あなたの副業に寂しさを感じる人がいます
厚生労働省労働基準局の資料によると、副業をする雇用者、副業を希望する雇用者ともに増加傾向にあります(出典:厚生労働省労働基準局提出資料)。かつては職務専念の義務を強烈に課せられていた公務員にまで副業解禁の波がおよび、この世の中の流れはさらに加速していくものと思われます。副業や兼業を支援し、発注者と受託者をマッチングするための様々なサービスが生まれ、本業以外で仕事を得やすくなってきていることもまた事実です。
結論から申しますと、私はこの世の中の流れに非常に強い違和感を覚えます。特に20代の副業に対しては、強烈な違和感を感じずにいられません。専ら、自分のチームに本気で向き合いビジョン実現のために試行錯誤する経営者は同じことを感じているでしょう。
「稼業時間以外は個人の自由なんじゃないの?」
これに関してはもちろんそうです。個人の権利なので、最終的にこれを禁止する強制力はありませんし、やるやらないは個人の意思決定次第です。
しかし実際問題、スキルも実績も人間的な厚みも伸び代しかないとりわけ20代の若者が、世の中の表面的な情報発信や成功体験に踊らされているとしか見えない中で副業の主張をしだしたら、「え?副業?何もできないのに?自分の会社に全ベットしてくれないの?」と経営者は寂しく感じると思います。
今の自分の会社に全ベットして欲しいことを経営者はメンバーに対して言いづらい、だから代わりに言っときます。
あなたの副業は、場合によっては不義理になります。
あなたに何もないのであれば、20代は全ベットしてみませんか
エッセンシャル思考という言葉をご存知でしょうか。
これは、大事なことを見極めて自分の時間とエネルギーを最も効果的に配分し、最大の成果を上げる考え方です。
20代の若く熱くエネルギーに満ち溢れた時期に、いったい何に向けてエネルギーを使うべきなのでしょうか。
私は、この強いエネルギーを複数のモノゴトに分散させるべきではないと考えています。つまり、今の仕事に「全集中」か、「転職(独立)」かどっちかというわけです。
前提、これは転職を否定するものではありません。ビジョンや価値観に共感できず「おれの生きる道はこれじゃねな」の転職は大いにありだと思います。ビジョンマッチする環境や人のもとで全集中するべきです。また、もしあなたがスキルフルで相当な手練れである場合は、独立するのもいいでしょう。(メンタル的な要素が関係する場合は逃げるべきですが、趣旨とズレるので割愛します)
ですがあなたがもし、特に何も成し遂げていない20代の場合、中途半端にモノゴトに向き会うべきではありません。20代の生き方やスタンスは、その後の自分の人生の全ての基準になります。そんなスタンスで本業も副業もうまくいくはずがありません。本業で成果を出していないあなたが、中途半端なあなたが、副業でうまくいくわけがないのです。
20代の若い時期は、一つに絞って全エネルギーを注ぐ体験でしか、人間として成長する機会はないのではないかと考えます。そしてその対象は、今の仕事なのではないでしょうか。
あなたは今の会社の御蔭様で生きています
日本の「自分の会社への信頼度」は最下位(画像は「エデルマン・ジャパン」の調査から)
今の日本人は自分の働いている会社に対して信頼を寄せている割合が圧倒的に低いというデータが出ています。あなたはどうでしょうか。もし「あまり信頼していないかもな、、、」と感じるのであれば、一度考えてみて欲しいことがあります。それは「あなたはいったい何なのか?」ということです。
今あなたは先人たちが紡いできた経済活動の”お蔭”で働けているのです。今の会社が続いてきたのは代表や上司のお陰、取引先様のお陰、先人たちが日本経済を繋いできたお陰様なのです。あなた自身が成し遂げたことは何もなく、先代のモノを使わせていただいているだけなのです。であるにもかかわらず、会社の状況、代表や上司の気持ちを考えずに自分勝手に権利や考えを押し付けるのは、あまりに身勝手なのではないかと思ってしまいます。
商売の基本は「人を喜ばすこと」です。これは本業も副業も変わりませんし、これなしでは継続的に金は稼げません。20代の大切なあなたの時間、今後の人生の全ての基準を決める時間、誰を喜ばすことに1番のエネルギーを注ぐべきなのでしょうか。それは最も身近な人、もっと言えば家族、上司、会社の代表が該当します。「身近な人を絶対喜ばせる!」というスタンスなしに、そもそも副業なんかうまくいくはずがありません。
ごちゃごちゃ書きましたが、身近な人を喜ばせることができる人が人間的にもビジネス的にもモテるし、今後の自分の人生にポジティブな影響を与えていくのは、世の原理です。特に日本人は、合理的かどうか?ではなく「義理人情」という経済換算しにくいところに価値を見出す民族です。あなたが副業をすることでめっちゃお世話になっているあの人に対し、不義理を働いていないか今一度立ち止まって考えてみて欲しいです。
過去の自分への自戒も込めて。