前回の記事では、育休を実際に取得した有馬さんと、これから取得予定の高井さんの二人に、パパ育休の現実と向き合う姿を語ってもらいました。
▶ 前回記事はこちら:「“働き続けられるスタートアップ”を目指して──パパ育休の今とこれから」
今回はその後編として、制度を整える立場である経営管理部の田中さんにインタビュー。 スタートアップという環境の中で、なぜ育休制度を整備しようと考えたのか?そして、実際に運用してみて見えてきたものとは?
制度設計の舞台裏から、文化として育休が根づくまでのストーリーをお届けします!
【1】制度づくりの背景
スタートアップというスピード感のある環境の中で、「育休制度を整える」という判断には、どんな想いが込められていたのでしょうか?まずはその背景から聞いてみました!
Q:まず、スタートアップというフェーズ上、対象者がそこまで多くはない中で育休制度に目を向けられた背景を教えてください
田中:SALESCOREのValueに「ヒトに向き合う」という言葉があるのですがそれにつきます。対象者が多い少ないは関係なく、メンバーができるだけ自身の希望に沿った向き合い方でライフイベントに臨める環境を作りたいと思いました。
Q:「会社としてどうありたいか」という観点では、どんな想いがありましたか?
田中:育休制度って、形式的には「制度がある」だけでは足りないと思っています。本当に使われて、文化として根付いてこそ意味がある。だからこそ、制度をつくることが目的ではなく、「使われる制度」にするために何が必要かを常に考えています。制度って、あっても使いにくければ意味がないですし、逆に使ってもらえることが「制度の存在意義」そのものになると思うんです。
【2】“就労型”育休という新たな選択肢
Q:SALESCOREでは、就労しながらパパ育休を取ることができると聞きました。具体的にはどういう制度なのでしょうか?
田中:はい。2022年10月から導入された「出生時育児休業(産後パパ育休)」を活用できるようにしています。特徴は“働きながら育休を取れる”こと。たとえば、週3日は通常勤務して、残りの2日は育児に専念するといった柔軟な形で取得できます。
導入した背景には、育休を取りたくても「収入面が不安」「完全に業務を離れるのは難しい」という声がありました。働いた日は通常通り給与が支払われ、休んだ日は国の給付金が出る仕組みなので、収入面の不安は軽減されますし、業務を完全に離れなくても調整できるのは大きなポイントです。
実際に第一号として取得したのはマネジメント層の有馬さんでした。週次の定例MTGには参加しつつ、育児にも向き合うプランを組んでいて、それを見た周囲のメンバーも「自分も取りやすい」と感じてくれたように思います。
もちろん「働きながら取ること」が目的ではなく、あくまで選択肢のひとつ。まったく取らない、1年取る、就労型を選ぶ——どれも本人と家族の判断です。その中で「不安が理由で取らない」ことを少しでも減らしたくて、この制度を整えたんです。
【3】制度設計と現場のリアル
田中:最初の頃は「本当に使えるの?」「現場が回らなくなるのでは?」という声もありました。でも、それを乗り越えるには対話しかないと思っていて。
Q:実際にはどのように現場と連携していたのでしょう?
田中:現場のマネージャーやチームリーダーと密に連携して、具体的にどう回せばよいかを一緒に考えました。制度だけでは解決できない、細かな業務調整や心理的な部分も含めて、現場と一緒につくっていく意識がとても重要でした。制度は“紙の上”だけでなく、“日常の中で機能する”ことが大事だと思っています。
Q:運用面ではどんな工夫をされたのでしょうか?
田中:まずは「気軽に相談できる空気感」を重視しました。取得者の状況に応じた柔軟な対応ができるようにすることで、取得の心理的ハードルも下がったと思います。
また、SALESCOREではもともと仕組み化を重視しており、業務を属人化させない文化がありました。これが結果的に「引き継ぎがしやすい」という状態につながっており、育休取得時の業務調整もスムーズに進められたと思います。
【4】制度が根付く中での変化
田中:やはり大きかったのは有馬さんの存在ですね。「マネージャー職でも取れるんだ」と、社内の心理的ハードルが一気に下がった印象です。最初の一歩を踏み出してくれたことで、「自分も取得していいんだ」と思える雰囲気が一気に広がりました。
その後に続いた高井さんの決断も、ごく自然なものでしたし、それを受け入れるチームの姿勢にも変化が表れていたように思います。
Q:制度運用を通じて気づいたことや、改善したい点はありますか?
田中:SALESCOREではもともと業務の仕組み化を大事にしていたので、育休に限らず引き継ぎがスムーズに行える体制がありました。それが結果的に「育休中の不安軽減」や「属人性の排除」につながったと感じています。
今後は、育休から復帰する際のサポートやキャリア再設計の支援にも、もっと取り組んでいきたいですね。制度の柔軟性を保ちつつ、長期的に“働き続けられる”環境を整えていきたいと思います。
【5】今後に向けて
田中:育休に限らず、介護やさまざまなライフイベントがありますよね。人生のステージは人によって本当に多様です。だからこそ、どんな状況でも「ここでなら相談できる」と思ってもらえる会社でありたい。制度というより、“安心できる場所”をつくっていくことが、これからの私たちの課題だと考えています。
Q:育休制度を検討している企業や社員の方へのメッセージをお願いします!
田中:制度を整えることはスタートラインにすぎません。大切なのは、実際に使われて、根づいていくこと。そのためには、第一人者となる社員の勇気と、それを受け止める文化が必要です。小さな一歩が、会社の風土を大きく変えることもあるんです。
【最後に】文化は、誰かの「一歩」から始まる
「制度がある」だけでは変わらない。
それを「使っていい」と誰かが証明し、「本当に大丈夫だった」と語ってくれることで、ようやく文化になっていく。今回の田中さんのインタビューを通して、そのプロセスをまざまざと感じました。
制度を設計することは、社員一人ひとりの未来を想像すること。 育休はもちろん、ライフイベントを支え合うという選択肢を会社が用意することで、社員が「自分らしく、長く」働ける環境が整っていきます。
SALESCOREには「ヒトに向き合う」というValueがあります。
目の前の業務や制度だけでなく、そこにいる“ヒト”にこそ目を向けること。相手の背景や立場に寄り添いながら、誰ひとり取り残さず、言葉や仕組みを届けていくこと。それが文化をつくる一歩になると私たちは信じています。
そんな想いを体現しながら、SALESCOREでは「人の成長に向き合い、挑戦や変化を柔軟に支えられる組織でありたい」という想いのもと、働き続けられる環境づくりを進めています。
こうした考えに共感し、一緒によりよい働き方や制度を育てていきたいという方と、ぜひ出会いたいと思っています!
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