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『ヤングライオンズコンペティション』(通称ヤングカンヌ)・デザイン部門で日本代表選考会ゴールドを授賞し、カンヌ本選へ。カヤック史上初の快挙を遂げた金子嵩史さんに、新卒入社から8年のキャリアパスと広告業界での活躍の軌跡、アートディレクターとして大切にしていることを聞いてみました!
金子嵩史
1991年生まれ、2014年入社
クライアントワーク事業部/アートディレクター
座右の銘は「楽しさ第一」
就活そっちのけで打ち込んだ卒業制作がご縁でカヤックに入社
ーまず、金子さんが広告デザインの仕事を目指したきっかけを教えてください。
もともと、美大でデザインを専攻していました。勉強していく中で広告の世界や様々なアートディレクターやデザイナーを知り、憧れを持ったことが始まりです。
ー就職活動はどのようなことをしていましたか。
あの、実は就活を全然やっていなかったんです.....。
ーそうなんですか?! では、カヤックにはどのようにして入社したのでしょうか。
僕は就活から目を背けていたのですが、卒業制作にはかなり力を入れていたんです。卒業制作展で、カヤックに勤めている先輩がたまたま僕の作品を見て、声をかけてくれて。
カヤックのことは知っていたし、同級生が内定をもらっていて「面白そうな会社だな」とは思っていたんです。「卒制採用※」という、卒業制作がエントリーシート代わりになるカヤック独自の制度で入社しました。
(※2011年〜2018年まで実施していた採用制度。応募者がつくることに集中できる時間を大切にしたいという考えから生まれた)
ー偶然の出会いだったのですね。入社の決め手は、どんなところでしたか。
佐藤ねじさん(元カヤック)が採用面接をしてくれたのですが、卒業制作の作品をすごく面白がってくれて。タイポグラフィーが好きで、何かいいアプローチがないかな、と考え抜いた結果、アルファベットの動きを歯車で表現したインスタレーション作品をつくったんです。つくることの熱量に共感してくれる会社なら、楽しんで働けそうだな、と確信しました。
国内での活躍、さらには『カンヌヤングライオンズ』へ
ー入社後の仕事内容について教えてください。
クライアントワーク事業部に所属し、1年目2年目はアシスタントデザイナーとして先輩と一緒にデザイン制作を行っていました。ただ、他の会社に比べると早い段階から案件をメインで任せてもらえたと思います。
6年目でアートディレクターとして担当したのが『うんこミュージアム』。世界観と、それを元にしたキービジュアルやコンテンツをつくりました。まず、「うんこは汚い」「嫌われる存在」という固定観念を壊し、可愛さを知ってもらおうという前提からスタートしたんです。
▲開催4ヶ月で累計40万人来場突破した『うんこミュージアム』。横浜、東京、福岡、広島さらには上海まで進出
ーうんこを見て触って楽しむ、新感覚の体験空間『うんこミュージアム』はかなりのインパクトでしたね。カラフルさも印象的でした!
茶色からの脱却というか、きれいな色で世界観をつくっていくことにこだわりました。特に、キービジュアルはうんこミュージアムの初お披露目の役割も担っていたので、どれだけインパクトを残せるかも意識して制作しました。
最終的に、「巨大うんこ × 華奢な女子」という一見タブーな組み合わせに辿りつき、個人的には上手く「新生うんこ」を表現できたかな、と思っています。
ただ、あんなにウケるとは......。自分たちでも驚きました。
あと、最近の案件ですと、2021年の近江牛×浮世絵の『Art Beef Gallery(アートビーフギャラリー)』も面白かったですね。「日本三大和牛の中でも、近江牛の知名度は低いのではないか」という課題に対し、近江牛の特徴である美しいサシに注目し、その魅力を最大限に表現しました。江戸時代からある近江牛と江戸時代の芸術をかけ合わせ、話題化に成功しました。中国や台湾をはじめ、海外からの反響も大きかったです。
▲滋賀県・近江八幡の老舗料亭『ひょうたんや』のギフトの企画制作を担当。“開ける”⾷べる“”飾れる“楽しさを追求するため、あらゆるところに様々な“ひとてま”を加えた商品
ーそして、金子さんと言えばカヤック史上初、国際的な広告祭『カンヌヤングライオンズ』の日本代表選考会でゴールドを受賞し、本選に進出したのだとか!
30歳以下だけで競うコンペ『カンヌヤングライオンズ』のデザイン部門に個人的に出場しました。まず、日本で予選があり、勝ち抜いたチームがフランスでの本選に出場できるという流れです。
チャレンジしたきっかけは、同僚に誘われて断りづらくて、笑 。初めはそんな感じだったのですが、1回目の選考会でブロンズ(3位)をとれたので手応えを感じたんです。そこからはプライドもあってチャンレンジし続けて、3回目の2019年にゴールドを受賞することができました。
ーちなみに、日本代表選考会はどんな内容でしたか。
ジェンダーや動物愛護などの社会問題が課題になることが多いですね。課題に対し、ロゴマークとその展開イメージをつくり、審査されます。2019年はフェアトレードコーヒーがお題でした。仕組みをリサーチする中で、仲介業者の多さによる生産者に対する賃金の安さに注目し、橋のマークを使って「つながり」を表現していきました。
▲完成したロゴと展開案「橋をかけよう」。分かりやすさと、メッセージ性を評価された結果ゴールドを受賞
ー見事ヤングカンヌの本選へと進んだわけですが、世界の舞台で戦ってみた感想、ぜひシェアしてください。
世界中のクリエイターと同じ土俵で何かをつくるのがとても新鮮でした。それぞれの国の特徴も面白かったし、自分が結構かっちりした日本的なつくり方をしているんだな、と実感しました。自分の立ち位置や強みもなんとなく俯瞰でき、視野が一気に広がるいい経験ができたと思います。
常にチャレンジングなカヤックの環境。企画から関わり、デザインの領域を広げ続ける
ー入社して8年、キャリアをふりかえってみてどんなことを感じますか。
面白法人という名前を掲げているだけあって、カヤックには「何か面白いことをしたい」という案件が集まってくる。常にチャレンジングな環境にいられるのは楽しいです。
クライアントのお題に対してアートディレクターも企画の段階から関わることが、カヤックの特徴だと思います。プランナーと一緒に、その企画を最大限に活かすことを前提として世界観やUI・UXのデザインをしていきます。だから、自分のやってみたい表現に挑戦しやすいですね。
入社した頃から、仕事内容もどんどん変化しています。最初はWEBサイトやバナー制作が多かったのですが、最近は体験よりのコンテンツ制作が多い。いい意味で仕事が固定されていない。ずっと同じ領域を突き詰めるというより、世の中の流れと併走しながら課題の答えを出していくところに、仕事の面白みを感じています。
ーカヤックに入社してから、自分の中での変化はありますか。
学生時代とはデザインの方向性がガラッと変わったかもしれません。もともと学生時代はシンプルでミニマムなデザインが好きでしたが、カヤックの案件はエンタメ寄りのものが多いので、ファニーな雰囲気やポップで楽しいデザインも手がけるようになりました。
ー広告表現とは、自分の好きなデザインを突き詰めるだけではない、と。
はい、自分だけでつくるものではない、だから「会話」をすごく大事にしています。
そういえば、最初は結構苦労したんです。デザインのテイストが合わないかもって。3年くらいでカヤックを辞めようかと思っていたのですが、もう8年もいるのは何でだろう、笑。
徐々になじんできて、チームで制作するようになったら、今までの自分とは違うテイストも「超面白い」と感じるようになったんです。自分の中のデザインの領域が広がっていきました。
僕は「やったことがないこと」に挑戦するのが楽しいタイプなので、今後もデザインで色々なチャレンジをしていきたい。それが仕事の軸であり、モチベーションになっています。
「デザインすること自体を楽しむ」、それが大事なんです。単なる仕事と考えず、どの案件も楽しんで取り組むこと、それがいいものをつくることに繋がっていくと思っています。
カヤックサイト インタビューより引用- https://www.kayac.com/news/2022/03/interview_kaneko
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