1
/
5

日本の価値を届ける、Destination Experiencesが始動

上質な体験を求めるゲストに向けて、プログラムを企画・運用する「Destination Experiences」チームが2025年2月に発足。そのチームリーダーを務めるのが、中村友美だ。

教育、フィットネス、フレキシブルオフィス、と幅広い分野でグローバルなプロジェクトを手がけてきた中村は、2023年11月にNOT A HOTELに参画。当初は経営企画部イベントマネージャーとして入社し、NOT A HOTEL ABROAD(海外ホテル相互利用サービス)のリードや、海外セールス戦略の立案・実行を担ってきた。現在は新チームの立ち上げをリードし、NOT A HOTELの体験価値をさらに広げている。

そんな彼女がDestination Experiencesとして最初に取り組んだのが、2025年7月に開業した「ISHIGAKI EARTH」のある石垣島での体験プログラムづくりだ。雄大な自然や文化、地元の人々との関係を大切にしながら、土地に根ざした体験をかたちにしている。 なぜ彼女は、ゲストと地域のあいだに体験を介在させようとするのか。

インタビューを通して、土地への誠実なまなざしと、中村が紡ぐ“体験”のあり方が浮かび上がってきた。


なぜ今、Destination Experiencesなのか

━━━まず、Destination Experiencesチームのミッションと、そもそもこのチームが設立に至った背景について教えてください。

中村:私たちDestination Experiencesは、「日本の価値を届ける」ことをミッションに掲げています。風土や文化、人の営みといった土地に宿る豊かさを体験として編み、ゲストに届ける。 それは単なる旅の演出ではなく、「この場所に帰ってきたい」と思えるような関係性を育む体験です。だからこそ私たちは「Travel」ではなく「Destination」という言葉を選びました。目指すのは、訪れた人の記憶に残り、繰り返し語られ、再び足を運びたくなるような場所を届けることです。

この「届ける」営みは、NOT A HOTELの掲げるミッション「日本の価値を上げる」にも直結しています。体験が人に届き、心を動かし、再訪や共感を生むことで、その土地の価値、そして日本の価値そのものが少しずつ高まっていく。私たちは、その起点をつくるチームです。

日本の価値を上げる - NOT A HOTELNOT A HOTELは日本が持つ価値に根ざしたプロジェクトです。建築家やクリエイターの視点を通して地域の魅力を再発見し、notahotel.com

中村:このチームを立ち上げた理由には、主に2つの背景があります。ひとつは、フラッグシップであるISHIGAKI EARTH石垣島)の開業です。この拠点は長期滞在が多くなると想定していたため、滞在をより深く、より豊かにする体験の設計が必要でした。

EARTH - NOT A HOTEL ISHIGAKI3,000坪の広大な敷地にたった一つのヴィラ。建築家・藤本壮介が表現するもう一つの地球“EARTH”。notahotel.com

建築家・藤本壮介氏が表現するもう一つの地球 “ISHIGAKI EARTH”

中村:もうひとつは、海外オーナーの存在です。海外の方々にとって、日本の魅力は空間だけでは完結しません。その土地の自然、文化、歴史、人との触れ合い――つまり、「ここで何ができるのか」をとても大切にされています。

実際にヒアリングを重ねるなかで、彼らが「日本を体験する時間」を強く求めていることが明らかになりました。私自身、これまでセールスやゲスト対応、イベントなどを担当してきましたが、そのニーズは明らかでした。
旅の途中で“暮らし”を感じる。そんな瞬間を、ひとつでも多くつくっていけたらと思っています。

中村 友美:慶應義塾大学総合政策学部卒。教育、フィットネス、フレキシブルオフィス業界にてグローバルプロジェクトマネジメントを経験。2023年11月NOT A HOTELに参画。

サバニクルーズからみた夕陽が原体験になった

━━━「体験を届ける」と言っても、それが“NOT A HOTELらしい体験”であるためには、どんな視点や作法が必要になるのでしょう。

中村:正直に言うと、「これがNOT A HOTELらしい体験だ」と明確に言い切れるものは、まだ私たちのなかでも発展途上です。ただ、私がひとつの軸として持っているのは、本質的に豊かさを感じられること、そして生きる喜びに触れられる体験であるということです。

石垣で体験の企画を始めたとき、「NOT A HOTELならではの何かをつくらなければ」と気負っていた時期もありました。でも、実際に石垣の自然と向き合った瞬間、その考えは大きく変わりました。目の前に広がる海や森、空に、ただただ圧倒されたのです。

そのとき感じたのは、「この自然に、私たちが“何かを加える”必要はない」ということでした。

海人直伝沖釣り体験:北部の海へ漕ぎ出し、大海原で獲物を狙う沖釣りツアー。釣り上げたばかりの魚は、熟練シェフの手で珠玉の一皿へと昇華する。自らの手で得た新鮮な恵みを、その日のうちに味わう至福のひととき。

亜熱帯マングローブ探検:マングローブの生態系を学ぶ北部に広がるマングローブ林をカヌーで進む。亜熱帯の命が静かに息づく風景と、そこに漂う自然の息吹を全身で感じる。

サンセットサバニクルーズ:サバニの船上から眺める石垣の夕陽。風に乗って限りなく開けた水平線を目指し、島を照らす茜色のサンセットを眺める。タイムレスな光景を眺める至福の時間。

プライベート三線生演奏ディナー:NOT A HOTEL ISHIGAKI EARTHでのディナーを、三線生演奏で彩る。 心地よい弦の音色が夜に溶け込み、食卓をいっそう優雅なひとときへ。

中村:だからこそ、サバニクルーズやマングローブカヌーのように、すでに素晴らしい体験を提供している地元の方々と一緒に取り組んでいきたいと思ったんです。私たちは、「その体験の本質をどうすればオーナーのみなさんに届けられるか」「どうすればもっと心地よく、スムーズに楽しんでいただけるか」ということに集中しています。

ちょうど先日、地元出身の漁師さんから「自分たちにとってはこの環境があまりにも当たり前で、どこが魅力なのか、どう届けていいのか分からない」と言われたんです。その言葉がとても印象的でした。

NOT A HOTELは、石垣の地に根を張り始めたばかりの会社ですが、これまでさまざまな土地の魅力に触れてきました。だからこそ、お互いのレンズを交換するように意見を交わし合い、その魅力を言葉やビジュアルに落とし込んでいく。そして、オーナーのみなさんが自然なかたちで体験へとたどり着けるよう、情報の発信から予約、当日のご案内までの流れも、心地よく、わかりやすく整えていく。

こうしたすべてを含めて、“体験”として丁寧に届けていきたいと考えています。

中村自身も体験を通じて、その土地の歴史、文化を学んでいる

地域とともに体験を届ける体制へ

━━━立ち上げから現在まで、Destination Experiencesチームはどのように形づくられてきたのでしょうか。そして、チームとしてどんな進化を遂げていると感じていますか。

中村:これまでは立ち上げということもあり「走りながらつくる」フェーズでした。そのなかで、多くの課題も見えてきましたが、同時に「これは本当に価値がある」という実感と、「これはやれる」という自信も得られました。だからこそ今、体制の強化は不可欠だと感じています。

現状、Destination Experiencesチームは私とプロジェクトマネージャーの2名がコアメンバーです。しかし、実際には建築、クリエイティブ、カスタマーサポート、オーナーリレーションズ、リーガル、拠点運営チームなど、さまざまなプロフェッショナルと密に連携しながら、プログラムをつくり上げてきました。

たとえば、クリエイティブチームとは現地調査やコンテンツづくりをともにするなかで、現地で一緒に体験し、議論し、「NOT A HOTELのエクスペリエンスとは何か、どんな表現で伝えていくべきなのか」を、表現の細部まで突き詰めて考えてきました。

彼らがいなければ、このプロジェクトは形にならなかったと思います。

Destination Experiencesチームが手がける、ISHIGAKI EARTHの体験ブック

━━━Destination Experiencesチームとして、具体的にどのような人材を求めているのでしょうか。

中村:今後は、ISHIGAKIだけでなく、SETOUCHIや北海道のRUSUTSUなど、新たな拠点が次々と生まれていきます。そうした各拠点にしっかりとコミットできる体制を整えていきたいと考えています。具体的には、以下の2つの職種を募集し、チームを強化していく予定です。

Destination Experiences Manager(リーダー候補)
新たな拠点での体験を一から企画し、現地でのリサーチ・関係構築・プログラム設計・実行までを一貫して担うポジションです。その土地の魅力を自ら編集する醍醐味があります。(詳細はこちら

Destination Experiences Operation Manager
ゲストの体験予約から実行までの導線を設計・運用するポジションです。システム化・自動化によってスムーズな体験を支えながら、現場の実行フェーズまで一貫して担います。(詳細はこちら

Destination Experiences Concierge(メンバー)
ゲストに対して、心地よく豊かな時間を提供する役割を担います。ゲスト一人ひとりの想いやスタイルに寄り添い、パーソナライズされたサポートを通じて、記憶に残る体験をつくり出します。(詳細はこちら

これらの職種に共通して求めているのは、「地域とともに体験を届ける」というスタンスへの共感と、“真の豊かさ”とは何かを問い続けられる探究心です。

文化や歴史といった目に見えない価値にこそ目を向け、表面的な華やかさではなく、本質にある感動をすくい上げようとする姿勢を大切にしたいと思っています。その土地の声に耳を傾け、丁寧に向き合いながら、ただ「届ける」のではなく、「一緒につくっていく」ことを楽しめる方──そんな方と出会えることを願っています。

地元の漁師のみなさんから、自然の豊かさ・厳しさを学ぶ

職人の手に宿る想いを、NOT A HOTELのゲストへ届ける

建築と地域、ゲストと地域の交差点へ

━━━Destination Experiencesチームがこれから目指す先についてお聞かせください。

中村:NOT A HOTELにとっての「エクスペリエンス」とは何か。それはまだ、完全に言語化されていません。だからこそ今、その核心を探り、言葉にし、定義していくことが、私たちのいちばん大きな挑戦だと感じています。
建築やカスタマーサービス、スマートホーム、拠点運営のように、「エクスペリエンス」も、それらと並ぶ“設計可能な価値”として昇華させたい。

たとえば将来的には、建築設計の初期段階から私たちがインサイトを提供できる状態を目指しています。 「ゲストが求めているのはこういう時間」「だからこの空間には、こういう余白が必要」。そんなふうに、体験の視点から建築にフィードバックできるようになったら理想的ですね。

今はまだ、体験の多くが「建物の外」にあります。でもこれからは、“外の体験”を“建物の中に取り込む”ことで、NOT A HOTELの空間そのものが、もっと深い体験の器になっていける。そんな可能性を感じています。

━━━その構想は、NOT A HOTELのこれからにとっても、大きな転機になりそうですね。

中村:実際、こうした動きはSETOUCHIでのプロジェクトから本格的に始まるかもしれません。石垣島は、すでに観光やアクティビティの選択肢が多く、外部の体験をうまく取り込むことができました。一方で、SETOUCHIのように静けさと奥行きのある文化が息づく場所では、NOT A HOTELそのものが「体験の起点」になっていく必要があると感じています。

━━━中村さん自身が、社内でもっともその地域を楽しんでいるように見えます。

中村:地域の体験に挑む瞬間は、心を真っさらにして、全身全霊で飛び込むことを大切にしています。月並みな表現ですが、体験づくりを通して私自身、その土地に流れる時間や風、文化、人々の暮らしに、幾度も心を動かされてきました。 NOT A HOTELを通じて、“それぞれの地域が持つ豊かさ”を、一人でも多くのゲストに届けたい。

そして、地域に暮らす方々にも、「NOT A HOTELがこの場所にきてくれてよかった」と思っていただける存在でありたい。 私たちの存在が、地域とゲストを結ぶ「橋渡し」になれることを願っています。

それこそが、Destination Experiencesの使命だと信じています。

イベント情報

8月13日(水)19時からDestination Experiencesに関する採用説明会をオンラインにて開催します。、私たちが取り組んでいるプロジェクトやチームの思想、働き方についてお話ししますので、是非ご参加ください。

https://nahde2507.peatix.com/


Invitation from NOT A HOTEL株式会社
If this story triggered your interest, have a chat with the team?
NOT A HOTEL株式会社's job postings
2 Likes
2 Likes

Weekly ranking

Show other rankings
Like Ryo Saimaru's Story
Let Ryo Saimaru's company know you're interested in their content