作りたい文化を意識した採用も進めています。 - 新規事業開発のMさんの話:
3年前にグロースパートナー(セールスとカスタマーサクセスを両方担う役割)として入社したMさん。
最近、自らが圧倒的に数字を作ってきた領域で、いつの間にか新規事業を立ち上げ、気づいたら勝手に売上を立て始めています。
「自分が一番ニーズへの解像度が高いし、一番売れます」「Toruさん(私)が何を言おうとやりますよ」という圧倒的な当事者意識で行動しています。
これらはすべて、ビジネスサイドでの、ごく一部の事例です。
他にもビジネスサイドの事例はたくさんありますし、
エンジニア、プロダクトマネージャー、コーポレート等に広げると、書ききれません。
この11月に、創業以来の大きな組織変革がありましたが、
それは、トップダウンの判断がきっかけではありません。
むしろ、リーダーひとりひとりの主体的な決定や行動を、
全力で後押しするために、組織構造を合わせに行く作業です。
求められる以上の責任に登ってくる人たちに、上のスペースを空ける。
求められる責任をしっかり果たしながら、周囲の領域に勝手にハミ出していく人たちには、思い切って、100%ハミ出させてみる。
そういう後押しです。
その結果、グロースパートナー(セールスとカスタマーサクセスを両方担う役割)のマネージャーのほぼ全員が新規事業の責任者へ。
まるでシードラウンドの企業が集まったかのような状態に。
プロダクト開発では、ステップアップする人、違う領域に飛び出る人が、互いの挑戦を支え合っています。コーポレートでも、次のリーダーが生まれ始めています。
まだ成功してませんが、着実に成果が出始めています。
リーダー人材がひしめく会社になる兆しが見え始めています。
その先に、1兆円企業の未来が見えてくるはずです。
まだ会社の外からは、大きな変化は見えないかもしれません。
でも、明らかに、人の厚みが大きく増しています。
社内のメンバーは、みんな感じているはずです。
社外にも大きな変化が見え始めるのは、おそらく、時間の問題でしょう。