2025年11月より社外CTOの若狹さんがメディフォンにジョインして約2ヶ月。今回は、若狹さんを中心に、「mediment」開発チームの各領域をリードする3名のエンジニアが集まり、座談会を実施しました。
これまでの歩みから、今後の開発チームのあり方まで、メディフォンのエンジニアリングの“現在地とこれから”が見えてきました。
目次
<プロフィール>
1. 可視化で変わる、開発チームの“今”
2. チームのこれまで──積み重ねてきた学びと成果
3. “価値を生む開発”へ-エンジニアとして次に挑みたいテーマ
4. “手を挙げれば挑戦できる”支え合う文化が成長を後押し
5. 依頼をこなす人から、価値をつくる中心へ―メディフォン開発チームの未来
<プロフィール>
【若狹 建】
社外CTOとして2025年11月よりメディフォンに参画。
(CEO・澤田さんとチーフエンジニア・田畑さんとの鼎談インタビューはコチラ)
【大森 泰太】
2021年1月入社。「コミットアライアンスチーム」のリーダー兼テックリードを務める。セールスがお客様との商談で拾ったニーズをプロダクトに落とし込む役割に加え、新機能開発や提携企業とのデータ連携、開発環境の改善なども担当。
【半田 大祐】
2022年12月入社。「MS(メディカルソリューション)改善チーム」で、健診結果ファイル(CSV・XML・PDFなど)の取り込み業務を支援する開発のリーダー。PDFはOCRやファイル分割を用いて処理し、正確で素早い作業を実現する技術的基盤づくりを行う。
【澤部 祐貴】
2023年4月入社。「CS対応チーム」のリーダー。お客様からの問い合わせをCSチームから聞き取り、問い合わせ内容の確認や必要に応じて追加実装を行う。また、ビジネスサイドから上がってきた機能改善にも並行して取り組み、プロダクトの保守・運用を担っている。
▲左から、大森さん、若狹さん、澤部さん、半田さん
1. 可視化で変わる、開発チームの“今”
若狹さん:11月から新体制が始まりましたが、皆さんどんな変化を感じていますか?
大森さん:一番の変化は「Backlog(バックログ)」の導入ですね。ビジネスサイドとのやり取りが可視化され、やるべきことが整理されました。雰囲気はこれまで通りフラットで、心理的安全性も保たれています。
若狹さん:確かに可視化は大きいですね。
澤部さん:はい。体制が整ったことで、個人実装から“チームとしてどう効率化するか”を意識できるようになりました。ビジネスサイドとの会話も増え、情報が取りやすくなっています。困ったときに(チーフエンジニアの)田畑さんにさっと相談できる雰囲気は変わっていません。
半田さん:Backlog導入の効果はMSチームでも大きかったです。社内向け業務は“なんとなく”進みがちでしたが、いまは作業の整備が進んだ実感があります。
若狹さん:Backlogはタスク管理以上の役割を持っています。プロダクトづくりでは「output(作ったもの)」と「outcome(生まれる価値)」の両方が重要で、打率を上げることが必要です。事業側とエンジニアの視点は違うので、方向がズレることもあります。だからこそ両者をつなぐプロダクトマネジメントの機能を組織に置くことが今後重要になります。
2. チームのこれまで──積み重ねてきた学びと成果
若狹さん:ここまでの取り組みで、学びや成果はどんなところにありましたか?
半田さん:今年からエンジニアリングマネージャーに近い役割になり、進行管理や改善点の把握が大きな経験になりました。MSチームでは社内向け機能のUI刷新ができ、社内から「使いやすくなった」という声が増えたのは手応えでした。
澤部さん:お客様の“いま困っていること”と“根本課題”を切り分けられるようになったのは大きかったです。問い合わせ対応のスピードも上がりましたし、チーム全体でプロダクトの仕様理解が深まりました。
大森さん:私のチームは独立性が高く、1人で機能を担当することも多いので、体制づくり自体が学びでしたね。スキーマの活用やレイヤードアーキテクチャ、テスト文化など、「安全に早く開発できる仕組み」づくりを進めました。最近は新メンバー入社も多かったので、オンボーディングプロセスの改善にも注力しました。
若狹さん:困難だったことは?
澤部さん:お客様の要望を仕様に落とし込むプロセスです。“本当に求めていることは何か”を正確に読み解くのは難しく、CSと何度もすり合わせが必要でした。ただ、密なコミュニケーションで進められたことは財産になりました。
半田さん:MSチームのPDF読み取り(OCR/機械学習)は難易度が高く、完全な精度は出ないため修正が続きました。それでもメンバーが諦めず新しいアプローチを試し続けてくれました。Geminiのモデル精度向上も追い風で、今後もGemini 3.0やチューニングで品質を上げられると感じています。
大森さん:直近で技術的には「SAML認証基盤の実装」が最もチャレンジングな取り組みでした。フルマネージドも検討しましたが、要件とコストを見て自前実装を選びました。XXE攻撃やリプレイ攻撃、シングルログアウトなど、気を遣うポイントが多かったです。生成AIにも「この実装にリスクがないか」を逐一確認してもらい、抜け漏れなく進めることができました。
3. “価値を生む開発”へ-エンジニアとして次に挑みたいテーマ
若狹さん:エンジニアが本質的な開発に集中するためには、指示待ちではなく価値を生み出す姿勢が必要です。そのためにも、管理系業務を抱えすぎない環境、交通整理役となる人の配置が欠かせません。
そのうえで、皆さんが「今後挑戦したいこと」を教えてください。
大森さん:まずはWebエンジニアとして技術を深掘りしたいです。可用性やパフォーマンス、セキュリティはエンタープライズでは特に重要です。SAML認証基盤のような厳しい要件を満たす開発は成長につながります。また、健康診断・ストレスチェックなどのデータを活用するためのデータレイクやDWH構築にも挑戦したいです。
若狹さん:データ活用はmedimentにとって重要ですね。健康情報というセンシティブなデータを扱うためセキュリティ前提は必須ですが、それを満たせば新しい価値を生み出せる領域です。
半田さん:MSチームではすでにAIを活用していますが、「AI×UX」の観点でもっと良い活用ができるはずだと感じています。ユーザーにより価値を返すためのアプローチを模索したいです。また、個人としてはデータサイエンス領域にも興味があり、将来誰かがその領域を担えるよう基盤づくりにも関わっていきたいと思っています。
澤部さん:チームとしてはE2Eテストの拡充がテーマです。エンタープライズのお客様が増えたことで画面表示の遅延なども出てきており、品質向上のための基盤整備が必要だと考えています。
4. “手を挙げれば挑戦できる”支え合う文化が成長を後押し
若狹さん:普段の働き方やコミュニケーションについて教えてください。
大森さん:澤部さんは北海道、半田さんは神戸在住で、全社イベントなどの際に出社するスタイルです。私も基本はフルリモートですが、気分転換に出社することもあります。オンライン中心でも、集まる時には一体感を感じられますね。
澤部さん:業務でのコミュニケーションはSlackが中心で、相談はGoogle Meetを使うことも。フルリモートでも困らない環境が整っています。コードレビューでは意図を丁寧に伝えることを意識しますし、ビジネスサイドとの会話では専門用語を避けるよう心がけています。
大森さん:レビュー文化は活発で、担当外のコードにも自然とコメントがつきます。半田さんは“良い意味で首を突っ込む”タイプで、品質向上に大きく貢献してくれています。専門的な説明も噛み砕く文化があり、必要に応じてAIも使います。また、定期的な「ナレッジシェア会」で学び合うことで、チームとしての底上げが進んでいます。
若狹さん:メディフォンの開発チームならではの取り組みの中で、「成長につながった」と感じるものはありますか?
半田さん:Python未経験でのスタートでしたが、先輩が丁寧に支えてくれたおかげで早くキャッチアップでき、いまは挑戦が評価されてリーダーも任せてもらっています。
澤部さん:独自の取り組みである「ナレッジシェア会」は本当に大きいですね。事前に知見を共有し合えるので、迷いなく開発に入れるようになりました。
大森さん:隔週で実施している「フレックスチューズデー」も、メディフォンならではの文化です。自由に技術検証できる時間があり、技術講座で得意分野を共有する習慣も根付いています。“手を挙げれば挑戦できる環境”と、“支えてくれる仲間”の両方がある。それがメディフォンの大きな強みだと感じています。
5. 依頼をこなす人から、価値をつくる中心へ―メディフォン開発チームの未来
若狹さん:様々な企業の開発組織を見てきた立場から言うと、メディフォンは丁寧なコミュニケーションと主体性を後押しする文化が良い意味で際立っています。
半田さん:以前、「メッディソン」というハッカソンイベントも開催しました(笑)。
若狹さん:いいですね!主体的に動けるイベントは今後の成長フェーズでもきっと役に立つはずです。
大森さん:若狹さんからみた、メディフォンの開発チームの特徴を教えてください。
若狹さん:スタートアップとしては珍しく、事業・ユーザー・プロダクト・技術にじっくり向き合える環境が整っていると感じます。エンジニアが“依頼をこなす人”ではなく、プロダクト価値をつくり、事業を前に進める中心的な存在として働ける会社です。
これからの開発チームは、主体的に価値を生み出す組織へと確実に進化していくと感じています。皆さんと一緒に、その未来をつくっていけることを楽しみにしています。
▲インタビュー実施後に楽しく会話する様子。ご協力ありがとうございました!
メディフォンには、挑戦を歓迎し、支え合いながら技術とプロダクトの価値を高めていく文化があります。
自分の技術を使って、誰かの困りごとを本質的に解決したい。
プロダクトづくりの中心で、事業を動かす役割を担いたい。
そんなエンジニアにとって、ここはきっと最適な環境です。
次のフェーズを一緒につくっていきたい未来の仲間を、ぜひお待ちしています。