採用情報 | 株式会社ネクストビート
この国の課題を前に、取り組むべきことはたくさんある。そしてそんな難題にこそ、未来の鉱脈は眠っているはずだから。 nextbeatは、テクノロジーと推進力、そして熱いベンチャーマインドで、ライフイベント・地方創生・グローバルの各事業に取り組んでいます。 「未来のふつう」を共につくっていく仲間を、募集しています。
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「AIを用いた社会課題解決を通じて、幸せな社会を実現する」をビジョンに、AIソリューションや自社サービスを提供する株式会社エクサウィザーズと、「人口減少社会において必要とされるインターネット事業を創造し、ニッポンを元気にする」をビジョンに掲げるネクストビートとのコラボイベントが実現。
今回は、Amazonの「ビジネスとIT」カテゴリーにおいてランキング1位を獲得した書籍「Web3時代のAI戦略」著者でもある株式会社エクサウィザーズ 取締役 大植 択真氏をゲストにお迎えし、Web3・AI時代におけるテクノロジーの変化について、事例を交えてご解説いただきながら、ベンチャーがどう対峙していくべきかを、ネクストビート副社長 石毛と執行役員CPO/CIO/VPoEの三井も交えてディスカッションを行いました。
※本コンテンツは、2022年12月8日に開催された「nextbeat Meet Up」の内容から構成されたものです
ネクストビート三井:本日のディスカッションテーマは「Web3・AI時代のベンチャーの行く末」ですが、まずはじめに、大植さんの著書「Web3時代のAI戦略」の内容を簡単にご説明して頂いてもよろしいでしょうか?
エクサウィザーズ大植さん:「Web3時代のAI戦略」は8月末に出版されて、発売から約3か月ほど経ちました。我々はAIの会社なので、最先端のデジタルの会社という部分で、お客様からメタバースやXR・ブロックチェーンなど、Web3×AIはどういう関係性があるのか、ビジネスにはどのような影響があるのかという質問をよく頂くようになりまして、自分なりに色々研究や事例を集めたものがこちらの本になっております。
Web3は非常に大きなパラダイムシフトであり、まだまだ全体の1%程度しかイノベーションが起こってないと考えています。テクノロジーの変化は激しいので、常にアンテナを張って動向を見ていくことが重要で、「Web3とAIの関係性」というところで、AIは非常に相性が良いものだと捉えており、これまで以上にAIのポテンシャルが大きくなってくると思っています。
弊社はネクストビートさんと同様に「社会課題を解決していく会社」です。その、社会課題を解決する考え方として「BASICs(ベーシックス)」というものを開発しまして、今色々な会社で使っているフレームワークです(※資料1参照)
※資料1
基本的なところですが、Web3には二つの意味合いがあるという風に捉えています。
一つが、ブロックチェーンやスマートコントラクトを中心とした技術のイノベーション的側面。もう一つが、価値観変化というか、人々の考え方の変化という意味でのパラダイムシフトになりますが、私としては後者の方が、非常に大きな意味合いを持っていると思っています。
Web1.0、Web2.0、Web3という時系列で並べているのですが(※資料2)、Web1.0は参照型のインターネットで、ユーザーが閲覧するだけの掲示板やポータルサイトなどで1990年代後半のインターネットになります。
Web2.0は、2010年代から生まれたGAFAを中心とするようなプラットフォーム型のインターネットです。SNSなどでユーザー自ら情報発信が可能で、ユーザー同士のやりとりもできる参加型のインターネットです。参加型だとプラットフォーマーがデータを独り占めでき、結果としてAIとの相性も良いので、データをAIで分析すればサービスの品質があがります。
Web3は、Web2.0までの中央集権型的なテクノロジー大手企業に対するアンチテーゼのようなものだと思っています。ブロックチェーンを使い、中央集権管理者を置かずにユーザーが自分で情報やデータを管理できるようになる世界です。この技術を使うことで、中央集権型モデルから、もう一度人々にデータを戻そうじゃないかと。よくシリコンバレーでは「power to the people」という言われ方をしているのですが、一言でいうと分散型、非中央集権型のインターネットになっていて、Web2.0までのテック大手の成長に対するアンチテーゼがWeb3という意味合いになります。
※資料2
AIとの関係性についても本のなかで紹介しており、Web3やメタバース、最近でいうとSaaSなどいろんな技術がありますが、どれも今後のマーケットは非常に大きいと言われています。Web3やメタバースは最近のマーケットなので、ここからまだまだ大きくなっていく予測がされていますが、グローバル市場規模では、AIは241兆円と圧倒的に大きな成長が期待されています。実はWeb3的な考え方というのは、AIと非常に相性が良いということもあり、期待値が高まっていることになります。
また、みなさんにAIの本質的な使い方を紹介できればとも思っています(※資料3)
※資料3
敢えて「旧来型データ分析モデル」と「AIぐるぐるモデル」で比較していきます。
「AIぐるぐるモデル」というのがAIの本質的な使い方になっていまして「旧来型データ分析モデル」というのは残念ながら、多くの日本企業で行われているデータの使い方です。いろんな部門で溜まっているデータを人手で集めて分析をし、分析した結果から得られたインサイトを反映する。これはこれでデータの使い方としては正しいのですが、Web2.0時代に勝ってきたプレイヤーは、価値創造モデルとして、データが溜まれば溜まるほど、勝手にアルゴリズム(AI)が賢くなっていくという「AIぐるぐるモデル」の採用をしていました。そうすることで、結果的に自動でサービス改善され、さらにユーザーが増えてデータが蓄積されていくという好循環が生まれる。このように正のスパイラルが回っていく企業が伸びるのは明白です。分かりやすくいうとGoogleの検索、AmazonのEC・レコメンドのAIはどんどん精度が良くなっていますよね、そのイメージです。ポイントは自動的にデータが溜まれば溜まるほど、AIが賢くなってサービスが良くなる、このル―プを回せてきたWeb2.0企業というのは、飛躍的に業績を伸ばしてきたという形になります。
これまでの伝統的な企業の戦い方は「選択と集中」で、コア事業にフォーカスし、縛られたKPIに基づく、強力なリーダーによる質の高い意思決定・推進が鍵となっていました。AI時代の企業のあり方は、GAFAやペロトンの事例(※資料4)のように、データを軸に事業領域を再定義していくという戦い方で、コアにフォーカスするというよりかは、データを軸にビジネスを広げていくことと、非常に顧客中心的な意思決定をするというのが特徴です。今後はAI駆動型で一人ひとりの顧客に対して意思決定・判断できるようになるので、経営陣が、資料やKPIを見て事業を意思決定するというよりは、お客様ごとに正しい意思決定をしていくということになります。AIぐるぐるモデルが回っているので、データ基盤で自動化されたAI中心のオペレーティングモデルの構築が戦い方の鍵になります。
※資料4
ここからは、Web3とAIの関係性に触れたいと思います(※資料5)
これまでのWeb2.0時代は、GoogleやAmazonのような中央集権的なプレイヤーが、ユーザーの出す限られた公開情報を収集し、AIで分析して巨額の収益を獲得していました。今後のWeb3時代では、トークンという技術で個人から積極的に莫大なデータが公開されるようになり、AIの活用機会も拡大することになります。
※資料5
非常に高いセキュリティで判断できるトークンが広まれば、個人が出すデータの質が高まり、癌を撲滅させるなど、社会貢献にもつながると言われています。(※資料6)
※資料6
ネクストビート三井:私も書籍を拝読しました。弊社が社会課題に対する価値貢献を掲げていることもあり、示唆に富んだ内容に感銘を受けました。我々が事業戦略を立案するにあたり、参考にさせて頂きたいと考えています。
今、大植さんからご説明いただいたことは、著書の中で主張・指摘されていることなのですが、この内容に基づいて、事業戦略を検証してみようと思います。僭越ながら、検証する素材は弊社の事業戦略とさせていただきます。
石毛さん、ネクストビートの事業戦略の説明をお願いします。
ネクストビート石毛:我々の目指す方向は「テクノロジーの力で人口減少課題を抱える日本をEmpowermentしていく」ということに尽きます。人口減少社会に伴う社会課題に先回りしながら、「未来のふつう」を実現できるプロダクト・サービスを磨いていくことを目指しています。
サービスのラインナップは、ライフイベント・地方創生・グローバルの3つのカテゴリーに分かれており、ライフイベント領域では、保育士の就職支援をベースに、子育てをサポートするためのプラットフォームを構築しています。地方創生領域では、地方経済を活性化することを目的に宿泊事業者の支援をしています。直近では、グローバル観点での競争力強化に取り組み、シンガポールでの事業にもチャレンジしています。
ビジネスモデルも多岐に渡り、保育業界に特化したバーティカルSaaS、アプリで個人間をつなぐシェアリングエコノミー、保育士を紹介するキャリアマッチングなど、デジタルを活用した複数のビジネスモデルにトライしています。
下記が、保育士バンク!プラットフォームの中身です。実は日本はIT先進国でありながら、保育の現場は非常にアナログで非効率という課題があり、弊社が保育領域における人材・労務管理・定着などのソリューションを提供することで、保育士が保育に専念できる環境を整えたいと考えています。我々保育士バンク!のサービス規模は日本でもトップクラスのマーケットシェアを誇っており、全国38万人の登録者・15,000園以上の保育施設とお取引させて頂いています。これらのアセットデータをどう活かして、「AIぐるぐるモデル」をつくっていくのか、という点も議論できればと思っています。
続いて、KIDSNA(キズナ)プラットフォームです。子育てに関わる全ての人に、テクノロジーであらゆる便利を提供するプラットフォームで、子育て情報メディア、保育園検索のポータルサイト、保護者とベビーシッターのマッチングアプリなどを展開しています。まだまだ開発中のサービスもあり、子育てを全面からバックアップするサービスを拡充していく予定です。KIDSNAについては、包括的に保護者とつながることができているので、今後AIを活用したときにポテンシャルが高いプラットフォームなのではないかと考えています。
そして、地方創生領域のサービスである「おもてなしHR」ですが、地方活性化を目指して、我々の強みである、人の流動、マッチングという事業を通じて地方活性化に貢献していきたいと考えています。現在アフターコロナの影響もあり、ホテル・旅館業界も非常に活況になっており、今後は保育士バンク!プラットフォームのように、複数のサービスを展開してデータを蓄積することで、プラットフォームを強化する構想がございます。
さらに、海外でのチャレンジも進めており、今年9月にシンガポールに拠点を設けました。シンガポールは少子化先進国で観光立国、かつ世界中から最先端のテクノロジーが集結したIT大国ですので、弊社が展開する「おもてなしHR」のサービスとの親和性も高いと考えております。
海外の先進事例も取り入れていきながら、ネクストビート全体のプロダクト・サービス水準もグローバルレベルで高めていき、より課題解決を実現していきたいと考えています。
ネクストビート三井:複数の事業を展開しつつ、プラットフォームも構築するという事業戦略ですが、先ほど大植さんからご説明のあった、社会解決型ビジネスのフレームワーク「BASICs」に当てはめて、検証していきたいと思います。
石毛から説明した事業戦略に基づいて、大植さんからツッコミ、アドバイス頂きたいと思います。完全にアドリブです(笑)まずは自己診断させていただきます。
ネクストビート石毛:まず、Bの「当事者の行動変容を促進する仕組み」という観点ですが、我々のサービスは課題解決というミッションで、しっかり内容を固めてからローンチしていますので、例えば保育士さん、シッターさん、子育ての当事者のみなさん、それぞれより良い行動をとれるという、しっかりした動機づけがあります。
Aについては、我々は創業当時からデータドリブンを標榜しておりまして、営業の状況や課題感などはデータ化・可視化していて、さらにそれをデータサイエンティストであるCDSO(Chief Data Science Officer)が分析し、促進しています。特に保育士バンク!は、全国でもトップクラスのマーケットシェアを誇っていますので、保育園や保育士さんの情報については、日本一集約・可視化されているんじゃないかと思っております。
Sの「スケール、改善」という観点なのですが、データドリブン経営に基づいていますので、集約されたデータからオペレーションの改善というのは、日々努力を重ねています。今後の構想としては、例えば、保育園の集積された情報からリアルタイムで人に関わる悩みや採用ニーズを読み取って、自動に近い形でソリューションを提供することを実際に研究しています。
Iは「持続できる経済性」、インカムですが、まさにこれは社会課題を解決していくうえでも、非常に重要だと思っています。保育士バンク!では、トップクラスのマーケットシェアでしっかり利益を維持できていますので、ここも満たせているのではないでしょうか。
次はC「データ価値の創出」ですが、ここはもっともっとできることがあるだろうと思っています。保育士、保護者、シッター、保育園、さまざまな情報を合わせたときに、「AIぐるぐるモデル」を回して、より何かスケールできることがあるだろうというところはありますので、ここのポテンシャルを議論したいですね。
ネクストビート三井:今までの説明と自己評価について、大植さんから何かありますか?
エクサウィザーズ大植さん:非常にどの要素も仰るとおりだなと思いました。日本のベンチャー企業やスタートアップで、データビジネスやAIで勝とうとすると、僕自身がマストだと考えている要素は「ドメインに特化すること」だと思っていて、汎用的なデータ(どんな業界でも通用するようなデータ)の世界はアメリカと中国が圧勝なんですよね。例えば、日本で何がチャンスがあるかというと、ネクストビートさんが展開されている保育の領域で扱っている保育士や保育園のデータなど、蓄積したものを基に戦える会社って、日本でも限られていますし、そのドメインに特化するということは、戦い方としては非常に重要だなと思います。
「BASICs」のCについてですが、データビジネスを考えるときに必要なのが「自社にとってデータを獲得できるサービスか、インターフェースを確保できるか」だと思っており、Gmailのように便利なサービスを展開することで、データを蓄積、アドセンス広告で結果的に収益性の高いビジネスとなっているのが代表的な事例です。
ネクストビートさんでいうと、保育施設、保育士、保護者のデータをいかにして組み合わせるのかというところが、事業戦略上非常に面白いところだと思っていまして、単体のサービスだけでなく、繋がりが出るとさらにユニークなデータになるので、ここの部分でお考えなどあれば聞きたいです。
ネクストビート三井:そうですね。今の大植さんにご説明いただいた事例をお伺いして、やはりデータを戦略の中心にするというところが凄く重要であると改めて認識しました。
ネクストビートの事業戦略ですと、保育士バンク!の強みはデータが蓄積していることだと思っています。例えば、保育士バンク!プラットフォームは保育士にフォーカスしていますが、コンシューマー向けのサービスで「KIDSNAシッター」という保護者とベビーシッターを繋ぐサービスがあり、こちらでマッチングするシッターさんというのは、100%有資格者なんですね(有資格者=保育士、幼稚園教諭や看護師の資格を持つ方がマッチング対象になっています)。そうすると保育士さんを起点に考えた場合に、保育士として施設で働くという選択肢と、シッターとしてフリーランスで働くという選択肢がありますので、個々は同じひとつのデータを両プラットフォームへまたがって活用できるというのが一つのポイントになっています。定性的に考えると、保育士さんのキャリアパスを増やすというような形になりますね。
また、「KIDSNA園ナビ」という保活サービスも展開しています。具体的には、保護者が自分の子どもを通わせる保育園ってどんなものなんだろう?という事前情報を得るために、保護者の方向けにローンチした事業なのですが、実際に使われ始めると、保育士さんにも結構見られているということがわかってきました。要は、保育士バンク!が転職支援サービスなのですが、転職先の保育園ってどんな保育園なんだろう、という想いから情報収集の対象になっているのかなと。結果、保護者の方だけではなく、保育士さんにも使われるサイトを目指すことを考えると、大枠のKIDSNAプラットフォームと保育士バンク!プラットフォームが融合するポイントがあると思っておりますので、その融合ポイントをうまく総活用できるといいのかなと思っています。
エクサウィザーズ大植さん:すごく面白いです。こういった議論ができる企業はあまりない気がしていて、両軸でデータが獲得できているからこそ、新たな付加価値を創出できると思っています。一番ユニークなデータは何か、そのデータをどうAIに絡めるのか、といった視点でも聞いていて非常に興味が湧きました。ネクストビートさんの事業領域の深さを理解できた気がします。AIとの親和性ですと、マッチングはすごく相性がよくて、両軸でユニークなデータが取れれば取れるほど、マッチングの精度が上がるので、自分がエンジニアやデータサイエンティストだとしたら、めちゃくちゃ面白そうだなと純粋に思いました。
ネクストビートさんは「保育」から事業領域をスタートさせたと思うのですが、「保育」で蓄積されたユニークなデータを使って新規事業を考えている、というお話があればぜひ聞いてみたいなと。それがデータ価値を生んでいくポイントなのかなと思い、質問させていただきました。
ネクストビート石毛:まさに我々がKIDSNAで構想している世界観がありますので、ぜひ見ていただきたいです。
ネクストビート三井:ネクストビートでは、新規事業立案コンテストとして、年に1回社内コンペを行っています。そこで今年優勝したアイデアについてお話できればと思います。BASICsフレームワークのなかで、我々の事業戦略には「Web3」の要素が足りていないと思っています。今回社内コンテストで優勝したアイデアは、KIDSNAプラットフォームを拡張していくようなものでして、コミュニケート通貨として「KIDSNAコイン」を導入してインセンティブ設計していくと、よりユーザーの行動が活性化していくのではないか、というアイデアになります。あとはそれをもう少し拡張していくと、メタバース的な世界観になり、色々なユーザーのマッチングができるようになってくると、よりBASICsの「S」、スケーラブルみたいなところに効いてくるのかなと思います。
もともと弊社の事業戦略は、「保育」と「子育て」を分けて考えていますが、ターゲットとなる1人のユーザーのライフイベントを考えたときに、ここが繋がっていることがあるんですよね。例えば、保育士さんがお母さん、お父さんになり、子どもが生まれることで、ユーザーとしてKIDSNAのサービスを使うということもあると思いますので、KIDSNAと保育士バンク!で集めたデータを双方で使っていくアイデアはあり得ると思います。
ネクストビート石毛:「KIDSNAコイン」は、保護者の方に使っていただきたいコインなんですが、我々のビジネスで保護者への接点は非常にたくさんあり、ベビーシッターを使う保護者もいれば、子育ての情報を調べたくてメディアを見たり、保活のために保育園検索をしたりとサービスをご活用いただいています。また、保育施設向けに提供している、保育運営と労務管理のICT支援システム「保育士バンク!コネクト」というSaaSがあるんですけれども、そこからも保護者の情報とか繋がりが入ってくることで、データが蓄積され、また新しいサービスを提供できるといいなと考えています。
エクサウィザーズ大植さん:まさにそういう話が聞きたかったです!スマートシティ的な考え方は非常に面白いですね。自分も子どもがまだ小さいので、そういうサービスがあれば使ってみたいです。引っ越しの時、どの街がいいのかなどスコアリングできそうだなと思いました。
ネクストビート三井:我々は社会課題解決に挑むベンチャーであり、またエクサウィザーズさんも同様に社会課題解決をミッションに掲げられているということで、Web3時代において我々ベンチャーは何をやっていくべきなのか、どうあるべきなのか、ということを議論していきたいと思います。大植さんの著書においては、最終章「BASICsを実現するための組織・人材要件を心技体の観点から整える」に関連するトピックが記載されていたかと思うのですが、簡単にご説明いただけますでしょうか?
エクサウィザーズ大植さん:社会課題型のサービスは、データやAIを使った新しいイノベーションを生める組織という前提で「心技体」というフレームワークで考えたのですが、心・技・体、それぞれ分けて紹介しています(※資料9)
※資料9
まず、「心」というのは、従業員にどういうマインドセットでいてもらえると、新しいイノベーションが起こるのかという話です。「技」はスキルで、従業員にどういうスキルセットを求めたいかということですね。最後は「体」、これは、組織構造の話です。
例えば「心」でいうと、我々の会社では、新しいサービスを考える際に大事にしている考え方が、グロースマインドセットと心理的安全性なのですが、特に心理的安全性の部分では、「安心して自分の考えを発信できる状態にしたい」という想いを経営陣一同持っております。というのも、人が賛成しているアイデアは、あまりイノベーションにはならないと考えており、人と人が対立するなかにこそ、イノベーションが生まれるという考え方が根底にあるので、ぶつかり合いながらも信頼性が担保される組織づくりを意識しています。
「技」のところですが、これは内製で作っているサービス でデジタル・イノベーター・アセスメントというものがありまして、AIで業務改善していくときに求められる素養を、デジタル・イノベーティブ・スキル・素養の4象限で定義をしていまして、内製でアセスメントつくって、お客様に提供しているのですが、エクサウィザーズの採用面接受けるときには、最初にこのアセスメントを受けていただきますし、社員にも受けていただいています。必要なスキルというのがございますので、それを常に測定して、勉強できるようにするというような環境を整えています。
そして「体」、組織構造ですが、やはり日本の多くの会社は管理型というか、ガバナンスをしっかり効かせて、会社をマネジメントしていることが多いのですが、基本的に経営陣だけのアイデアで、イノベーションや良いサービスが生まれたことは殆どないのが現状です。ですので、いかに現場の課題を知っている人がサービスを立案するか、つまり自律的に動いていただけるかというフラットな組織構造こそがイノベーションを起こすという考え方をとっています。DXを推進しグローバルな競争に勝ち残るには、管理型から自律型への転換が求められます。また、Web3時代の社会に対応して、組織マネジメントの考え方も転換が必要になってくるかと思います。「DAO(ダオ)」という分散型自律組織で、株式会社以外のコミュニティに参加する個人というのが増えていくかなと思っていまして、弊社でも副業やワーケーションが結構増えてきているという状況になっています。おそらく今後は、メンバーシップ型で企業に在籍して仕事をする、というよりかは、自分の価値や機能が求められる「機能提供型」という働き方や複数の組織に個人が在籍するような働き方になると思います。
ネクストビート三井:ありがとうございます。エクサウィザーズさんの事例も含めてご説明いただきましたが、先ほどの「心・技・体」にあわせて弊社の強みを石毛から説明します。
ネクストビート石毛:まず、我々は「永遠ベンチャー」を掲げておりますので、マインドセットとしては、チャレンジすることやスピード重視で走り出すことを、社員は共通認識として持っているかと思います。その上で、組織構造もフラットになっておりまして、先程申し上げたような新規事業立案についても毎年コンテストを実施していたり、常にCXOと現場のメンバーも活発な議論をしているような組織風土になっています。
エクサウィザーズ大植さん:人材の多様性に関してはどういう風にお考えですか?
ネクストビート石毛:我々は、オールインハウス体制による迅速な意思決定と柔軟性のある業務遂行を意識しており、マトリクス型組織をつくっています。エンジニア・デザイナーも積極的に採用しているのですが、マーケティングなども含めた機能軸と事業軸をマトリクスにして産業の知見を補完し、事業を推進しています。年齢層・国籍も多様で、女性比率も他社に比べると高いのではないかと思っています。
エクサウィザーズ大植さん:AIエンジニアやデータサイエンティストなどいわゆるDX人材というのはマーケット的にも希少で、我々も採用には苦戦しているのですが、例えばデータビジネスを作っていくとかAIをサービスのなかに導入するとなったときに、どう採用していくのか、もしくは育成していくような仕組みなどあれば、ぜひお聞かせいただけるとありがたいです。
ネクストビート三井:人材の採用は弊社も課題なのですが、弊社はCDSO(Chief Data Science Officer)がおりまして、蓄積されたデータを分析しています。こういったデータをメインに扱う専門職種の方にとっては、弊社の蓄積したデータが魅力的に感じるのではないかなと思います。限られたデータではなく、ライフイベントを時系列で活用できるようなものが並んでいるので、そういったデータを利活用できる、というところが今後データサイエンティストやAI系のエンジニアを採用するにあたっての訴求ポイントになると考えています。
大植さん:かなりいろいろな種類のデータの組み合わせで、今後の展開が見込まれるので、データサイエンティストだとしたら、非常に面白そうだなと思います。
三井さん:今後、採用も強化していきたいと考えています。
あっという間に時間がきてしまいましたが、ディスカッションとしては以上となります。
本日はありがとうございました。
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