「こんな会社、他にあるんだろうか?」 朝礼に参加するたびに考えるのです。
コウダプロという会社は、自分がこれまで出会ったことのない唯一無二の会社だなあと。
たとえば、ひとりの社員のことを会社のみんなで真剣に考え、本人に対して「どう在る(being)と良いのか」を率直に伝えるのも、その特徴のひとつ。
誰もが遠慮や忖度を抜きに、本音で語り合います。相手を傷つけたり貶めたりするのではなく、不要な感情を排除して冷静に、「どう在ることが、あなた自身の幸せにつながるのか」を本気で考えて伝えるのです。
だからこそ、裏でこそこそと愚痴や陰口、悪口を言う人は出てこず、エネルギーやメンタルを削られることもありません。
この日は、ひとりの社員(以下「Aさん」とします)に対し、社長の幸田さんが問いかける形で朝礼が始まりました。公開コーチングのようなシーンだなと感じました。
「やめることをやめた」と決めたAさんをめぐるやりとりが、最初のテーマとなりました。
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こんにちは、プレスラボの池田園子(@sonokoikeda)です。2023年12月より、月1回「コウダプロ朝礼レポート」を担当させていただいています。
前回(2025年1月)の朝礼noteはこちらから。
「やめることをやめた」社員との公開コーチング的な時間
朝礼が行われるのは毎週月曜です。Aさんは、前の週に幸田さんや他の社員とさまざまな話をしたそう。そこで気づいたことや週末に考えてきたことをぽつぽつと語りました。
・みんなから重みのある言葉をたくさんかけられて、自分のダメなところや弱い部分がたくさん見えてきた
・自分の軸がブレていた
・人の言うことに同意はするものの、そこに自分の明確な意思はなく、失敗すると人のせいにしてしまう
・自分がコウダプロにいる理由を見出して、もう一度がんばりたい。そう覚悟を決めた
一社員のここまでの内省を全社にさらけ出す時間を設ける会社がほかにあるでしょうか。
みんなからさまざまなことを言われたAさんに対し、幸田さんは「『なんでこんなに言われないといけないのか……?』といった被害者意識はなかった?」と尋ねます。
Aさんは「まったくないです。率直に言ってもらえることをありがたく思いました。注意されなくなったらおしまいなので」と感謝を述べたのでした。
確かに、年齢を重ねるごとに人は指摘されなくなり、叱られなくもなります。「いい大人だし、言っても仕方ない」「自分で気づかないと意味がない」そう放置されるのが常。私も「良質なフィードバック文化(これについては▼の記事に)」のあるコウダプロはありがたい環境だと思います。
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幸田さんの講話後に行われる社員たちのフリートークでも、Aさんに対するいろいろな提案が出ました。
その一部を抜粋します。どれも示唆に富むもので、実践しようと思えばすぐに生かせる在り方ばかりです。
「原因を深く考えずにいると、同じ問題が再び起きたときに迷う。例えば、他のメンバーを信じられないという状況があった場合、その原因を特定し、具体的な行動を取ることが重要。抽象的な気づきだけで終わらせず、自分を変えていくための具体的な行動に落とし込むといい」
「自分にベクトルを向けるより、もっと大きな視点で物事を見るほうがいいのではないか。例えば、ご先祖様を思う気持ちを持ってみるのもいい。大きな流れで考えると、自分自身のことが良い意味でどうでもよくなる」
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愚痴が出てこない=風通しの良さがある
みんなの話を聞いていて、Aさんに限らず何か問題を抱えたあらゆる人が自分に生かせる提案ばかりだと感じました。抽象的で汎用性のある内容だからです。
こういった有意義なシェアをする社員のスタンスは、コウダプロ憲法第十八条「人を大事にする」第二十条「建設的な提言」に由来しています。
コウダプロでは「人を大事にする」を「人を人として見ること」と定義づけています。「相手がひとりの人として幸せであるためには?」という思想をベースに考えた発言が飛び交う所以です。
うーん……「圧倒的な風通しの良さ」がここにはある。そんなふうに感じました。ここから、組織における風通しの良さとは何か? を言語化していきます。
このあとの話で、幸田さんは「コウダプロに愚痴という概念はない」と言いました。どういうことだと思いますか? これは言い換えると「愚痴が出る余地のない状態ができている」ということなのです。
多くの人にとって、できることなら愚痴は言いたくないし、積極的に聞きたくはない「澱」のような言葉ではないでしょうか。私も愚痴とは無縁に生きていたい。
コウダプロでは、社内で一人ひとりが持つ影響力が大きく、提案しやすい環境があります。判断基準はシンプルで「合理的か否か」。年次や立場は関係なし。たとえ入社したばかりの社員であっても、提案内容が合理的だと受け止められるならば、意見が採用されるのです。
同時に、コウダプロでは「会社と社員の価値観が合うかどうか」も重要視しています。自分の考えと会社の方針が根本的に合わないときは、合理的に議論した上で納得できる環境をつくることを推奨しますが、どうしても相容れないならば互いに無理はしない、という発想です。
幸田さんは「会社は個人を縛り付ける場所ではありません。価値観の一致する人たちが集まる場です」と、コウダプロの根底にある思想をシェアしました。
それを貫いていれば「愚痴を言いたい!」と思う瞬間が訪れないわけです。コウダプロは社員にとって「自分がここにいたいから、いる」という場所。よって、幸せな働き方が実現しているのです。
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SNS社会は腸内環境そのもの
その後、話題は社会・経済へと移っていき、フジテレビの10時間超会見などの時事ニュースを切り口に、幸田さんはSNS社会と腸内環境との共通点を挙げました。
腸内環境には善玉菌、悪玉菌、日和見菌が存在します。普段は目立った活動をしない日和見菌は、善玉菌が優勢になると有益な働きをし、悪玉菌が優勢になると悪影響を与えることも。善玉菌と悪玉菌の割合によってどちら側に動くかを決める、ということです(日和見菌……友達になりたくないタイプだ)。
この構図をSNS社会に当てはめると、よく似た構造になっていることが見てとれます、と幸田さん。SNS上で何かが炎上するとき、極端な意見がぶつかり合い、その間にいる大多数の日和見菌のような人々がどちら側に移動するかによって、世論が変わっていく。確かに、腸内環境とまったく同じ構造です。
さらに幸田さんは関連するニュース記事を挙げて、みんなに解説したあと、こう伝えました。
「皆さんには日和見菌になってほしくありません。大多数に流されることなく、自分の考えを持っていてほしい。情報が錯綜する中でも、自分の意見を持ちつつ、一方的な見方ではなく、物事を多角的に捉える冷静な視点を持つことが大切です」
国際社会全体で見ても、現代社会はさまざまなひずみが積み重なり、調整の時期に入っています。その中で、社会の変化を冷静に見極め、自らの信じた道を歩みながら、全員で豊かになることを目指して進んでいきたい、と締めくくりました。
(編集後記)
このあたりで〆に入っていきます。フリートークのコーナーで幸田さんが発した「もう僕が話すことはほぼない(笑)」という言葉が象徴するように、社員一人ひとりの成長が顕著に表れていた回でした。
Aさんというひとりの社員に対する、みんなの鋭いコメントや洞察力のある発言に幸田さんが感動し、その成長を称える場面が印象的に残りました。
「僕も含めたメンバーの大半が自己革新プロセスを経験している」と幸田さんが言うように、コウダプロの全員が今日まで自分と向き合い、内側にある答えを引き出し、気づきを得て、行動を変えて、変化してきたのでしょう。
そうして自己革新を経たメンバーは、以前とは目が変わり、良い意味で別人となったかのように活躍を見せているといいます。キレと温かさが組み合わさったコメントを多数聞きながら、自分も気持ちが引き締まったのでした。
Text/池田園子